メゾン・ド・チャンイチは事故物件(物理)   作:黒兎可

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描写をしっかりやったら話が全然進まなかった・・・スマヌ・・・
 
独自解釈&独自解釈&おまけパート注意


#053.皆で行くぜ!

 

 

 

 

 

「まるで意味が判らにゅ! ……はっ、いや、判らぬぞ! そもそも一護、貴様、何だその……、何だ? いや、因果の鎖の根幹理由から考えればあそこの肉体から伸びているのが正しいだろうに、どうして虚の貴様の胸の孔に伸びている!?」

「俺が知りてェよ!? というかその、スノーホワイト? のガキンチョに連れられてきたらこの有様だよ!? マジで何が起こってんだよ!?

 っていうか、何で観音寺が居るンだよ!!? 一番意味わからねェよ!!!!」

「私が知る訳なかろうがたわけッ!」

「じゃあ誰が知ってるってんだよ!?」

 

「く、黒崎君、落ち着いて……」

「無事、なのか?」

「――――」(※絶句)

 

 あまりにも想定外の形で救出(?)された黒崎一護を前に、錯乱したように叫ぶ朽木ルキアと一護ともども。そんな一護を落ち着けようと駆け寄り背中をなでる織姫と、反応に困るチャド、および石田の五名。なんだかんだここだけ空気感が普段通りで、いつも通り仲良しと言われればそれまでであるが。

 そんなことよりも、一護の胸から伸びる鎖が気になるのが石田雨竜である。もっともそんな彼が冷静さを取り戻すよりも先に「何だあの虚!?」とか「観音寺のおっさん!? 夢だけど、夢じゃなかったのかよ、えぇ……?」と一護も一護でリアクションに忙しそうで、色々それどころではなかったりしたが。

 なおドン・観音寺は相変わらず気絶しており、ひよ里が一護と彼を見比べて「ホンマに弟子かいあのハゲ……?」とドン引きしているが、そのあたりは割愛。

 

 当然状況について全く理解が及んでいないのは、一護も同様である。

 混乱しながらも、ブチブチと氷の鎖を引きちぎり、今にも暴れようとしている「片方の角が欠けた」仮面の、自分より大柄な「白い」長髪の虚を見やる。

 

「何だあの……、って、形変わっていってるじゃねェか!? 気持ち悪いィ!」

「さっきまで君があの気持ち悪いものだったことについて、感想はあるかい?」

「何だと石田ァ!?」

「いや、大柄になっていく分には的が大きくなるから攻撃は当てやすいぞ、一護」

「チャドまで!? いや、そういう問題じゃ――――」

「何かこう、ドラゴンみたい! ゲームとかの!」

「井上……」

(恋次がこの場に居ないのが悔やまれるな……。あやつの反応も見てみたかったものだが、うむ)

 

 くすりと微笑むルキアであったが、気を引き締めて一護が変貌していたであろう虚の方を見やる。

 その形状は、身体にかかっていた黒い影か煙のようなものがかき消えて、徐々に徐々に肥大化していく。尾はそのまま背骨を含んで延び、首元ごと仮面も延長。片方の角は折れたが、髑髏頭のドラゴンか、あるいはリザード (※トカゲ)か。そしてその様になっても斬魄刀を手放さず、見た目としてはかなり酷いものである。

 

 そんな虚の胸の孔の黒い影から、自分めがけて「因果の鎖」とかいうらしい例のものが伸びているのが、何とも一護にとっては嫌な感覚である。

 

 

 

 と、突如その時である。一護の耳に声が聞こえた。わずかばかり視界から色が失われ、見える世界が灰色に寄る。井上? とか、ルキア? とか、周囲の人々に声をかけても、反応が得られない。

 

『一護』

(斬月の、おっさんの方!?)

 

 そして耳に渋く、どこか安堵するように響く老齢の男性の声。

 そうだ、この状況に覚えがある。確かこれは梅針と戦った時、彼の心象世界へのアクセスを可能としたあの時の――――。

 

 そして耳に聞こえる声に、虚のあの自分の声はない。

 そのことに当たり前だと言う感情と、同時にしっくりこない違和感を覚える一護であった。

 

(何でだ……? いや、でも、そうか。アイツの言ってることが全部、本当のことかは知らねェけど、)

 

 先ほど、虚の力だろう自分から色々言われていた。彼とこの黒い斬月とは、本来一つの存在であるのだと。

 

 振り返れば、背後に佇む大きな影のような、黒いコート。

 一護を見下ろす老齢の斬月には、その微笑みにどこか自分の子供を見やるような慈しみの感情が感じられる。

 

 そしてその黒いコートに、あの虚からはがれた影がその裾へと延々と吸収され延びていっている。

 

(アレは、おっさんの……?)

『無事でよかった。客人も()()()も、試練としての加減は苦手なようだからな。……そして、何故その有様のまま外に出ているのだ、一護』

(い、いや、俺もよくわからねェっていうか…………。というか、あのガキンチョどこ行きやがった!? アイツが勝手に引っ張ってきたっつーか、何考えてやがンだ!? 保護者ならもっと叱らねェと危ないじゃねェか! というか俺も叱るッ!)

『あまり強い言葉をかけてやるな。泣くぞ』

(そ、そうかァ……? 結構、打たれ強そうに見えたけどなァ)

 

 袖白雪に叱られながらも調子よくかわし、なんなら考えなしに自分を連れて来たと思われるあの子供。そういや背中に羽生えてたし、服装も洋装っぽい感じだしと、なんとなく白い和装でまとまっている白一護と袖白雪の子供にしてはイメージが異なるな、などと適当な感想が出て来る。おそらく現実逃避の類であろう。

 

(それはそうと、……あっちにも言われたけど、ありがとな。何かわからねェけど、色々やってくれていたみたいで)

『…………………………………………』

(おっさん?)

『………………………………いや、何でもないとも』

 

 ニヤリ、と微笑んだ斬月の、目線の高さが下がる。虚から集まっていた影が終息し、そのままゆったりと落下しながら三点着地。ばさりと払いながら立ち上がる姿に、なんとなく妙な安心感を感じる一護であった。

 だからこそ、この斬月には素直に問いかける。……白一護とは第一印象からして対応が大違いであった。

 

(というか、俺の今の状況ってどうなってンだ? この胸から出てる因果の鎖ってアレだろ? 井上が兄貴の虚に殺されかけたときのとか、あの病院の地縛霊のやつとか……)

『本来は■■■■■■■によって規定をされた…………、ふむ。これは()()()()か』

(は?)

『気にするな。簡単に言えば、この鎖とは本来は肉体と魂との繋がり、その因果が継続していることを示すもの。そして一護、今のお前は霊体であるとはいえ内在世界における心象のお前自身だ』

(…………?)

『……魂魄、と言う言葉の古い定義を知っているか』

 

 ソウルソウルした理屈に疑問符でいっぱいな一護である。そして斬月が言葉を選んでるだろうことも察して「わ、悪ィ」となんとなく頭を下げた。

 

(確かアレだろ? あー、ガキん頃にあの親父(ヒゲ)の持ってた洋書で再翻訳されたの読んだやつだからテキトーだけど……、アレだ。心と、肉体)

『その認識で問題はないだろう。そして一護、お前自身自覚は薄いだろうが、今のお前の魂魄は霊体という概念において、この2つが切り分けられている』

(は?)

『あそこにあるのは、お前の霊体としての肉体……、義骸に対応してさながら()()のようなものと表現しよう』

(いや義骸ってアレだろ? ルキアとか恋次とか花太郎とか、死神が現世で活動する時の仮の肉体? て言ってたか。いや、いまいち――――)

『そしてお前自身の心に相当するものが、()()()()()()()()()()()()()()()()()再構成された状態が、今のお前だ』

(無視かよ、スゲェなアンタ……。って、いやだから、よくわからねェんだって! オッサンも説明が難しいっつーのはわかるけどよォ)

 

 慌てたようにフォローの思念を語る一護であるが、それに対して斬月は。

 

『霊体として幽体離脱したと思え。あそこにあるのが、虚の力に侵されたお前の「霊的な」肉体だ』

(お、おぉ! それくらいなら言いたいことが判るぜ!)

 

 正確な説明を放棄することで、正しく伝わることも世の中は多かった。

 さておき。斬月は一護に言う。平子真子が行った術による内在闘争は、いまだ決着に至っていないと。

 リザードのようになった自分の虚の力を見て、そして自分の掌を見る一護。

 

(何でだ……? ()()()より、全然怖くねェ)

『あのような只の獣の本能と、力を意志を持って振るう者とでは、力が同量であれどその重さが異なる。それにあの者は、お前の力の真なる部分について誰よりも理解が深い者である』

(おっさんよりも? って、そういやアイツが剣で、おっさんが鞘とか言ってたな)

『こと戦闘に限っては、()()私でも太刀打ちは出来ぬかもしれん。とはいえ、我らは共に一護。お前の力としては一つの存在であるがな』

(一つの存在……つーことは、アレは、アイツじゃねェんだよな?)

 

 どこかほっとしたような一護を見て、少しだけ斬月の目がにこやかに細くなる。心の底までを許したわけではないだろうが、どうやら多少なりともコミュニケーションが成立したせいで、印象が好転しているらしい。流石に本人を殺すのは忍びないと思われている程度には、距離感が近くなったと言う事なのだろう。

 とはいえホワイト本人は、一護自身における虚の力そのものへの忌避感をまだ失わせるつもりはないと理解している。だからこそ、老齢の斬月もそのことに深く追求はしなかった。

 

(だったら、俺がやらなきゃいけねェことは――――) 

 

 

 

 そして、一護の視界に色が戻る。彼自身が斬月との対話よりも、本心の部分から「それ」を求めたからこそ、老齢の斬月のアドバイスよりも優先されて、彼の体感は現実に戻って来た。

 

 一護は後ろを振り返る。青い子供っぽい服装のルキア。タンクトップ姿に妙な迫力のあるチャド。ノースリーブの肌が眩しい織姫に、相変わらずゴテゴテと厚着しているように見える石田(戦闘用の服だったか?)。

 そんな彼らに、一護は頭を下げた。

 

「皆、悪ぃ! 後、ありがとう! こんなよくわからねェところまで来て、よくわからねェことに巻き込んじまって!」

「ぬぉ!?」「く、黒崎君が……!」「一護?」「――――(※絶句)」

「でも、だからこそ頼む!

 こんなこと頼むのは筋違いかもしれねェ。だけど……、頼む! 俺と一緒に戦ってくれ! 俺と一緒に、あの俺の虚を倒してくれ!」

 

 顔を上げた一護は、真剣な表情で面々を見る。

 

「平子が、俺が俺の虚を制御できるように準備したみてェなんだけど、まだそれが終わっちゃいねェ。

 本当はそれに巻き込むような話じゃねェし、あれだけ馬鹿みてェな力から皆を守らなきゃいけねェって、そう思ってた」

「黒崎くん…………」

「でも…………、前に恋次にも言われたけど、そう思ってるのって多分、俺だけじゃねェんだよな」

 

 守りたいって言うのは、俺だけが思ってることじゃない。

 俺だけが、絶対にしなきゃいけない訳じゃねェ。

 

 そう繰り返したうえで、一護は。

 

「だから力を貸してくれ。何かあるって訳じゃねェけど……それでも――――」

 

 

 

「ていっ」

「あふンッ!?」

 

 

 

 唐突にルキアがシャイニングウィザードを一護に()めた。いわゆる跳び膝蹴りである。

 顔面、主に人中付近を押さえながら「い、いきなり何しやがる……!」とキレようとする一護であったが。腰に手を当てたルキアは、一護を鼻で笑う。

 

「何を腑抜けたことを言っておる。それ以前に、何をたわけたことを言っておるのだ、貴様!」

「腑抜けって、一体どういう意味だよ……」

 

 若干青筋を浮かべている一護。そんな一護に呼応してか、虚もまた氷の鎖を引きちぎり始める。そんなあちらを警戒しつつも、ルキアは堂々と、一護に笑いかけた。

 

「――――私たちは、仲間だろう。何を水臭い」

 

「ルキア……」

 

 そこまで当たり前のように返されると思ってなかったのか、驚き固まる一護。

 そんな彼にくすくすと、井上織姫がルキアに同意を示す。

 チャドもまたニヤリと応じ「背中は任せろ」といつかのように返す。

 唯一石田のみ不満そうであるが、そうは言っても全くこの場から立ち去る気配もなく弓を構え、虚を警戒している。

 

 そんな彼らに、ありがとうと。

 言葉をかけて、一護は改めて背を向け、自らの虚の力を見据える。

 

 

 

『巻き込むのか、一護』

(おっさん……)

『危険な場所に自ら立ち、より大勢を守ろうとする。だが……そこに仲間を、友を介在させるというのは、お前が最も忌避することではないのか?』

 

 わずかに世界が灰色がかり、視界の端に影のコートが揺らめく。そして聞こえる斬月の声は、明らかに気遣わしげに、哀れんでいるような声音さえ含んでいた。

 そんな自らの斬魄刀に、一護は微笑む。

 

(ありがとな。心配してくれて)

『一護』

(確かに、嫌だよ。本当の事言ったら、そもそもコイツは俺の問題で、俺達の問題にして良いようなことじゃねェ)

『…………』

(だけどな、おっさん。俺は――――皆に心配かけないで戦うとか、そういうのはどうにも苦手らしい)

『………………』

(虚みてェなアイツと話して、ちょっと判った気がする。――今あそこにいる、あの虚も、俺なんだ。俺の一部で、きっと俺の中には、ああいう本能ってやつも多分存在してるんだろ)

 

 だからこそ、あえて託すのだと。どこかぎこちない笑みで、一護は不敵に笑う。

 

(「友と仲間を守るべし」、とか恋次の奴は言ってたけど。そんな俺でも、守りたいって思ってくれる奴が集まってくれたんだ。集まってくれるんだよ、おっさん)

『…………』

(嬉しいじゃねェか。それに、もし俺がアイツらだったら…………、無碍にされたら、悲しいじゃねェか)

『………… 一護』

 

 ちらりと、ドン・観音寺の方を見た一護は。その上で目を閉じ、開き。今度こそぎこちなさのない、不敵な笑みを浮かべていた。

 

(だから、そうだな。皆で強くなれば良いんだ。命を預けて、預けられて。こういう所に立つっていうのなら、俺が全部守り切れるようになるまで――――もしかしたら、そうなったとしても!

 皆で、皆を守れるっつーのが、理想!)

『…………フ、フフフ』

 

 おっさん? と。思わず背後の斬月を見やる。老齢の斬月は先ほどのようにやや高い位置から一護を見下ろしており……、少しだが身体を「く」の字に折って笑っていた。

 

『そうか。今はそういう結論を出したか』

(な、何だよ。…………悪ィかよ?)

『元よりお前の意志だ。()()が意見をするようなことではない』

(何か引っかかる言い方だなァ……)

『ただ、そうだな……。今のお前のその顔を、黒崎真咲が――お前の母が見ていたらと思ってな』

(あ? 何でお袋が…………?)

 

 斬月が優し気に微笑むのも、無理はない。

 一護は珍しく――――本当に珍しく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだから。

 それはいつかの日、自らの軽率と認識不足で大事なものを失い、壊してしまった日の苦悩に。

 

 完全な答えとは言わずとも、彼の心の深い霧のようなものを晴らしうる、確かな一つの感情であったのだから。

 

『受け取れ、一護』

(は? って、お、おお!?)

 

 老齢の斬月が、突如取り出した青白く光る剣。どこか普段使いしている斬月の刀身のような、その柄に翼のような意匠があるような、独特の西洋剣のようなそれを投げ渡す。

 

(何だこれ?)

『この場に集う者たちの霊圧……死神、(ホロウ)滅却師(クインシー)、そして完現術師(フルブリンガー)

(ふ、ふる……?)

『聞きなれぬだろうが、いずれ判る時も来るだろう。それらの霊力を知ったお前の霊力が、それらの霊圧に従いその五瞳剣(フンフオウグ・シュベールト)を生み出した』

(いや何でドイツ語だよ!?)

『判るのか!?』

(いや(シュベールト)しかわからねぇけど、おっさん何でそこ一番驚いてンだ……?)

 

 何故か中空でらしくなく狼狽える斬月に困惑する一護である。というかそもそも、斬月なんて思いっきり和名の刀がどうしてドイツ語で武器の名前っぽいものを命名してるのかというところもツッコミどころではあるが、そもそも斬月のおっさんが困惑するという状況自体が予想外過ぎてツッコミを入れ忘れる一護であった。

 

『そうだな。……特定の名はない。だが、あの虚を調伏するのにこれ以上はない剣だ。

 使うと良い、一護――――それもまた、お前の力の在りようを表したものの一つだ』

(よく判ンねェけど、ありがとな)

 

 

 

「発火ッ!」

 

 現実に意識が戻った一護は、そう叫び火輪を迸らせる。感覚は覚えている。手首から放出される霊圧の流れに、想いを有りっ丈込める。身体の内側から直接に月牙を撃つようなそれは、中々気持ち悪いものであるが、それでも「敵を滅ぼす」ことへの意志に、もう一護はためらわない。

 そっと、ゆらめく靄に先ほどの斬月の影が混じったような――――はためくコートのようなそれは、より明確な形をもって一護の私服の上に纏われる。

 

「黒崎、その姿は……?」

「あー ……、ちょっとな」

「ちょっとじゃないぞ!? というかその雑に取り出した剣は何だ、どう見たって滅却師の霊子兵装じゃないかッ!!?」

 

 動揺する石田に「そういや斬月も、霊圧が混じってる的なこと言ってたっけ」と適当な返答をする一護。

 よくわからないがこの場に集まっている全員の霊圧が混じったものが武器になっているような感じだ、と雑に言う一護に「訳が分からぬ」とルキア。「すっごーい!」と織姫。「虚か……」と何故か少し思案するチャド。そして肝心の石田雨竜はといえば「そんな説明で納得して良いのか!? もっと考えるべきことがあるんじゃないか!?」と至極まっとうな意見。そんな石田を、仮面のメイドが遠方から撮影してるのもシュールさに拍車をかけていた。

 

 とはいえ状況はいよいよ、コント時空を許さない。

 

『――――――――』

 

 叫ぶ一護の虚は、ついに鎖を全て引きちぎり、四足歩行となる。

 

 そんな虚を前に、それぞれがそれぞれに構える。

 

 弓を構え、つがえる矢を周囲の霊子から収束する石田。

 一護はまだ見ていない、やや変化した形状の「右腕」をボクシングのように前に構え握るチャド。

 ヘアピンが散り、周囲に漂う盾舜六花を一瞥してから胸の前で手を合わせる織姫。

 左肩を前に出し、右側から身体に沿うよう前方に向けて氷のような霊剣を構えるルキア。

 

 そして、噴き出す白い火輪と、それにゆらめくコートのような黒い火輪とを纏った一護は、刃を肩に乗せ。

 

 

 

「じゃあ一気に…………皆で、一気に片づけるぜ!」 

 

 

 

 応じる各々の声に、また少しだけ一護の眉間の皺が解け。

 改めてにらみつける様に、その眉間の皺を深くした。

 

 

 

『――――あたし、全員で並んで一緒に啖呵切るの好き……!』

「ぬおおおおお!? 振子雪(スノーホワイト)、何をいきなり言っておるか!? ……と言うかそれ以前に人の言葉を話せるのか、其方!!?」

 

「あ!? ど、どうしたルキア……?」

 

 

 

 なお一護同様に「同調と対話」が働いているのか、振子雪のテンションの高い一言に、鳩が豆鉄砲を食ったような表情をするルキアであった。

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

「やあ。気分は如何だろうか。()()アルトゥロ・プラテアド。それとも不滅王(フェニーチェ)と呼んだ方が良いだろうか」

『ハッ! ほざけ、死神風情が。……この私を、よもや自らの手で復活させる死神がいるとはな。しかも、このような場所で。髑髏大帝(アロガンテ)どころか群狼(ロスロボス)までいるではないか。……ん、あの()、力が小さくなっているな。何をしているのか』

()には彼なりの事情があったようだよ。そこは、多少なりとも共感があるかもしれない」

『ふん。言葉が空々しいぞ死神。こもる感情が薄いわ、野心の味がするぞ』

「おやおや。僕もまだまだ修行が足りない」

『隠す気も無いくせに良く言う。

 さて……予想外も甚だしいが訳くらいは聞いてやろう。何故、この私をわざわざ蘇らせた。私が自力で蘇るならいざ知らず、『このままでは』大したことも出来ぬと判りながら、いかなる野心をもって事を為した』

熾水鏡(しすいきょう)のことは、大変よく研究させてもらった。僕の()()()()()が現在、それを預かっていてね。だからこそ()()()という概念は理解しがたかったが、地獄以外にも()()という存在があるということを知れて、中々刺激的な体験だったとも」

『……解答になっておらぬわ! ええい貴様、マイペースかッ。三つ数える程度は時間をくれてやる、その間に話をまとめろ!』

「おや? 伝聞よりいささかコミュニケーションは柔らかいらしい。フフ、悪くはないね」

『三つ数えたぞ、訳を話せ死神』

「そうだね。では、その前に君には、私の斬魄刀をまず見てもらいたい」

『む?』

 

 

 

()()()()――――卍解・陽炎(かげろう)稲妻(いなづま)(みず)(つき)

 

 

 

 

 




※一護の服装周り修正
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