「今更だけど、駅近くなってくるとマンションとか増えて来るわね~」
「駅近くっていうより、丘の上と下だな。いちおう市としちゃ同じなんだが、あっちはニュータウンに食われてンだ。映画館とかもちょっと前に出来たし、色々再開発中なんだろ」
「ニュータウン? あれ? ここって鳴木市の空座町じゃなかったっけ」
「ちょっとヤヤコシイんだけどなァ。西空座町の方は、実は区画が違う」
「えっ」
「チャドとか住んでる方だけど、あっちはなんなら県も違ェんだ。神奈川鳴木市の、西空座町。市内っつーとそっちの方の側っつーか、鳴木の方だな。けど昔の地主の関係とかでここら一帯は空座町っつー扱いになってるみてェな、まァそうなってる。だから一言で鳴木とか空座町って言っても、駅のある北の方と南西側だとだいぶ街並みも違ェだろ? 気ィ抜いたら山とか谷ばっかになるし、集合住宅も増えて来るし」
「ふ~ん」
「駅も鳴木との間に小さい駅もあるし、地理的にはあっちの方がこっちの駅側なンだけどな。もっとニュータウン寄りにいくと車とかチャリとか必須になってくるな。徒歩じゃ一日潰れる」
「とりあえず、この辺が摩訶不思議な地形してるってのはわかった。……田舎みたいに」
「田舎じゃねェ! 郊外って言えっ! というか郊外にしちゃ都市化されてる方だっての!」
『違いはよくわかりませんが、揶揄われていますね』
っていうかお前地元民だったンだろ!? ってキレる一護に「あはは~、何年前かまで覚えてないし~? テレビはあった頃だと思うけど」と適当に笑う茜雫。姐さんはそんな二人のやりとりを半眼で見ながら、時々俺の方にガンを飛ばしていた。いや飛ばされても別に一護の奴が茜雫の太ももちらちら見てるのは、俺のせいじゃねェし。昨日のやりとりがあったから、防御力の低さが気になってンだろ。井上の身体見てる時みてェな気恥ずかしさが薄い。
ちなみにクロサキ医院があるのは南空座町で、浦原商店があンのは西空座町と中央、いわば空座本町との境目だ。原作でも
まァ、翌日だ。
朽木の奴は朝っぱらから「浦原に少し確認したいことがある」とか言って一護を置き去りにして早朝に出発。一護は一護で、なんとなく直感的に今の茜雫と井上の奴を会わせるのになんとなく躊躇してるみてェだ。だからといってチャドや石田を呼べるような話でもなく、結果的にはまーた二人きりで外出するような話になっていやがる。心境がほぼ浮気見つかりそうな旦那みてェになってるっつーツッコミは……、いや、まァ俺も今外に出れねェし、そのうちだなァ。
もっとも茜雫に対しちゃ、本能的に何かを察している割には警戒心が薄く、やっぱり言動が幼い分だけ妹みてェに感じるんだろォが。人格的には井上と朽木とたつきを足して三で割ったようなモンに見えるし、そんな相手がしっかり好意を向けて来る状況に完全に振り回されていやがる。
おかしいなァ、劇場版だとここまで茜雫って一護にしっかり「こういう感じ」じゃなかったように思うんだがなァ……。
『あかねしずく! あかねしずく!』
『何をそんなに気に入っているのですか子雪。……あっ、走るのは良いですけど転んではなりませんよ! お着替えは大雨の後にする予定なのですから!』
『ぎゃうー!』
おっけー、という感じで軽く言う子雪に、袖白雪の姐さんはため息。すっかり所帯じみていやがるがそれもそのはず、いつの間に用意したのか「黒い」割烹着でおさんどんの真似事してる始末だ。外見的に言えば完全に人妻というかお母さんみてェな雰囲気に拍車がかかっていやがるが、実態とその状況の経緯を考えりゃ何も言うことが出来ねェ……。
姐さんは姐さんで一護のやつを置いて出て行ったルキアに気が気じゃねェみたいだが、まァ今の朽木の奴の状態から考えて、特に問題にゃならねェだろうという予想が俺にはあった。たった2、3か月。このわずかな期間と言えど、死神としての霊力のほぼすべてを一護に注いじまった以上、朽木に残された風前の灯だった霊力を「気づかれないように」削ぎ落すくらい、あの男には容易いはずだ。
現状、浦原喜助が朽木ルキアの霊体から霊力を失わせ、一般の木っ端の魂魄にまで落とそうとしていることを思えば。義骸に入っている朽木は、現状ただの人間のそれと「そろそろ」変わりなくなって来てるはずだ。
少なくとも子雪の奴が出入りしてることから考えて、姐サンとの霊的なつながりが切れてる訳ではないみてェだが、これは流石にあの下駄帽子の想定外の話にしても、それでもイレギュラーがなければ朽木はただの人間の小娘の状態だ。姐さんが真相を理解していないにしても、おそらく本能的に警戒するのも間違いではない。
ただ、逆に言えばそれは「霊力がない只の人間」ってことになる訳で……、つまりは虚によって襲われる対象にすらならねェってことだ。
このあたり一長一短というか、バランスをとった状態を見据えてるあたり下手な気遣いと性格の悪さの両方がにじみ出ていやがる。悪いヤツだぜ浦原喜助。
まァそんなおさらいは置いておいて、だ。朝飯、何故か遊子と仲良くなった茜雫は夏梨を振り回しながらわいわいと賑やかに飯を食べて(ちなみに
ぱっと見、金があんまねェ高校生のデートみてェな哀愁が漂うな。実際ちょっと今月の財布が心もとないだろうし、この場に井上を呼んでねェのは見栄張ってるって揶揄われても否定できやしなさそうだ。知られた時が少し怖いような気がするぜ一護……。
まあ、実際デートしてる訳じゃねェから、少しはゆるく構えてもらってると助かるっちゃ助かるんだがなァ。
「で、来たは良いけど本当に現れるの? あの
「わかってたらわざわざ連日で来ねェで部屋で勉強してるよ。ただ手がかりとしちゃ、昨日ここと霊園で見たってことしかわからねェからな」
「む~~~~ん。デートなのにつまんないの~」
「だからデートじゃ……」
「よし! ちょっと飲み物買って来るね~! 喉乾くでしょ~!」
「あっオイ茜雫!」
一護としては、浦原とかが調査してる間に少しでも何か自分も出来ることをやっときたいってことで、連中がどうして現れたのかとかを調べるのを継続してェんだろう。茜雫にもその真剣さは伝わってるから、つまらねェって言いながらもスーパーに入ったりしちゃいねェんだろうが、それはそれ、これはこれってノリだな。
言い方悪ィが、年頃の小娘の小娘らしい溌剌とした感情が迸って迸ってにっちもさっちもどうにもコントロールが効いちゃいねェ。こういうの見てると、つくづく一護が甘ちゃんで臆病なのと相性が良いっつーか、井上と被りつつも朽木の湿っぽさが侵入してきてて一護お前よォ……。
で、茜雫はペットボトルじゃなくて駅前のファーストフード店からドリンク買って来てやがるし。しかも、ちゃんと一護の金で。さっき声かけたのは、小銭もって無ェだろって確認と、そっちの財布投げ渡すためだってんだから本当お前よォ……。
「はい、チョコのシェーク!」
「お、おう。……むしろもっと喉乾かねェかこれ、紅茶とかで良かったじゃねェか」
「でもチョコ好きでしょ? 一護」
「いや好きだけど、何で知ってんだよ……」
「ゆずちゃん」
なんなら家族が追い打ちをかけて包囲網を形成しはじめてる件。
今更だが、この調子で朽木の奴を家の連中に紹介でもしたらどうなるか全く予想つかねェな……。距離感詰めるなら早い所やっとけよ井上ェ!
なんだかんだ、音を立てて飲む一護に「行儀悪いー!」と言いながらも一緒に横で飲んでる茜雫。「朝なのに店すっごい混んでるんだけど!?」と言えば「夏休みだしアウトレットの方に客来るからだろ」とか返す一護。で、話題は昨日そのマ〇ク待たせてたチャドのことになり。
「友達を待たせてたなら、後でちゃんと謝らないと駄目じゃん。ちゃんとしなよ、一護」
「そりゃまァ当然なんだが、テメェに言われると何か釈然としねェ」
ぴくぴく半眼で頬を引きつらせてる一護に、茜雫は「ヘンな顔!」とやっぱり子供みてェにけらけら笑っていた。今時の女子高生、にしちゃ妙にそのテの話にアグレッシブすぎねェか、コイツ。
ある意味「生き急いでる」って点についちゃ、メタ的な理由で言えば俺にとって違和感は無ェけどよ。
※ ※ ※
駅前、急に人が増えて来たものの「夏休みだしこんなものか」と特に疑問には思わず、二人して歩いていた一護と茜雫。
そして道中、茜雫は一人の少年の霊を見つける。まだ因果の鎖が伸びている、少しだけ輪郭が透けている男の子だ。
「アタシ、茜雫って言うの。あなたのお名前は?」
『……と、友哉』
言動が幼い割に、そこはどこか保母のように手馴れた振る舞いで、彼女は少年と会話を重ねる。一護の顔を見て少し怖がっている男の子に対し、ルキアのようなからかいを入れずに言葉を重ねて、根気強く聞き出していた。
『お父さんと……、妹と、はぐれちゃって、それで――――』
「お父さんと、妹?」
「そっか、二人とも一緒だったんだ」
『うん。でも、気付いたらいなくって…………、妹もどっか行っちゃって』
「そう……」
「なァ、ちょっと良いか? その妹の名前って――」
一護の確認に、おっかなびっくりと頷く男の子。それを聞いて少しだけ目を伏せる一護に、茜雫は事情を察した。
「うん……、妹ちゃんは大丈夫! オバケに襲われたの、このお兄ちゃんが助けてあげたんだって! だから
『本当?』
「うん! だから、お父さん、お姉ちゃんたちと一緒に探そ?」
本当に? と驚く男の子に笑顔で応じる茜雫。一護としてはまずあの欠魂の調査を優先したかったが「だって手がかり無いんでしょー!」と言われてしまえば、返す言葉はない。内心を言えば、どちらかと言えば確かに男の子の手伝いをしたい気持ちも強い。もとより彼の妹を、魂葬したのは一護なのだ。その際にお父さんとお兄ちゃんを探して、大丈夫だって教えてあげると約束している。
仕方ないとばかりに頭を振って後に続く一護を見て、茜雫は男の子の手を引きながら、微笑ましそうに眼を細めていた。
駅から降りて北空座町から中央。霊絡を生成できるだけの残滓が感じられないため、今はひたすら聞き込みになるのだが、茜雫は人に「この辺で神社の、お祭りってありませんでした?」と言っていた。どうやら男の子からその話を聞いていたようだが、今の時期ならどこで祭りをやっていても不思議ではないだろう。長期戦の予感を感じた一護は、肩車した男の子を慰めつつも茜雫にペットボトルのスポーツドリンクを買ってやったり、簡単な周辺の地理を教えたりしながら、サポートが手厚い。
「ポイント高し、高し!」
「だから何のポイントなんだって、それ……」
「えっ? うーん…………、100点超えたら、今夜は一緒のベッドで寝る?」
「寝ねェよ!?」
「あっ! それとも水着でお風呂が良い? 洗いっこし――――」
「――そういう問題じゃねェ!!? というか何だその、こ、こ、こう、色々問題のありそうなポイントの特典ッ!!!?」
冗談冗談と笑う茜雫に、ぜいぜいと肩で息をする一護。「お兄ちゃん大変だね」と、肩車してる男の子が少しばかり達観したようなことを言っていた。なお一護の内在世界では「洒落にならねェぞ馬鹿ッ! 少しは色々加減しろやッ!」とホワイトがキレながら振子雪を肩車しつつ「角が額から生えてきている」袖白雪を後ろから羽交い絞めしていたりするが、内面側の危機的状況はいまいち雲が高速で行きかう一護の内在世界的な映像からは察することはできないだろう。つまり、表側は平和な一幕であった。
しばらく散策し、地形の起伏の高低が激しくなってきたあたりで、男の子は「僕も歩く」と一護から降りて、必死に坂を上っていく。空座第一高校もこのような坂を上って行った先にあるのだが、段々と駅前付近へ回り山の方へと差し掛かっている形だ。
にこにこ男の子が転ばないように見守っている茜雫に、ふと、一護は確認する。
「この辺の祭り、八月の終わりって言ってなかったか? 地域的にもまだ先とかじゃ……」
「ま、それでも誰かいるかもしれないしサ! ……お父さん、残ってるといいね」
「まァな。……あいつの妹、霊力高かったから、お父さんももしかしたらって思っちまったりもするんだけどな」
「もしかしたら、もう、ってこと?」
「……あんまりあって欲しくはねェけど」
「だね~。…………あの子さ、お母さん小さい頃に亡くしてるんだって。それで、友達もいなくなって、お父さんも妹も離れ離れで独りぼっちになっちゃって。
これから
「治安が悪い?」
「知らない? うん……、尸魂界だって別に、虚に襲われるのを死神がもっと守ってくれてるってだけで、基本は人間が生活してる場所なワケだし。つまり、
だから、と。寂しそうに微笑み、一護を上目遣いで見上げる茜雫は。
「そんなあの子の最後の現世での願い……、叶わないなんて寂しいじゃない」
「…………」
「せめて最後にさ? 胸が空っぽなまま寂しい心じゃなくって、少しでも良い思い出で満たして、そして旅に出ないと! 再会は笑顔で、だけど……、そのために心の栄養補給は、やっぱり欲しいと思うからさ」
茜雫自身、自覚のない言葉であるが。それはすなわち、今の自分の状況を暗に示した、潜在意識から導き出された言葉であるだろう。一護もそれを察してはいないが、少なくとも彼女としても、そういった何かしらの事情を心に抱えているのだと判断できる程度には理解している。
そして坂の上、入り組んだ階段の上から「お姉ちゃんこっち!」と声を挙げる男の子。「
「祭り……、だと…………?」
先ほどまで音も何も聞こえなかったというのに。突然「世界の景色が伸びる」ような、遠のくような、そんな音と共に、いつの間にか周囲の景色が様変わりしている。出店が出ており、浴衣姿の子供たちが戯れる様は、日中だと言うのに妙に浮かれておめでたい雰囲気だ。
「子供の頃、よく来たんだ。
「お前……?」
茜雫の発言が、色々と聞いていた彼女の身の上と矛盾しているような物言いであり。しかし嘘をついている訳で無いのは、彼女の真剣な表情を見れば良く判る。
そして駆けだす男の子。彼の名を呼ぶ男性は、そちらの因果の鎖は既に尽きかけている。ギリギリのところであったと密かに胸をなでおろす一護は、腰のポーチに折りたたまれて眠ってるコンの口にいつでも手を突っ込めるようにチャックを開けていた。朝方、ルキアがいつの間にか持ってきていたのだが、解析に使われた後に自力で来たのか、もしくはあの下駄帽子の店の店員か誰かがわざわざ渡しに来たのやら。
まあ眠ってるのは都合が良いと、一護は少しばかり眉間の皺を深める。
もし最悪、魂魄が虚に落ちた場合―――― 一番最初に狙われる可能性が高いのは、近隣の魂魄、霊力が高い人間と等しく、自らの家族など身近な人間であるのだから。
とはいえ未だ苦しんでいる様子もない。少しばかり警戒しながらだが、一護もまた状況の推移を見守ることにした。
ありがとうございます、と感謝する父親に、茜雫は大したことじゃと謙遜する。少女らしく照れ隠しが多い慌て方だ。
ただし、続けられた男性の言葉に、一護は訝しげな表情になる。
『もしかしてお気づきになられていないんですか? ――ここの方々は、皆「あなたを探して」集まってこられた方々なんですよ?』
「えっ?」
「茜雫を?」
困惑する二人に、男の子と父親が顔を見合わせる。
『変なのー。だって、みんな
「私、が?」
『うん。
そして感謝の言葉と共に、二人の霊体が光り、輪郭がほつれ徐々に徐々に地面に沈む。――その地面から地獄蝶が飛び立ったのを見て、一護は目を見開いた。魂葬せずの成仏など、彼自身初めて見るのだからこの反応も当然のものであるが、それよりも妹のことを言う暇もなく成仏された方が悔やまれる。
そしてそれよりも、隣に立っている茜雫が自分の頭を押さえて、震えている姿が気にかかった。
「茜、雫……?」
「どうして? 何で、何で――――何で
「……何?」
ふと周囲を見れば、さきほどまでにぎわっていた人々が、いつの間にか姿を消している。老婆と、神社の入り口の出店で綿あめの棒をぶんぶん振り回す子供たちとその母親くらいなものだ。
後は人影一つなく、出店も雰囲気も様変わりしている。
(同じだ――――駅前の時と、ショッピングモールの時と)
光景が遠のき、人の数が増えたり減ったりする。ここに来るまで、2日で一護が何度か体験した妙な感覚だ。
だからこそ、これが不可思議であることがわかる。「霊体でなかったはずの人々が」消えてしまった光景が、嫌に気にかかる。
そしてよく見渡せば、さきほどの人々は決して消えたわけではなかった。神社の境内の奥、森の方へと、まるでゾンビのようにゆらゆらと立ち去っていく途中だった。
おい! と、そのうちの男性一人に声をかける。皆一様に背中を向けて歩いている人々のうち、スーツ姿の男性の、その肩を掴み、引いた一護は――――。
――――その男性の顔に無機質な、どこか頭頂部が尖った「赤い仮面」が取り付けられていたのを、見てしまった。
「ぶ、
自身も虚化した時の経験からか、その姿に何か感じ取る。目も鼻も口も開いてない、ただただあの思念が欠けた魂を思わせる仮面は、このまま状況が進めばいずれあの欠魂の姿へと変貌するだろうと、何を言わずとも直感する。
そして、恐る恐る振り返り、茜雫の方へ駆け。
「一護……、私、アタシは、…………
「茜雫?」
「
一人称と、声音と。いきなりそれらが不揃いになった茜雫に、一護は回答を持ち合わせず――――。
ひらりひらりと、二人の目の前を過る地獄蝶の羽、
「――よう、帰って来たぜ一護」
「恋次……! と、乱菊さんとか冬獅郎はともかく、というか、えっ、誰だ!?」
「ひ、つ、が、や、隊長だッ! 何回も言わせるんじゃねェ!」
一護の目の前で、障子のような何かが展開されて、途端に五人の死神が現れる。手前に阿散井恋次と、その後ろに人が五人、横一直線に並ぶ。左二人は彼も良く知る松本乱菊と日番谷冬獅郎。「元気出してくださいよ、タイチョー」と笑う彼女に、腕を組んで子供らしい仕草で憮然とする日番谷。
そちらは良いのだが、中央と右側二人がよくわからない。
一番右側はおかっぱ頭に見える少女の死神。日番谷同様の白い羽織りをしているので彼女も隊長なのではあろう。その横に、後頭部でお団子のようにまとめた髪の、華奢で愛らしい少女。もっとも目の下には隈が浮かんでおり、何か心労を抱えているのを伺わせる。
そしてその中央に立つ、白髪の隊長は――――。
「こうして顔を合わせるのは初めてになるかな? ……うん、やっぱり
「だ、誰だアンタ……?」
「うぇッ」
妙に気安い雰囲気で、一護に近寄ってその顔を覗き込んだ。茜雫すら動揺していたのを忘れて一歩引くくらいの近距離で、一護の顔を間近でじろじろと見た後は「何だか隠し子が居たと言われても納得できそうだが……」などと謎の感想を言いながら一護の頭を撫でる。袖から覗く腕は白く華奢で、力もさほどこもっている訳ではないが、咄嗟に一護は乱暴に払ってしまった。
そんな彼の姿をおかっぱ風の少女隊長は白けた目で、日番谷や乱菊はデフォルメできそうな半眼で見ていたのだが。
目を見開きながらちょっと寂しそうに手首を撫でている彼は、しかし「いやいきなり失礼だったね」と言ってから一度咳込み。……その手元がどう見ても赤黒くなってることに一護は大声でツッコミをいれようとしたが、それにかぶせるように男性は「口元から顎にかけてを赤黒い色に染めながら」、快活に笑い名乗った。
「十三番隊 隊長、
「――――うわあああああああああああああっ!?」
「――――いやいやいや!? まずその血とかどうにかしろよ! 何だ何だ、病気でもしてンのか!!?」
まるで初対面の親戚の子供にあったようなテンションの浮竹に、一護は色々とキャパオーバーだった。隣の茜雫もびっくりしたのか、二人そろって思わずという風に抱き合って絶叫。
花太郎ー! 花太郎ー! とさらに追加で絶叫する一護を見てから後ろを振り返り「俺何か間違えたかな」みたいな顔をする浮竹。
なお「初対面には刺激が強すぎると思います……」と、隈の浮かぶ少女が苦笑いを浮かべて、恋次含めた五人の意見を代弁され。ようやく自分の手元やら何やらの状況に気付いたのか、困ったように笑っていた。
おまけ:補足事項
・本作空座町関係の地図:
MoNの聖地巡礼に昨日(※投稿日基準)行ってきたので、ついでに周辺地域の現実マップと照らし合わせた上で、PS2の「放たれし野望」のマップを織り交ぜたイメージ。あくまで立地関係のニュアンスですが、本作ではこんなノリでいこうかなって思います。
そのうち実写版の地図やら何やらも取り入れたいけど、実写版を見る勇気がまだ足りない……。(後そのうち広島の地形も組み込まねば…)