例によって一部オリキャラやら独自解釈やら諸々注意
※時系列の関係で、別作からゲスト
護廷十三隊十三番隊・第十席たるエリート死神であるこの
いや、何でこんな場所で? と思うかもしれない。いくら治安のよい一番地区とはいえ、山近くの人里離れたこんな辺鄙な場所に何があるのかと、この俺も思っていたのだが――――。
――――それもこれも、あのそびえたつ美しいシンボルを前にすれば些細な事。
巨大な腕二つの奥には爛々と輝く光る玉。技術開発局の連中がわんさか集まって色々やっているが、それがよりそびえたつ巨砲の存在感を強く引き立てている。
何よりその手前にある巨大な腕の像が二つ。その間に「志」「波」「空」「鶴」と四文字の旗。
総合した俺の感想は。
「すごく…………、大きいで――――」
「……ドン引きですこのアフロ谷アフロ之助」
うわあと叫ぶ俺を、じろっと半眼で見上げる可愛らしいちょんまげ頭な少女。とはいえこれは、同僚の
覆は「何サボって意味不明な事口走ろうとしてるんですか気色悪いしドン引きですけど」などと罵倒混じりに注意してくる。いやだって、あれ、すごい立派じゃないかこう、
「…………」
「何だその目は? 何か悩みがあるならこのエリート死神に相談すればぱぱ! っと解決を――――」
「するわけないですし席次一緒です知ってるでしょう何考えてるんですかマリモ」
「マリモー!?」
ちょっと待てい! と人の立派な髪型弄りについて猛抗議をしていると、何だか向こうからどしどしどしどしと大音が聞こえてくる。覆十席と一緒にそっちの方を見ると、それはそれは中々面白い光景が舞っていた。
暴走族…………、イノシシを駆る暴走族の一団だあ!
「どうどう! ボニーちゃァん……。
と、待て待て待て待てェい!? なんでこんなトコにクソ死神サマがいやがん――――って多すぎィ!? 一体何がどうなってンだよッ!? 言わないと総長先生怒るぞッ!?」
「総長……?」
「先生……?」
で、その頭っぽいバンダナ頭のちょっとゴリラっぽい濃さのある男の子。見た目は大人だが多分、
兄貴ィ! とか、舎弟っぽい子たちも一緒に腰抜かしてる。
んー、これはどうしたもんか? ここの住人か?
えっこんな場所の!? こんな
勝手に驚愕する俺と、やっぱり隣で「ドン引きです」とか呟いてる覆の反応なんかに負けず、やいやいやい! と立ち上がってビシバシと格好良いポーズを決めた男の子は、それはもう歌舞いて叫んで自己紹介だ。
いいぞ、格好良いぞ男の子!
「い、いいかてめェ等、聞いて、お、お、驚けッ!
この俺様の名はガン――――」
「やめねェか暑苦しいッ! この人騒がせな弟がッ!!!」
「――――いぼン、こォ!?」
あっ、ぶん殴られた。
そして地面に撃沈。ぴくぴくと足を震わせながら「あ、相変わらずお強いですねお姉様」と口調がちょっと変になってる。姉と呼ばれた彼女は、「右側の義手と一緒に」腕を組んではんっと笑い飛ばした。
「全く、遊んでる暇あるなら手伝え
「け、けど
「どうも世界のピンチってやつらしいからな。『霊王サマから』直々に
死神への義理立てとかンなもんじゃねェ。兄貴のことで色々思う所があろうがなかろうが、死んじまったらそれまでだって言い訳もついてんだ。ツベコベいわずにこっち来い」
「うぅ……」
「誇りだの気位だの何だので命すり減らすなんてゼータクできる余裕は無ェんだ。立ってる奴なら
……おい、そこの舎弟共もこっち来い!」
へ、へい! と勢いに負けて叫ぶ、あの男の子の友達(?)たち。
そのままこっちのことなんて無視するように……いや、実際色々忙しいのだろうけど、完全に視界に入れずにずりずりと足を掴まれて引っ張られていく弟くんのあわれさよ。
大丈夫、頑張れよ若人! 人生きっといいコトあるぞ!
「いやー、嵐のような御仁だったなあー覆」
「…………」
「どうした? 覆」
「何でも無いです。というか、
やっぱり何言ってるかさっぱりわからない覆だが。
いやしかしそれにしても、さっきの男の子ぶん殴ったお姉様………。こう、実に御身体の一部がたわわと、こう…………。
「すごく…………、大きいで――――」
「ドン引きですアフロ谷アフロ之助。というか雑談クソ下手野郎ですか罵倒されるのが好きですかそんな性癖ですかこのド変態がッ」
だから何でそう邪険にするんだよーと、気が滅入る警備の中のちょっとした
何、問題はない。何だかんだ無視しないで文句を言って来るってことは、覆も暇してるってことだ。こいつ、特に理由もなく噛みつくから、こうして年上の兄貴分として気を回してやらないとすーぐ独りぼっちになっちまうからな。
ちなみに当然だが? そもそも話していようと何をしていようと、「常に霊絡を視界に出現させて」状況を監視し動く準備は整っている。
エリートは伊達ではないと、皆々様もくれぐれもお忘れなく!
※ ※ ※
「――――さて、敵の主目的も割れたところでだネ。今回のケースにおいて、王敵がしようとしていることを推論ではあるが、それなりの理屈を持って説明をしてあげるヨ。多少なりとも事前知識が及ばねば、現在あの忌々しい零番隊が準備している事柄に理解が追い付かないだろうからネ」
ぱちん、と指を弾いた「十二」を背負う隊長。独特の被り物をした、これまた独特のメイクをした彼の目の前に、複数の隊士が機材を運び込む。空間に映像を投影するような技術はまだ「携行できるように小型化されていない」こともあってか、演出一つとっても準備に忙しいらしい。
さて。一通り配備が終わったらしく、起動する機材を操作する「十二」の隊長。浮かび上がる映像は、崖と壁が密集したようなワイヤーフレーム状の立体図。
「この
この抜け落ちた記憶もまた、肉体と同様に複雑なツギハギを為して一つの形に形成される――――この、時に人の形を取りさ迷い歩く思念珠を求め、叫谷はその記憶の欠けた個々人である
続けて指を弾く彼の目の前、映像の中心に球体状のワイヤーフレームが現れる。おそらく思念珠をイメージしたものだろうが……、それが地面にたどり着くと同時に、全てのワイヤーフレームの頂点が崩壊し、その場所目掛けて一期に収束し、姿を消した。
「……御覧の通り、これが問題であるといえるネ。『現世からの』観測データを元にすれば、このように叫谷自体も欠魂と同様の性質を持つ。すなわち思念珠の存在を叫谷を構成する欠魂が認識した瞬間から、
思念珠もまた、取り込まれると同時にお互いがお互いにその収縮するエネルギーでもって急激に霊子に分解され、霊的質量としてはその場に何も残らないのだがネ…………、少なくともこの
「……つまり
そういうことになるネ、と、「八」の数字を背負う女物着物を羽織った隊長の言葉に、「十二」の隊長が答える。何だとと驚く「十三」の隊長である浮竹。と、面倒くせぇ話はいいから何なんだ、と「十一」の数字を背負う隊長が頭を掻きながら結論を急ぐ。
「……全くヤレヤレ。物を知らぬ獣というのはすぐに短絡的な物の見方をしたがるネ」
「モノくらいは知ってるぜ。ぶった斬りゃ相手は死ぬとか、野郎と女が
「――――更木隊長、少し」
「あァ? ……で、だから何だよ涅」
不敵に笑っていた「十一」の男に「四」の美女が声をかけ、横に逸れた話題を軌道修正させる。
「ま、そもそも触れることさえ概念として存在しないような場所同士が接触するのだ。王属特務が下りて来なくとも、よほどの想定外の事態になることは考えるまでもないだろうがネ」
「どっちか消滅、とかか」
「あるいはもう一つすら含めて、三界全土の危機だネ」
すぐに突入すると急ぐ「二」の少女隊長こと砕蜂。だが、そんな彼女に声がかかる。
「――どの道、融合開始から猶予は半刻も有るか無いか。手繰る糸の手がかりもないのなら、確実に世界を護る方が死神としての在り方ではないかのう。そうであろう、
「――――Hey、Hey、Hey~~~~~!!
現れ出たのは二名。
片方は狐顔のような美女であり、背中から幾本、金色の
そしてもう片方はサングラスに陽気なテンションの……、一護たちも良く知る刀神と呼ばれる男であった。
うむ、と頷く総隊長の御老公。
「事態は火急である。それ故に本来
各自、零番隊の指揮のもと準備に入れ」
「いやぁ、僕らが曳舟ちゃんに命令されることになるとは人生何があるかわからないねぇ」
「し、しかし先生! 方角は上空ですが、世界同士の融合など一体どの区画のどこに影響が存在するかは――」
「当然不明だヨ。しかしその上で他に手段はない、ということを言っているのだろうネ。……私ではなく零番隊が出てくるのは納得がいかないが」
涅、あるいはマユリと呼ばれた「十二」の隊長は、後半はやや吐き捨てるように言う。
と、隣で「ヘンズアップ! ヘンズアップ! イェア! イェア!」とテンション高く腕を振り回している刀神の隣の女――――
なお、誰も挙手しない状況に「ちゃん僕、こういうアウェイなの嫌い……」と膝を抱えて落ち込む刀神は、誰もがそっと目をそらしていたという。
※ ※ ※
……気分は、最っ悪。
胸にムカムカ込み上げて来て今にも吐きそうなくらい。
霊体は何も入ってないはずだから、単にそう感じてるだけなんだろうけど、とにかくそんな感覚で私はうなされながら目を覚ました。
場所は……、どこ? ここ。
何か崖とか岩山とか、そういうのに時々障子が刺さってるみたいな変な場所。
後何かこう、数珠みたいな紫っぽい球体みたいなのがふわふわ周りで浮いていて、私もなんか赤い帯みたいなので腰から拘束されて柱っぽいのに括りつけられてる?
「何なのアンタたち……、私に用があったんじゃないの?」
私の疑問に、あの龍堂寺は鼻で笑う。
「お前個人に用はない。思念珠が、我らが悲願を達成するための鍵であるというだけだ」
「どういう、ことよ! ……なんか一護と斬り合ってたときも、勝手に何か納得しあってたけど!」
「ほう?」
ニヤリ、と笑う龍堂寺の横で、あのジャイっていうのがキレながら私に叫ぶ。
「言葉を慎め、
「主権……、後継者……?」
「…………もう良い、そのような願いはとうの昔に捨てた。
我らはもはや、忘れられし亡霊である。だが、それ故にこそだ」
龍堂寺、厳龍って言ってたわね。厳龍が、私を無表情に見上げる。その目はやっぱり浮竹隊長とかと一緒で、私を「私」として見てくれていない。
ただそれでも、何も知らぬは酷か、みたいなこと呟いて、私に何か言って来る。
「…………千年余りは前になる。我が
無感情に語ろうってしてるんだろうけど、厳龍の声は震えてた。
なんだろう、不敵だったり高圧的だったりしてたさっきと違って、なんだか小さな子供が泣くのを我慢してるみたいな、そんな風に見えてくる。
「我々は断界で流浪の民となり、そして多くが
「……復讐って、こと?」
「そんな生易しい言葉ではない――――我らが恩讐は、もはや魂に刻み込まれた一つの力! それこそが、滅却師の血を受けし我が父より引き継いだ力を、
――――
また、頭が割れそうな悲鳴みたいなのが聞こえる。
それと同時に、厳龍のまわりに白い帯みたいなのが…………、きっと
「霊子の総量は、三界すべてにおいて本来は不変。故にこそ世界の循環に戻れなかった魂たちは、現象としてこの輪廻の輪に戻ろうと自ら集まり、その姿と性質を大きく変える。
――それがこの叫谷だ。わかるかな? つまりここは、無数の
その
「――――こ、これもみんな、私と同じなの!?」
厳龍の言ったことを聞いて、思わず周りの紫色の球を見る。って言っても、勾玉とか宝石みたいな光り方してるなってことしかわかんないんだけど。そんな私以外の思念珠たちが、ぐるぐると回り出して……。いや、そもそも何で人の形をしているのが、私だけなんだろう。よくわからないことだらけだ。
ただ一つ確かなのは、このままコイツらの好き勝手させてたらいけないってこと。
弥勒丸を抜こうにも、腕を拘束されてるし。後何か、上手く霊力が出せない。
もしかしたら手首の霊力出力口を
悔しいなあ、本当こうなっちゃうと何にもできやしない。
「このまま私を使って、何しようって言うのよ……!」
「しいて言えば、そうだな。…………アリジゴクのようなものだ」
「訳わっかんないッ」
「そうだな。そして、そう感じる情緒が有る事に対しては、私は哀れむ心を忘れてはならないだろう」
だから何言ってるのと言おうとして。だけど、それを続ける暇はなかった。
厳龍が作った布の束が私にまとわりつくと、それに引き寄せられるみたいに、いっぱいの欠魂たちが、右も、左も、上も下も、もう、ありとあらゆるところから押し寄せて来て――――。
まとわりついて、ただいま、おかえりって、そんな声が聞こえる気がする。
違う、違う、違う違う違う……、違うんだ。
私は、みんなの記憶だけど…………、私は
「負け、ない……! 絶対…………!」
「……厳龍様、ここは私が」
「いや
破道の八十八、飛竜撃賊震天雷炮!」
厳龍が、金色の鞘から、薄紅色の鍔の斬魄刀を抜く。アレはきっと、さっき私の弥勒丸や、一護の斬魄刀を操っていたヤツで…………。
その刀身が光ると同時に、私に雷と衝撃波が降り注ぐ。
痛いとか、そんなところじゃない。
意識がどっかに飛んで行っちゃいそうだ。
服もボロボロで、体もボロボロになっていって。
「早く意思を手放すと良い。その方が、欠魂もお前にはやく
「そんなこと、言わ、れて…………、ハイって頷く、わけが、ないでしょ……!」
意味わかんないけど、なんとなくわかる。欠魂たちは、私を求めてるってこと――――私から自分を取り戻そうってしてるってこと。このまま
そんなの…………、そんなの、絶対に嫌っ!
だっていうのに、嗚呼、段々と身体の力が抜けていって。背中から絡みついた欠魂に、まるで私の内臓でも食べるみたいに、ドクドクと
声も、出せない。
視界も、かすれてきてる。
一護……、嫌だよ。
私、こんなの嫌だよ……!
ワガママなのかもしれないけど、こんな、こんな風になって…………、一護ともう会えないなんて、絶対、嫌だよ――――!!!!
「――――月牙天衝ォ!」
嗚呼、だから。
こんな時に駆け付けてくれる一護は、いつだって私には王子様なんだ。
どこかから聞こえた叫び声と一緒に、私にまとわりついていた欠魂たちの帯が斬り散らされていく。
何!? とか、厳龍たちが動揺してるのがちょっと面白い。私も一護がどこにいるか「感じられない」けど、確かに、一護が来ているのがわかる。
たったそれだけで胸が温かくなって……、勇気が、湧いてくる気がする!
「来てしまったか、黒崎一護――――ふっ!」
「――――
厳龍に斬りかかる一護は、まだ始解すらしてない。あのひらっひらしたコートみたいな恰好良い死覇装にもなってない。
だけど何だろう、現世に居た時よりもずっとずっと、今の一護は見てて安心できる気がする。
「月牙天衝!」
安心できるっていうか。
「――――月牙天衝! 月牙、天衝ォ!」」
安心できるっていうか…………。
「月牙天衝! 月牙天衝! 月牙天衝! 月牙天衝! 月牙天衝! ――――――――」
「ねぇちょっと一護、容赦なくない!?」
いやだって、こう、ものすごい量の霊圧の斬撃というか光線みたいなのを、ものすごい数バンバン撃ってるんだもん、一護。
ちょっとだって、あの厳龍ってやつの仲間たち逃げ出しちゃってるじゃない。厳龍は始解して斬魄刀を紅色の大剣に変えてるけど、そっちもしかめっ面で防御一択って感じだし。
……もしかして初めて会った時、一護が言ってたのってこういうこと? 周りを巻きこまないように色々考えて戦えって、そんな感じの注意されてたけど、もしかしてこういうことなの!? いくら何でも攻撃力のスケールとかおかしくない!!?
叫谷の、私に見える範囲のありとあらゆる地形が抉れたり、穴が開いたり、両断されたり、崩れたり、もう天変地異か! ってくらいやりたい放題すぎる一護の攻撃。これじゃどっちがラスボスかわかんないよ……。
私の王子様、物騒ってどころの騒ぎじゃ無かった。
ただ、厳龍も一筋縄じゃいかないみたい。一護の太刀筋を見切ったみたいに、あの光線が放たれる間合いまで踏み込んで斬魄刀で往なし、躱し、斬りかかったり、殴りかかったりを繰り返してる。結果的に叫谷だけがボロボロにされていって、なんだか変な悲しさが私の胸に去来した。
※ ※ ※
(全く。頼れと言った傍からいきなり人を置いていきおって。私は貴様がいなければ、歩法すらまともに扱えなくなりつつあるというのに……。まあその結果、見つけられたのは御の字といったところなのだろうが)
時刻は夕暮れから間もなく夜。朽木ルキアは、市内の北部から南部を流れる
朽木さん! と少女の声。振り返れば、走ってくるのは井上織姫である。なんなら織姫のみならず、茶渡やら石田雨竜と、ついでに彼の付き人のメイド(今日はヒーローものっぽい安物のお面を被ってる)。そしてさらにその後ろから、子供二人に1テッサイ(※単位)まで引き連れた浦原喜助が、肩に夜一を乗せてやってきた。
「浦原……? 貴様、恋次はどうした」
「やぁどうも~。阿散井サンは山の方に行きましたので、帰って来るのに時間かかってるみたいっスね。
どうも義魂丸を忘れたらしくて、安直に死神化できないと」
「あのたわけ…………、義魂が
ぶつぶつと言う朽木ルキアであるが、すぐに気を取り直して井上たちの方へと歩く。皆一様に、端から川を見下ろすような位置関係であるが――――。
その視線の先、真昼に見える月のように白く、怪しく輝く「円形の何か」。
それは、川からほんの1メートルは浮かび上がって、そこにうっすらと存在していた。
「あれが、叫谷ってところの出入り口……」
「黒崎の奴、霊体だからと飛び込むのに躊躇がなかったんだろうが……」
「一護はそういうヤツ、だからな」
三者三様の感想に、ルキアも肩をすくめる。そうだ。自分がわざわざしゃしゃり出るまでもない。一護にはちゃんと、一護のことをわかってくれる友がいるのだ。
そのことがルキアとしては嬉しくもあり。そして、不思議と寂しくもあった。
(……む? 何なのだ、この感情は)
「私たちも、やっぱり一緒に行った方が…………」
「む? いや、それは大丈夫なのか? 仮にも
織姫の発言に戸惑うルキア。一護に関しての心配はしていない。いざとなれば、何かあったら「あの人」が助けてくれるのだろうから。あれだけの暴風雨どころか嵐のような霊力を持つ一護の力を「あの人」が振るうのならば、千人力どころの騒ぎではないだろう。
ただ、その戦いに自分たちがもはやついていけるかということについては、恐れがそこに存在する。
足手まといとなり、逆に彼の足を引っ張り。それが何かの拍子で、致命傷になり得ないかと。
だが…………、茶渡は拳を握って、一歩進む。
「……戦う相手の強さや大きさを理由に、護るってことを止めるような一護じゃない。だったら、俺はそんな一護の隣で、一護がすぐに殴れない相手を殴るだけだ」
「茶渡…………」
「やれやれ。僕に至っては今回蚊帳の外なんだけれどね」
全く仕方ないクラスメイトだよ、と呆れたように言う石田雨竜。石田くん、と織姫が少し困ったように笑うが。
「――――とはいえ雨竜様は、黒崎一護に何かあると伝え聞いた瞬間に100パーセントの確率で現場に急行なさっております。素直ではないということかと、井上様」
「な、ナナさん!?」
「へぇ~、そうなんだ。石田君……、ちょっと黒崎君みたい?」
「い、井上さん!? 一体何を言ってるんだっ!!?」
「何故疑問形なのだ、井上…………?」
「声が……、一護の妹みたいだな」
突如、仮面越しとは言え場の面々にほぼ初めて話した、石田のメイドであるナナというらしい彼女。可愛らしい声音で冷静な物言い、なんとなくだが仮面の下もさぞ美しいのだろうと想像させる。なお一瞬「む?」と何か違和感を感じたルキアであるが、その正体はやはり思い至らなかった。
慌てて誰にともなく弁明する石田に生暖かい目を向ける面々はさておき。
「はいはい、注目! えーっと、とりあえず茶渡さんや井上さん、今のままだと朽木さんもっスかね? お三方は少し待っていただた方が良いでしょう」
「浦原? 何を……いやそうだな。そういうことか」
「ハイ、そういうことっス。
叫谷は現世の
「そ、そんな……」
「……石田は、どうなんだ?」
僕かい? と少し何かを悩む石田雨竜に「いえまァ、
「か、可愛い……!」
「鳥さんと、兎さんと…………、さぼてん?」
「何だこれは、浦原さん……」
「尸魂界からの
今後必要になるかと思いまして、と笑いながら差し出されたそれらは。一つは、青いレインコートを着用したような丸い目のヒヨコかアヒルのようなキャラクター。一つは、ジッパーや留め具の印象が強い兎…兎? カバンのような印象のある兎モドキ。最後の一つは、擬人化したような細長い亀がダンサー衣装を着用しているような形。
何故かぬいぐるみ。かつ、どう見てもそのサイズ感はコンに合わせられており。「もしや浦原、貴様……」と何かを察したようなルキアの半眼に「それじゃ、皆さん行きますかねぇ?」と扇子を開いて笑っていた。