メゾン・ド・チャンイチは事故物件(物理)   作:黒兎可

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新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
 
他の連載も準備してるんですがいまいち筆が進まず、やむなく3期最終回と年始のあいさつを兼ねて先行で本話だけ投稿します。


虚圏 篇
#074.ザラストデイズオブパラダイスロスト


 

 

 

 

 

「イ~~~~~~~~チ、ゴゥ!?」

「おーす。久々だけどテンション変わンねェなケイゴ」

 

 開幕ハグ狙いの浅野啓吾に、雑に肘でラリアット一発の一護。学校がある時は時たま見られるテンションのやりとりであるが、その場に崩れ落ちた浅野に「だから言ったじゃないか~」と小島水色が軽く言う。

 

「ハローハロー、一護」 

「おーす、久々だな水、色…………!?」

「ぴゃっ!!?」

 

 そしてそんな水色の姿を見た瞬間、思わず一護も、その背後に居た朽木ルキアも二度見せざるを得なかった。

 具体的に言うと、肌が浅黒く焼けていた。アロハシャツ姿の浅野と比べて普段通りに見える私服のようだが、シャツのボタンを適当に留めている隙間から見える日焼け跡は少なくとも上半身に関しては着衣状態での日焼けの跡の差が見受けられず、それはもうしっかりとこんがり小麦色になっていた。

 

「朽木さんも、ハロ~ハロ~。ん、どうしたの二人とも?」

「水色お前……、えぇ…………?」

「お、お焼けになられましたね……?」

「そうかな? うん、ま、楽しかったよハワイ。色々とね」

(色々って何だよ……?)

(色々とは、こやつ……?)

 

 ニコニコと笑顔を振りまく小島水色に、足元で震えていた浅野が立ち上がり「てめぇ!? まさか○○○○○○○○(※自主規制)が○○○○(※自主規制)して────」などと色々日中に口走るには問題のあるシモの内容を口走る。「ベストコンプライアンスだったのかコラッ!? マリエさんだけに飽き足らずかコラッ」などと宣う彼に「いやそもそもプライベートビーチだよ」などと煽り返すような水色。「ぎゃふん!?」と今時聞きもしないようなセリフを吐いてその場で再度崩れ落ちる彼を見て、一護は冷汗タラタラ。ルキアは猫を被った笑顔のまま表情が引きつっていた。デリカシーとは無縁の会話であるが、いつも通りと言えばいつも通りの浅野たちではあるのだった。

 

 さておき。場所は空座町が隣の鳴木市、駅前から()()()歩いた場所。クラスの一部面々で「とある」作戦(?)のために集まって会議しようという流れになった折「サ○ゼ混むでしょ」という水色の発案により、ほど近いイタリアンで食べ放題コースを頼んでいる流れ。支払いは水色が「臨時収入もあったし」などと色々追及するといらぬ事実が掘り出せそうなことを宣いながら準備しているらしく、一護たちも深く追求はしない。ともあれスパゲッティやらサラダやらステーキやらピザやらの食べ放題(注文形式)と来ており、参加人数は一護たち4人以外にも多い。具体的に言えば、有沢たつきやらクラスメイトの女子面々やら。

 このあたりは支払いの良さで人が集まっているのだろう、一護も思わず石田を加えて良いかと確認を取る程(ちなみに水色からOKは出ている)。色々生活苦な石田がつい先日「二人分の食費は安くない、安くないんだァ!?」と絶叫していたのを見ているので、かなり真面目に心配している面もなくはない。

 

 そんな訳で座席についた一護たちの前には既に当たり前のようにステーキプレートの山、山、山。一護やルキアの前にも彼らを囲むようにステーキが置かれている。半眼で見れば浅野が目を細めて()()()()()サムズアップしていたりと、まず一護からしてどこからツッコミを入れれば良いやら。

 

「肉、食おうぜ!」

「お、おう……。いや、まァ悪く無ェけど、肉ばっかり食ったらバランス悪ィだろ……」

「うるせェ!? 高校生はとりあえず肉食っときゃ良いんだよ!!? 朽木さんを見てみろ!」

「あ? 見てみろったって…………、って、いや、ルキア!?」

ほぁ(はい)? ほぅはれはひた(どうされました)ふろはひはん(黒崎さん)

 

 そしてそんな一護の隣で、ひたすらステーキ数種類を切り分けて口に運んで頬袋を膨らませる朽木ルキアの姿。さながらまるでちびっ子かジャンガリアンハムスターかのごときビジュアル。一心不乱にという風でこそないが、それこそ見たことも無い程に目をきらっきらさせて両手をぶんぶん振り回す様は、見た目相応ではあるが少なくとも高校に通ってる少女が出して良いレベルの幼気さではなかった。

 思わず「どうしたお前!?」とツッコミを入れる一護であるが、あっという間に噛みちぎり呑み込んで口をナフキンで拭いたルキアは、にこりと猫を被って一言。

 

「あら嫌ですわ? 黒崎さん。せっかくの御厚意を無駄にしては、浅野さんに申し訳ありませんし」

「ほー、それにしちゃノリノリだったじゃないか」

「(たわけ、これが所謂現世の青春とかいうやつであろう? きちんと学んだからな、私は詳しいのだ。……それにしてはこの肉、妙に柔らかくて食の価値観が何か壊されてしまいそうだが)」

「何?」

「何でもございませんわ? 私、空気は読める方ですの。うふふふふ?」

 

 小声でえへんと無い胸を張るルキアを半眼で見る一護。井上織姫のバストは豊満であった。さておき、両者の「外から見ても」気安いように見える雰囲気には、あえて浅野たちはツッコミを入れなかった。

 

「いやまァ、コイツは例外にして。たつきとか運動部相手にはあんまやるなよ? 太るし」

「ぬぼっ!?」

「ケイゴ、そんなだからこの間ナンパに失敗したんでしょ。せっかく一緒に色々レクチャーしたのに」

「あふん、追い打ちィ!!? い、いや、だって、こうテンションアゲアゲにするにはお肉が良いかな~って? ね? ね? お肉美味しいでショ?」

「ま、肉ってンなら焼肉選ばなかっただけ進歩したんじゃねェか? コイツは例外にしても」

「例外とは何だ例外とは! ……あっ、いえ、何でもありませんわ?

 でも黒崎さん、宜しいですの? 私たちが食べる量を減らして」

「何だよ」

 

 そそそ、とルキアが一護の耳元に近寄り。

 

「(井上は食べた分が大体胸に行く体質らしいぞ?)」

「その話聞かせて俺にどういうリアクションさせようってンだテメェ!!?」

 

 絶叫して顔を真っ赤にする一護の脳裏には、プライベートビーチのような自分と彼女以外に人気のない砂浜で、それはそれは大層にえっちな()に身を包んだ井上織姫が「黒崎く~ん!」と名前を呼びつつ手を振りぴょんぴょんと跳ね、ばるんばるんと現在よりもさらに大きく実った二つをたわわに揺らしている絵面であった。井上織姫のバストは豊満であった。妄想の中の井上織姫のバストはさらに豊満であった。つまり井上織姫のバストは豊満であるということであった。たわわ!

 面白いようにテンションが崩壊した一護を前に「きゃ~、おっかさーれまっすわ~♪」などと遊ぶように言いながら一度席を立つルキア。腰に付けていたポーチは残しており、駆けていく先がトイレらしいので、揶揄いついでに()()()()()()()()らしい。

 

 疲れたようにゲンナリしながらも、未だ脳裏でバルンバルンと揺れる井上織姫の井上織姫。井上織姫のバストは豊満であった。

 

「本当、一護って朽木さんと仲良いよね」

「あァ? 別にフツーだろフツー」

「前にも言ったけど、一護がそういうつもりならそれで良いんだけどね~。

 ……ケイゴ、煩い」

「────────ォォォォォォ……」

「何やってんだケイゴ、お前」

「もっと女の子たち来た時の一発芸磨くとか言って、ステーキの付け合わせのFPにホットソースかけまくったからね」

FP(エフピー)って何だよFPって、フライドポテトか……?」

「そ。ま、ケイゴは色々一回気にしないでおいて。少し一護に聞きたいことがあるんだ」

 

 隣の席で苦悶の表情でテーブルに突っ伏す浅野啓吾を笑ってスルーしつつ、ごそごそと携帯電話を操作して何かを探している水色。何だよという一護に、小島水色はそれはそれは良い笑顔で画面を向けて聞いた。

 

 

 

「で、朽木さんや井上さんは置いておいて()()()とはどこまで行ったのさ一護?」

「えっ? (せん)…………、って、えっ!? ていうか何で写真、は、はァ!!?」

 

 

 

 水色が出した携帯電話の画面には、フルカラーで撮影された一護と()()()()()の姿。黒髪に華奢ながら異様なほど丈を詰めたミニスカート。髪を「黄色のリボン」で縛った、少し悪戯っぽい雰囲気の彼女は、夜の北空座町方面の駅近くのショッピングモールと思しき場所で、お姫様抱っこする一護の首に抱き着いていた。

 

「この()()()()()()()()()って松谷(まつたに)高の子だよね? 陸上とかやってないと出会いも全然なさそうだし、ひょっとして僕たちに隠れてナンパしてたの? 一護。

 水臭いなー、そういうことするなら呼んでくれたら楽しかったのに。ケイゴが」

「何ィ!? 一護お前、おま、おま、お、おおう、 うう────────裏切り者ゥッ!?」

「裏切りも何も無ェよお前等……」

 

 水色の携帯を見て涙を流しダムダムと全力でステーキを切らずかじりつく(汚い)浅野に、「ほらね?」と満面の(黒い)笑みの水色。当たり前のように周辺高校の女子人脈的な何かを把握していらしい小島水色に、一護はややげんなりした顔をする。とはいえ彼が持つ写真を見て、その姿に違う何かが重なった。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()姿()()

 

「まあ……、()()()()()()()()()()っつーことか」

「一護?」

「何でもねェよ。後、本当に別に何かあった訳じゃ無ェからな?」

「そう? それにしてはほら、デパートのテラスで食事してたり、こうしてデートしてたり――――」

「いや水色、てめェ何枚写真あるってンだ!!? 誰だ撮影したのッ!!!」

 

 次々に画面がめくられると同時に出てくる写真の数々。一護にたこやきをあーんとする少女と半眼の一護やら、デパートで追いかけっこするように楽しそうな少女と疲れたような一護。……何やらデパートの内部の写真は後方でメイド服の誰かと見覚えのあるようなシルエットが居たような気がするがピントがボケているのでこの際そこはスルーするとして、日中に一護に先導しながら楽しそうな少女の姿があったりと、割と滅茶苦茶に気安い関係が暗示されているかのように写真ばかりが飛んで来るこの状況である。

 どの写真も()()()()()()()()()覚えがなく、同時に()()()()()()()()心当たりしかない一護は返答に一瞬困る。そのわずかな逡巡を見逃さずに「卑怯だぞ一護ー、せめて名前くらい教えろー!」と叫ぶ浅野と、ニコニコしながらも止めない水色。何だかんだと二人そろって、ある種の野次馬根性が出てるらしい。

 

 なお店内については一スペース貸し切りにしているため、絶叫してもそこまで他の客の迷惑にはならなかったりする。

 

「あ、あー ……(確か()()()()(ゆう)とか言ってたけど、教えると面倒くせェことになりそうだな…………)」

「いっちご、いっちご、はやくはやく~ゥ!」

「マジで小学生みてェなテンションしやがってケイゴ、お前……」

「どうでも良いけど一護、髪縛ってるんだね。全然長さ足りてないけど。赤いリボン」

「あ? あー、まァな────」

「アッー!! さては贈り物だな? この子からの贈り物だなァ! 色違うけどブランド一緒っぽいし、やーいやーい!」

「うぎっ」

「……えっ? あれ? ちょっと待って一護、あれ? もしかして本気と書いてマジで?」

「へぇ~」

 

 途端に二人そろって何か微妙な空気になり、流石の一護も冷汗が流れる。「い、いや、本当、何も無ェからな? マジで」と端的に言葉を重ねるものの、しかし脳裏に過る()()()()()()()()の姿が、どこかその声音に影響を残す。

 どこか寂しそうな、辛そうな。そんな言葉を聞いた二人は、何かを察したように顔を見合わせる。存在しないだろう真実(失恋)に対しての理解を深めた男子高校生二人は、おおよそ男子高校生の友人らしい距離感で「まー気にスンな! ウン!」「そうそう」と気楽に笑いかけた。

 

 なお急激に追及が止んだ上でのその切り替わりに、さしもの一護も困惑必須である。なんとなく長さの足りない後ろ髪を無理に縛った「赤い女物のリボン」を撫で、ため息をついた。

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

『……あなた、時々我が使い手が黒崎一護をぎょっとした顔で見ているのを止めさせてはいただけませんか? その、主に髪留めの帯なのですが』

『残念だが、井上織姫に縛られちまってるからなァ…………、諦めろ』

『あきらと、メロン!』

『ぬ?』

『いや、分けたら意味通じ無ェからな?』

 

 諦めろ、アキラメロン、とまあンなあたりをネタにして言いたいんだろォが、子雪の物言いはイマイチ元の意味を理解してねェような感じの、手探りさを感じさせる物言いだった。いや、それ言い出したらそもそも茜雫のことも「あかねしずく!」って呼んでた時点でって話なんだろォが。

 

 ま、もういい加減面白味も無くなってきて、ビル壁面の一室で横になってる俺だ。姐さんは呆れたような感じながらも茶を入れて茶菓子を準備して、こっちの手が届くところに置いたりとお世話に余念がねェ。外は若干小雨が降ってるあたり、テレビ画面に映る一護の視界のやりとりが少しダメージになってるのがうかがい知れる。中途半端に茜雫のことを思い出して、目撃されただけならず「存在の過去も」現在もっとも不自然がない形で上書きされて修正されちまったようになってるこの状況で、一護が沈まない訳はない。

 もっと言うと、あの「夕」っつー小娘に茜雫がいた痕跡が上書きされたからこそ、少しでも残った茜雫の残滓とでも言うべき赤いリボンに対する執着が強くなって────。

 

 そのせいで思いっきり、俺の内にある完現術(フルブリング)的素養が引きずり出されちまったのは誤算と言えば誤算だった。

 いや、朽木が今の一護の髪型から()()殿()をちょっと思い出して時々ヘンな顔してるっつー話なんて気にならねェくらいの珍事件だこれ。

 

『本当ならもっと後に呼び起こされるべき()なんだよなァ……』

『基礎としては火輪である以上、遅かれ早かれというところではあるだろう』

『そうかい? オッサン』

 

 で、オッサンはオッサンで部屋の隅の方で子雪を膝に乗せて、どこからか生成されるあられ(柿○種?)を延々と「あーん」して食わせてやがる。時々ぐずって茶を飲んで、食べてを無限に繰り返せる今のあのシステムはそこそこ満足そうで、結果として俺とか姐さんのほうに絡んでこない分、ちょっとだけ気分が落ち着いている俺達だった。

 

「チャド! どーしてお肉食べないのチャド!」

「いや、野菜は大事だ。ブロッコリーとか」

「流石に食い放題っつっても、もたれるよなァ」

「朽木さん大丈夫? 男所帯みたいになってるけど」

「おほほほほ…………、まあ総数で言えば女子の人数が多いようですので、今だけということで」

 

 一護の隣で素知らぬ顔してステーキを頬張り続ける朽木も朽木でテンションがよくわからねェが、ともかくそうやってあーでもないこうでもないと雑談してると、入り口の方から女子二名がやって来る。

 

「よっ。相変わらずやってんね~」

「黒崎くん、おはよ~! みんなも!」

 

 有沢たつきと井上織姫……っていうか、たつきと井上の仲良しコンビだな。恰好はまァ特に何か言う様な話でもねェけど、たつきの奴は手首にテープ巻いていやがる。「捻ったのか?」と一護が聞くと「練習試合でちょっとね~」とひらひら手を振ってやがる。

 

「この調子でいくとインハイは何とかなりそうだけど()……、あ、いやー、まぁ新技? 準備してるから」

「何とかなるってどういうこと、だよ…………?」

「どういうことって……、優勝?」

 

「「「(何でそこで疑問形?)」」」

 

 一護だけじゃなく一同そンな感じの声が漏れてんぞー、聞かれたらぶん殴られるからな全国一強いかもしれねェ女子校生相手に。

 ま、そんな話はどうでも良いとばかりに朽木の対面に座るたつきと、一護の隣……朽木と真反対の位置に座る井上。で、ここでちぃとばかし一護も気付いて視線が吸い寄せられるのは、井上のピンクなワンピースだ。そこはまァ別に良いとしても、丈が、おかしい。もう股下数センチも無ェんじゃないかっつーくらい短いし、おまけにワンピースがワンピースだから一護の位置からだとそこそこ胸元がしっかり見えて、色々それどころじゃねェ。

 あれおかしいなァ……? この短さ茜雫レベルだし、仮にあっちを意識していたとしても茜雫に関する記憶が無ェのは一護も確認してるっつーのに。お色気作戦(?)に明らかに劇場版の影響が色濃いのは、どういうこと、だ…………?

 

 どういうことだついでに言ってしまうと。一護の視線の先がギリギリのふとももと胸元を行ったり来たりしてるのを見る朽木の目がこう、いつものギャグっぽさになんかちょっと違う面が混じってるっつーか……。

 

 もしかしてだが朽木よォ、お前も覚えてンのか? 茜雫について。

 

『そこンところどうなんだ? 姐さん』

『いえ今、ルキアと直接リンクしていませんから私は……。どうなのです? 子雪』

 

『なるようになる!』

 

 駄目だこりゃ、と顔を見合わせる俺と姐サンの姿を見て、オッサンがなんかわからねェけどウンウン頷いていた。

 とりあえず身体起こして最中を齧る。……んん? 中身これ何だ、ホイップクリームにバニラエッセンスに、栗か? 完全に洋菓子な味わいのブツを準備する姐さんはいよいよもって出自が東梢局(こっち)じゃねェのを隠す気がなさそうだが、横目で見ると目と目が合って「な、何用ですか我が夫……」とかちょっと顔赤くして視線をそらして、もじもじしてるのは何なんだろうね。

 

 コメントに窮してテレビ画面(一護の視界)を見て現実逃避してみれば、そこでは浅野の奴が目を細めてギャグっぽい顔して手を振り上げて、こう、世界で一番有名な独裁者かもしれねェ演説めいた動きで仰々しく今日の集まりについて説いていた。

 

「────────えー! それではまだまだ人数は集まりきっていましぇんが! が! がぅ……」

「噛んだな」「噛んだね~」「噛み遊ばれました?」「……」「どうでもいいんじゃない?」

「良くなーい! ともかく夏休み直前は断られたけどこうして集まってもらえたってことは! 予定、空いたってことだよね? ね?

 というワケで! 私浅野啓吾は夏休み終盤に3泊4日の海への合同合宿を提案するものでありまっス!! 今日は細かい調整と、やりたいイベントの確認だぁいッ!!!」

 

 テンション高ェなと半眼の一護と、苦笑いしてる井上のやつ。あと……何か肩掛けカバンがごそごそと動いてるのを抑えてるっぽいたつきは何やってンだ?

 

 ともかく、花火や肝試しや観光やら色々企画をしているらしい浅野の言う通り、今日の集まりはそういうことだ。原作でも夏休み直前に色々言い募って、なんだかんだあって流れたアレ。本当は10日とりたかったらしいが、たつきのインハイが前後する関係で三泊四日という正気の数字に落ち着いたらしい。

 

 参加予定メンバーは、以下に続く。

 

 幹事は浅野啓吾と小島水色。

 男子メンバーは前者二人に一護にチャドに石田、あとたつき経由もあって空手部の桃原(※朽木の奴が()()()()()()が生える前にアイツのいた席に座ってたクラスメイト)の6人。

 女子メンバーは朽木に井上にたつき、陸上の国枝に大人しめの小川に「爆弾」本匠千鶴に夏井の七人。

 

 今日の会議(?)にも全員一応参加する予定ということで、食べ放題のコースを準備して騒いでるっつーのが今の一護たちの状況だった。 

 これだけの調整が夏休み終盤1週間直前にギリギリ滑り込みで準備できたっつーのがある意味で奇跡だが、ま、このあたり女子面子はたつきの奴が居る居ないっつーのが結構でけェように思う。なんだかんだ、一護もそうだが付き合いが良いんだな、幼馴染そろって。

 

「海ねェ……」

「モチのロン、BBQもやるぜ一護! 肉! 肉! 肉!」

「まだ肉の話続けンのかよ……」

「あっ店員さん、あたしピザお願いします~。一護も食べる?」

「何かさっぱりしたやつ無ェか? 和風のとか」

「サーモンとネギとかショウガとか海苔とか、そういうのあるけど。ほらここ」

「おー」

 

「あのー、完全にスルーですかね、俺……!」

 

 ンでまァ、別に近い席に居る訳でもねェ割に口頭で仲良く情報交換してる一護とたつきに、対抗心でも燃やしてるのか井上が一護の横から一緒にメニューを覗いたり。それ見て朽木の奴が腕組んでうんうん頷いてる、その後方理解者面みてェなのは何が目的だお前よォ……。

 

 

 

 とにもかくにも、今のところは馬鹿やって平和に過ごせてるってのは有難いところなんだろォけどな。

 完現術……俺は勝手に火輪の纏戦(ヒートザソウル)とか「原作」のゲームあたりを元ネタにして名前つけちまってるが、そいつが茜雫のリボンを巻き込んで発現しちまってる時点で、一護に刻みつけられた心の傷は深い。

 なんならビル壁面から見下ろした下の街角に、一本だけ目立つ位置に紅葉した赤橙黄色な葉っぱの木が(重力の関係で横向きに)生えてるのとか、もう完全に言い訳不能だからなァ……。

 

 こればっかりは、時間かけて受け入れてくしかない話だろォしな。女に溺れて忘れられるような、単純な精神性をしてたらこんな心象世界になっちゃいねェだろうし。

 

 

 

 

 




※いないはずのタイミングでチャドがいたので該当記述を削除
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