ちょっとしたら削除します。
青春とは嘘であり、悪である。とかつての俺は言った。あの時の俺に今の俺の姿を見られたら、きっと罵倒されるだろう。「なんでお前はそんなことをしているのだ」と。しかし今はそれでもいいと思ってる。もちろん昔の俺を否定する気はさらさらない。世間はいつも俺に冷たいし、主夫の夢だってまだあるし、小町と戸塚はかわいい。でも、俺が平塚先生に無理やり入れられて、嫌々始めた奉仕部の存在は過去の俺を受け入れてもなお、失いたくない存在なのだ。今まで何度もすれ違い、ぶつかり合い、分裂してきた(主に俺のせいで)が、そのたびに乗り越え、今では共に「本物」を探しあえる存在だと思ってる。いつも愚痴ばかり言ってるが、雪ノ下がいて由比ヶ浜がいて、そして時々一色とかいろんな奴らがやってくる。そんな奉仕部はやはり俺にとって守り通したい大事なものなのだろう。
と、誰かに知られたら一生モノのトラウマになるだろうことを考えながら奉仕部に向かって歩き出す。奉仕部はもう活動を開始してるのだろうか、明かりがついていた。が、どうにもいつもと違う。廊下にまで喧騒が聞こえてくる。正確には由比ヶ浜のけんか声しか聞こえてこないのだが。ふつうお互いに怒鳴りあうはずの口げんかで片方の声しか聞こえないということは、片方は冷静に対応してるということだ。この学校で由比ヶ浜とけんかして冷静を保てる奴なんて一人しかいまい。だけどあの2人がここまでのけんかをするなんてらしくない。え?もしかして俺が柄じゃないこと考えてたからだったり?やだおれすごい。なんて現実逃避したくなるくらいだが、せめて声を抑えさせよう。幸いこの辺に人がいないとはいえ、さすがに声が大きすぎる。どこか喧嘩の声に違和感を感じながら、急いで部室に向かってドアを開ける。
「おいお前らさすがn「「あ、ヒッキー!私が本物だよね!!」」………は?」
俺の思考は完全に停止した。
部室に行くと由比ヶ浜が二人いてけんかしてた。うん、ナニソレワケワカンナイ
「えーっと何?どっちが由比ヶ浜?お前双子だったっけ?」
「「そんなわけないし!!私が由比ヶ浜結衣だし!てか偽物までマネしないでよ!ヒッキーは私に聞いたんだし!」」
全くの同時に帰ってきた全く同じ返答に俺は頭をさらに抱えてしまった。いやマジでどういうことこれ?
「と、とりあえずどっちでもいいから状況を説明してくれ。今のままじゃ何が何やらさっぱりだ」
「「えっとね……って私がヒッキーに言うから偽物は黙ってて!!」」
いつもは温厚な由比ヶ浜らしからぬ荒れっぷりだ。もしかしてどっちも偽物だったり?
「んじゃ俺から見て左のほうの由比ヶ浜、状況を説明してくれ」
「えっとヒッキーから見て左は……私だ!ありがとヒッキー私を選んでくれて!!」
いやいやただの気まぐれだから。そんなに嬉しそうに喜ばないで罪悪感半端ないからあと右ヶ浜さん?射殺すような目で俺を見ないでねすっげー怖いから
「えっとねー珍しくゆきのんがいなかったから私が職員室までカギをとりにいったらもうなくて、ゆきのんと行違ったのかなーって思って部室に戻ったらこの偽物がいたの」
偽物という単語が出た瞬間、奉仕部の空気が凍り付いた。もう嫌だ帰りたい。なんで由比ヶ浜が雪ノ下級の冷たい空気出すんだよしかも二人。
「そ、そういえば雪ノ下はどこだ?あいつがいないことには何も始まんないだろ」
「ゆきのんなら今日は休みだってー。家の用事がどうって……」
雪ノ下ぁぁぁ!!なんで今日に限ってお前は休みなんだぁぁぁ!!
「そ、そうか。で?お前はこのことを雪ノ下に言ったか?」
「このこと?あぁ偽物が出たこと?伝えてないよゆきのんには迷惑かけたくないし……」
え?何それ俺だったら迷惑かけていいってこと?やだ八幡泣きそう
「ヒ、ヒッキーにも迷惑はかけたくなかったんだよ!?でもなかなか偽物だって認めてくれないからヒッキーならわかるかなぁて……」
「偽物はそっちだもん!ね、ヒッキー!私が本物だよね!」
「だから偽物はそっちじゃん!あとヒッキーのことヒッキーって呼ばないで!ヒッキーをヒッキーって呼んでいいの私だけ!」
「絶対いやだし!そっちこそヒッキーって呼ぶのやめてよ!!」
「「むむむむむむ」」
「いやヒッキー言うなよ……あぁもう収拾がつかねぇとりあえず平塚先生呼んでくるぞ、このままじゃ何にもならん」
「「ちょ、ちょっと待ってヒッキー!!」」
「ああ?今度は何?」
「その…できれば大事にしたくないなぁって思ったり…あの……」
「ヒッキーに決めてほしいなーって思ったり………」
さっきとは打って変わって急に静かになったな。でも今度は静かすぎて何言ってるかわからん……でもまぁこのタイミングで俺を止めたってことは大方大事にしたくないとかそういうことなんだろう。じゃあ俺はその意思を尊重するだけだ。
「わかったわかった平塚先生は呼ばないでおいてやるよ」
「「ヒ、ヒッキー……」」
席に戻る俺を二人の由比ヶ浜がうれしそうな目で見つめてくる。ほんとやめてくれませんかね、うっかり惚れそうになるじゃないですか。
「とは言ったって俺にも何ができるかさっぱりわからんぞ。質問くらいしかすることもねえし」
「ヒッキーでもわからないんだ……」
「あほか、部室来たらいきなり女子が二人に増えてるとかいうあり得ない状況でここまで立ち回ってることがもう奇跡だろうが」
「それ自分で言っちゃうんだ……」
「言っちゃうだろ。んじゃ俺もちゃっちゃと終わらせたいしいきなり言わせてもらうぞ。どっちが本m......俺の知ってる由比ヶ浜結衣だ?」
このタイミングでのこの質問は下策中の下策だろう。そんなことは俺にだってわかる。でも何をすればいいかすらわからない現状では俺一人にできることと言ったらこれくらいだ。一応そっけない対応にもしてみたから俺を共通の敵として由比ヶ浜同士が仲良くなるという希望もかけてはみた。まぁそれはたぶんうまくいかないだろうけど……
「ヒッキーが知ってる私?それって本物の私ってこと?じゃあ私!私が本物だよヒッキー!!」
「あ、ずるい!!だまされないでねヒッキー!私が本物だよ!」
「違うってば!私が本物だって!私はヒッキーの頭を撫でたこともあるんだよ!こんなふうに!!」
そう言って由比ヶ浜は俺の後ろに回り込むと俺の頭を撫で始めた。その撫で方はまるで生徒会選挙の時のような撫で方だった。やばいすごい恥ずかしい
「そ、そういえばそんなこともあったなー」
「ほらね!これで私が本物ってことがはっきりしたね!!」
「そ、それなら私だってしたことあるもん!その時言ったことだって覚えてるよ!!」
そういうと、もう一人の由比ヶ浜も俺の後ろに立って俺の頭を撫で始めた。それも「ヒッキーは頑張った!」と言いながら。やめて俺今もあの時もなにもできてないから。罪悪感半端ないし恥ずかしいから
「そ、そういえばそんなことも言ってたな……」
「ほら!遠くから盗み見てただけの偽物には何言ってたかなんてわからないもんね!」
「そ、そんなこと言ったって私が本物だもん!ね、ヒッキー!」
「違うよね?私が本物だよねヒッキー!」
「ああ……なんだ、その…」
やばい。さっぱりわからないし、さっきからずっとW由比ヶ浜に頭を撫でられてるせいで、燃えるように顔が熱い。今日雪ノ下いなくてよかった……そんな俺の気持ちもよそに由比ヶ浜達は一層強く俺の頭を撫でていく
「ヒッキーはがんばった……ちょ、ちょっと、手が当たってるし!私の邪魔しないでよ!」
「絶対いや!そっちが邪魔しないでよ!ヒッキーの頭を触っていいのは本物の私だけだし!」
「じゃあやっぱそっちがやめないといけないじゃん!本物は私だもん!」
「だから私が本物だってば……こうなったら……えいっ!」
「なっ!急にぶつかってこないでよ!」
「ヒッキー!すぐに偽物を追い出すから待っててね!」
「そ、そんなことさせない!ヒッキー!私が偽物を追い出すからね!このっ!」
「あっ!お返し!!」
「ま、負けないもん!えいっ!」
「いたっ!痛いじゃん!」
「そっちこそ!」
「むぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
「このぉぉぉぉぉぉぉ!!」
由比ヶ浜達が俺の頭を撫でながら肩をぶつけあって相手を押し出そうとしている。だがこの方法はまずい。本当にまずい。
由比ヶ浜は周りに流されるように見えてとても芯の強い女の子だ。きっと偽物を追い出すまで徹底的にやるだろう。だが俺は由比ヶ浜が傷つくところなんて見たくない。それに、由比ヶ浜達はお互いを押し出そうと交互にぶつかり合うので、由比ヶ浜の胸が交互に俺の頭に当たって来るのだ。そして肩の押し合いになったときは片方ずつの胸が俺の頭に押し当てられる。うむやはり柔らかい。ってそれどころじゃない俺だって理性の化け物とはいえ男なのだ。これにやましい気持ちを覚えないわけがないんでしょうが。
「あの~ちょっと由比ヶ浜さん?」
「「ヒッキーは黙ってて!!えいっ!」」
由比ヶ浜達は互いににらみ合いながら俺に黙ってろと言ってくる。え~さっき俺に決めろって言ってたじゃん。なんでこういう時に限って仲良くなるんですかね?……仲良くはないか。
「そうはいってもな由比ヶ浜……その、お前の胸がだな……その……」
「「ん?…………っ!?」」
ようやく俺の話を聞いた由比ヶ浜達の体が硬直した。やっと自分のやってたことに気づいたのだろう。
「ヒ、ヒッキーのバカ!!変態!」
「こんな状況なのにマジありえない!」
「原因はそっちなのにひでぇいわれよう……でもまぁそういうことだ。緊張しちゃうからさっさと離れてくれませんかね?」
「……ヒッキーでも緊張したりするの?」
「そりゃそうだろ、いまこうやってお前としゃべってるのだって緊張してるんだよ、んなことされて緊張しないわけないだろ。」
「そ、そっか、そうだよね、ヒッキーだって男の子だもんね」
「ヒッキーも私で緊張してくれてたんだね~よかったー」
「「………むっ!」」
「何言ってるの!?ヒッキーは私で緊張してくれたの!」
「違う!ヒッキーは本物の私に緊張してくれたの!」
「私が本物の由比ヶ浜結衣だもん!」
「違う!私が本物!そうだよねヒッキー!私に緊張してくれたんだよね!!ほら心臓ドキドキしてるよ!」
「あ、ずるい!……じゃなかったヒッキーに何してるの偽物!ヒッキーは私で緊張してくれたんだよ!ね、ヒッキー!」
片方の由比ヶ浜が俺に抱き着いたかと思うともう一方の由比ヶ浜も逆のほうに抱き着いてくる。由比ヶ浜にサンドされる形となってしまった。状況がさらに悪化した。さっきの頭にかすかに触れる程度とは違い、今回は俺の両腕にガッツリと由比ヶ浜の胸が当たってしまっている。全くどこのハーレム系主人公だよ……
「ね、ねえヒッキー?どっちに緊張した?私だよね?」
「ち、違うよねヒッキー?私だよね?」
しかも由比ヶ浜達は執拗にどっちで緊張したかを聞いてくる。だがはっきり言って優劣をつけることは不可能だ。俺が変化を嫌うからとかそういうわけではなく、感覚として、全く同等なのだ。だがそんなこと言ったら火に油を注ぐ様なもの……果たしてどうしたものか……
「……そ、そういえばヒッキーさっき私の胸で緊張したって言ってたよね?」
「ヒッキーは大きいほうが緊張するの?」
なんでいつもこういう時だけ察しがいいんだ由比ヶ浜!俺が必死に言葉を探してるのに!……こ、こうなったら無難に答えて何とか穏便に……
「そ、そうだな、俺も一応男だから胸が当たったりすると緊張するな」
「そっかーど、どっちのほうが大きいかなぁ?」
「わ、私じゃないかなぁ?ほらヒッキーの腕がこんなに隠れるんだし」
「なっ!そ、そんなだったら私のほうが隠せるし私のほうが大きいと思うなぁ」
「わ、私のほうが隠れてるよ!偽物になんて負けないもん!」
「わ、私のほうが隠せてるよ!偽物だってそっちじゃん!」
「ほ、ほら!しっかり見なよ!どう見たって私のほうが隠せてるじゃん!」
「そっちこそしっかり見てよ!私のほうが隠せてるし!」
やめて!ほんとにやめて!!緊張で八幡ほんとに死んじゃうから!!悪いけどほんとにわからないの!後どっちが大きいかで決めるやり方は雪ノ下がいない時だけにしろよ。なんでかって?……察しろ
「なぁ由比ヶ浜……」
「「なに、ヒッキーわかったの!?」」
「期待してるのに悪いが俺にはさっぱりどっちがいいかがわからん。とりあえず一回離れてくれない?そろそろ本当に心臓が止まりそう」
「なっ!……わかったよ……」
「それにしてもヒッキーでもわからないなんて……」
「そもそもこの決め方自体おかしいだろ。どっちの胸が大きいかなんて。こんな反目し合う2人の主観に基づいて行われる判断が適切に行われるわけないだろうが」
「「??ヒッキーどういうこと??」」
アホさも一緒なのかよ…一つの判断基準になればとわざと由比ヶ浜にはわからないだろう言葉を使ってみたのにな。まさかどっちもがわからないとは。
「つまりだな……おい由比ヶ浜お前らどっちが本物だ?」
「「だから私だってば、私!!!」」
由比ヶ浜達はお互いにらみ合いながら改めて自分が本物だと主張する。
「まぁつまりはそういうことだ。お互い自分が本物だと思ってる。そしてお互いの身体には明確な差はない。そんな時にわざわざ偽物と思ってる相手の有利を認めると思うか?」
「認めない…かな?」
「そうだ、結局なところさっきのだって主観的な判断に任せてたわけだから決まるわけがない。客観的な根拠がありゃ一番なんだろうが俺もわかんねーしなぁ……」
「客観的な根拠……実際に測ってみるとか?」
「それだってお前相手が言った数字?とか信じれんのかよ」
「うっ……無理、かな?」
「じゃ、じゃあヒッキーが測ってくれないかな?やり方教えるしさ」
「ば、馬鹿言ってんじゃねえよ。そんなんできるわけないだろ」
「じゃ、じゃあヒッキーはどっちが本物の私かはっきりしなくてもいいの!?」
「そ、そうだよ、はっきりさせようよ!!」
いやさっきまであんなに反発しあってたのにこういうときだけ意見合わせてくるなよ……
「とりあえずダメなものはだめだ俺がもたなくなる。お前らだって俺に測られるのは嫌だろ?」
「いやぁ……その……」
「ヒッキーなら嫌じゃないかなぁって……ほ、ほら!今は非常時だし!」
「そうそう!だから勘違いしないでね!」
「お、おうてか勘違いなんてしねーよでもだめだ。由比ヶ浜がよくても俺がよくない。本気でヤバイ」
「じゃ、じゃあゆきのんにやってもらう?」
おいおい、雪ノ下を殺す気かよ……
「いやだからn『ちょっと待って』ん?」
「なんで偽物もゆきのんのことゆきのんって呼んでるの!?」
「ゆきのんはゆきのんだからそう呼んでるんじゃん!てか偽物はそっちだし!!」
「はぁ!?偽物はそっちじゃん!ヒッキーもだけどゆきのんも偽物なんかに渡さないよ!」
「それはこっちのセリフだし!絶対渡さないから!」
「「むううううううううう!!……ん?」」
「ねえヒッキー?客観的な証拠があればいいんだよね?」
「あぁそうだけど、でも証拠なんて出るわきゃねーよ」
「じゃ、じゃあ証拠見せるから見ててね……んっ」
「私が本物だって証明して見せるから……くっ」
そういうと由比ヶ浜達はおもむろにお互いの胸を重ね合った。いやあれは押し付け合ったっていうほうが正しいのか?……ってナニヤッテンノ?まさか証拠って自分の胸で相手の胸つぶすことだとでも言いたいのだろうか?やだそんな修羅場空間八幡いられない!!だけどもう逃げられるような状況でもないし見るしかないのか……それにしても冬服でよかった。夏服だったら薄着と相まって服のしわとかはだけるエロさが尋常じゃなかっただろう…って俺まで何考えてんだ!!
「ちょ、ちょっと由比ヶ浜さん?いったい何をしてらっしゃるの?」
「ヒッキーが…んっ、言ったじゃん、このっ!」
「客観的な証拠がっ…あればいいって、えいっ!」
「「だから…んぐっ…いまここで、この偽物に勝つの!ヒ、ヒッキーは私だけ見てて!!」」
「「ゆきのんは、ヒッキーは、みんなは渡さないから!!…このっ!!」」
そういいながら由比ヶ浜たちはお互いにお互いの胸をぶつけ合う。言葉だけ聞けば百合百合しいが、しかしその姿はあまりに闘争的だった。自らの居場所を守るために自らが持っている闘争本能のすべてをぶつけているようだった。由比ヶ浜らしくないその姿にあっけにとられる俺を横目に由比ヶ浜当たちの戦いは続いていく。
「さっさと…負けを認めるし!んっ、偽物!」
「偽物はそっちだもん!、、いたっ!やったなぁ!」
「痛いっ!無理やり押し付けないでよ!このっ!」
「あうっ!そっちこそお!えいっ!」
「ま、負けない…このおおお!!」
「わ、私だってええ!!」
「「偽物の胸なんかに負けないもんんん!!!…んんっ!!」」