敵か味方か?を自分なりにロールプレイしてみた 作:金曜日(うんのよさ)
さて、以前、拘束して道に転がした幼女と遭遇した宵闇 黒です。
ま、まあ、この場合、俺の方から話しかけなければ向こうも引き留めないだろうし、用事も済んでいるから、さっさと退散しよう。
しかし、ちょっと気になることがあった為、SALのファイターらしき存在がいないか辺りを確認する。
この世界、原作開始からこっち、どうも強制力と一纏めにして良いのか分からんが『イベント発生フラグ』というのがあるらしく、キャストやシチュエーション等、特定の条件が揃うと『あるある』なイベントが起こりやすいことが何となく分かって来た。
フラッと一人でみんなと逸れて迷子になった幼女や非戦闘員が敵にいい具合に見つかってシナリオ展開というのは、『あるある』だろう?
しかも、敵の組織から保護された元戦闘員の幼女が、よ?攫われかけた所に助けが入るシナリオか、改めて戦う決意を固めるフラグか知らんが、謎の第六感の部分が全力で何かあるぞと警戒してるもの。
これで俺に割り当てられたキャストが『敵』なら良いよ?
この場に灯火とか文香が駆けつけて来て一触即発になるなら、適当に戦って主人公組の経験値の補完でもするさ。
でも、主人公チームの認識だと俺がフィリスを何かしら特別扱いする理由があると思われている現状、その配役は少々無理がある。
もし、『攫われかけた時に見かけて一番最初に追いかける味方』のキャストが俺に割り当てられていた場合、ここを変なタイミングで去ってしまった場合、よろしくないバッドエンドに直行する。少なくともフィリスが。
勿論、他のイベントが進行中で、俺はちょい役、幕間で軽く会合するだけという可能性もあるし、何なら本来は今し方倒して来た養殖モンスターを俺が倒してなかったら、丁度このタイミングで解き放たれて近くにいたコイツが襲われるはずが、(俺の行動でそちらは既に)ブレイクしましたとかも有り得る。
なので、まず周囲の確認から入ったのである。この場のシチュエーションや役者の顔ぶれから起こりそうなイベントを推測する為に。
周りの状況を確認すると、ちょいと会合するだけのイベントで終わらせることも出来そうか?フィリス視点で黒羽少年のイベント前の灯火くらいの認識を
なら、このまま歩き去っても問題ないだろう…と、フィリスの横を通り抜けようとしたところ、
ガシッ
袖を掴まれました。フィリスに…
「…離してくれないかな?」
「…貴方に話がある」
うーむ、このパターンは、何故、フィリスを助けたのかとか、それを明らかにする、もしくはフィリスなりの悩みを聞くパターンか?
「じゃあ、せめて場所を変えよう。人通りがあった方が都合が良い」
「……」
俺の提案に無言でコクりと首肯するフィリス。
何故、人通りが多い場所の方がいいかって?少ない場所で長々と話してると襲撃イベントに派生しそうだからだよ。
そして、俺達は適当な通りにあるベンチに腰掛けて話し始めた。
そこでフィリスの口から飛び出したのは、半ば予想通りの質問であった。
「どうして私を助けてくれたの?」
と。
さて、ここで無難な回答は何だろう?まだ序盤で情報も限られた状態で、不用意にデレた発言をするのはよろしくない。
『『俺は誰の力も必要としない(キリッ』って厨二入っただけの味方やん』とツンデレという要素を単なる記号としてしか使ってないヒロインみたく魅力が消える。
かと言って視聴者ドン引きレベルのカスな発言すると『コイツに味方になって欲しくない』と、それはそれで問題が生じる。
なので、ここまでと同じだ。
「その方がいいと判断したからだ。他に質問が無ければ行くぞ?」
何方にも取れそうな意味深なこと言って、さっさと去る。これに限る。
「待って」
…なので、もう一度袖を掴まれるのは予想外だった。
コイツ、俺でも見切れない動きを…
「まだ何k(キュルル〜」
何とも気の抜ける音、音の発生源はフィリスの腹。
その正体は、勿論フィリスの腹の虫の鳴く音。
「……」
「お腹、減った…」
「飯を食えば良いじゃないか」
目の前には丁度、大手ファーストフードの店舗が存在している。
保護された綾崎家でファーストフード禁止令が出ていたら?知らん。
「お金、無い…」
「金が無いからって見ず知らずの不審者に飯をたかるんじゃありません」
「酷い、私とコクの仲なのに見ず知らずだなんて…」
「どんな仲だよ!?」
「拳を合わせれば友達、黒羽そう言ってた」
いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや
どんな教育してんの、黒羽少年!
「それに幼けな私にあんなことしといて… コク、酷い、よよよ」
「何がよよよだ」
両手で顔を覆い泣く演技をするフィリスだが、コイツ、しばらく見ない内に大分愉快なキャラに成長しとんな。
原作だと、しばらくはホントに人形みたいな雰囲気だったのに。
しかし、幼女を拘束して道に転がしたのは流石に自分でもどうかと思う。
罪滅ぼしにはなるまいが、やむを得ない、飯くらい奢ってやろう。