レジェンドを背に勝ちまくれ!! 作:ウマ及び馬好き
評価をくださった方には感謝です。
拙作ですが、いろんな方に読んでもらいたいですね。
あと、レジェンドテイオーという馬が既にいると指摘を受けたので、名前をビゲストテイオーにしました。
僕の名前は
顔つきが幼いから20代に見られがちだが、こう見ても妻と子供がいる父親だ。
今日は1人で競走馬の生産牧場に来ている。
なぜこんな普通の34歳には縁のないような場所に向かっているのかというと、僕が中央競馬の馬主だからだ。
僕の一族は代々商社を経営している。そして、歴代社長は全員馬主をしている。
これは僕の会社が大きくなる時にご先祖様が競馬の馬主さんから色んな仕事を紹介してもらったかららしい。
それ以来、社長になる全員が馬主になって人脈を築くというのが伝統になっていた。
因みに、社長の影響を受けて社員も地方の馬主だったり一口馬主をしていたりしている。
その馬主業の収入が社員としての年収を超えている人がいるのは微妙な気持ちにはなるが…
去年までは僕の父親が会社の社長で馬主をしていたのだが、体調を崩し始めて引退する事になった。
そして代わりに社長になったのがこの僕だ。
会社の社長になった事で僕の年収は馬主資格を取ることができ、僕も伝統に習うように馬主になった。
正直、この馬主業が人脈の構築に繋がるかはわからないけど、僕自身競馬が好きだから満足だ。
僕が初めて競馬を見たのは小学生の頃に見たダービーだった。
当時社長で馬主だったお爺ちゃんの馬がダービーに出ることになって、家族総出で応援しに行くことになったのだ。
僕はおじいちゃんに可愛がられていたから特別に馬主席に連れて行って上からダービーを見せてくれた。
そこで見たのは、全力を出す馬達の熱い戦いとそれを応援する観客の熱狂だった。
その熱に当てられた僕はすっかり競馬の虜になり、毎週末はテレビで競馬を見るかお爺ちゃんと競馬場に行くことが増えた。
そして、そのおじいちゃんも亡くなり、跡を継いだ父親も引退でとうとう僕の番になった。
馬を買うお金はいつかこの日が来ると思って働いて貯めた給料がそこそこの金額ある。
馬を買うには日本競走馬協会が主催するセレクトセールという馬市と庭先取引という生産牧場から直接馬を買う2種類の方法がある。
うちの先祖は好きな方法で馬を買っている。
お爺ちゃんは主にセレクトセールで馬を買っていたし、父親は小さな生産牧場の馬を買っていた。
父親曰く競馬は勝つ事だけじゃなくて人との繋がりが大事なんだと言っていた。
僕は今回父親が贔屓にしていた生産牧場に行く事にした。
理由はいくつかあるが、セレクトセールでは、億単位のお金が必要になったりするから難しい。かといって僕に生産牧場の知り合いはいない。
だから、父親に頼んでこの生産牧場を紹介してもらって、今日子馬を見ることにした。
「ここかな?」
1人で長距離を移動するのは久しぶりだったから独り言をぶつぶつ言ってしまう。
木製の看板に馬場牧場と書かれた看板の横にある道を通った。
牧場のそばには柵で囲われた土地の中に大きな馬がいた。
「どんな馬がいるかな?」
牧場の入り口の近くに駐車場があったので、そこに車をとめて降りる。
「やっぱり自然があると空気が澄んでて気持ち良いな」
普段は排気ガスと人に塗れた都会で生きてるから、自然に囲まれると疲れが取れる気がする。
とりあえず、約束の時間より少し早いが、牧場に着いたと連絡を取り合っている牧場長に電話をしよう。
僕は携帯から牧場長に電話をかけた。
が、忙しいのか牧場長は電話に出なかった。
「牧場のスタッフを探すついでに少しだけ牧場を見てみるか」
僕は牧場の厩舎がある方向へ足を向けようとした。
すると、厩舎とは違う方向からドドドドという大きな音がした。
音がした方を見ると入り口で見た柵で囲われた土地より大きな場所にさっき見たより小さな馬たちが柵の周りを走っていた。
僕は理由はわからないけどそのレースとも言える走りが気になって、柵の近くに向かった。
馬たちは、近づく僕に目もくれずにひたすらに前を目指していた。
先頭を走るのは筋肉質な馬で、その2馬身後ろを他の馬より体が大きい馬が追っていてそのすぐ後ろに耳を絞って必死に前を走る馬がいて、その3馬身後ろに今度は他の馬より小さい馬が小さな体を懸命に動かして走っていた。
そして最後から2番目には黒鹿毛が映える馬がいて、一番後ろに鹿毛の馬が走っていた。
僕はレースをしている馬たちの中で一番後ろの鹿毛の馬に目を奪われた。
なぜなら、見るからに鹿毛の馬はこの中のどの馬より体ができているのに本気を出していなかったからだ。
僕も競馬を愛する者の端くれとして最低限馬を見る目を鍛えてきたつもりだがこの馬には他とは違うものを感じた。
そして、鹿毛の馬がカーブに入った時、僕の考えは間違っていないとわかった。
その馬が急激にスピードを上げて黒鹿毛の馬を抜き去ったのだ。その後も一歩地面を蹴るごとにすごいスピードで加速していった。
そして、僕は幻覚を見た。
その鹿毛の馬の上に騎手が乗り1着でゴール板の前を通り、観衆から大歓声を受ける姿を僕は確かに見たのだ。
僕が幻覚のせいで上の空になっていると鼻先に暖かい風を感じた。
僕はびっくりして現実に引き戻される。
「は!!き、君は…」
目の前を見ると、さっきの鹿毛の馬がいた。
どうやら、僕が走っているとこを見ていたことに気づいたらしい。
「君の走りはすごいね。感動したよ。君なら凄い活躍できそうだね」
僕は意識をせずに口から鹿毛の馬を褒める言葉を発していた。
馬は、一度引っ込めた顔を柵越しにもう一度伸ばして僕のことを見てきた。
なんとなく触って欲しそうだったので、聞いてみることにした。
「さ、触っても良いの?」
「ヒヒン!!」
そう尋ねた僕に馬は触って良いよというように嘶いてさっき以上に顔を僕の方に出してきた。
恐る恐る僕が撫でると馬は気持ち良さそうにしてくれている。
そうしてしばらく鹿毛の馬を撫でていると後ろから声をかけてくる人がいた。
「早野さんすみません!!もう来られてるとは思ってなくて…」
後ろを振り返ると電話で話したここの牧場長である馬場さんがいた。
そこで僕は自分が初めて購入する競走馬を見にきたことを思い出した。
さっきの走りで全てを忘れていた。
「いえいえ、自分が早く来すぎただけなので気にしてないですよ」
「申し訳ないです。今日は馬を見に来たんですよね?」
馬場さんは僕の目的を再確認してくる。
「そうですね。初めての馬主ですから、父親がお世話になっていたこの牧場で馬を買おうかと思ってまして」
「それはありがたいです!!ウチも貴方のお父さんには色々助けてもらいましたから、良い馬を紹介しますよ」
本来なら良い馬を紹介してくれると言う馬場さんに感謝すべきなのだろうが、僕はすでにある決心をしていた。
だから、申し訳ないけど断らせてもらう。
「でも、もう大丈夫です」
「えっと…それはどう言う意味ですかね?」
僕がそういうと馬場さんは先程の笑顔とは180°反対の不安そうな表情をした。
きっと僕が馬を買わないと言うと思っているのだろう。
「この子を買う事にします」
僕はそう言って惚れ込んだ鹿毛の馬を指差す。
「え!!ランをですか。買っていただけるのはありがたいですが…この牧場の馬としては有り得ないくらい高いですよ?」
馬場さんは驚きの声を上げながら、申し訳なさそうに値段のことを口にしてくる。
だけど、問題ないはずだ。僕は馬主になって馬になるために少なくない金額を貯金しているし、馬主をやると決めた時にお金がたくさんかかることは覚悟している。
それに、この子となら幻覚で見たように大きなところに行ける気がする。
だから僕はこの子を馬主として最初の所有馬にしたいと思う。
「大丈夫です。お金ならそれなりにありますから」
そう言うと、おじさんは嬉しそうな表情で僕を事務所に案内する。
「わ、わかりました。そしたら、事務所で話を詰めましょうか」
「お願いします。それじゃあ、またね」
僕は最後に鹿毛の馬を撫でて事務所に入った。
事務所ではあの鹿毛の馬の血統を話してくれた。
それを聞いて僕は彼が活躍できるかもしれないという漠然とした感覚から確信に近い物へと変わるのを感じた。
次に話したのは、値段の話だった。
値段は確かに高かったが、父があの馬だと考えると安いと思う。
なので、僕は提示された金額より少し上の金額を払うことにした。
次に今後の予定を聞かれたので、代々贔屓にしている育成牧場に預けて、その後はどこかの厩舎に入厩させて中央で走らせるつもりだと話した。
すると、馬場さんも彼、いやここからランと呼ぶことにして、ランの素質を感じていて、できれば中央で走らせたかったと教えてくれた。
だから僕は馬場さんにこう伝えた。
「きっと彼は伝説の名馬になれますよ」
その後は細かな書類などを書き上げて牧場を去った。
ランとは次はいつ会えるかわからないけど、できるだけ早く様子を見に行くことにしよう。
次回は家族を連れて行こうか。
そんなことを考えながら僕は家へ向かって車を走らせた。
主人公に脳が焼かれた被害者第一号は馬主くんです!!
おめでとう!!!!!!
今回はランキングに乗れて嬉しいので、出来たらもう一話投稿する予定です。
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それではまた次回。
主人公のレース成績は?(確定はしません)
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勝ちまくって無双する伝説的名馬コース
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勝って負けての普通の馬コース
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負けが多いけど勝つ時は勝つコース