小隊各機がYami_Q_rayの歌に乗せられたSVに対処する中、ウィンダミアの地表、そのはるか上に巨大なフォールドゲートが開いた。
その中にはメガロード級の戦艦、その一部が見え、光に照らされた艦橋にはこちらを見る2つの人影。
片方はレディM、いや、レディ・メガロード01と言うべきか。
今ここで彼女達がアストレアの主砲の下に塵と消えれば、銀河の秩序は崩壊する。
『全機、フォールドジャミングを!』
ミラージュの指示を受け、俺以外のΔ小隊とバード1が脚部コンテナより特殊なミサイルを発射する。
それは少し前方へ進み、歌の全てを煙に隠す様に炸裂した。
戦場から歌が消える。
もちろんホログラムであったYami_Q_rayも、その姿を消した。
これはレイナが寝る間も惜しんで作った、歌によるフォールド波を遮断するジャミング。
これによりフォールドゲートは消え、一旦ピンチは去った。
マクロスキャノン、主砲のチャージを始めたギガシオンの露払いをする様に、歌がなく動きの鈍ったSVへ猛攻をかける。
『Δ5、後ろ!』
『クソッ...! ━━レイン!』
「ああ、出来る限り
━━全部俺が落とす!」
放った言葉は自惚じゃあない。
確かな確信があって、全部落とすって言ったんだ。
有り余るエネルギーを使ってレーザーを放つ。
着弾してから奴らに生まれる隙は数秒あるかないかであり、モノによってはピンポイントバリアで防いでカウンター気味に撃ち返してくる。
だが、それだけで怯むことはない。
ファイター形態でありながらバリアを形成して苦し紛れのカウンターを防ぎ、反撃にその背中へ大型ナイフを滑り込ませた。
機体上部と下部が分かれた
なれば、そこからは簡単だ。
狙って撃てば風穴が空く。
ガウォークのまましばらく経った、そろそろ背後から別の奴が咎めに来る頃だろう。
しかし今の俺には死角がない。
振り向かず、ただ一言意志をこめて叫んだ。
「
黄金がキラリと輝き、コンテナユニットに接続されたガンポッドが1人でに後ろを向いて光を放つ。
意表を突くその一撃は回避の間に合わなかった翼を焼き、傾いた機首へバリアを纏わせた腕部ミニガンポッドを突き刺す。
加えてサマーソルトの形で蹴り上げ、動きのままにファイターへ変形して次の目標へと向かう。
ライン、というのはラインの黄金の事だ。
いちいちフルネームで言っていては指示も言いづらいだろう、文句もない様だしこのまま行く。
......親達が守ってきた物を『割と便利』というような感覚で使うのはどうかと思うが、ラインが俺を選んだのが悪い。
勝手に放たれていたホーミングレーザーが着弾した事を脳内へ展開されたレーダーで察知し、狙撃する。
次へ次へと宇宙を駆けていると、ついに司令部からチャージ完了の警告が届いた。
すぐさま射線上から退避し、警戒を解かずにガンポッドの銃口をアストレアに向ける。
『マクロスキャノン、撃て!!』
マックス司令の叫ぶような指示が飛び、ギガシオンの主砲からマクロスキャノンが放たれた。
一直線にアストレアへと向かう光の奔流は爆炎を放ち、ウィンダミアから見えるほどの閃光を空に弾けさせた。
ジャミングは機能している、次元バリアは着弾の直前、見える範囲では張られていなかった。
しかし、しかし。
『━━目標、健在です!』
決死の作戦を破り、歌が流れ始めた。
感覚拡張の負担が頭痛として現れ、思わず左手で頭を抱える。
そうだ、Yami_Q_rayは学習する。
学習して対応策を数多の選択肢から選び、最善手を打ってくる。
それが、今回は
渾身のマクロスキャノンが防がれ、反撃を受けるという状況に追い討ちをかけるように、先ほどとはズレた位置にフォールドゲートが再度出現する。
同時に、現れたメガロード01へアストレアの主砲が放たれればどうなるか。
最悪の演算が、ラインによってもたらされる。
「━━このまま撃たれれば、ウィンダミアは死ぬぞ!」
『なんだと?!』
『クソッ、キャノンの発射を止める方法はねえのかよ!』
止める方法は1つ、敵艦内部のシステムを、Yami_Q_rayを壊すしかない。
その為に必要なのは━━ ワルキューレの歌。
歌の力でカイロスプラス、ジークフリードの出力を上げれば、まだチャンスはある。
しかし苛烈な攻撃はそれを行動に移すことすら許さず、流れ星の様に輝く反応弾がギガシオンを襲った。
どうにか直撃だけは避けるが、脳内の
このままでは......
『メガロード01が!』
『レディ・Mが......』
「『ウィンダミアが!』」
『━━銀河の秩序は、終わりを迎える......!!』
諦めて、たまるか!
スーパーパックに搭載された30基のミサイルを1つずつ発射し、SV-303が避けた所を全て打ち抜き、切り裂き、叫びの様な排熱を放ちながら抵抗を止めない。
そんなのが通ってたまるか、プロトカルチャーの技術が欲しいからってウィンダミアを壊しても構わない、なんて。
「━━そんな訳の分からない大義のために、友達をブチ殺されてたまるかァ!!!」
『そうだ、ウィンダミアは絶対守る!!』
ハヤテと連携し、ハエのように集るゴーストを撃ち落とす。
俺たちはたとえその星の人でなくても、そこに大事な人が居るから、守るんだ。
『優しい人たちも、リンゴ畑も絶対守って、いつか銀河中の戦いって戦いを全部無くしてやる!
━━そしたらフレイアは、ワルキューレのみんなと歌うんだ!!』
「ハヤテ...!」
『闘いを止めるためじゃない、普通の優しい歌を......
その歌声で、俺たちデルタ小隊が大空を舞って!
俺たちは生きるんだ! 一緒に歌って、一緒に飛んで、一緒に...生きるんだ!!』
その言葉は、ハヤテの選択。
彼は選んだんだ、みんなと、フレイアと生きるっていう道を。
その選択を正解にする為に、守る為に!
彼はこの宇宙を飛んでいる!
誰一人として、
「......あきらめない、あきらめ...ない、あきらめない...
どこまで、も......」
『はっ、フレイア?』
『......
戦場に響く轟音の中、掠れて今にも消えそうな声が頭に、何よりも鮮明に聞こえてくる。
振り返れば、ワルキューレの集う甲板に杖をついたフレイアが現れたではないか。
衰弱しきったその体は震える子鹿のようで、立っていられず膝をついた。
「あたしは、歌う......
あたしは
彼女は震える声で、『生きたい』と言う。
みんなと一緒に、
その言葉はYami_Q_rayにも届き、動揺と共に一瞬SVの動きが鈍った。
『みんなと、一緒に、生きたい?』
「あたしにとって生きるってことは、ワルキューレとして歌い続けるってことなんよ!
ワルキューレとして、みんなと生き続けたい!
全力で生きて、全力で歌って、全力で愛して!
生きて、生き抜いて、絶対に生きたい!
ワルキューレサインが輝いた。
ラインの黄金なんて目では無いほど、煌々と金色に輝くその姿は、ようやく全てのピースが揃った事を教えてくれる。
そうだ、俺たちがあきらめないように!
「銀河のために!」
「誰かのために!」
「今あたし達!」
「瞬間、完全燃焼!」
「命懸けで楽しんじゃえ!」
「「「「「ゴー! ワルキューレ!!!!! 」」」」」
ワルキューレは、あきらめない!
評価等よろしくお願いします。