Re:ワンピース~俺の推しが女体化してるんだが?~   作:元ジャミトフの狗

14 / 19
閑話回、感想からの逆輸入でございます。




第14話

 

 

 

 ハートの海賊団が保有する潜水艦、ポーラータング号。その甲板にて。

 

 同海賊団の古参たるコンビ、シャチとペンギンは揃って釣りに興じていた。食料調達の一環、というのは半ば建前。娯楽に乏しい艦内生活では、釣りは立派な娯楽の一つであった。実利を兼ねた趣味であるとも言えるだろう。

 

「さっき聞いたんだが、ツバメさん倒れたんだって」

「まじか。でも昨日まで何ともなかったじゃん、あの人」

「だからこそだろ。俺たちが無自覚な内に仕事を押し付けてたんだよ」

 

 苛立ち混じりにペンギンが吐き捨てる。後悔と反省、彼は強く心を痛めていた。或いは己の不甲斐なさに、怒りすら覚えるほどに。

 

「この船のことを一番理解してるのはあの人だ。だからあの人がいないと船の修理も儘ならないし、キャプテンがいない間は代理で指揮までとってさ。しかも仕事の合間を縫って音響? だかソナーだか何だかの勉強もって、よく考えなくとも激務だろ」

 

 割り振られた仕事を堅実にやり遂げ、より安全に航海するための努力を惜しまず。いざ戦闘になれば自ら先陣を切り、被害を最小限に抑えようと尽力す。ハートの海賊団において、ツバメは縁の下の力持ち的な存在であると言えよう。

 

 人柄で言っても、喋り方が少々堅く不愛想なことを除けば申し分ない。寧ろ、気遣い上手な彼を慕う船員は多いだろう。

 

 そんな人物であるからこそ、負担が集中してしまった。

 

 始末に悪いのが、その事に誰も気づかなかったことだ。いや、より根源的な問題点を述べるならば。「()()()()()()()()()()()()()()」という根拠のない思考が、船員間で定着してしまった事だ。

 

「無理、させちゃったよなぁ」

「だな」

「もう二度とこんなこと起きねぇように、もっと俺たちが頑張らねぇと」

 

 決意を新たにする二人。具体的にどうするべきなのかは想像もつかない。だが、無知である事は言い訳にならないという事を今回の件で学んだのだ。

 

 ならば教えを乞う他にないだろう。それがかえって彼に負担を強いる事になるかもしれないが、変わろうとしなければ変わらない。

 

「そういえばツバメさんと言えば、最近また懸賞金上がったな」

「5000万だっけ? すげぇよなぁマジで」

「キャプテンも遂に1億ベリーの懸賞首だし、俺も有名になりてー」

「あ、でもベポみたいなのは嫌だ」

「未だにペット扱いでかわいそうだよな、アイツ」

 

 つい数日前、海軍本部中将が率いる艦隊と海戦になった。懸賞額が向上したのは、その結果である。

 

 そして、その海戦で特に活躍したのが、ローとツバメである。ローが中将の海兵と交戦している間に、ツバメが他の艦隊を相手取る。ハートの海賊団の双璧を成す二人の実力は、偉大なる航路(グランドライン)前半の海の基準で言えば相当な代物だった。

 

 ローの戦闘能力は言わずもがな。動物(ゾオン)系の悪魔の実を食したツバメも、こうした海戦では特に猛威を振るった。そも単純な殴り合いという観点だけで見れば、ツバメはハートの海賊団でも随一である。

 

「あの人、仕事もできて強い上に顔もかっこいいって、本当に隙が無いよなぁ」

「それ、キャプテンの前では言うなよ」

「え? なんで?」

「最近、男相手でも嫉妬する様になってる」

 

 あちゃ~と頭を抱えるシャチ。彼の船長とは古馴染みであり、また同時に命の恩人でもある。故にペンギンもシャチもローには全幅の信頼を置いている。だが――

 

「キャプテン、ついにそこまで拗れて……」

「言ってやるな。というか、ソレに関してはツバメさんも悪い」

 

 そう、何を隠そう。ハートの海賊団の船員たちは皆、ローとツバメの関係を承知している。その上で船員総出で、二人の事を全力で応援していたりする。船長のローを除けば唯一の女性船員であるイッカクに至っては、船長と恋バナに花を咲かせているのだとか。

 

 しかし海を出て3年程度、ローとツバメの関係は未だに発展していない。正確に言えば進んではいるのだろう。だが、第三者からすればあまりにも遅速に過ぎるのだ。一説によると、ツバメが超のつくドヘタレだからだと言う。多分その通りだ。

 

 ただそのせいで船長を拗らせてしまっては世話がない。というか、仲間の賞賛にすら嫉妬するようでは、いよいよもって末期である。

 

「あんな美人捕まえて何が不満なんだろうな」

「実際、不満ではないんだろ。ただツバメさん、どうにも奥手すぎるっつーか」

「なー。俺だったらもっとドストレートに行くけどなー」

 

 どこか自慢そうに告げるシャチ。それに対し、ペンギンは苦い表情を浮かべた。

 

「でもさ。キャプテンも結構()()からなぁ。そこがちょっと怖くね?」

「あーそれは分かるかも。って、ん?」

 

 シャチの釣り糸が震える。一瞬、釣り具の先端が沈んだ。獲物が掛かったのだ。

 

 強い抵抗を受けながらも、思いっきり釣り具を引き上げる。すると、鼻が長く巨体な魚が釣り上がった。常識的な感覚で言えば奇形だが、どことなく美味しそうなマグロでもある。特に鼻の部分が旨そうだった。

 

「やるじゃん」

「だろ?」

 

 短い掛け合いの内に魚を締め、内臓を取り出す。最後に、あらかじめ用意していた冷凍ボックスの中に仕舞った。この間僅か数分、大変手慣れた手つきだった。

 

「で、さっきの話の続きだけどよ。ツバメさんが倒れた時、キャプテンすごい怖い顔しながら私室に連れてったってさ。今頃ツバメさん、絶対エライ目に遭ってるぞ」

「マジかよ。じゃあ暫く出てこねぇよなぁー。二人とも」

「バラバラにされてなきゃいいけど」

「流石にないだろ。ないよな?」

 

 如何に彼らの船長が『死の外科医』などという物騒な異名を持っていようとも、猟奇的な犯行には及ぶまい。そう信じたい二人であった。

 

「……でもあの二人、心臓は交換してるんだろ」

「あー」

「そんだけ信頼し合ってるのにまだ付き合ってないって、マジで在り得ねぇよな」

「ほんとじれってー」

 

 さっさとくっついちゃえばいいのに。ソレが、ハートの海賊団の総意である。

 

「おーいみんな―! 島が見えたぞー!」

 

 マストの上で見張りをしていたベポの声がする。シャチとペンギンが12時の方向を見やれば、確かに島が見えた。

 

「次の島ってなんだっけか?」

「ジャヤ。海賊たちによる無法の街だって聞いたな。あとあまりの無法っぷりに政府も見限ってるとか」

「こっわ。何にもなきゃいいけど」

 

 

 




・トラファルガー・ロー
懸賞金推移(B(ベリー)):2500万→5000万→1億
二つ名:死の外科医

・ツバメ
懸賞金推移(B(ベリー)):2500万→5000万
二つ名:(おと)()

・ベポ
懸賞金推移(B(ベリー)):10→50

・シャチ&ペンギン
懸賞金(B(ベリー)):900万

古参組はみんな懸賞首になってるハートの海賊団。最近勢いのある海賊として色んな勢力が着目してる感じ。
次回はジャヤで買い出し、もといデート回。



ここからは余談です。ですので、読み飛ばして頂いて結構です。



前書きにも合った通り、今回はとある感想を頂いた時に着想を得た逆輸入回です。
感想を頂いて「めっちゃええやんそれぇ!!」となったのが今回初めてでして。
何と言うか、自分一人の凝り固まった発想だけでなく、読者様の意見も取り入れる事が出来たらもっと面白くなるのかなと考えた次第であります。
こういう企画、とでも言えば良いんですかね。需要在りますでしょうか?

需要は――

  • ある
  • ない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。