Re:ワンピース~俺の推しが女体化してるんだが?~   作:元ジャミトフの狗

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漸くやりたかった事が出来そうで我ながら嬉しいです。


第16話

 

 

 

 無法の島、ジャヤ。髑髏顎部の様な形状をした()()である。

 

 同島は海軍に見放される程度には治安が悪く、街の経済は海賊が落とす金で成り立っている。存外、こうした海賊が過ごしやすい島と言うのは珍しくない。新世界には、海賊島とすら形容される島もあるくらいだ。全くもってこの世界の秩序は仮初であると分かる。

 

「噂に違わぬ無法っぷりね」

 

 ジャヤの中心地、嘲りの街モックタウンにて。街道のど真ん中を歩くローはそのように零した。

 

 耳を澄まさずとも街は下品な笑い声に包まれていた。時折殺人だの強盗だのと、不穏当な言葉が耳に届く。活気があると言うよりも喧噪。成程、確かに海賊の島であるらしい。

 

 だが、その全てはあまりに()()。言葉も意志も、全てが低廉。聞くに値しない下卑た何かだ。覇気で得た情報を言葉におこすのは難しいが、それでも敢えて表現するのであれば――

 

「熱がない、か」

 

 或いは夢を失ったのか。挫折、諦観とも言い換える事が出来る。街の賑わいとは裏腹に、住民の多くは酷く空虚な心を抱えていた。

 

「どうしたの?」

「いや、何も」

 

 ローの問いに答える。所詮はつまらない感慨である。

 

 しかし、覇気を鍛えすぎるのも考え物だ。人の感情や気配を読み取る見聞色。特に己は他人の感情を読み解く能力に優れているようで。警戒のため覇気の力を行使すると、あまり面白くない心の声も聞こえてしまう。

 

「昨日の今日で無理する事はないと信じたいけれど?」

「……ああ、大丈夫だ。オフの日くらいゆっくりさせてもらうさ」

「そ。ならまずは宿を探しましょう。とびっきりのリゾートホテルとか」

 

 そう言いながら、ローは己の手を引いた。思い切りの良さは好ましく思うが、ちょっと人目が気になる。というか、無法の街の中心を我が物顔で歩ける理由を少し考えてみてほしい。

 

「なーに?」

 

 わざとらしく首を傾げるロー。分かってやっている事は明白だ。

 

 死の外科医、トラファルガー・ロー。彼女の名は既に偉大なる航路(グランドライン)でも相応に轟いている。たった1年かそこらで、1億の懸賞首に成り上がった女海賊。未だ快進撃を続けるローは、事実として多くの勢力から注目されている訳だ。

 

 何より、数字は分かりやすい指標だ。この街ならば特にそうだろう。

 

 己の力を誇示している訳ではない。ローも自身の首に懸けられた賞金額に興味はないだろう。ただ海賊の街である以上は身の振り方を考える必要はなく、かつ同業に邪魔される心配もないのであれば意気も盛んになる。その気持ちは己にも少し理解できる。

 

「――いや、何も。それより早く宿を見つけよう。クルーも喜ぶ」

「当然」

 

 

 

 ★

 

 

 

 ジャヤに到着したのがつい数時間前の出来事。発端はローの一言だった。

 

「島の情報収集は私とツバメでやりましょう」

 

 従来ならば、船番ないし船の点検は己の役割だった。しかし昨日に体調を崩した手前、ローの判断に異を唱える事は中々困難である。そも反対する理由もない。ないが――

 

「構わないが、いいのか?」

 

 最悪を考えなくて良いのか。そう問う。

 

 如何なる島であろうと、偉大なる航路である以上は危険が伴う。万全を期すのであれば、俺かローが船に残るのが最適である。何せ互いの状態は心臓を通して分かるのだから。

 

「もう少し貴方は皆の力を信じなさい。貴方が鍛えた仲間(クルー)は皆精強よ」

「―――それは」

 

 信じる。その言葉は重く圧し掛かった。

 

 思えば己が過労に倒れたのも、仲間を信頼しきれなかったからだ。仕事を適切に割り振った上で、人事を尽くす。自分に足りなかった機能はそれだ。そういうところは、前世から何も変わらないな。

 

「お前に従おう。元より異論もない」

「それでよし。皆もそれで構わないわね?」

 

 問うまでない事の様に。各員はお馴染みの「アイアイ!!」と答えるのであった。大変元気がよろしくて結構、頼り甲斐がある。

 

「で、本音は?」

 

 皆には聞こえない様耳打ちする。するとローは悪戯っぽい笑みを浮かべて答えた。

 

「ショッピングに付き合って」

「承知した」

 

 

 

 ★

 

 

 

 とはいえ、ショッピングの前にまずは島の探索である。

 

 聞き込み調査の結果、モックタウンには大きなリゾートホテルがあると言う。高額だが落ち着いた雰囲気が売りなのだとか。

 

 潜水艦の生活は思った以上にストレスを溜めてしまう。日々の疲れを癒すのであれば、多少値が張ろうとも払うだけの価値はあるだろう。だから、これはその下見である。

 

 眼前には木造と石造を混合させた宿泊施設が。ただ外観はかなりこだわっている。どことなく南国の遺跡や寺院の様な印象を覚えた。

 

「成程。確かに海上の別荘って感じ。悪くないわね」

 

 看板には『TROPICAL HOTEL』とある。原作でも麦わらの一味が訪れた事があったような気もするが、流石に忘れてしまった。原作知識など、最早あってない様なモノである。

 

「ここにしましょうか。ローテを組んで、5泊6日くらい休むって感じで」

「良いんじゃないか?」

「あとは部屋が足りるかどうかね」

 

 ローが歩を進めた。受付に向かっていく俺もその後に続く。だがその前に――

 

「機を狙っているのなら無駄だが。如何する」

 

 振り返って告げる。先ほどから感じる敵意が多数。木や建物の裏に誰かがいると分かる。尾行の腕は悪くなかったが、如何せん覇気が強力に過ぎる。

 

 暫く睨みを利かせていると、我慢を忘れたゴロツキ共が死角からぞろぞろと現れる。数は10も届くまい。

 

「あら。相手してあげるの?」

「何、すぐに終わらせる。先に行っててくれ」

「そう。なら任せた」

 

 首肯して意に応える。細事に船長の手を煩わせるのも馬鹿らしい。

 

「舐めやがって。てめぇ、俺たちを誰だと思ってやがる」

「知らぬ。名乗りたければ名乗ると良い」

「聞いて驚け!! 俺たちは懸賞金6600万B(ベリー)の大物ルーキー、カムラン・ジョーの一味だ!!」

 

 声高らかに先頭の男が自らの所属を明かす。知らぬと答えたら、この男は更に憤慨するのだろうか。情報収集に手抜かりはないが、己は賞金稼ぎでもなし。流石に数千万程度の賞金首の顔を一々覚えてはいない。

 

「そうか。聞くまでもないが一応問おう。お前たちの目的は」

「もっと名を上げるってんだよ! 1億の首を討ち取りゃあ、俺たちは晴れて百獣の海賊団入りだ!!」

「百獣の?」

「そうよ! だから俺たちのために死んでくれってなぁ!!」

 

 思わぬ大物の名が出てきた事による戸惑い。だがその思考を深めるより先に、ジョーとやらの一味が飛び掛かってきた。力量はお粗末、文字通り瞬殺を実行する。

 

 覇気も、ましてや六式を使うまでもない。先日、海軍本部の中将が率いた艦隊と交戦した事があるだけに、猶更見劣りする様に思える。

 

 しかしながら実力に差があり過ぎると、手加減も中々困難である。全くおかしな話ではあるが、個体によって身体の頑健さが著しく異なるからだ。

 

 基本的には銃で撃たれたら人は死ぬ。だがある程度の実力者になってくると、弾丸の一発程度ならば余裕で耐える。理屈は分からないが、結論だけを述べると戦闘能力と耐久力は一定の相関性があるという事だ。存外、ここら辺も覇気と関連があるのかもしれない。

 

「――それで、百獣の海賊団とは?」

 

 己は、或いはローは人を殺める事を好まない。故に半殺し。暫くは療養生活を味わってもらおう。

 

 だがそれはそれとして、一人だけ意識を残した。聞きたいことがある。即ち百獣の海賊団に関する情報である。

 

 事実として、偉大なる航路の前半は基本的に四皇の活動領域外だ。だが木端な海賊が百獣の名を口にしている。それも武勲を上げて傘下入りを志しているのだという。何かがある。そう考えて良い。

 

「畜生!! てめぇただで済むと思うなよ!! 俺たちの船長がてめぇら全員をぶっ殺して――」

 

 これだけ全身を痛めつけられておきながら、吠えるだけの元気がある。素直に敬服の念を覚える。とはいえ、これは海賊同士の戦いだ。情けはあっても卑怯という言葉はない。

 

 

 ――故に腕の骨を折る。

 

 

「が、ああああああああ!!! 俺の腕がぁああ!!」

「人の骨は200本以上あるという。1本くらいなんだ。足りなければもう片方も折る用意はあるが」

「分かった、分かったから!! 話す、全部話すからやめてくれぇ!!!」

 

 嫌になる。即物的な行為、交渉ですらない。正に蛮族の所業である。しかし最も効率が良いのが()()なのだから、始末に負えない。

 

 痛みでのたうち回る男を冷ややかな目で見下ろす。拷問や交渉はローの管轄だ。今更ではあるが彼女を先に行かせたのは失策だったか。

 

「落ち着いたか?」

「……ああ、と言っても俺もあまり詳しくはねぇぞ」

「それで良い」

「……畜生」

 

 そうして男は語った。このジャヤに近いハンナバルという島で、海賊による海賊のための大規模なレースが開催されるらしい。問題はそのレースに参加する海賊の中に、百獣傘下の一団がいるのだとか。

 

「それで俺たちの首を持っていけば、傘下に下れると考えた訳だ」

「……まぁ、そういうこった」

「そうか。良く分かった」

 

 穏やかではない。一先ずローに伝えるべきだ。しかしその前に――

 

「さて、これで互いにつまらぬ因縁が出来た訳だが」

「……船長は誤魔化せねぇよ」

「そうだな。分かるよ」

「それでいて情けまでかけられて。カッコ悪ィったらありゃしない」

 

 男の発言に安堵した。彼が恥を知る者である事に。この島に滞在する海賊にしては、珍しく熱がある。

 

「気にするな。少なくともそちらから喧嘩を売らなければ、己から手を出すことはない」

 

 去り際に言葉を残す。別に気遣っている訳ではない。ただ互いに都合が悪いから、そうするだけだ。

 

「……糞が」

 

 男の悪態は聞かなかった事にする。願わくば、彼の海賊団と交戦する事が無ければ良いのだが。いや、意味のない思案か。

 

 

 





前々回、読者様の意見を反映する企画に需要があるか否かのアンケートを取りましたが、結果としては需要があるという事で。
専用の活動報告のページを作りますので、そちらの方に適当に案を寄せて頂ければなと思います。

Q:幻獣種にするくらいなら普通の動物系の方が良かった。そもそもこの作品に求めているものは主人公と女体化ローとの絡みであり、主人公が強力な悪魔の実で活躍することは期待していない。設定で魅力が半減している。
A:ごめんなさい
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