Re:ワンピース~俺の推しが女体化してるんだが?~   作:元ジャミトフの狗

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一度失踪しているというのに、ありがたい事この上ないです。
本当にありがとうございます!
引き続き応援して頂けたら幸いです。



第4話

 

 

 

 時が過ぎるのは早いもので、ローが同居人となって二か月。

 

 彼女と部屋を共有するにあたって、朝と晩の炊事当番は1日の交代制となった。ただし、その他の家事は気づいた方がやるという適当さ加減で。基本的には几帳面かつ潔癖なローがやってくれる。また昼はお互い自由に行動するから、昼餉の当番は無し。後はたまに彼女や()()()()()()の鍛錬に付き合ってあげるくらいか。

 

 そう、子分である。俺の知らぬうちに、ローは白クマの少年と目つきの悪いガキ二人を引き連れる様になっていた。何を隠そう、ベポ、シャチ、ペンギンのハートの海賊団トリオである。

 

「そういう訳で、彼らを鍛えてあげて」

 

 始まりはその一言だった。

 

 何がそういう訳なのか。本当に何の脈略もなく、ローは己が子分の教育を任せてきたのである。曰く、「貴方、暇なんでしょう?」との事だ。

 

 日を追うごとに、俺に対する遠慮がなくなっているような気がする。人と会話する事にどこか不安を覚えていた頃の彼女と比べれば、よほど良い傾向であると思うが。

 

 とはいえ、仕事を任された以上は徹底的に。そも洗濯掃除を彼女に任せ気味であるからして、これくらいは快く引き受けるのが筋だ。

 

 それに悪いことばかりではない。俺が彼らの施すのは戦闘における基礎理論。インプットした知識と技能をアウトプットするまたとない機会だった。

 

「さて、では始めようか。準備は宜しいか」

 

 己の問いかけに対し、無邪気に手を上げて応える件の子分たち。素直である事は純粋に好ましい。少なくとも、ニタニタと薄ら笑いを浮かべる少女と比べれば。

 

「今日は得物について少し語ろうか」

 

 俺の鍛錬はまず座学、考察から始まる。覇気の探求をする際に、仮設の実証と反証を繰り返す内に身についた癖ともいう。

 

「得物っていうと、武器の事ですよね?」

 

 シャチの言葉を肯定する。その上で、俺は問題を提示する。

 

「そもそも武器って何故必要なのだろうか。考えた事はあるか」

 

 一様に首を傾げる一同。しかしそれでも戸惑いがちに「戦うため、ですかね」とペンギンが答える。

 

「ふむ。しかし人は武器がなくとも戦えるぞ」

「いや、剣とか銃があった方が、簡単に、その……」

 

 彼は口ごもる。そこから先の言葉を忌避するかのように。

 

「そうね。武器があれば、人は簡単に人を殺める事が出来る」

 

 ペンギンの代わりに回答を口にしたのは、彼の親分だった。やはり意地が悪いようで、口元を小さく歪めている。ドフラミンゴファミリーにいた影響か、シビアな思考はお手の物なのだろう。

 

「ローの言う通り、武器は人を殺すための道具だ。まずはその事を念頭に置いて、この後の話を聞いてほしい」

 

 剣や槍、銃を始めとした得物。その至上命題は人を傷つける事である。故に、人はソレを()()()()()()()()()()

 

「君たち、武器を握ったことは?」

 

 俺が聞くと、シャチとペンギンは微妙な顔つきになる。なるほど、彼らの反応から推察するに、ナイフ程度の小さな得物なら触れた事もあるだろうが、慣れている訳でもないといった具合か。思いの外ピュアで驚いた。

 

 因みにベポは「おれは触ったこともない」とのこと。そりゃあミンク族だからね、素手で十分だ。

 

「さて、前置きが長くなったな。君たちは俺に鍛えてほしいというが、実はそんな事をしなくとも手っ取り早く強くなる方法がある。それは何だと思う?」

「……武器を使う事、ですか?」

「正解だ」

 

 道力という概念がある。

 

 世界政府の諜報機関、CP9のとある構成員が初めて口にした戦闘指数である。武器を所持した一般的な兵士の道力を10と仮定する。そして武器を所持しないとある男性の道力は9であった。

 

 この場合、その男性は生身の状態で武器を装備した兵士とほぼ同等の戦闘能力を有するという訳だ。しかし僅差とはいえ、武装した兵士が数値で上回るという事実を忘れてはならない。これは大変重要なことだ。

 

「武器を持つ。ただそれだけで人は強くなる。これは直感的に分かる事だ。ではもっと掘り下げてみよう。ベポ、今の話を聞いて君は武器を使った方が良いと考えたか?」

「……えっと」

 

 話を振られると思わなかったのだろう。ベポは慌てた様子で思考をめぐらす。その結果、苦々しい顔つきになりつつ首を振った。

 

「おれが武器を持ったら、たぶんすぐ壊しちゃう」

「そうだな。君はクマのミンク族だ。人間とは比較にならない膂力を持っている事だろう」

「……うん。ごめんなさい」

「謝る事はない。君は正しい」

 

 ベポの打たれ弱さは生来のものらしい。俯いてしまった彼の頭を撫でる。毛並みがきれいで、撫で心地は良かった。

 

「この通り、個人によって強くなる方法は変わってくる。例えばシャチとペンギン、君たちであればまず武器に慣れる事から始める。ベポであれば、その怪力を生かす事といった具合にな」

 

 この世界で戦闘能力を身に着けるには、まず己を知る必要がある。自分はどういう人間で、どういった事が得意なのか。そして、己を知ることは自信に繋がる。この自信というファクターが一番重要で、というのもこれが何れ()()()()に通ずるのだ。

 

「大事なのは己を知り、適切な自信を持つことだ。馬鹿げているかもしれないが、戦場では精神力が最後にモノを言うからな」

 

 承知したかと確認すると、3人は気前の良い返事を返した。やはり素直である事は美徳である。 

 

 

 

 その後、シャチとペンギンには刀や槍、手斧などの武器に実際に触れてもらい、しっくりくるものを選んでもらった。その結果、シャチは刀を、ペンギンは槍を選んだ。二人がじっくり吟味している間、俺とベポ、ローの三人で軽い組手を行っていた。

 

 そうして日も落ち、暗くなったあたりで解散と相成った。余談だが、あの3人は街外れに住むとある発明家の老人の世話になっているという。聞けばローもちょくちょく遊びに行っているのだとか。一度挨拶に伺った方が良いか。

 

「しかし、よくもこんなに沢山用意出来るわね」

 

 我が家から少し離れた物置小屋にて。ローは雑多な武具類を見ながら呟いた。

 

「無法者どもをしばいたら快く譲ってくれたよ」

「それは恐喝というのよ」

「なに、物種は多い方が良いからな。いざとなれば質に入れる」

「元の持ち主と何が違うのでしょうね、それ」

 

 小娘と軽口をたたき合う。

 

 いや。小娘というが、実のところ俺と彼女はそこまで年齢が離れていない。上から数えて己が17歳。ペンギンとシャチがそれぞれ15歳と14歳で、ローが13歳。最年少のベポが10歳である。うむ、こうして並べてみると、やはり皆然して変わらない餓鬼である事が分かる。

 

「……一つ、いいかしら」

「なんだ」

「貴方はあの理論をどこで学んだの?」

 

 あの理論とは。いや文脈を辿れば、それが俺の戦闘に関する方法論である事は明白だった。

 

「私は、多少だけれど格闘術や砲術、剣術の心得がある。だから貴方の主張を理解する事ができる」

「何が言いたい」

「ひょっとして貴方、海兵なの?」

 

 意外な言葉だった。どうしてそう思ったのか。

 

「いや、俺は政府の人間ではない。補足すれば、所属していた訳でもない」

 

 寧ろその逆と言えるだろう。今は昔。忌々しい記憶だ。

 

「そう。ならやっぱり不思議ね」

「?」

「貴方はまるで結論ありきで話を展開していた。シャチとペンギンに武器を選ばせたのもそう。そうする事が近道であると言わんばかりに」

 

 要領を得ないと感じた。恐らくロー自身も考えを整理しながら話しているのだろう。

 

「以前、貴方は自分の体術は独学だと言っていた。でもそれだけ体系化しているのなら、何かしら前身となるモノがあった筈」

 

 あまりにも鋭い指摘だ。彼女の言う前身、それは即ち――

 

「ツバメ。貴方、もしかして覇気が使えるのかしら」

 

 彼女の確信に満ちた言葉を聞いて思い出す。原作随一の知能犯は誰であったか。或いは、四皇を引き摺り下ろす策を考案したのが誰だったかを。

 

「……ああ」

 

 俺はローの言葉に対し、素直に頷く。その事実自体は知られても困る事ではないからだ。だが、だというのに隠していたかった。何故なら――

 

「そう。なら、お願い。私を強くして」

 

 彼女の瞳に宿った邪悪の色。奇しくもそれは、己が仇と同質のソレだった。

 

 

 

 

 

 

 

 





読者の皆様はサラダローを求めているのか。
それともヤンデレを求めているのか。
もしくはワンピースの考察を求めているのか。
比重に困るところですね。
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