Re:ワンピース~俺の推しが女体化してるんだが?~   作:元ジャミトフの狗

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本日の執筆開始時刻は12時で、執筆時間は3時間。
つまり何が言いたいのかというと、誤字脱字の恐れがあるという事です。
誤字脱字の報告、誠にありがとうございます。


第5話

 

 

 

 

 相対するは黒髪の少女。そのしなやかな指に握られた無頼の刀は、彼女の背丈ほどもある。凡そ女性が扱うには長すぎる得物。しかし――

 

「―――はぁっ!!」

 

 少女は深く踏み込み、長刀の切先が鋭い弧を描く。粗削りだが、見事な一撃だ。

 

 

 ――だが、まだ甘い。

 

 

 刃物の軌跡を沿うようにして、上体を逸らす。ただそれだけでやり過ごす事が出来る。

 

 見聞色の覇気。気配を読み、相手の動作を捉える。彼女が一歩踏み出した時点で、その攻撃は成立しないことが確定していた。

 

「このっ!!」

 

 少女とて理解している。だからこそ、初撃の不発を認める以前からで次の動作に備えていた。即ち、斬り上げと横薙ぎ。その二連がほぼ同時に繰り出される。

 

 末恐ろしい娘だ。どちらか一方でも直撃すれば致命傷となる。彼女が何の躊躇もなく振るう刀は、確かに人の命を奪うに値するのだ。

 

 対する我が身は無手。間合いという観点で見れば、少女に軍配が上がる。故に隙があるとすれば、それは二撃目と三撃目の間。一見すると空きの見えない()()にこそ、活路はある。

 

 長刀は空を切り裂く。立て続けに振るわれる横薙ぎの一閃。それが実現するよりも先に――

 

「剃」

 

 瞬間移動と見紛う程の速度を以て少女に迫る。己を迎え撃つにも、既に三撃目を振るわんとする少女の身体は追い付かない。

 

 故に勢いに任せて娘の服を掴み、そのまま転倒させる。その後の反撃を期待したが、どうやら引き出しは尽きたらしい。ならば、己の拳は彼女の顔面に振り下ろされるのみだ。

 

「痛っ」

 

 少女の鼻先を小突いた。手心を加える余裕がある。それが現状の俺と彼女の差だった。

 

「これでまた一本」

 

 事実を告げる。本日で10度目の宣言だった。

 

「……貴方、本当に強いのね」

 

 雪の大地に倒れこんだまま、いかにも彼女は、トラファルガー・ローは不満そうに頬を膨らませる。どうやら相当にご立腹の様だ。

 

 しかし容姿が優れていると損だなと思った。俺からすれば、その怒った表情は食料を頬袋にため込んだリスにしか見えない。だから正直な話、まるで怖くない。口にするともっと愛らしくなると思われるので、黙っているが。

 

「鍛えているからな」

「嫌味ったらしい」

「そんなつもりは無いが」

「知ってる。手も足も出ないから拗ねてるだけよ。忘れなさい」

「成程、承知した」

 

 手を差し出す。ローも躊躇なくその手を握った。引っ張り起こすと、如何に彼女が軽いか分かる。食生活を見直すべきか。女性とは言え、戦闘に身を置くのであればもっと体重がいるだろう。

 

「今日はここまでだな」

「……私はまだやれるけれど」

「前にも言っただろう。数は重要ではない。残りの時間は反省とその共有に回そう」

 

 何をしたか。何をしたかったのか。何が悪かったのか。何が出来なかったのか。質の良い鍛錬とは結局のところ、そうした地味な作業の繰り返しだ。

 

「分かった。貴方がそう言うのなら、素直に従うわ」

「不満か?」

「いいえ。ただ以前()()()になっていたところと勝手が違うから、少し戸惑っているだけ」

 

 以前世話になった。彼女が言うそれは、十中八九ドフラミンゴファミリーの事だろう。確か前にも砲術や格闘術、剣術を嗜んだとか言っていた。

 

「どんな訓練だったのか、参考程度に聞いても良いか」

「面白い話じゃないけど」

 

 それでもと頷く。するとローは一つ息をついた。彼女が言うには、基本的に痛みで覚えさせるスパルタ方式だったとか。蹴る殴るは当たり前。それも普通にボコボコにするし、何なら毎日のように意識を失ってたとか。

 

「それは、何というか。すごいな」

 

 俺が何とも言えない顔つきになると、「だから言ったでしょ」とローは呆れたように呟く。

 

「だがある意味、それも効率的と言える」

「というと?」

「基本的に人間は痛みを伴って学習する。刃物に直に触れると痛いから危ない。転ぶと痛いから、しっかり足を上げて歩かなければいけない。こういった具合にな」

 

 俺の言に対し、あからさまに嫌悪の混じった表情となる。俺の言いたい事が想像できたらしい。やはり敏い子である。

 

「何よそれ、まるで生まれたばかりの赤ちゃんみたいじゃない」

「だがそういう事だろう? 事実、君の教官となった者達からすれば君は赤子に等しかった訳だ」

 

 元は裕福な家庭の娘だ。戦い方も知らなければ、運動神経も子供の範疇を過ぎない。それを使い物になるようにしようというのだ。当然、()()()()()()を許容する必要がある。

 

「それじゃあ、貴方のやり方は?」

 

 ふと、ローはそんな事を聞いてくる。言葉の裏に不安が混じっている様に感じたのは、果たして俺の杞憂か。

 

「覇気を教えてほしいと言ったのは君の方だろう。だから最短ルートだ。そんな()()()()はしてられない」

 

 

 ―――お願い。私を強くして

 

 

 数日前の話だ。ローは沈痛な面持ちのまま、そう教えを乞うた。

 

 俺は彼女の過去を知っている。恩人(コラソン)の敵討ち。トラファルガー・ローの生きる原動力はソレだ。そのためなら相打ちすら考慮に入れる。死んでも殺す。そういう覚悟が彼女の瞳から垣間見えた。

 

 授けた技術が復讐に使われると分かっていながら。俺はローの頼みを断ることが出来なかった。その選択が正しいかどうかなんて、俺には判別がつかない。

 

 ただ共感した。

 

 恨みがあるから殺す。恩人を殺されたから殺す。その思想に異を唱えられる程、俺は善良ではない。だって分かってしまう。一度でも本当の殺意を抱いたら、それを止める事なんて到底できやしない。()()()()()()()からよく分かる。

 

「君の基礎は固まっている。なら改めて俺が教える必要もないだろうさ」

「そう?」

「そうだとも。ロー、君は強い。自信を持っていい」

「何よ。気持ち悪いわね」

 

 全く遠慮がない。ストレートな悪口は、いっそ心地よく感じた。

 

 こんな毎日が続けばいいのに。柄にも無く、そんな事を思うのだった。

 

 

 

 

 

「ところで覇気の存在はどこで?」

「黙秘権を行使するわ」

「そうか」

 

 

 





攻略されるのは何もヒロインだけではない。
主人公もまた攻略されるのです。
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