『文豪』が記すのは、大海賊時代の物語   作:宮川アスカ

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第6話 頂上決戦の幕開け

 

 麦わらの一味がくまによって世界各地へと飛ばされた日。世界を騒がすニュースが発表されていた。

 

 白ひげ海賊団2番隊隊長ポートガス・D・エースの公開処刑である。

 

 白ひげが監視船を全滅させた事により、海軍本部により一層緊張が走る。マリンフォードの港には、正義の名のもとに総戦力が次々と海軍本部へと集結していた。

 そしてこの件は海軍だけにとどまらず、王下七武海にまで影響を及ぼす。聖地マリージョアにて、既に招集を受けていた王下七武海にも、戦闘陣営が伝えられた。

 

 海兵の話を一通り聞き終えたナツメは、食事を取りながら7つあるうちの2つの空席を見る。

 

「海侠のジンベエは幽閉され海賊女帝は招集拒否か。幽閉はごめん被るが、私も拒否するべきだったかな」

 

「文豪、世界が動く場所にお前が来ないなどという選択肢はあるまい」

 

「流石はミホーク。私の事を良く理解しているじゃないか。ただ……見届ける方法などいくらでもある。態々政府に従う道理もあるまいよ」

 

 ナツメは隣に座る旧友に向かい、楽しそうに答える。最後の言葉に対し、目の前に座る海兵に睨まれるが、ナツメは特に気にする様子はない。ナツメら王下七武海は、政府側の人間というだけで政府に忠誠を誓っているわけではないのだから。

 

「そう言えば文豪……。お前シャボンディ諸島に居合わせたんだろ? 新世代の力はどうだったよ?」

 

「天夜叉。キミは相変わらず情報が早いな」

 

 ナツメはそう言うと、ミホークの向かいの席で行儀悪く新聞を読むドフラミンゴの質問に答えていく。

 

「そうだな、中々面白そうな男達だったぞ。勢いというのは恐ろしいものだな」

 

「フッフッフッ! 相変わらず食えねぇやつだな。まぁ、確かに歯ごたえがありそうなヤツもいるらしい……! 現に七武海が2人もやられたみたいだからなぁ」

 

「ゼハハハ!! 確かにおもしれぇ男だ! 麦わらぁ!!」

 

 ドフラミンゴはそう言うと、サングラス越しに見せる挑発的な笑みと共に、モリアの方を向く。そんなドフラミンゴにモリアが睨みをきかせる中、黒ひげの高笑いが響く。

 手にあまる様な曲者の揃い。ただ1つ分かるのは、同じ称号を冠しているだけで、彼らが一丸となって戦う事などまずありえないということだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 王下七武海がマリージョアに招集された6日後の正午。マリンフォードに暮らす住民は全て避難し、避難先のシャボンディ諸島には、巨大なモニターが設置されていた。電伝虫によって映し出されたその様子を、住民だけでなく、記者やカメラマンもまた、いち早く世界へ情報を流そうとモニターの前で身構える。

 

「おい見ろ! エースが出てきたぞ!」

 

 モニターの先には、手錠を繋がれ、交差する剣を前にし、処刑台の上に座るエースの姿が。

 海軍から出された監視船は全て撃沈。白ひげの情報も皆無。マリンフォードに走る緊張が高まり続ける中、エースの処刑まで残り3時間を切っていた。

 

「緊張を解くな! 何が起きても後3時間! そこで全てが終わる!!」

 

「「ウオオオオオオオ!!」」

 

 マリンフォード、海軍本部。世界各地から招集された名のある海兵達。総勢約10万もの精鋭達がにじり寄る決戦の時を待つ。

 

「海軍様は今日も今日とて元気なことだ」

 

 士気を高める海兵達を見ながら、やれやれと首を振るナツメの傍には、4名の曲者達が並ぶ。三日月形をした湾頭の最前線。そこが、彼ら王下七武海の持ち場である。

 

「随分と良い椅子に座ってお山の大将。一方私達は戦場の最前線。政府からしてみれば海賊の命はやはり薄いらしい」

 

「キシシ! いいじゃねぇか! 欲しい獲物がいたらソイツの死体は俺が貰う!! 文豪、無駄に傷つけるなよ?!」

 

「安心したまえ、元より私は乗り気でない。私よりもそこの野蛮人2人に言った方がいい」

 

 ナツメはそう言うと、ミホークとドフラミンゴの方を指さす。

 

「それにしても……。珍しく海賊女帝が来たかと思えば、今度は黒ひげが不参加か。キミがこの様な招集に応じるとは、どういう風の吹き回しだい?」

 

「ふん。妾とてあの方の事が無ければこんな所来ておらぬわ」

 

「ほう……。あの方……。それは誰のことかな? 随分と興味深い話だ」

 

 それを聞いたナツメの脳内は、既に戦争ではなくハンコックの話に興味を抱いている。自由人だらけの王下七武海。その例に漏れること無く、ナツメもそのうちの1人であった。

 

 そんな中、処刑台の上に海軍元帥、センゴクが姿を現す。

 

「諸君らに話しておく事がある。ポートガス・D・エース……この男が今日死ぬ大きな意味についてだ……!」

 

 電伝虫を繋ぎ、発せられたセンゴクの声にマリンフォード内がザワつく。それもそのはずだ。エースが処刑される理由など誰もが理解している。白ひげ海賊団2番隊隊長。その名だけで処刑する理由になり得る。それを今更何故と海兵達が思う中、ナツメはどこか面白そうな顔をする。

 

「ふふふ……。海軍本部、いや、世界政府め……やはり何か隠していたな?」

 

「フッフッフッ! 文豪、お前何か知ってる様だな」

 

「いや、火拳の処刑の話を聞いた時から少し違和感があってね。確かに四皇白ひげ海賊団の名は強大なものだが、ここまでする必要があるかい?」

 

 公開処刑となれば戦争は免れない。数多くの海兵が命を落とす事になる。白ひげとは言え、海賊団の一隊長にそれほどの価値があるとはナツメには思えなかった。

 それと同時に思うのだ。まるで海賊王の処刑だな、と。

 

 ナツメとドフラミンゴが話をする一方で、センゴクの話は進んでいく。

 

「とある男の死から1年と3ヶ月を経て、世界最大の悪の血を引いて生まれて来た子供。それがお前だ。知らんわけではあるまい……」

 

 少しの溜めと共に訪れる静寂。そしてセンゴクはゆっくりと、しかしハッキリと口を開く。

 

「お前の父親は!! 海賊王ゴールド・ロジャーだ!!!」

 

 ──!!? 

 

 マリンフォードに驚愕が走る。中継で繋がっているシャボンディ諸島は今頃大騒ぎだろう。ただ、海軍本部では目の前で明かされた真実の大きさに、誰も声を出せずにいた。

 

「ロジャーの……息子……?!」

 

 最初に声を発したのは誰だっただろうか。その言葉を皮切りに、1人、また1人と声を上げていく。

 

「火拳が海賊王の息子……これは驚いた……! しかしそうか……確かにこれなら公開処刑をするにも辻褄が合う」

 

「ほう。お前にも分からぬ事があるか」

 

 顎に手を当てるナツメに、ミホークは珍しいものを見たと密かに笑う。

 

「私にだって分かない事、知らぬ事はあるさ。故に旅をしているのだから。初めから全てを知っているなど面白くなかろうよ」

 

 ナツメ自身、白ひげやエースとある程度の関わりがあるが、エースはこの事実をどうやら酷く嫌っている様であり、エース自身が話さないのは勿論、息子への愛の強い白ひげが話す事もまたありえない。

 

「センゴク元帥! 報告します! 正義の門が誰の指示もなく開いています!!」

 

「何だと?!」

 

 そんな時、1人の海兵から、センゴクへと報告が入る。開くはずのない正義の門が開く。ただでさえ複数の事に対応する余裕がない中、問題は次から次へと訪れる。

 

「来たぞぉー!! 全員戦闘態勢!!」

 

 突如として現れた数多くの海賊船。その数なんと43隻。何れも新世界に名を轟かせる白ひげの傘下となる海賊団の中に、白ひげ海賊団の姿は未だ見られない。

 海兵達が血眼になって探す中、1部の者達がピクリと、とある気配を感じ取る。

 

「これはまた面白い方法を考えたものだ」

 

 ナツメの声と同時に、湾内海底に巨大な黒い影が浮かび上がる。

 そして次の瞬間、激しい水しぶきと共に、白ひげの船、モビーディック号とそれに続く3隻の船が海面へと出現する。

 

「グラララララ! 何十年ぶりだ? センゴク。愛する俺の息子は、無事なんだろうな……!!」

 

 愛する息子の為、四皇の一角が海軍本部へとついに姿を現す。

 白ひげが両腕を横に広げると、その先の大気に、ヒビが入る。海震によって、海は盛り上がり爆発を見せる。

 

「オヤジ、みんな。俺はみんなの忠告を無視して飛び出したのに……。なんでなんで見捨ててくれなかったんだ!! 俺の身勝手でこうなっちまったのに!!」

 

 鉄の掟を破った自身の部下を追い、その自身の部下、黒ひげに王下七武海の称号と引き換えに政府に渡されたエース。仲間達は、黒ひげを追おうとするエースを止めた。それを強引に振り切った事を、彼は今でも後悔していた。しかし、そんなエースの言葉に、白ひげはケロッとした顔をする。

 

「いや、俺は行けと言ったはずだぜ? 息子よ」

 

「……?! 嘘つけ!! 嘘言ってんじゃねぇよ!! あん時あんたは止めたのに俺は……!!」

 

 しかし白ひげは、白ひげ海賊団は己の意志を曲げない。

 

「俺は行けと言った。そうだろマルコ?」

 

「ああ、俺も聞いたよい。とんだ苦労をかけちまったなエース!」

 

 この海じゃ、誰もが知っている事。それは、彼ら家族に手を出したらどうなるかという事。

 

「お前を傷つけた奴は誰1人として生かしはしねぇぞ! エース!!」

 

「待ってろ! 今助けるぞおおおお!!」

 

「海軍本部覚悟しろー!!」

 

 先程まで海軍の士気が上がりきっていた空間が、海賊達の雄叫びへと塗り変わる。そんな時、激しい揺れと共に地鳴りが起きる。

 

「そら来たぞい。さっきあいつが仕掛けた海震が、津波に変わってやってくる……!」

 

「戦力で勝ろうが勝ちを確信するなよ! 最後を迎えるのは我々の方かも知れぬのだ……! あの男は──世界を滅ぼす力を持っているのだ!!」

 

 海軍の英雄の声が、元帥の声が再び海兵達の気を引き締める。

 

「遂に戦争が始まるか……。何百人、何千人の命が失われようと、私は最後までこの歴史の1部を見届けよう」

 

 喧騒の中、ナツメは小さく呟く。

 

 攻め入るは、白ひげ率いる新世界47隻の海賊艦隊。

 

 迎え撃つは、政府の二大勢力。海軍本部、王下七武海。

 

 誰が勝ち、誰が負けるか。今、時代を変える大きな戦いが始まる。




凄いどうでもいい情報ですが、作者はONEPIECEだとボンちゃんが1番好きです。ああいうビジュを笑いに全振りしてるけど、凄い強かったり中身凄いかっこいいキャラに惹かれます。他作品だとNARUTOのマイトガイとかですね。
まぁ、今回の話でボンちゃんが出て来たわけでもないので本当に凄いどうでもいい話でしたね。失礼しました。
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