Memento Mori~希死念慮冒険者の死に場所探し~【最新話からイマドキのサバサバ冒険者に統合】   作:埴輪庭

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2章・第9話:不穏な勲章授与

 

クロウとシルファが客室兼控え室に入ると、死闘を共にした仲間達から笑顔で迎えられる。

栄誉を讃える式典には当然セイ・クー、シャル・ア、ガデス等もよばれていた。

 

彼らはクロウ達より一足早く王宮へ到着して客室で衣装直しなどをしている。ドゴラは来ていない。拒否したのだ。彼は森の民だからね、とセイ・クーが苦笑混じりに言う。

 

━━確かにこういうのは嫌いそうな人だったな

 

何となく納得するクロウの眼前を、すたたたと女性が早足で横切っていった。重心がぶれていない、見事な歩法。

それでいて独楽鼠の様にくるくると動き回る侍女達の足捌きに見とれていると

 

「やあクロウ。女性の脚が好きなのかい?君もそういう事を考えるんだね」

 

セイ・クーがニヤニヤしながら言ってきた。

 

「久しぶり、セイ・クー。いや、凄い動きだなって思ってさ。俺なら目を回しちゃうよ」

 

クロウが答えると、セイ・クーはうんうんと頷く。

彼女等はいざという時の盾でもあるからね、と言うセイ・クーの言葉に首を傾げるクロウ。

 

彼が言うには、侍女達は優れた護身の術を修め、いざという時には不逞な輩を貫くナイフとなり、またその凶刃から貴人を護る盾となるそうだ。

 

「ライバルってことか」

 

クロウが険しい目で侍女達を見ながら言うと、セイ・クーはきょとんとしていた。

 

「君は侍女になりたいのかい?ちなみにうちのシャル・アも似た様な仕事をしていたんだ」

 

フゥンとクロウがシャル・アを見つめると彼女は意味ありげに笑みを返した。

 

(セイ・クー。シャル・ア。同じ国出身なんだろうか?)

 

クロウの内心を読んだのか、まあその内話すよ、とセイ・クーが言った所で

 

『皆様方、式典のお時間です。どうぞこちらへ』

 

 

 

【挿絵表示】

 

『月冠付騎士聖銀円章を与える』

 

クロウ達には名誉のメダリオンが授けられた。

これは所謂勲章の様なものだ。

月はアリクス王国の聖なるモチーフである。

今回授与されたものは月のモチーフの勲章だが、この上位の物になると剣も追加される。

 

剣の由来は初代アリクス国王がまだ一介の剣士だった頃、遠い地にて月魔狼フェンリークと呼ばれる強大な魔物を討ち果たした際に振るっていた剣、月割りの魔剣ディバイド・ルーナム。

 

そして月はフェンリークである(フェンリークは月の出ている夜は不死とされていた)。

 

メダリオンは大きく、王国で多く流通している銅貨と比べても何倍も大きい。

 

1つ1つ手が掛けられて造られており、月冠付騎士聖銀円章は平民に手が届く勲章でも上から2番目に格が高い。

 

 

と言う事でなんだかんだで式典は無事に済んだ。

恭しく二言三言返事をするだけなのだから今のクロウには簡単な事だった。

 

王宮ではちょっとしたアクシデントはあったが、それも無事に乗り越えたし、未来への希望(死)の萌芽も見つけクロウとしては十分に満足のいく1日だったと言える。

 

━━俺達のした事が国の偉い人にも認められた

 

ガスが少ししかない100円ライターの様な扱いをされていた前世とは大違いではないか、とクロウは内心喜んでいた。

 

「こういうのなんだか嬉しいな」

クロウが無邪気に言うと、仲間達も微笑ましい気持ちになる。

 

「もっともっと、集めたくなってきちゃったな。この前のエルフは他の地域にはいないのかな?」

クロウが無邪気に言うと、仲間達は何だか嫌な予感を覚えた。

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