被害を確認したところ、一番の重傷がラディッツ、次いで俺。さらに悟空、ピッコロ、クリリンが同程度だがピッコロは自力回復済み。そして悟飯、天津飯、餃子、ヤムチャが続く。
ちなみに犠牲者ゼロで済んだ理由としては、降ってきたアタックボールをかめはめ波で郊外に吹き飛ばしたらしい。なるほどだいぶシンプルな理由だった。つーかアタックボールを壊さず吹き飛ばすだけの力加減すげえ。
ヤジロベーが持ってきてくれた二粒の仙豆は俺とラディッツでもらい、残りは病院で手当を受けたあとカメハウスに集合した。神様の代理でポポもやってきた。サイヤ人の襲来から一日が経過していた。
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「うおっ、本当にかてえ」
「だろ。カブトムシがイメージ元です」
悟空から要望があったので例の界王拳モドキを使ってみせる。見た目は一切変化していないのだが、うすくまとった気は装甲のように硬く、叩くと硬質な音がする。
これのすごいところは、戦闘力を倍化しても気の消費量が界王拳より少ないところだ。というかそれが目的でわざわざ開発したところがある。そのせいか、倍率も界王拳より大きめなので便利だ。この世界の文化とずれているので俺以外の習得難易度が高いのが難点といえば難点だろうか。
「それ、なんていう技なんですか?」
「決めてなかった」
「えーっ。名前つけてくださいよ」
「名前か…‥.」
界王拳モドキ、じゃ納得しないだろうし……なんだろう、いい名前あるかな?装甲、鎧、気を使って…….あっ
「んー……じゃあ、臨気凱装で」
「りんきがいそう?」
「うん」
ちょうどいい名前があった。前世俺の人生唯一の推し夫婦の技名から拝借することにしよう。臨ってなに?って聞かれても答えられないけど。
そんな話をしていると、チチやポポが全員分のお茶を持ってきてくれた。俺も持参したお菓子を並べて、一息つける状態になったところで改めて話し合いの体勢になる。
「とりあえず、サイヤ人の襲撃を犠牲ゼロで乗り切った。これは快挙だから素直に喜ぼう」
「そんなにすごいことなのか?」
「確かに、あいつらはヤバかったな……サイバイマン一族がいなかったら危なかった」
「で、だ。根本的な疑問として、あいつらそもそも地球に何しに来たと思う」
「それなら戦いのときに言っていたな。不老不死になりにきたと」
「不老不死ィ?ドラゴンボールで?」
不老不死を求める気持ちがわからん、というのは置いといて。ドラゴンボールの情報が漏れていたのだろうか?だとしたら何故ナメック星に行かなかったのだろうか。
「いや、二人はドラゴンボールが地球にあると思ってなかったみたいだぞ。ピッコロの顔を見てナメック星人とか、願い玉を使ったのかとか、色々言ってたけどな」
「?じゃあなんで、地球で不老不死になれると思ってたんだ?」
「それが……昔、地球で不老不死を叶えたサイヤ人がいるらしいんだ。マレビト、長生きしてるんだろ?何かしらないか?」
「俺か……俺は長生きしてるのは単なるバグみたいなもんだしなあ。名前分からんの?」
大体俺、地球に来たのは悟空に拾われた時が初めてだぞ。大昔に不老不死叶えてそうなの誰だっけ?シャロットとかヤモシとかかな……いやどっちも違うな。
つーか、話聞いてるとナメック星にドラゴンボールあること知ってるんじゃん。実例がある地球を優先した理由も分からなくないけど。
「ま、あいつらがこれから行くとしたらナメック星だろうな。一旦地球侵略は諦めたと思っていい……そうだな、ラディッツ」
「ああ。そもそも地球は飛ばし子で十分と判断される程度には辺境だからな」
「でもベジータに不老不死されると嫌だな……ん!?あいつスカウター付けてたよな!?フリーザに聞かれてる可能性ない!?」
「可能性は十分にある」
「嘘だろ!?」
フリーザにドラゴンボールの存在割れてんの!?しかもナメック星に行ってるとしたらやばいだろあそこナメック星人の本場だぞ!?
「えっと、その、フリーザってそんなにヤバい奴なの?」
「うん。何故なら大勢のサイヤ人を惑星ごとぶっ壊した奴だし。ナメック星人皆殺しとか破壊とか普通にやると思う」
「な、なんでサイヤ人を全滅とかそんなことしたんだよ……」
「超サイヤ人を警戒していた……と、親父は言っていたな」
「あっ成程。確かにあれはなぁ」
「見たことあるのか」
「あるよ〜大昔の話だけどな。ラディッツは無いのか」
「親父は昔なったとは言っていたが……見たことはないな」
「ねえ、質問いい?」
ラディッツと超サイヤ人の話で盛り上がっていると、ブルマが手を挙げて質問してきた。盛り上がりすぎたな。
「うん」
「超サイヤ人ってのも気になるけど、孫くんとラディッツのお父さんってどんな人なの?」
視線が、ラディッツに集中する。ラディッツはひとつ大きな息を吐いて、じっと悟空を見つめた。悟空もまた己のルーツが気になるのか、真面目に話を聞く体勢になる。
「俺とおまえの父親の名前はバーダック。フリーザにたった一人で立ち向かった、誇り高きサイヤ人だ」
「バーダック……」
「バーダック」
「バーダック!?」
順番に孫悟空、ポポ、俺で名前に反応した。ポポが何故か反応したのは置いておいて、いやあの。
めっっちゃ聞き覚えのある名前なんだけど。
「知っているのか?」
「んー……昔世話になったことがあるというか、一緒に旅してた期間があるというか」
「なのに親子だって分からなかったのかよ」
「仕方ないだろ、サイヤ人の下級戦士って顔のパターン少ない上に雰囲気だいぶ違うんだし。でさ、ミスターポポはバーダックのこと知ってんの」
「バーダック、先代神様の名前」
「は?」
「は?」
おい待て。
いまなんつった。
「なにやってんだ親父のやつ……」
「先代って、何百年も前だろ。サイヤ人の寿命は百年くらいのはずじゃなくて?」
「先代神様、千年くらい前に地球に来た。そこで不死鳥の力で不老不死になった」
「地球で不老不死になったサイヤ人お前かーーー!!!」
つーかいろんな謎が解けたわ!!!
何故か地球の神様仙人に俺のこと引き継がれてたのも、サイバイマン一族とかいう謎の一族がいたのも、不老不死のサイヤ人の噂も、全部お前が原因じゃねえか!!!
「……?オラの父ちゃん、千年前にいたのか?」
「仮説だけど、バーダックはフリーザに負けてそのあと何故か千年前にタイムスリップしたんだよ。その後惑星サダラで俺と会って、別れたあと地球で神様やって、現神様に業務引き継いで惑星ベジータ消滅のあとにラディッツ拾ったのが流れじゃないかな」
「ややこしいのう」
「とりあえずバーダックは二人の親父で、フリーザの敵で、元神様で、超サイヤ人って思っとけばなにも間違いないから」
元神様の肩書きが浮きまくってる気がする。バーダック間違っても神様とかするような性格じゃないと思うんだ。つーかバーダック地獄行き確定してるようなものじゃん。いいのか?死後地獄に行く神様でいいのか?
「その、超サイヤ人ってのは?」
「サイヤ人の進化形態でな。こう、髪が金色になって、戦闘力がめっちゃ上がる。ただしなかなかなれない。俺もなれない」
「へー……」
あ、めっちゃ悟空の目がキラキラした。なりたいんだな超サイヤ人。ラディッツもわかると言わんばかりに頷いている。お前もか。
「超サイヤ人になりたいのは分かるけど、目下の問題はフリーザとベジータがナメック星でドラゴンボール集めようとしてることだからな」
とりあえず会話の軌道修正。なんかバーダックの話題ですごい脱線した、気がするなあ。
「とりあえず俺はナメック星に行くつもりだけど、どうする?地球に直接関係ないから、判断は任せるとしか言えないけど」
「俺は行く。俺の生まれ故郷だという、その星を見て、戦いたい」
今までずーっと黙っていたピッコロが真っ先にそう言った。予想通りの反応だ。
そして、悟空とラディッツもベジータの厄介さを知っているからか、ナメック星行きを主張した。とりあえず、ナメック星に行くのは確定事項として良いだろう。肝心の宇宙船は、ナッパのものやラディッツのもの、あと神様や昔の悟空が乗ってきたやつを改造するということで段取りがついた。ぬるい茶を飲んで喉を潤していると、じいっと全ての視線が俺に集まった。
「じゃあマレビト、頼む」
「…………あっこれ俺が方針決めるやつ?」
「むしろおまえ以外に適任はいないだろうよ」
「えー責任重大じゃん……ちょっと待って、考えるから」
ふー、と一息ついて目を閉じる。フリーザ軍の戦力、こちら側の戦力、移動距離、方法……考えることは山ほどあるのだ。
さて、どうしたものか。