これは、あの日のふたりを別目線で書いた物語。
(別作者様が書いたオリジナルのアンサー小説です。許可いただいてます、詳しくは後書きにて)

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春の雪〜Another story〜

春に降る雪を何て言っただろうか。

確かエンジェル‥‥そうだ、天使の涙(エンジェルティアー)だ。

危ない危ない、もし忘れていたら隣の部屋の彼女に怒られるところだった。

 

僕が遥歌(はるか)ちゃんに出逢ったのは、まだ学生の頃。

いつ好きになったのか、それは僕もわからない。

彼女と話して、彼女と遊んで、彼女と長い長い時間を一緒に過ごして。

多分その中のどこかで好きになったのだが、果たしていつだったのだろうか。

これも間違いなく怒られるから内緒。

カノジョに聞かれても絶対内緒。

 

「花奏くんっ!」

 

右腕への衝撃によろけそうになりつつそれを受け止める。

なぜかジト目で睨みつけられる。

 

「せっかく素敵な服を着ているのに感想は無いんですかー?」

「言う前に飛びついてきたのはどこの誰かな?」

「あーあー、聞こえませんっ。感想は3秒以内にどうぞ!」

 

学生の頃から何も変わらない姿に思わず笑みが溢れる。

彼女の親戚の琴葉さんが見たら、"ハルは相変わらずだねぇ"って苦笑されるだろう。

頬を膨らませる彼女の頭を、ぐしゃぐしゃにならないよう優しく撫でる。

 

「めちゃくちゃ綺麗だよ、遥歌ちゃん」

「‥よろしいっ♫」

 

初めて会った日から数十年。

彼女との日々は色褪せることを知らなかった。

 

と、遥歌ちゃんが窓の方に行く。

そして空を見上げた。

 

「降らないねー」

「今日は少し気温が高いみたいだから」

 

家を出る前に見た天気予報を思い出す。

個人的にはせっかくの日だし、晴れている方がいい気もするが彼女は違うらしい。

テーブルの上のティッシュを何枚か抜くと丸め出す。

 

「ねーねー、花奏くん。雪を降らせたい時って、てるてる坊主どう吊るしたらいいの?」

「さあねー」

 

雪を降らせる方法なんて、僕も聞いたことがない。

彼女は、てるてる坊主君を斜めにしたり寝かしたりと色々している。

あ、逆さはやめて。さすがに雨が降ったら笑えない。

 

「むぅー」

「こらこら、いつまでも膨れてないの」

 

と、係の人に時間だと声を掛けられる。

暴れ回ったせいで髪を直さなくてはならなくなった彼女は先に部屋を出て行く。

僕も後を追いかけようとして───窓辺のてるてる坊主くんをポケットへ。

 

 

会場のアナウンスを扉の前で聞きながら待機していると、彼女がやってくる。

だが、その横には。

 

「んーと‥‥なんでこの子がここに?」

「いいじゃない、せっかくなら一緒に歩きましょうよ」

「‥君がいいなら」

 

その小さな影は、彼女の手を離すと思いっきり僕に飛び込んできた。

 

「パパ〜!」

「よしよし、キミも一緒に歩こうね」

「うんっ!」

 

元気よく返事する僕らの天使。

ふと、思いついたことがありカノジョに耳を寄せる。

 

「なぁに?ふたりで内緒話?」

「いや、なんでも。それよりそろそろだよ」

 

アナウンスも僕らを呼び込む文言になる。

扉が開くと、彼女ではなくカノジョと手を繋ぐ。

元気よく歩き出す2人にやっと付いていきながら数日前のことを思い出す。

 

カノジョにふたりの結婚式を見せてあげたい。

そう遥歌ちゃんに言われて僕は二つ返事で了承した。

前回ので慣れたのか準備はとてもスムーズに進み当日へ。

流石に規模は10年前より控えめだが。

 

そして、僕らの天使はこの素敵な日に色を添えてくれる。

 

「わぁ、花奏くんっ!」

「きれい〜♫」

 

窓の向こうには、あの日と同じ"春の雪"が降っていた。

僕とカノジョが繋いだ手の中のてるてる坊主君、そして"天使の笑顔(エンジェルスマイル)"が降らしてくれた雪。

 

「花奏くんっ」

「パパっ」

 

きっと僕はふたりにずっと引っ張られていくのだろう。

そして、きっとあの日始まった幸せもずっとずっと続くのだろう。




コンバトラー!くーさんこと露草です。この小説は仲良しの空蓮先生の書いた短編"春の雪"のアナザーストーリーです。
元になった小説はヒロイン目線でしたが、僕は男性(旦那さん)目線で書いてみました。
"彼女"と"カノジョ"で遊んだり、オリジナルの登場人物を出したりとだいぶアレンジしちゃいましたが果たして許してくれるでしょうか?笑
元になった"春の雪"もめちゃくちゃ素敵な作品なので是非読んでみてください。
第二回またやろーねっ、空蓮先生♫

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