時は深夜、草木も眠る丑三つ時……というわけではないが廊下の電気も落とされるぐらいには遅い時間。今日もマスターである自分はハードなスケジュールをこなし、後は寝るだけとなっていた。そうだ、カーマを愛でよう。
カーマのマイルームに入ると寝ているカーマがいた。日によって変わるが今日は一臨の姿である。静かな寝息を立てながら、布団にくるまり胎児のように丸まって寝ている様子はなんとも可愛らしい。普段は小憎たらしい嘲るような笑みを心がけているようだが、こうなってしまえばただの美しく可愛いカーマちゃんヤッターである。
顔はもちろんのこと、薄い紫色の髪もさらさらとして美しい。以前に三臨の長髪を触らせてもらったことがあるが、ハリがありながら柔らかく、触れた指に吸い付くように絡まりながら流水のように抵抗なく手で透くことが出来るという不思議な味わいであった。その頭をなでてみる。
「んっ……」
カーマはくすぐったかったのか一つ吐息を漏らしたのち、何やら薄い笑みを浮かべた。まるでなでると喉を鳴らす人になれた猫のようである。普通髪というものは乱雑になでてしまえば乱れてしまうものであるが、細やかでつややかなカーマの髪は乱れることがない。無論自分も気をつけてはいるがここまでまとまりの良い髪もそうそうないだろう。
起きているときにも頭をなでさせてくれるのだが、耳まで真っ赤になりあまりにもいっぱいいっぱいな様子でなんとなく申し訳なくなってしまうため、こうしてなでまくることが出来る機会は貴重だ。
……それにしても気持ちよさそうに寝ている。さっきからカーマのにへら笑いが止まらないので若干気味が悪い。よく眠り、よく食べることは日々の活力のために大切である。今日のカーマはご飯を大盛り三杯食べていたとはエミヤの言葉だった。カーマが自分と食べるときはぼーっとして手が止まることも少なくないので小食なのかと思っていたがしっかりと食べられているようで何よりである。
そろそろ次のフェイズに移る。カーマをなでる手をいったん止め布団の中に入る。カーマを抱き枕にしようと思ったのだが、カーマの方から抱きついてきた。
「マスターさーん……えへへ」
どんな夢を見ているのだろうか、寝言で自分のことを呼ばれた。そしてそのまま胸に顔を埋めてくる。こちらも対抗して苦しくない程度に抱きしめる。一臨のカーマはすっぽりと腕の中に収まる大きさで抱き心地が良い、大きいカーマの肉感的な感触も非常に素晴らしいものであるが今はとにかくぎゅっとしたい。
「すぅぅぅ……うーん❤️良いですねぇ❤️まるで本物みたいなマスターです。……ってあれ?」
「おはよう」
「?……???……えっ本物?」
「本物」
「夢じゃないんですか?」
「現実」
「?……!ちょっ!ちょっと離してください!だいたいなんでここに居るんですか?!乙女のベッドの中に無断で入るとか変態ですか!」
「いやだ。勝手にベッドの中に入ってきたのカーマだし」
勿論嘘である。
「えっ……どういうことですか?」
「いやその通りの意味、俺が部屋で寝てたらカーマが入ってきて、そんでベッドに潜り込んだと思ったら抱きついて寝だしたんだよ」
「えぇぇ!?いや、でも、まさか?えっ、本当ですかそれ!?」
「嘘だけど?」
「ですよねぇ!ここやっぱり私の部屋ですし!……えっと、で、何しにきたんですか?」
「カーマを愛でにきた」
「はぁ?……?」
何かいつもよりカーマの返事が遅い。寝起きで頭が回ってないのだろうか。
「……ははーん、そういう事ですか。ふっふっふ、ついにマスターさんを堕落させる事に成功しちゃったみたいですねぇ?さぁどうぞ♥好き勝手にその欲望をぶつけて下さい。どれにします?可愛く我儘な私ですか?それとも恋人のような私でしょうか。魔王のような私、でもかまいませんよ?さぁ。どの私がお好みですか?」
「カーマ」
「……はい?ああ、いえ、私が読み取った方が早いですね。ふむふむ、もうちょっと大きいのがお好みと。では、はい、どうぞ。……さ、最初はキスからですか?!」
カーマが俺の足から胸部ほどの大きさになり、目をつぶった。俺はカーマの足に自分の足を絡め。カーマの頭を持って肩の上に抱く。……カーマの吐息とおぼろげながら心音が聞こえる。カーマは普段体温が低いが、こうして触れ合っているとすぐに暖かくなってくる。今日も良い具合だ。これならよく眠ることが出来るだろう。
「(……まだかな?)」
薄い本みたいに食事にナニを混ぜて令呪で食べさせる系の愛で方も考えましたが……やめました。
次はカーマに愛でられる話書きます。