昨日道を歩いていたらムカデと遭遇し、悲鳴を上げながらそんなことをふと思ったので書いてみました。
暇つぶしのお供にどうぞ。
苦手な人はブラウザバックお願いします。
オレ「ぴぎゃあぁあぁあああああぁぁぁぁぁぁあああああぁ!!!」
2歳の時、オレの悲鳴が屋敷全体に響きわたった。
それは仕方ないことである。突然オレの身体から、蟲がたくさん這い出てきたからだ。
オレは「虫はこの世から一匹残らず消え去ってしまえばいい……!」と思うほどの虫嫌いだ。
それが自分の肌を突き破って大量に出てきたのだから、悲鳴を上げるのは当然である。
オレの名は油女シキ。虫嫌いの転生者だ。
しかし、これは困ったことになった。どうやら油女一族は蟲を使って戦う一族のようだ。
生まれてまだ2年しか経っていないが、早くも詰んでいるように思える。
要は、戦う術がないということだ。
オレはきっとこの世界で早死にする。そうに違いない。
オレは弱冠2歳にして、全てを悟った気分になり絶望した。
……いや、待て。確かドラえもんに似たようなのがあったはずだ。
ハチの顔をした人間が多数集まり、大きな鬼や神様の幻を構成していたモノ。
あれは進化退化放射線源で進化した昆虫(たぶん)だから、オレの操る蟲でも似たようなことが出来るのではないか?
例えば、蟲達に巨大な鬼の幻を構成させて、相手が怯んだ隙にオレがすかさず強烈な蹴りで仕留める、という感じで出来ないだろうか?
出てきた蟲に様々な幻を構成してもらえば、うごめく蟲を見なくてすむのでは?幻が解ける時に、直視しないようにすれば大丈夫ではないだろうか?
それでもやはり這い出てくる蟲は見たくないので、サングラスではなく顔全体を布で覆うことにしよう。双星の陰陽師の
そして蟲達に顔からは出ないようにお願いする。こればかりは、蟲達に協力を仰がないとどうにもならない。顔から出てこられると、布で覆っている意味がなくなる。
服は常に大きいものを着よう。これで肌を突き破って大量に蟲が出てくるという、ショッキングな光景を見なくてすむ。ついでにこちらの動きも読みづらくなり一石二鳥。
蟲を見る機会が多い油女一族内でも、比較的快適に過ごせるはずだ。
そのことに思い至ったオレは、希望を見いだし生きる気力を取り戻したのだった。
・・・・
シノ「……どこへ行った?」
油女シノはある人物を探していた。
シノの双子の弟である油女シキだ。
シノ達は、もはや恒例となりつつあるかくれんぼをしている最中だ。
いつもはシキがジャンケンに負けて鬼になるのだが、今回は珍しくシキが勝ったようだ。
シキは類い希な隠遁の才能を発揮したため、シノはシキ探しに難航する羽目になったのだ。
シノは、このままでは自分が負けてしまうと焦っていた。しかし、蟲を使う気配は一向にない。
シノはシキの蟲恐怖症を知っている。シキは生意気だが、可愛い双子の弟であることに変わりない。「遊びの時くらいは蟲から解放してやりたい」という兄心から、こうして遊ぶ時だけは蟲を使わないでいた。
だが、シノ自身の感知能力ではシキを見つけ出すことは出来ず、我が弟ながら恐ろしいヤツだと内心おののきながら屋敷内を捜索している時。
トルネ「ん?シノか。こんな所でうろうろしてどうしたんだ?」
義兄であるトルネが声をかけてきた。
シノは、今の自分ではシキを見つけることは不可能であると判断し、トルネにシキを見かけなかったかを聞くことにした。
シノ「トルネ、シキを見かけなかったか?全く見つからない」
トルネ「へぇ、今回はシノが負けたのか。珍しいな」
シノ「悪いが時間がない。早く答えてくれ」
トルネ「お、おう。オレは見てないぞ。にしてもえらく焦ってるな」
シノ「当然だ。何故なら今回のかくれんぼでは3時のおやつを賭けているからだ」
トルネ「そうか……シキなら、虫が出にくい所を探すといいんじゃないか?」
シノ「!なるほど……助言、感謝する」
トルネ「おう、行ってこい!」
シキの所在は不明なままだが、それでも助言をしてくれたトルネに心から感謝した。
そして、この屋敷で虫が出にくい所は限られている。さらに、シキが行きそうな場所は1カ所のみ。
シノは迷いのない足取りでシキの部屋を目指すのだった。
シキの部屋には超強力な虫除けの結界が張ってある。残りの場所は全て侵入すると父に怒られる所ばかりだ。シキは自分から怒られに行くような子ではない。そのため、シキにとっての安全地帯は今のところシキの部屋だけなのである。
この勝負はオレの勝ちだと思いながら、廊下を速い足で歩いていると___
シキ「あぁぁあああぁぁぁぁぁあああああぁぁぁ!!!!」
シノ「!!……また虫が出たのか?」
シキの部屋へ向かっている途中、凄まじい悲鳴がシキの部屋から聞こえてきた。
この悲鳴は3年前と同様、屋敷中に聞こえていることだろう。
シキが悲鳴を上げる時は、虫が出た時であるとシノは把握している。
今回の勝負はお預けだなとため息をつきながら、シキの部屋へ駆け足で向かうのだった。
シノがシキの部屋の障子を開け放つと、シキは部屋の中心で腰を抜かし、大声で泣き叫んでいる。
やがてシノの気配に気がつき、畳の上を這いシノの足に縋りついて助けを乞うた。
シキ「兄さん~!!!くくく、くく、くも、くもぉ!蜘蛛が出やがった!!頼む!オレの部屋に虫がいないか確認してくれ~!!!」
たかが蜘蛛で大げさだと思うだろうが、シキにとっては一大事なのである。
蜘蛛が出たということは、蜘蛛にとって餌となる虫がいる可能性が高いからだ。
もちろん、ただシキの部屋を通過しただけという可能性もある。しかし、シキとしては不安要素を少しでも減らしておきたいという所だろう。
シノ「……分かった。確認してやるから、足を離して少し離れていろ。そして目を瞑り、耳を塞げ。何故ならこれから蟲を出して確認するからだ」
シキ「ありがとう!兄さん!!早く終わらせてくれよな!!」
シノ「分かっている。お前は終わるのを待っていろ」
シキ「うん!」
シノはやれやれと首を振りながら、シキの部屋に虫がいないか調べるのであった。
・・・・
シノ「あれは大変だった」
シキ「悪かったって」
シノ「謝ってすむ問題ではない。何故ならお前は蟲を扱う油女一族の人間だからだ。いつまでも仕方ないではすまされない」
シキ「うぅ、分かってるってのぉ」
シノ「本当か?」
シキ「ホントだってば!」
シノに部屋を調べてもらい、オレの部屋に虫はいなかった。
それが分かり、安堵の息をついたのは言うまでもない。
かくれんぼは制限時間を過ぎていたため、引き分けと言うことになった。
今回賭けていた高級菓子は、半分に分けて一緒に食べることにしたのだが、シノは先程のことを根に持っているようだ。
オレが自分で1番分かっていることを容赦なく言ってきたのである。しかし、今は高級菓子を食べているからなのか、それともオレが影で虫嫌いを克服しようとているのを知っているからなのか、シノはそれ以上言及することなく、夢中で菓子を食べている。
これはおそらく両方だろうが、前者の批准が大きいといった所だろう。
オレは嬉しいのか嬉しくないのか分からず、ため息をこぼしながら菓子を頬張るのだった。
いい暇つぶしになったら嬉しいです。
続きは思いついたら書きます。ですが、思いつくかどうか分からないので短編としておきます。
人物紹介(シキはとくに長いので、読まなくても大丈夫です)
油女シキ
この物語の主人公で、シノの双子の弟。
この世で1番嫌いなのは虫だ!と声を大にして言う程の虫嫌い。ここに転生させた神様を、蹴り殺してやろうかと考えている。実は前世は東京で暴走族をやっていた。喧嘩の途中でも、虫を見つけると情けない悲鳴を上げて腰を抜かしていた。そのたびに、白い人にケツを蹴り飛ばされていた。誰だろうね?
シノや他のみんなが蟲を大切に思っていることを知っているから、言うことは控えている。心の中では「虫怖い、虫怖い、虫怖いぃぃいぃいいいい!!!」と常に思っている。
暴走族をやっていた上白い人に憧れていたため、どうしても蹴りで相手を倒そうとしがち。蟲は白い人の相棒であった大きい人ととして考えている。そのため、自分の蟲達には少し耐性がついたようだ。自分の体内に蟲がいることは考えないようにしている。
シノは兄さん、トルネはトルネ兄と呼んで慕っている。
シノは前世で自分の側にいなかったタイプなので、一緒にいて楽しいと思っている。しかし、拗ねると面倒だとは思っている。
トルネはみんなの兄貴という感じがして、かつての総長を思い出させる。初めは泣いた。
油女シノ
シキの双子の兄。
2歳の頃、弟のシキが大きな悲鳴を上げてもの凄く驚いた。それからは顔を布で覆ったり、大きい服を着るようになったので、相当な虫嫌いだと察した。そして蟲の話はしなくなった。良いお兄ちゃん。
シキと一緒に父に相談し、超強力な虫除けの結界を開発してもらった。
シキが敵を蹴りで倒そうとするし、その蹴りの威力がもの凄いので真剣勝負をする時は絶対に近づかせないようにしている。しかし、身体も非常に柔らかく、動きを予測しづらい上に早いので手を焼いている。さらに、シキに注意を向けていると、シキの蟲達が攻撃してくるので非常にやりにくい。一度シキの蹴りを受けて右腕を骨折した。
今の所、10勝9敗1引き分けでギリギリ勝っている。
シキは生意気だが可愛い弟、トルネは尊敬すべき兄だと思っている。
油女トルネ
作者、この人のことは存じ上げないのでねつ造しました。
シノの代わりに「根」に行ったことは謎に知ってるので、たぶん良い人なんだろうなと想像しました。なので、白い人と大きい人を従えて関東を制覇した総長さんポジになっていただきました。