問題児たちが異世界から来るそうですよ?~忘却の魔王~   作:ソヨカゼ

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どうも衛宮です!
本当はもう少し早目に投稿できると思ったのですがリアルが忙しくて……と、とにかく二話目投稿です!

お気に入り登録してくれた皆さん、ありがとうございます!

それではどうぞ!!


二話 "忘却の魔王"

日が暮れる帰り道の最中、レーテが見たのは星を溶かしたような金髪が特徴的な美しい少女。

そう、レーテは彼女を知っていた。

彼は数日前にペルセウスというコミュニティからとあるゲームを買った。

そしてそのゲームの商品となったのがレーテが見かけた少女、レティシア=ドラクレアなのだ。

さて、そんな彼女が何故こんなところにいるのか?

面白いことはウェルカムなレーテからしたら着いていかずにはいられないだろう。

 

「ふぅ、空なんか飛んでるから見失うとこだったよ」

 

しばらく着いていくと、レティシアはとあるコミュニティの()()へと降り立った。

 

「それにしてもここは……あぁ、なるほど」

 

『跡地』というのはつまり、このコミュニティはいずれかの魔王によって名と旗印を奪われた、いわゆる"名無し"(ノーネーム)と呼ばれるものに分類されるということだ。

 

「でもこの痕跡は……」

 

もともとは居住スペースだったのだろうか?

ほとんど形はないが、家のようなものがあちこちに見える。

レーテが申し訳程度に残っていた壁の一部に触れると、サラサラと音を発てて崩れる。

例えるなら住んでいた人がフッと消えたような、それでいて数百年の月日が経過したような痕跡だ。

と、そこでレーテは思い出す。

わずか三年前に起きたとある事件の事を。

そしてつい先日聞いたばかりの噂も。

 

「あーなるほど。つまりここが『打倒魔王』を掲げるって噂のノーネームね」

 

たしか三年前に滅ぼされたコミュニティが自分達の取られたものを取り返すついでに全ての魔王を敵に回してやる的な内容だったか、とレーテは適当にまとめるとつまらなそうに歩を進める。

レーテにとって解けた謎というのはあまり価値がないらしい。

 

「さて、本命の彼女は何処へ行ったのやら」

 

完全に興味がなくなったのか、レーテはスタスタと中へ入っていった。

ぶっちゃけ泥棒も真っ青なくらい堂々とした不法侵入なのだが、気にしないでおこう。

気づかない方が悪いのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

 

しばらく散策していると、人が住んでいそうな洋館を発見した。

おそらくコミュニティの生き残りはここで生活しているのだろう。

 

「まいったな。さすがにお邪魔しますって入るわけにも行かないだろうし……うん?」

 

と、洋館の陰の方から何やら話し声が聞こえた。

レーテはもしやと思って音を極力立てずに移動すると、そこで目標の人物と頭にウサ耳を乗せた少女、そして金髪にヘッドフォンが特徴的な少年が何かしているのを見かけた。

話の内容を盗み聞くと、どうやら小さなゲームをするらしい。

漆黒の翼を広げ、制空権を確保したレティシアはギフトカードから投擲用の槍を取りだしこう叫ぶ。

 

『双方が共に一撃ずつ撃ち合い、それを受け最後に立っていた方が勝者だ!』

 

なるほど、実にシンプルでしかも相手の力量を一発で確かめられるゲームだ。

 

『立っていた方が勝ちか。いいね、シンプルイズベストって奴?』

 

レティシアと相対していた少年もレーテと同意見なのか、口元を歪めて楽しそうに笑った。

どうやらこの少年、相当できるらしい。

レーテからすればまだまだだが、今のレティシアよりは実力が上だ。

故に、レーテは一つの結論を出す。

 

 

 

―――レティシアはあの少年に負ける、と。

 

 

 

ゲームは不意に始まった。

どうやら先手はレティシアらしい。

なるほど、吸血鬼のギフトと体のバネを最大限に使って投擲された槍の一撃は今の彼女にとっては改心の一撃とも言えたのだろう。

しかし、それではダメだ。

あの少年には届かない。

 

『カッ―――しゃらくせえ!』

 

レーテの予想を実現するかのように、少年は投擲された槍を殴り付けた。

槍は見事にひしゃげ鉄塊となり、さながら散弾銃のようにしてレティシアに降りかかろうとしている。

 

 

 

―――なるほど、音速で飛来する鋼鉄製の槍を一撃で鉄塊に変えてしまうほどの威力……なんとも出鱈目な(面白い)奴だな。

 

 

 

 

クスリとレーテは微笑んだ。

どうやら思わぬ掘り出し物に興味を持ったようだ。

と、そこでレーテはようやく動き出した。

なかなか動かないレティシアを見て、彼女があの鉄塊を避けられないのだと判断したためだ。

グッと体に力を入れ……次の瞬間、レーテの体が大きくぶれる。

 

「さすがにこれは不味いかなっと」

 

「「!?」」

 

「チッ」

 

金髪の少年は辛うじて捉えることがが出来たが、ウサ耳少女とレティシアはそうでないらしい。

それもそのはず、レーテは光さえ追い越すのではないかと思えるような速度でレティシアを抱え地面に着地したのだから。

助けられた本人さえ理解できていないだろう。

ふぅと一息ついたレーテは、ゆっくりと口を開く。

 

「困るんだよね、こういう事されたら。大切な『所有物』に傷がついちゃうじゃないか」

 

「あ……え?お、お前は!?」

 

待つこと数秒、ようやく思考を再開したレティシアは今の状況を理解し、自分をお姫様だっこしている人物が誰なのかを認識すると途端に顔を青くする。

レーテがレティシアを知っているように、彼女もまたレーテが自分の買い手だということを知っているのだ。

青くなったレティシアを見てレーテは不思議そうに首をかしげる。

ただし、口元はうっすらと笑っているのだが。

 

「どうしたんだい、そんな青い顔をして?あぁ、どうしてここにいるのかというとね、町をふらついてたらたまたま見つけたんだよ。それでなんだか面白そうだから着いてきちゃった」

 

そんなッ、とレティシアは悔しそうに呟く。

それもそのはず、彼女は自らのギフトを捨ててまでここにいる。

こんな形で見つかったとなれば、レティシアはギフトをただ捨てたにも等しいのだ。

 

「おいコラちょっと待て。人様の敷地に勝手に入ってきたあげく俺を無視するとはどういう用件だゴラァッ!!」

 

と、除け者にされたのが頭に来たのか、先程の少年がズイッと前に出てズビシッ!と音が出るほどの勢いでレーテを指差す。

 

「そうですそうで……ってそこなんですか!?もっと突っ込むとこあったはずなのに結局そこなんですか!?」

 

頭にウサ耳を乗っけた少女もウッキャー!とは喚き出す。

何やらこのコミュニティ、そうとうテンションが高いらしい。

 

「ああもう……ってそうですよ!?『所有物』ってことはまさか!!」

 

「そういうこと。ペルセウスのゲームとこの娘を買ったのは僕だよ」

 

あまりにもサラッと言ったため緊張感は皆無だが、それでも言っていることはかなり大事だ。

何度も言っているが、ギフトゲームとはこの世界のルールそのもの。

それを買い取るということはつまり、ルールをまるごと買い取る行為に等しい。

 

「……一つ聞くぞ。なんでゲームを買収するなんてつまらねぇ事したんだ?」

 

ふと、金髪の少年がたずねる。

その鋭い視線は、くだらない理由だったらぶっ飛ばすと物静かに語っていた。

それに対してレーテはため息をもらすと、明後日の方向を見ながらこう呟いた。

 

「別にあの程度のゲーム、やる価値なんてなかったし。どうせ三流コミュニティだ、利益が出せればそれでいいんだよ。それにさ、今のリーダーがあんなのだしきっとご先祖様もろくな人間じゃなかったんだねぇ」

 

「……なに?」

 

心底どうでもよさそうにペルセウスを罵倒するレーテ。

それを金髪の少年は不審そうに見ている。

いや、少年だけではない。

その場にいる全員が唖然としていた。

しかし、レーテなおペルセウスの悪口を続ける。

 

「でも感謝はしてるんだよ?ペルセウスの奴等があんなにチョロかったから僕はこんなに楽に欲しいものが手に入ったんだし。誇りの欠片も無いっていうのは彼らのためにある言葉だよね」

 

先程まではまるで興味がないような顔をしていたレーテだが、今の彼の顔は間違いなく笑っていた。

それも、弱者を嘲笑うようなそんな笑みを。

そしてなおレーテは続ける。

 

「と、まあそんな連中だし。もしもたまたま、偶然にこの会話を聞いていても攻撃を仕掛けてくるような気高さとかもないんだろうなぁ」

 

止めとばかりに、レーテは明後日の方向へと笑いかけた。

 

「っ!?伏せろ黒ウサギ!!」

 

「えっちょ、十六夜さん!?」

 

レーテの意図に気づいた金髪の少年、十六夜は咄嗟にウサ耳こと黒ウサギを組倒す。

刹那、完全に暗くなっていた空が赤く、褐色へと染まる。

そして褐色の光が四人を呑み込むまで、さして時間はかからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

 

許せなかった。

奴はペルセウスを三流コミュニティといった。

我誇り高きペルセウスの旗を汚したのだ。

確かに、リーダーがルイオスどのに変わってからペルセウスは衰退の道を辿っている。

今回のように利益が出せればゲームを売ることだって希にあるほどだ。

だが……だがしかし、我らペルセウスにも誇りがある。

その名が、旗印が、ペルセウスというコミュニティこそが我らが守るべき誇り。

例えルイオスどのといえど、これ以上現状を悪化させるのなら討ち取る覚悟だってある。

それなのに奴はその誇りを罵倒した。

商売相手といえど許すわけにはいかない。

いや、そもそもこの取引自体気に入らなかったのだ。

ルイオスどのには決して手を出すなと言われているが、黙ってみているわけにはいかない。

 

『と、まあそんな連中だし。もしもたまたま、偶然にこの会話を聞いていても攻撃を仕掛けてくるような気高さとかもないんだろうなぁ』

 

プツリと、私の中で何かが切れた。

気がついたときには、右手に持った石化のギフトを使ってしまっていた。

全ては褐色の光に包まれ、石になる。

これで終わりだ。

さあ、さっさと吸血鬼を捕獲して帰ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『まさか、こんな簡単につれるとは思わなかったよ』

 

え?

 

『さて、これで君たちペルセウスは僕に喧嘩を売ったことになる。そう、この僕に。忘却の魔王レーテに』

 

その言葉を区切りに、私の意識はゆっくりと闇に呑まれていく。

何故だかそれは、母の胸で眠るように心地好かった。




ーDETAー
・レーテは『魔王』!?





はい、言うもでもありませんがグダグダですねスミマセン。
うまく伝わったか不安で仕方ありません。
それとノーネームの方々の扱いとか本当にすみません。
次回でちゃんと出番ありますので!!

それではまた次回よろしくお願いします!!
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