問題児たちが異世界から来るそうですよ?~忘却の魔王~   作:ソヨカゼ

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どうも衛宮です!
さて、今回から一応二巻の内容に入るわけですが……オリジナル展開過ぎて良くわかりません。
しかもそれほど話も進みません。
今作で一番グダッてるかもしれませんね。
さて、そんな六話ですがどうぞ!


六話 "隻腕の刀神"

『レーテさーん!起きてくださーい!』

 

「……うーん」

 

『レーテさーん!早く起きないと朝御飯抜きにしちゃいますよー!』

 

「……あと三日」

 

『三日!?三日ってなんですか普通は三分とかじゃないですか!?』

 

「……………」

 

『寝たッ!?こ、こうなったら開けちゃいますよ?開けちゃいますらね?はい開けます!!』

 

ドーン!!という音を響かせて開かれるドア。

そこから出てきたのは犬耳がトレードマークの少女、椛だった。

 

「椛……うるさいよ」

 

「うるさい!?うるさいって言いましたか!?」

 

「……………」

 

「だから寝ないでくださいよもうっ!!」

 

レーテのあまりのいい加減さに涙目になる椛。

いや、このままだと本当に泣き出すかもしれない。

 

「……えー、まだ七時じゃん」

 

「レーテさんが言ったんじゃないですか!明日は用事があるから早く起こしてくれって!!」

 

「え?そんなこと……あー、言った言った。そういえばそんなことあったねぇ」

 

あー面倒だ、と言いながらレーテはようやく起き上がる。

それを見た椛はやっと起きたっ!と達成感のあまり泣き出してしまったほどだ。

 

「え?あ、いや。なんで泣いてるの?」

 

「だ、だってぇ!レーテさん何回呼んでも起きないんですもん!」

 

だから何で!?と本気で突っ込もうとしたレーテだが、客観的に見て自分が悪いのだと納得する。

いや、納得しないとやってけない。

……意外とこの魔王の弱点は涙なのかもしれない。

 

「はぁ。わかったわかったから。僕が悪かったって。そんなことより、ほらおいで。寝癖直してあげるから」

 

見ると、椛の銀色の髪は所々跳ねており、どうやら朝食を作ってすぐに起こしに来たようだ。

言われてハッとしたのか、椛の顔はその瞳と同じように赤く染まっていく。

 

「い、いえこれは……は、はい。その、お願いします」

 

コクリと頷くと、椛はレーテの膝の間に入るようにベッドに腰掛ける。

レーテはそんな椛をまるで借りてきた子猫、もとい子犬のようだと思ったが、よく考えると椛は種族として大人といえる年齢なのだ。

レーテも完璧に把握しているわけではないが、だいたい百前後ではないだろうか?

 

「……わふぅ」

 

とは思いつつも、こうして寝癖を直していると尻尾をワッサワッサと振って喜んだり案外子供っぽい(?)ところも多々あるため、レーテはあんまり気にしていない。

それに人の事ばかり言っているが、レーテも箱庭にきて五百年もの年月を過ごしている。

先日あった少年たち、十六夜たちに比べればお爺ちゃんなんて次元は等に越えているだろう。

 

「あ、あのレーテさん。も、もう大丈夫でヒャッ!?」

 

「ん?あーごめんごめん」

 

考え事に集中していたためか、レーテは寝癖もそこそこに椛の耳を弄ってしまっていた。

無意識とは意外と恐ろしいものらしい。

 

「ヒャン!?ちょ、レーテさん!」

 

「ごめん、今のはわざとだ」

 

「もうっ!」

 

プイッと顔を逸らし、私怒ってますアピールをする椛。

その行動にやっぱり子供みたいだなぁとレーテは思う。

 

「あはは。さて、それじゃあ準備しようかな?」

 

このまま弄り続けるのも楽しいが、それだと早く起こしてもらった意味が無くなりそうなので椛を解放することにした。

……耳から手を離した瞬間、ほんの一瞬だけ椛が寂しそうな顔をしたのは本人には内緒だ。

 

「まったくレーテさんは……ところで、用事というのはいったい?」

 

「あー、刀弥に会いに行くんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

 

「ふぅ」

 

トマトの収穫を終えたレティシアはかごを置くと、手の甲で額の汗を払い落とす。

コミュニティ『エデン』の一員になってからもう一ヶ月経つが、どうやらそれなりに馴染んでいるらしい。

 

「あ、お姉ちゃんお疲れさまっ!」

 

子供特有の元気な声に顔を向けると、そこにはレティシアと同じようにトマトがたくさん入ったかごを持つ少女がトテトテと近づいてくる。

金髪に赤目が特徴的な少女で、一見するとレティシアに少し似た雰囲気がある。

 

「あぁ、お疲れさま」

 

レティシアが笑顔で返すと、その少女もニコッと笑い、かごをレティシアの持っていたかごの近くに置く。

 

「おおっ!今日も一杯とれたねお姉ちゃん!」

 

「あぁ、そうだな。それにしても驚いたよ。まさか農業というものがこんなに大変だったなんて」

 

実はこの少女、半分吸血鬼の血を引いている。

レーテからそれを聞かされたレティシアはとりあえず会ってみることにしたのだが、何かと気が合い何時の間にか姉と慕われるようにまでなっていた。

他にもレティシアのことを姉と呼ぶものもいるが、この娘は特に本当の姉妹のように見える。

ちなみに彼女以外にも吸血鬼の混血は数人いたりする。

 

「それにしても、本当に不思議だな」

 

「どうしたのお姉ちゃん?」

 

「ん?いや、ここは箱庭の外で天幕も無いというのに、なぜ私たちは太陽に焼かれないのかと思ってな」

 

実は箱庭のドーム状の天幕は吸血鬼等の太陽の光を直に浴びれない種族のためにある。

故に箱庭の中であれば吸血鬼も昼に行動できるのだが、裏を返せば箱庭でなければ太陽の光を見ることさえ叶わないはず。

しかし、エデンは箱庭の外に本拠を構えるコミュニティ。

必然的に今レティシアたちがいる場所は箱庭の外、天幕の下ではない。

なら、なぜ彼女たちは太陽の下に立てるのだろうか。

 

「それは僕から説明しようか」

 

「キャッ!?」

 

突然の声に奇声をあげてしまうレティシア。

振り向くと、そこにはこのコミュニティのリーダー兼寝坊常習犯のレーテが立っていた。

 

「やぁ、おはよう」

 

「ま、またお前かっ!なぜお前は普通に登場できないんだ!」

 

しかし隣の少女が何事もなかったかのようにおはよーと返しているところを見ると、これがレーテの普通なのかもしれない。

 

「だってレティシアちゃんの反応が面白いんだもん。あ、トマト一個貰うねー」

 

「お、面白いって……」

 

他人にからかわらるのに馴れていないのか、レティシアはとても微妙な反応をする。

まあ実際、彼女もそれなりにマイペースなため本来はからかう側なのかもしれない。

だがそこは白夜叉をして問題児と言わせたレーテだ。

ある意味仕方ないのかもしれない。

 

「それで、何で君たち吸血鬼が日の光を浴びれるかだったね。簡単に言うと、この森その物がとあるギフトなんだよ。中からだとわからないと思うけど、外から見るとこの森は濃い霧に覆われていてね。それが天幕の代わりになってるのさ。そのおかげでこの森は天然の箱庭と化しているってわけ」

 

「そうだったのか。……だからお前はここにコミュニティを作ったのか?自然とギフトに守られたこの土地に」

 

「まぁそんなとこかな。あ、このトマトおいしいね。もう一個ちょーだい」

 

どうぞーと健気に手渡ししてくれる少女にありがとーと笑顔で返すとそのままかぶり付く。

レーテ曰く「生野菜は朝一の取り立てだよねー」らしい。

 

「そういえばレーテ、今日はやけに早起きだな。何かあるのか?」

 

「うん。ちょっと用事で箱庭までね」

 

ゴクリ、とトマトを食べ終えたレーテは両手を天に向けてんー!と背伸びし、手首足首を少し解す。

 

「よっし。それじゃ行ってくるねー」

 

よっと、という軽い掛け声と共にレーテは残像を残すほどの速度で森を飛び越えていく。

 

「……なんというか、やはりあいつは規格外だな」

 

「うちのリーダーですからー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

 

レーテが向かったのは白夜叉が支部長を勤めるサウザンドアイズ支店……ではなく、それがある通りの端の方。

《鍛冶屋マガツキ》と書かれたボロボロの木製看板がトレードマークの店だった。

一見すると本当にやっているのか不安になるくらいボロボロだが、看板の下を見ると営業中の文字があるため、たぶん大丈夫だろう……たぶんだが。

 

「やっほー」

 

しかしレーテはまるで気にした様子もなるなく中へと入る。

するとそこには猫耳ウェイトレスという見る人が見れば間違いなく飛びつくであろう格好をした少女が一人、待つために用意された長椅子に腰かけている。

 

「あ、どうもですレーテさん!」

 

猫耳ウェイトレスがレーテに気づくと勢い良く立ち上がりビシッ!と敬礼する。

彼女はキャロロ=ガンダック。

商業系コミュニティ『六本傷』に所属し、その一端である喫茶店でウェイトレスをしている。

ちなみにその喫茶店はレーテのお気に入りだったりするので顔を覚えているというわけだ。

 

「お、キャロロちゃんじゃないか。ということは、また包丁の修理かい?」

 

鍛冶屋というだけあり、マガツキは刃物の修理や作成を基本的な仕事としている。

腕はもちろん、店主の陽気な性格もありここら辺ではわりと有名な店だったりするのだ。

 

「いえいえ、今回は研いでもらいに来ただけですよ。本当なら店でやればいいんですけど、やっぱりプロがやると全然違うんですよ~」

 

とキャロロがなかなかに熱く語っていると、さらに奥の方にある暖簾を潜ってこちらに来る影が一つ。

濃い赤の着物を青年だ。

 

「御待たせしたッス!ってあれ、もう来てたんスかレーテさん!?」

 

元気良く声を張り上げながら出てきた青年は、キャロロと仲良く話していたレーテを見るなり信じられないものを見たような驚愕の顔をする。

その反応にキャロロはクスリと笑い、レーテは呆れたようにため息を一つつく。

 

「あのね刀弥(とうや)、さすがの僕でも約束事があるときはちゃんと起きるんだよ」

 

そう、彼がここの店主にしてレーテが会いに来た人物、刀弥なのだ。

 

「いや、てっきり椛さんを軽くあしらって三度寝くらいしてるんじゃないかと思ってたッス」

 

「いやいや~、さすがのレーテさんでもそれはないですよ~」

 

面白半分でフォローするキャロロだが、ぶっちゃけ図星なのでレーテはただひたすらに笑って誤魔化しておく。

涙目になりながらも起こしてくれた椛に心の中で感謝しながら。

 

「まぁその話は置いといて、先にこっちの仕事を済ませても良いッスか?」

 

話が流れたことにホッとしながら、レーテはいいよーと返事をし長椅子に腰掛ける。

すると刀弥は包丁を三本キャロロに手渡すと刃の具合がどうだとかテキパキと説明し出す。

その様子をしばらく見ていると、キャロロが銭を刀弥に渡しありがとうございましたーと言って店を出ていく。

その際に軽くお辞儀をしてきたのでレーテは手を振って返しながら見送ると、レーテはゆっくりと立ち上がった。

 

「どうやら繁盛しているみたいだね」

 

「そうッスね。特に六本傷とサウザンドアイズの皆さんにはご贔屓にしてもらってるッス。皆さん好い人ッスから、俄然やる気も出るんスよねぇ。……おっと、それじゃあ本題に入るッスけど中の方で話していいもッスか?」

 

レーテは今日、彼に呼ばれてここにいる。

数日前に刀弥から連絡が来たからだ。

なんでも渡したいものがあるらしい。

 

「うん、いいよ」

 

レーテがそう答えると、刀弥はこっちッスと言って暖簾を潜る。

その時、体の動きに合わせて本来なら腕が通してあるはずの左袖がハラリと舞うのが目に入った。

レーテは一瞬だけ悲しそうな顔をしたが、すぐに何事もなかったかのように刀弥へ続く。

今さら悲しんでも、彼に左腕が()()という事実は変えることが出来ないのだと理解しているから。

そう、この隻腕の彼こそが箱庭中に名を轟かせる刀鍛冶。

刀の神とまで謳われた伝説の男。

 

 

 

 

 

―――隻腕の刀神・刀弥

 

 

 

 

 

「ハックションッ!!……風邪ッスかね?」




はい、そんなわけで新キャラ登場です!
本当は彼を主人公に物語を書こうとしたのですが……いろいろ無理だったんですよねぇorz
一応すごい人扱いなので詳細は次回です!
もしかしたら今のレーテよりもチートかもしれませんww

主役級も出揃った事ですし、次回から二巻の内容にバリバリ絡ませていきたいと思います!
それではまた次回!

あと感想等も待ってます!
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