術式がドラ〇もんの道具で説明できるんだが?   作:妄想癖のメアリー

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本当の目的

 

 

 

『────基本的に呪いの御札。呪符は、紙媒体に特殊な文字や記号を書いて、そこに呪力を込めると発動するんだよね』

 

『流石に濡れて使えなくならないように、コーティングしたりとかはするだろうけど、それでも限度はあるだろうし』

 

『ちなみに、お守りとかも割とそれに近い性質もってるから、もしそういう形の呪具を使うってなったら、水に入れたりしちゃだめだよ?』

 

 

 

(ありがとう五条先生。その知識、今役に立ったよ)

 

「くっ! しまった。呪具が濡れて……!」

 

 ため込んだ呪力を一定時間かけて放出するその呪具は、使用する際には外気にさらしておく必要がある。

 そしてその原理は、お守りの中に入っている御札によるものだ。

 

 直径20メートル。そして水深100m近くあるダムの水圧からなる濁流に耐えきれるかなんて、そんなのは火を見るよりも明らかだ。

 

「やっぱり水に弱いみたいだね」

 

 そう認識した瞬間、夏油とミゲルの近くにポータルを開く礼司。

 

「!? しまった!」

 

 直径30㎝ほどの大きさのポータルから出てきたのは、()()()()()()()()()だった。

 

 

 

 

 

「────領域展開

 

 

 

 

 

 ────澄浄白界(ちょうじょうはっかい)

 

 

 

 

 

 ────辺りを見回す限り、一面の白い景色が広がっている。ここは礼司の生得領域、および『異空間そのもの』である。

 

 礼司の領域展開は、礼司にしか認識できない異空間を、領域として空間を満たす。

 一切の穢れなく、真っ新なその空間は、いかなる制約もなく、変幻自在に形や性質を変えることができる。

 

「……まさか領域展開まで使えるとはね。ミゲル、それで領域を破壊することはできないかい?」

 

「出来タラモウヤッテル……結界トシテノ完成度ガ高スギテ、ビクトモシナイ」

 

「そりゃそうだよ。領域展開……結界術の要素を含むこの呪術は、俺にとっては一番の得意分野だ」

 

 そう。礼司の得意分野は、物体や呪力などの()()()()()()()

 これは彼の術式、『異空間の輪郭をポータルとして切り取る』ことの影響が大きい。

 その為、呪力などの形を持たないモノの扱いは、六眼を持つ五条の次に上手いのだ。

 

「これは無理そうだね。サブのプランを用意してきて良かったよ。本当はリスクが大きいからあんまりやりたくなかったんだけど……」

 

「悪いけど、早々に眠ってもらうよ。お前には、計画の全貌を話してもらわないといけないんだ。

 

 ────流石のお前らでも、生身で宇宙空間に投げ出されたら、どうしようもないだろ?」

 

「ッツ!? 呪力ガ練レナイ! 夏油! 早ク済マセテシマエ!」

 

「ああ。礼司君、最後にこれを見てくれないかい?」

 

 そう言っておもむろにスマホの画面を見せつける夏油。

 

「今更何だよ……は?」

 

 そこに映っていたのは、礼司と仲の良い人物だった。

 

 

 

 

 

「────なんで……何で真希ちゃんが捕まってんだよ!?」

 

 そこには、椅子に縛り付けられた状態の真希が写っていた。動揺した礼司を見て、夏油はゲラゲラと悪い笑みを浮かべている。

 

「私達が戻ってこなかった場合、この猿を殺すように仲間に伝えてある。ダメじゃないか、任務中とはいえ、ちゃんと悟が見てないと」

 

「ふ……ざけんな! 真希ちゃんは関係ないだろうが!」

 

 怒りのままに叫ぶ礼司に対して、夏油は冷たい声で言い放つ。

 

「関係あるさ。私の計画において、この猿は抹殺対象だ。それに、彼女が捕まったのは君のせいでもあるんだよ?」

 

「俺の、せい……?」

 

 理解できないと言った様子の礼司に、計画の全貌を伝える夏油。

 

「百鬼夜行において、君は悟と同等以上に厄介な存在だ。元の計画より早めに高専に行ったのも、今このタイミングで君に勝負を仕掛けたのも、全ては君を()()()()()()()だ」

 

 一日何回も、それも大人数を制限なく移動することができ、その上単体の性能も上澄みである礼司。それは夏油にとっては目の上のたん瘤だったのだろう。

 

「そんな……俺のせいで」

 

 自分が理由で仲間を死なせることになると悟った礼司は、深く絶望しながらその場に膝をついた。

 

(『次代の最強』とは言えど、まだまだ子供だね。この子は、強さに対して精神が追い付いていない)

 

「そこで彼女を助ける方法があると言った時、君はどうするかな?」

 

「……助ける方法?」

 

 そんな悪魔の囁きに耳を通してしまう礼司。

 

 

 

「────私と君とで縛りを結ぼう。そうすれば、彼女は無事に解放する」

 

「縛り?」

 

「ああ。私は百鬼夜行を終えるまで、君の身柄を拘束する。その上保険としてこれを装着してもらう」

 

 夏油が使役している呪霊が、腕輪のようなものを吐き出す。古めかしいデザインのそれには、びっちりうまるほどの御札が張ってある。

 

「……何だよ。それ」

 

「簡単に言うと、これは装着者の呪力を抑えるものだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。よく呪詛師を捕まえる時に使われるものと同じだ」

 

「これを……つけろって事か?」

 

「付けるだけじゃない。君は私と一緒に来てもらう。この場で私を捕まえてもいいが、その瞬間あの猿も死ぬ」

 

 そんな究極の二択を押し付ける夏油。数秒ほどの間を置いた後、礼司は小さく答えた。

 

 

 

「分かった。その代わり条件がある。一つは俺から五条先生に縛りの内容を確認してもらって結ぶこと。もう一つは俺が拘束されている間は、俺を含め術師、非術師問わず襲わない事。お前の仲間も含めてだ」

 

「他者間の縛りはそこまで簡単じゃないよ。まあ、私の家族が人を襲ったら、私に罰が下るようになら出来ると思うけど」

 

「それでいい」

 

「じゃ、早く悟に連絡入れちゃって。あんまり時間ないし、早く君をお出迎えしたいからね」

 

 楽しそうに手をひらひらと振る夏油。

 

「お前の家族と仲良くする気なんてさらさら無い。仲間にするのは諦めるんだな」

 

「つれないねぇ」

 

 余裕そうな表情を浮かべる夏油だったが、内心はかなり安心していた。

 

(縛りの内容も中々考えられている。これはリスクを冒してでも潰しておいて良かったね……)

 

「あ、五条先生。ごめん。今夏油と縛りを結ぶ予定なんだけどさ、怖いから確認してくれない?」

 

(ノリ軽いな……)

 

 そんな感想を抱いた夏油を尻目に、縛りの内容を伝え終えた礼司。

 電話口からは、気楽そうな五条の声が聞こえてくる。

 

 

 

『いいんじゃないかな? 真希に関しても縛りを結んでるみたいだし、多分大丈夫だと思うよ。後、3か月くらい会えないだろうけど、寂しくない?』

 

「やかましいわボケ。まず俺と真希ちゃんの心配をしろ」

 

 そんな礼司の叫びも無視されてしまう。

 

『でも、自分のために捕まったって知ったら、真希怒ると思うよ?』

 

「……そこは何とか誤魔化しといて」

 

『嫌でーす。しっかり怒られてくださーい』

 

「こいつ……」

 

(話長いな……)

 

 それから数回ほどやり取りを行う2人。夏油とミゲルがうんざりした様子でこちらを見ているが、礼司は『ベー』と舌を出している。

 

「あ、最後にお願いなんだけど、皆との予定すっぽかすことになっちゃったから、伝えといてくれない?」

 

『いいけど、どんな約束?』

 

「えっと。

 来週の土曜に東京校一年の皆と焼肉行くのと

 来月の休みに歌姫さんと家入さんとハシゴするのと

 メカ丸に反転術式結界の補充するのと

 霞ちゃんに五条先生のサイン持ってく話と

 ……うわ、高田ちゃんのライブ11月じゃん。それも葵に言っといて。キャンセル料かかるなら後で払うから建て替えといて」

 

「……友達多いんだね。あと未成年はお酒飲んじゃいけないんだよ?」

 

「うるせ。お前に関係ないだろ。あと、俺はジュースしか飲まない」

 

 思わずツッコんでしまった夏油だが、礼司は先ほどから機嫌が悪そうだ。

 

 

 

『やっぱヤダ、めんどい』

 

「えー!? そりゃないよ。皆に怒られちゃうって!」

 

 急に断った五条に対して、非難するように声を上げる礼司。

 しかし、その返答は意外にも真面目なものだった。

 

『帰ってきたら皆でお説教。だから、無事に帰って来てよ。わかった?』

 

「……わかった」

 

 そんな五条の不器用な言葉に、しんみりとする礼司。

 

 

 

『よし! じゃあ傑の黒歴史教えてあげる! 耳の穴かっぽじってよく聞いとけよー』

 

「お! 来た来た来たー!」

 

『あれはねー入学してすぐの時なんだけど……「もういいだろ!? 全く……ほら、行くよ」』

 

 声を荒げながら電話を切らせる夏油。よほどバラされたくなかったのだろうか。

 

「んだよつまんねぇの」

 

 そうボヤキながら領域を閉じる礼司。

 術式が焼き切れているため、逃げることなどできないが、夏油は用心深いのか腕輪を取り出し礼司にはめる。

 

「これで君は呪力を練れない。因みに想像以上に痛いから、抜け出そうとしない方が良いよ」

 

「分かってるつーの。もう疲れたわ、帰って寝たい。早くあの空飛ぶ呪霊出してよ」

 

「……図太い子だな全く」

 

 

 

(まあ、五条先生が居るならダイジョブっしょ)

 

 ────礼司が落ち着いて居られるのは、ひとえに五条に対する信頼の表れだった。

 

 

 

 

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