術式がドラ〇もんの道具で説明できるんだが?   作:妄想癖のメアリー

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新しい時代

 

 

 

 ────12月24日 百鬼夜行当日

 

 

 

「お互い本気でやりあったら、こっちの勝率は3割ってとこかな。呪術連まで出てきたら、2割にも満たないだろうね」

 

 

 

「だがそのなけなしの勝率を9割9分まで引き上げる手段が、1つだけあるんだよ」

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。勝率の高い戦で、高専が乙骨というカードをきることはない。下手を打てば敵も味方も全滅だからね」

 

 

 

「百鬼夜行の真の目的は、()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

「────さぁ、新時代の幕開けだ」

 

 

 

 

 

 

 

「────なーんか……とんでもない事になっちゃったなー」

 

 他に誰もいない閑散とした教室で、椅子にもたれながら呟くのは乙骨。

 今回の百鬼夜行では、リスクが高いとのことで待機を命令された彼は、自分が戦力になれないことをもどかしく思っているようだ。

 

「何してんだ、今週は休講だろ」

 

「真希さん」

 

『ガラッ』と音を立てて教室に入ってきたのは、同じく待機が命令された真希であった。

 

「いや、なんか落ち着かなくて……寮の人達も全然いないし」

 

 そう語る乙骨に対して、真希は机の上に胡坐をかいて返す。

 

「2年は前から京都に遠征中だったからな。棘は3、4年と新宿でバックアップ。パンダは学長のお気に入りだから、多分棘と一緒だろ」

 

「そっかぁ」

 

 中々癖の強い性格をしている彼女だが、半年以上共にした乙骨は流石にもう慣れたようだ。

 しかし、そんな乙骨でも気になることが一つだけある。それは、数か月前に夏油が真希に言っていた言葉についてだ。

 

 

 

『────禪院家の落ちこぼれ』

 

 

 

(あんなに強い真希さんが、落ちこぼれだなんて……)

 

 正直夏油の言葉を信じられない乙骨だったが、それでも気にしてしまうのはあの時の真希の反応が理由だろう。

 

 

 

「聞けよ」

 

「えっ!?」

 

「……気になってんだろ。なんで私が落ちこぼれか」

 

 この半年間で、相手のことを理解したのは乙骨だけではない。真希もまた、乙骨が気になっている事など知っているのだ。

 

「いや、うん……はい」

 

 そんな歯切れの悪い乙骨に、呆れたようにため息を吐きながら自分の出自を語り出す真希。

 

「ウチ……禪院家はな、御三家って呼ばれるエリート呪術師の家系なんだよ。お前、呪術師に必要な最低限の素質って分かるか?」

 

「えっ、何かな……」

 

 うーんと唸る乙骨に、真希はいつも付けている眼鏡を外して答える。

 

「呪いが見えることだ。一般人でも死に際とか、特殊な状況で見える事があるけどな」

 

「あ、そっか」

 

「私は、このダセェ眼鏡がないと呪いが見えない。この呪具は、初めから呪いが籠ってるモンで、私がどうこうしてるわけじゃねえ」

 

 ポカンとしながら話を聞く乙骨。生まれつき呪術師の才能があった彼には、想像もつかない世界だった。

 

「おかげで家出られたけどな! 飯は不味いし部屋は狭いし、知らねぇオッサンがうろついてるし、ホント最悪だったわ!」

 

「ッケ」と吐き捨てながら眼鏡を戻す真希。よほどストレスがたまる環境だったのか、その眉には皺が寄っていた。

 

 

 

『────名字で呼ぶな』

 

『────呪力についてだったら、あの礼司(バカ)にでも聞けよ。誰にでも才能があると思ったら大間違いだぞ』

 

 

 

(あの言葉って、そういう意味だったんだ)

 

「真希さんは、どうして呪術師を続けるの?」

 

 そんな環境に置かれてなお、呪術師を目指すというのは、乙骨にとっては不思議なことだった。

 そんな乙骨に対して、真希は曇りのない笑顔を浮かべて語りだす。

 

「私は性格悪いからな。一級術師として出戻って、家の連中に吠え面かかせてやるんだよ……それに、勝手に1人で背負ってったバカとの約束もあるからな」

 

「礼司君と何か約束したの?」

 

 バカと言って礼司の名がすぐ出てくるあたり、割と乙骨も呆れているらしい。

 

「ああ。あいつ今日には帰ってくるらしいけど、マジで私らでシメんぞ。調子乗って心配かけさせやがって……約束については……まあ、若気の至りってやつだ」

 

 己が禪院家を出る前、ちょくちょく顔を合わせていた、人たらしの少年の言葉を思い出す真希。

 

 

 

『────俺は真希ちゃん達を尊敬してるし大事な人だと思ってる。だから、そんな2人が不当な扱いされてる呪術界を変えたいんだ』

 

『だから禪院家は真希ちゃんがぶっ壊して、俺はその他をぶっ壊すんだ! そうすれば完璧でしょ?』

 

(何が完璧だよ。割合偏りすぎだバカ)

 

 

 

 無謀なことを誓い合った過去を思い出し、口元がほころぶ真希。

 乙骨はそんな彼女を見て微笑ましそうに笑っている。

 

「んだよ」

 

「いや、真希さんらしいなって。僕は、真希さんや礼司君みたいになりたい。強くまっすぐ生きたいんだ」

 

 浮かぶのは、自らの先生として戦い方を教えてくれた礼司(バカ)のことであった。

 

 

 

『────憂太! 里香ちゃんとの思い出聞かせてよ!』

 

『ええ!? 別にいいけど……大丈夫かなぁ……』

 

 

 

『────俺は憂太のことカッケーと思うよ? 人を傷つけたくないって理由で死刑になろうだなんて、俺には無理だわ。だから、早く呪いを解いて自由の身になろうぜ!』

 

『そ、そうかな……でも嬉しいよ。ありがとう礼司君!』

 

(ちょっとデリカシーないのは五条先生に似てるけど……)

 

 

 

「僕に手伝えることがあったら何でも言ってよ。『呪術界ぶっ壊そー』なんて」

 

「お前!? 何でそれ知ってんだよ!?」

 

 黒歴史ともとれる言葉が乙骨から出てきて動揺する真希。

 

「礼司君がニッコニコで話してたよ。『真希ちゃんと約束したんだー』」

 

「バカ! こんなとこで言ってんじゃねえよ……ったく。部屋戻るわ」

 

「うん。またね」

 

 そんな乙骨の言葉に返すことなく、速足で歩いていく真希。

 そうでもしないと、この緩み切った表情を見せることになる。それは彼女にとって、あまり喜ばしいことではなかったのだろう。

 

「……バカばっかりだよホント」

 

 

 

 

 

 

 

「────闇より出でて闇より黒く、その穢れを禊ぎ祓え」

 

 

 

 そんな彼女たちに迫る魔の手は、刻一刻と近づいているのであった。

 

 

 

 

 

 時を同じくして東京──新宿。夏油の術式により操られた数多の呪霊たちと、五条たちを含む呪術師が睨み合っていた。

 

「1人、面倒くさそうな奴がいるな」

 

 そう語る五条の視線は、看板の上に立つ黒人の男性。ミゲルに向かっていた。

 

 

 

「成程。アノ包帯カ」

 

「ええ。他は私達で引き受けます。何度も言いますが「分カッテル。俺ラハ足止メデショ」」

 

 隣にいた女性の忠告を遮るミゲル。

 

「ノラリクラリ、夏油ノ仕事ガ終ワルマデ遊ビマショ」

 

 

 

「五条さん!」

 

 ミゲルと睨み合っていた五条に駆け寄ってきたのは伊地知。どうやらかなり焦っている様子だ。

 

「報告が……どうされました?」

 

 やけに悩ましそうに顎をさすっている五条の態度に、不思議そうに尋ねる伊地知。

 

「いや。何でもない、どうした?」

 

「こんな時にとは思いますが、早い方が良いかと。調査を依頼された乙骨の件です。──────」

 

 伊地知が小声で耳打ちをしてくる。その内容から、1つの結論を導いた五条。

 

 

 

「パンダ! 棘!」

 

 近くにいたパンダと狗巻の襟首を突かんで引っ張る五条。何時になく焦った様子の彼に、2人は何事かと驚いている。

 

「どうし「質問禁止! 今から2人を呪術高専に送る」はあ!?」

 

「夏油は今、高専にいる。絶対! 多分! 間違いない!」

 

「どっちだよ!」

 

「勘が当たれば、最悪憂太と真希の2人が死ぬ!」

 

「「!!」」

 

 その言葉に、浮ついていた表情を引き締める2人。

 

「僕もあいつ片づけたらすぐ行く。2人を守れ。悪いが死守だ!」

 

「応!」「しゃけ!」

 

 

 

「! 消えた!? まさか気づかれた!?」

 

 そんな様子を上から見ていた2人が焦ったように話している。

 

「ダカラ影武者ノ一人デモ用意シテオケバト」

 

「下手なダミーは逆効果! 夏油様がおっしゃってたでしょ! 

 

 予定を繰り上げます! 開戦よ! 美々子、菜々子。あなた達はさっき言った通り、()()()()()()()()! 戦えなくて残念だろうけど、彼が10分でも自由に動けたら計画は全部頓挫する。分かった!?」

 

 口元のインカムに向かって指示を出すと、返事はすぐに帰ってきた。

 

『はーい』

 

『礼司。アンタそれ付けてても暴れるって思われてるらしいよ』

 

『別にどうこうしようって気はねえよ。お前らが大人しくしてるならな』

 

『そんなにお姉ちゃんたちのこと大事なの?』

 

『……やかましい。あと、何回も言ってるけど弟になったつもりもないから。俺の方が強いし』

 

『アンタみたいなバカは弟でいいわよ』

 

 敵同士とは思えない3人のやり取りが流れて来る。

 

「イチャつくな! ……はあ……一体いつからあんな仲良くなったのかしら、あの子たち」

 

「アノ呪具ヲ付ケテナオ動ケルダナンテ、大概化ケ物ダナ礼司ハ」

 

 その時の状況を思い出し、呆れたようにため息を吐くミゲル。

 

「『何も知らない子供2人を、人殺しにさせたくない』だったかしら。青いわねホント」

 

「ソレデ大人シクシテクレルンダ。アリガタイト思ッタ方ガイイ。俺ハモウ行クゾ」

 

「ええ」

 

 

 

 何時かと同じ縄の呪具をもち、五条の前へと降り立つミゲル。

 

「アンタノ相手ハ俺ダヨ。特級」

 

 目を覆う白い包帯を外す五条。その隙間から青い『六眼』が覗いている。

 

「────悪いけど、今忙しいんだ」

 

 

 

 

 

 ────互いの信念を掛けた戦いが、たった今始まろうとしていた。

 

 

 

 

 




ここら辺から原作とどんどん離れていきます。
設定にない所は想像で補完していくため、矛盾点があったら感想で教えて欲しいです。

最近ページビューが多いので気になりました。どこでこの小説を見つけていただきましたか?

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