術式がドラ〇もんの道具で説明できるんだが? 作:妄想癖のメアリー
すみません。文量が足りなかったので、まとめて後で書きます。
最初は礼司君の長めの独白から。
両面宿儺
「えぇ……? 五条先生そんなヤバいもんの回収頼んだの?」
『さっき2級相当の呪霊がグラウンドをうろついてた。見つけたら早めに回収したい。連絡するからポータルを頼む』
ったく五条先生も適当なんだから。まあ恵なら大丈夫だと思いたいけど……
「あーい。ヤバかったら連絡ちょうだい」
俺がそう言うと、短い返事と共に電話が切られる。良くあの性格で五条先生と上手くやれてるよな。
電話の相手は伏黒恵。そこそこ長い付き合いのある、俺の同級生だ。本当は学校に行ってる時間だけど、単独で任務に出ている。
────夏油による百鬼夜行から約半年。俺は晴れて呪術高専の1年生になっていた。だからと言って劇的な変化が起こったというわけではなく、特に今までと変わらない生活を送れている。
正直なところ俺の環境がガラッと変わったのは、百鬼夜行の後なんだけどね。
「礼司ー。今日私お肉食べたいー」
「私は麺類の気分」
その要因となったのがこの2人。枷場改め天鳳菜々子、天鳳美々子だ。彼女たちも呪術高専の1年生、俺の同級生だ。
名字が同じ、夕食の相談と続いたら何となく予想が付くと思うが、俺は2人と一緒に同じ屋根の下で生活している。
百鬼夜行を終え、夏油の隠れ家に監禁されていた俺を回収しに来たのは、伊地知さんと五条先生の後輩で一級術師の七海さんだった。
夏油が負けたという事実に、2人は荒れに荒れまくっていたが、本人からの遺言をしっかり伝えられていたのだろう。七海さんがそれを2人に言ったら涙をこらえながら大人しく捕まった。
「んー。じゃあ駅前の焼肉でも行くか。メニューに冷麺とかラーメンとかあったよね?」
「あったあった! もちろん礼司の奢りね!」
「やったー」
そこから程なくして身辺調査が行われた。夏油一派の呪詛師とのことで処刑せよとの声が上がっていたが、俺と五条先生がキレたら大人しくなった。
その出自と背景を考えれば、普通は処刑だなんて選択肢が出るわけない。一般人を呪殺していたのならまだしも、そうじゃないことは証明できてる。
「……まあいつもの事か。いいよ。好きなもん食べな」
「よっしゃ! 礼司太っ腹!」
「帰ったら膝枕してあげるね」
とまあなんやかんやあって俺の義理の姉(実は1個年上)という事で落ち着いた。身分を作ってくれた五条先生には感謝しないとね。俺の家に転がり込んできたのは謎だけど。
最終的にはマンションの部屋が2LDKだから引っ越すことになってしまったのだ。俺が部屋無しでも別に良かったんだけど、2人がどっちの部屋に俺を住まわせるかで喧嘩し始めたから仕方なくだ……俺が家主なんだけどな。
「お前がやりたいだけだろ……」
「細かいことは気にしない! ほら、早めに行って時間潰そーよ。私竹下通り行きたい!」
「また行くの? 先週行ったばっかじゃん」
「毎日でも行きたいの!」と言う菜々子にげんなりしながらも承諾する。なんだかんだ言って俺はこいつらに甘い。それは親の愛を受けられなかった事に対しての同情なのだろう。親代わりでもあった夏油も死んで、それでもなお折れずに頑張ってるんだ。なるべく幸せに生きて欲しい。
「まあいいや。いったん家帰ってシャワー浴びてくるけど、お前らはどうする?」
「私も帰る。マジで午後の実習で汗ヤバいし」
「真希ちゃんスパルタすぎると思う」
「まあ慣れるまでの辛抱よ。2人とも強くなってるし」
そう言って2人の頭を撫でる。こいつらは頭を撫でられるのが好きだ。夏油に良くやってもらってたのだろう。その光景が容易に想像できる。
「……撫でんなよ! 弟の癖に!」
「……生意気」
「ちょっと間があったぞ」
「うっさい!」
とまあこんな感じのやり取りを毎日行っているのだ。真希ちゃんに見られると機嫌悪くなるから、3人だけの時にこっそりとね。
「────ん?」
「礼司? どしたの?」
それから少し経って、俺は2人の荷物持ちをやらされている。
そんな中、ポケットに入れた仕事用のスマホが振動し始めた。誰からの電話だろう。
「ごめん。ちょっと持っててこれ」
「また仕事の電話? アンタ働きすぎだって」
「こればっかりはしょうがねえだろ……っともしもし五条先生?」
『あ、礼司? ごめんちょっと急ぎでこっち来れる? 現在地ラインで送るからさ』
「ってちょ……切るの早すぎだろ」
うーん。これは誰か死にかけてるっぽいな。
1日数回の限定ではあるが任意の場所に即座に移動し、反転術式によるヒールもできる俺は、度々プライベートでも急に呼び出される。それ自体に不満は無いが、問題なのはこの2人だ。
「ごめん2人とも。五条先生の呼び出し食らっちゃったから今日は無理そうだわ」
「えー!? せっかく3人で焼肉行くのに!」
「……菜々子。こればっかりはしょうがない」
……えらく美々子の物分かりが良いな。
「帰ったらその分埋め合わせしてもらう」
「さっすが美々子! 分かってる! じゃ、任務がんばー」
「……はいはい」
絶対ロクなことにならないと確信しながら、俺は送られてきた座標に向かってポータルを開いた。
「────っと。やっほー五条先生。これどういう状況?」
日が暮れていても騒がしい竹下通りを抜け、俺がやってきたのは仙台のとある学校だった。
ポータルを抜けたと同時に、眼前の状況を把握する。いつも通り飄々と立つ五条先生と恵は……うわ、血だらけじゃん。
「おい大丈夫かよ。ほれ」
「……悪い。ありがとう」
「全然ええよー。で、そっちの気絶してる子は?」
見た感じ普通の高校生って感じだけど……なんかエグい呪力纏ってんな。
「その子、両面宿儺の指食べちゃったんだよね」
「……マジ?」
「「マジ」」
マジかぁ……
「────で、虎杖悠仁君だっけ。どうすんの?」
呪いの王両面宿儺。その死蝋である指を食べ、それでも死なないどころか受肉し、コントロールできるという、1000年現れなかった逸材だ。
だが今後、体が宿儺に乗っ取られない保証はない。だがもし完全に制御できるというのであれば、呪術界にとって
「もちろん死刑にする気は無いよ。あの恵がワガママいうくらいだもん」
すげえな……まだ喋った事無いけど、良い奴なんだろうな。
「まあいっか。とりあえず悠仁が起きたら説明しないといけないしね」
それにしたって……
「五条先生。随分楽しそうだね?」
「あ。分かる?」
「そらそうよ」
何年一緒にいたと思ってんだ。
「礼司、乙骨、秤と来て今度は宿儺の器だよ? ……これから呪術界は大きく動かざるを得ないだろうね。
────楽しみなんだよ。新しい子たちの時代が」
「……さいですか」
「────とまあこんな感じで、恵の他にもう一人の同級生を紹介しやっす!」
「天鳳礼司。よろしく! 割と昔から呪術師やってるから、聞きたいことあったらどんどん聞いて頂戴な」
五条先生が死刑に関する説明は全部してくれたそうで、俺が出てきた時には自己紹介の流れになっていた。
どうやら親代わりだったお爺さんが先日亡くなったらしい。何とも言えないタイミングだと思いながらも、それを表情に出すことはせずに挨拶を済ませる。
右手を差し出した俺に、悠仁は笑顔で握り返してくれる。いい奴や。
「おう! 知ってっと思うけど、俺の名前は虎杖悠仁! よろしく! その年で昔からって、何歳から呪術師やってんの?」
「えっと、初めて呪霊を祓ったのが7歳で、五条先生にスカウトされたのが10歳の時。人生の半分は呪霊祓って過ごしてきたぞ」
「マジで!? 呪術師ってそんな過酷な幼少期過ごしてんの!?」
そりゃ驚くよな。小1の頃からあんな化け物ぶっ殺して過ごすとか、ドン引きされても仕方ない……なんて説明しようかな。
「そいつ、礼司はかなり特殊だ。普通の術師でも、そんな小さい時から呪霊と戦ったりなんかしない」
「伏黒!」
「お、元気そうでよかった」
昨日の怪我も治ってるみたいだな。宿儺以外でそこまで怪我を負うなんて、割と強い呪霊が出てきたんだろう。無事でよかった。
「おかげさまでな。まだダルさは抜けてねえけど」
「そういう伏黒はどんな感じだったの?」
「俺は五条先生の仕事を見学したりとか、見てもらいながら呪霊祓ったりとかそんな感じだ」
「それが普通なんだなー」
……なんかサラッと普通じゃない奴扱いされた気がする。
「アンタ自分の強さ考えて話せよ」
「なんで考えてること分かるんだよ……」
「滅茶苦茶顔に出てるよー? 不満たらたらだーって」
一番普通じゃない奴に言われたんだけど。腹立つわ。
とまあそんな会話は置いておいて、五条先生は締めくくりに入るようだ。まあ俺の術式があるとはいえ、なるべく早い方がいいだろう。ただでさえ先生遅刻しがちだし。
「よし! これで1年生も2人目の顔合わせだね! 因みに1年生は君で6人目!」
「少なっ!?」
「因みに多い方だぞ」
「マジで!?」
大体毎年3人くらいしかいないからな。
「よーしじゃあ東京向かうよー。礼司、よろしくね」
「あいあいさー」
五条先生の指示に従って、東京、細かく言えば高専の敷地内に座標を設定する。昨日と今日で既に2往復しているため、ストックが心配だ。
まあ呪符が無くても一回くらいなら何とかなるけど、多分ぶっ倒れると思う。
「え!? なんかゲームみたいな奴出てきたんだけど!」
「すげぇー」と言いながらポータルをまじまじと見る悠仁にちょっと嬉しくなる。いいね、リアクション大きいと話してて楽しいわ。
「凄いのは見た目だけじゃないよ。なんとそのポータル、東京直通便です!」
「マジで!? どこでもドアじゃん!」
懐かしいな。昔はよくそう言って説明したっけ。
「ほら、興奮するのもいいけど行ったいった。あんまり長く開いてられないから」
「はーい」
そんな呼びかけをすると同時に、悠仁がくぐり抜けて周りをまじまじと見つめている。やはり一瞬にして景色が変わるのは不思議なのだろうな。
「ねぇ、それって呪術極めれば俺でもできるの?」
「ポータルの事? だったら出来ないんだよね。これは呪術の中でも『術式』って言って、1人1人が生まれつき持ってるものだから。恵が出してた犬とかもそうだよ」
その言葉を聞いた悠仁はガッカリだろうな。多分ハリーポッター的なモノを想像したんだろう。
「えー! ズルくね? 俺もそれ使っていろんな所自由に行ってみたい!」
「言えば連れてってやるから。呪術師はクソみたいな仕事の代わりに給料は良いからね。この前の春休みにも沖縄に旅行行ったし」
「お! マジで? どのくらい貰ってんの?」
「俺の貯金はこんくらいかな」
そう言って両手をパーにして悠仁の眼前に持っていく。
「10万!? すげえな、バイトしてないのにそんな持ってんの!?」
少し前まで中学生だった悠仁にとって、旅行に行って2か月でそれだけ小遣いが貯まるのは凄いことなんだろう。
ただ死と隣り合わせの呪術師がそんな低賃金だったら、誰も呪霊なんか祓わないぞ?
「違うよ。10万じゃなくて、桁数ね」
「桁数……?」
「一、十、百、千、万」と。指を折りながら数えていく悠仁。恵がジト目でこっちを見て来るが、これくらい夢を持たせても罰は当たらないだろう。
「千万、一億……十億!? 嘘でしょ!?」
「一応言っておくが、ソイツが特別なだけだぞ。普通はそこまで貰えない」
もう一度指を折りなおして数える悠仁に、恵は呆れたようにため息を吐いた。
「礼司は日本全国どこでもすぐに駆け付けられるからね。仕事もすぐ終わらせられるし、その分回りが良いんだよ」
「そっかぁ……いいなあどこでもドア」
そうこうしているうちに学長が待つ建物の前へとやってきた。
どうやら面談には悠仁と五条先生だけが行くようで、俺と恵は外でお留守番だ。
「じゃ、落とされんなよー」
「おう! 死刑にはなりたくないしな!」
そう言って建物へと入っていった。
「虎杖の奴は合格できると思うか?」
そんなことを聞いてきたのは、隣で建物に寄りかかっている恵。基本的にあまり口数が多くない彼だが、根暗という事でもなく、意外と本の話で盛り上がったりする。
「うーん正直微妙じゃね? アイツマジで小さい頃の俺とそっくりなんよね。なんと言うか、割と呪術師に理想を持ちすぎてる感じが」
「……確かに。まぁ、そこは学長が上手くやってくれることを祈るか」
「────あ! 礼司じゃん。帰ってきたんだ!」
「やっほ」
「……」
あ、恵が目そらした。
「ただいま。焼肉の金足りたか?」
「よゆーだったよ。5万も使わないって。金銭感覚バグりすぎ」
「結婚したら困るから、早めに矯正しないと」
おいやめろよ。恵メチャクチャ気まずそうじゃん。
「やかましいわ。お前ら話聞いてるか? 新しい1年生の話」
「知ってる……宿儺の器。吊るす?」
「まだ吊るさねえよ!? ……会って話してみたけど、俺と似たようなタイプだよ」
「オマエ一応根明の自覚あったんだな」
お、恵が突っ込んできた。いや……まあね、他の人が結構……
「……俺が悪かった。だからそんな微妙な顔すんじゃねえ」
あ。顔に出てた?
最近ページビューが多いので気になりました。どこでこの小説を見つけていただきましたか?
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