術式がドラ〇もんの道具で説明できるんだが?   作:妄想癖のメアリー

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交流会前

 

 

 

 7月。二年生たちと特訓を始めてから二週間ほどが経過した昼下がり。

 伏黒と釘崎は、高専の敷地内に設置されている自販機の前に居た。

 

「はー、自販機もうちょい増やしてくんないかしら」

 

 ガコンという音が鳴り、缶ジュースが落ちて来る。2人は今、真希によってパシリにされていたのだ。

 不満そうにブツブツと呟く釘崎に、伏黒は無表情で答える。

 

「無理だろ。入れる業者も限られてるしな」

 

 その言葉を聞いた釘崎の怒りは、何故か最近あまり顔を見せないもう一人の同級生へと向かう。

 

「てか、あのバカ礼司はどこ行ったのよ。美々子たちはなんか面談? みたいなのがあるって言ってたけど」

 

 確かに礼司の術式があれば、近くのコンビニに一瞬で移動できるだろう。

 菜々子を筆頭に、高専女子たちのタクシー代わりに使われることが多くなった礼司が、伏黒に愚痴を言っていたのは記憶に新しい。

 

「礼司は知らん。あの2人は、今日来る予定の京都校の学長と、東京校の学長と面談だ」

 

 そう返した伏黒だったが、どうやら釘崎はその面談の内容が気になるようだ。

 

「はぁ? なんであの2人がそんな面倒ことしてるのよ」

 

 下ろしたてのジャージ(美々子たちと一緒に買いに行った)のポケットに缶ジュースを入れながら、質問を投げかける釘崎。

 伏黒も思うところがあるのか、ため息を吐きながら答えた。

 

「……あの2人がどういう経緯で高専に来たか分かるか?」

 

「知らん。私が知ってるのは、姉弟のくせして礼司のヤツのことが好きって事だけよ。真希さんもそうだけど、あんなチャラ男のどこが良いんだか」

 

「何も知らねえじゃねえか……」

 

 一体その自信はどこから来るのかと、呆れた表情を隠すことなく続ける伏黒。

 

「去年のクリスマスに起きた百鬼夜行。名前くらいは知ってるだろ」

 

「あーあれね。1人の呪詛師が先導したヤバい事件」

 

「ああ、あの2人はその呪詛師。夏油傑によって、小さい頃から育てられた。つまり元呪詛師だ」

 

 あっけらかんと語る伏黒に対して、野薔薇は呆けた表情を隠せない。

 

「じゃあ半年前まで敵だったって事? よくもまあ素直に高専入ったわね……というか、それじゃ礼司との関係の説明つかないじゃない」

 

「礼司があの2人と出会ったのは大体10か月くらい前だ。夏油によって誘拐されて、隠れ家に軟禁されてるときに仲良くなったらしいぞ」

 

「……意味わかんないわね」

 

「それはマジで同意」

 

 どうして10か月弱であそこまでの関係性に発展したのかと、呆れたように礼司の顔を思い浮かべる2人。

 ただその情報で何となく面談の理由が分かったのか、釘崎は納得したように呟いた。

 

「じゃあ面談って言うのは……」

 

「呪詛師堕ちが無いように、定期的に面談を行ってるみたいだぞ。正直意味ねぇと思うけどな」

 

「そうね……」

 

 2人が思い浮かべるのは、毎日のように今日の夕食は何かと礼司を取り囲む2人の姉妹。

 

『今日は夜なに食べんの? 私この前のアレ食べたいんだけど』

『私も同じやつ。気に入った』

『いいけど、あれ材料あんま売ってないからそんなに多くは作れないぞ。買い出し行かないといけないし』

『買い物行くんだったら、シャンプー切れてたからついでに買ってきて』

『あとジュースも無くなってた』

『マジか……1日3本とか飲んでねえだろうな?』

『……飲んでないわよ』

『ホントかな……』

 

 そんな光景を思い出したのか、苛立ちを隠さず舌打ちをする釘崎。

 

「何でキレてんだよ……」

 

「いや、私を差し置いて順当にリア充しててムカついた」

 

「……因みにだが、アイツが住んでるのは世田谷の○○だぞ」

 

 それで伝わるかどうかは賭けだったが、釘崎はちゃんと理解していたようだ。

 何回目か分からない驚愕の声を上げる釘崎。

 

「はぁ!? 超高級なとこじゃない! 特級術師ってそんなに金貰えるわけ!?」

 

「この前10億の貯金があるって自慢してたぞ」

 

「私も転がり込もうかしら。今度菜々子に相談してみよーっと」

 

 そんな気が狂ったような釘崎の発言に、何度目か分からないため息を吐く伏黒。

 

「お前……抵抗は無いのかよ」

 

「あの2人と同じ屋根の下暮らしてて、好かれてるって分かってんのに手出さないヘタレだから大丈夫よ」

 

「……確かに」

 

 

 

 

 

「────ックシュン!」

 

「おわ! 大丈夫? 礼司」

 

 悠仁と特訓中、突然くしゃみが出た。誰か俺の噂してんのかな? 心配そうにこちらを見つめる悠仁に対して大丈夫と伝える。

 

「ん、大丈夫よ。野薔薇ちゃん辺りが俺の愚痴でも言ってんじゃねえかな? 『何でアイツばっかり特訓サボってんのよー!』って」

 

「ありそー……ってか、やっぱしっかりやってる感じ?」

 

 何処か申し訳なさそうに聞いてくる悠仁。

 

「おう。そりゃあ真希ちゃん達とみっちりな。俺もたまに顔出しに行くけど、そのたびに野薔薇ちゃんにサボるなー! ってありゃかなり扱かれてんな」

 

「……そっか」

 

 ジャージ姿で膝に手を置き、息を整える悠仁。今俺と悠仁は、生きている事がバレないように東京から遠く離れた山の中で特訓している。標高もそこそこ高く、かなり過酷な環境だ。いくら悠仁でも疲れるだろう。

 もちろん何の意味もなくここで特訓をしているわけではない。呪霊との戦いは、時に大きなデバフがかかった状態で行うことがある。そのため、どのような環境下においても呪力を練れるようにするのが目的だ。

 

「ほら、辛気臭い顔してんじゃねえよ。あいつらも、お前の死を乗り越えて特訓してんだ。サボろうってんなら引っ叩くぞ?」

 

「ンなことしねえよ。もう一本! お願いします師匠!」

 

 俺の言葉に鼓舞されたのか、膝を叩いて気合を入れなおす悠仁。今まで人にマンツーマンで教えることが無かったため、中々楽しい……五条先生が俺の特訓してた時も、こんな気持ちだったんだろうか。

 

「まずは呪力出力を絞った俺から一本な。そしたら少しずつ上げてくから。全力でついて来いよ?」

 

「おう!」

 

 掛け声と同時に、悠仁は凄まじい速度で攻撃を仕掛けて来る。……いや、強いなマジで。術式無し、呪術学んで一か月でこのレベルか。

 元々の身体能力にプラスして、体を動かすのが得意だったのだろう。無意識に相手の嫌なところに狙って攻撃している。現時点では準2級くらいの実力かな? 呪力による身体強化自体はかなりザルだが、裏を返せばそれだけ伸びしろがあるって事だ。

 

「よし! 出力をちょっとだけ上げようか。因みに俺はまだまだ余裕だぜ? ケガしても治せるから死ぬんじゃねえぞ!」

 

「うおっ! 速っ!」

 

 口でそうは言いつつも、意識を防御に全振りしたら防げるのか。

 

「よーし、出力10パーまで上げるぞー。もっと呪力練らないとついてこれないよ」

 

「マジか……っよ!?」

 

 現時点での呪力出力は10%前後。イメージするは夏油と出会った日の俺。その状態で2、3回の攻防を繰り広げれば、自然と悠仁の体勢は押し込まれていく。そのまま悠仁のガードを上にはじいて、上体をそらした悠仁の足を払う。

 

「うっ!」

 

「はい、これで一本。体術は言う事無し、呪力操作は20点。やっぱり映画見てるときより精度が落ちてるよ」

 

「そうなんだよなぁ……やっぱ意識が戦う方に向いちゃうっていうか」

 

 あおむけに倒れる悠仁にデコピンを入れ、右手を差し出す。打たれた額を涙目で撫でながら悠仁は呟いた。気持ちはよく分かる。俺も最初慣れるまで結構時間かかったから。

 映画を見ながら呪力を練るのと、一切の油断が出来ない近接戦闘で呪力を練るのとでは、呪力量精度共に大きな差が生まれる。しかし、そんな甘ったれた事を言っている暇はない。

 

「一流の術師になると、呪力を操作する際に意識したりしないよ。歩くときにどっちの手を出して歩くかなんて考えないでしょ?」

 

「そんな簡単に言われても……」

 

「慣れだよなれ。ほら、休憩したらもう一本な」

 

「うっす!」

 

 交流会までに最低パンダとやりあえるくらいまでは伸ばしたいな。一か月とちょっと、しっかり鍛えてやらないとな。

 

 

 

 

 

 

 

「あ! 七海さん。お久しぶりです」

 

 悠仁との特訓を始めてから2月ほど、悠仁の任務に七海さんが同行したと聞いた俺は、約半年ほどぶりに会った七海さんの下へと向かった。

 

 ────七海建人。五条先生の一個下の世代で、一級術師の彼について簡単に説明するなら、『強くて常識人』というのが一番合っているだろう。強さに比例して人格が破綻しがちな傾向にある呪術界において、この人の存在は何よりも貴重なのだ。

 五条先生が言うには『脱サラ呪術師』。そう、なんと珍しい社会経験を積んだ呪術師なのだ。

 

「お久しぶりです礼司君。この前のお年賀、なかなかのものでした」

 

「喜んでいただけたなら嬉しいです! 頑張って選んだんですよ!」

 

 俺がお正月に贈り物を送る術師なんて、多分この先も七海さんしかいないだろう。五条先生に拾われた時から、この人にはお世話になりっぱなしだ。

 

「相手のことを考えるその姿勢は素晴らしいですが、値段を一切考慮しないのは良くないです。相手が委縮してしまいます」

 

「すいません……」

 

 基本的にこの人に会うと、7:3の割合でお褒めの言葉とお叱りの言葉を貰っている気がする。ちなみに7が褒める方だ。

 昔どうしてここまで気を使ってくれるのか聞いたことがあった。仲良くなる前から面倒見が良かったし、周りの大人に対してあまりに常識人過ぎたため、感覚が麻痺していたのだろう。

 

『いくらあなたに才能があろうとも、私にとっては守るべき小さな子供です。それに、周りの人間があれではロクな大人にならない。そう思っただけですよ』

 

 結構昔の記憶だったためはっきりとは覚えていないが、多分俺は泣いたと思う。

 とまあそんな理由で、俺はこの人に頭が上がらない。悠仁のアフターケアについても、この人なら多分問題ないだろう。

 

「任務の話聞きましたよ。悠仁の奴、大丈夫でしたか?」

 

「それは彼次第です。ですが、彼は呪術師としての責務を果せていた、とだけ言っておきます」

 

「そっか」

 

 なら安心だ。って、こんな無駄話をしに来たんじゃない。交流会まで時間が無いし、早く渡さないと。

 

「っと、忘れるとこだった。七海さん。これを受け取ってください」

 

「これは……一体何でしょう?」

 

 俺が七海さんに手渡したのは、俺が呪力と術式を込めたお札である。原理はテレポート御札と同じで、そこにはとある術式が込められている。これ1枚作るのに、俺の1日の呪力半分も使ってしまった。

 

「まだ試作品ですが、これは領域の必中効果をかき消すお札です。効果時間は大体3分から5分くらい。領域の必中効果の強さによって時間が変わります」

 

 因みに五条先生の領域で使ったら10秒しか耐えられなかった。マジ規格外。

 必中効果を打ち消せる理由は、そこには俺の生得領域である異空間が敷き詰められているからだ。これを発動することによって、お札から半径7メートルの球状の範囲に結界を張り、その中が異空間で満たされる。

 通常の中→外の移動を縛りによって抑える領域と違い、外→中からの攻撃を防ぐ設定にしている。イメージとしては、領域展開を裏返した的な感じだろうか。

 術式が便利すぎて忘れられがちなのだが、俺の最も得意とする呪術は結界術。結構大変だったけど、試作品としてはまずまずだろう。

 

「……サラッと言っていますが、これに値を付けるなら億は下らないと理解しているでしょうか?」

 

「今までお世話になった分って事で、受け取ってください。相手からの善意を拒否するなって教えてくれたのは七海さんだったでしょ?」

 

 そう言われると弱いのか、渋々と言った様子で受け取る七海さん。

 

「分かりました。私も死にたくはないですから、ありがたく頂きます」

 

 よっしゃ! これで一安心だぜ! 

 

「良かったです! じゃ、俺交流会始まるんで先失礼します!」

 

 五条先生みたいに遅刻しちゃかなわんからな。早く京都校の皆に会いたいし。

 

「……よくも五条先生に育てられてああなりましたね。いや、だからこそなのでしょうか……」

 

 

 

 

 

「あぶねー! まだ京都校の皆は来てないみたいだね……って、どしたの野薔薇ちゃん。そんなでっかい荷物持って」

 

 ギリギリセーフで到着する。ポータルが使えないと移動が不便すぎるな……とまあそんな感じで皆と合流したが、何故かキャリーバッグを持っている野薔薇ちゃん。うわ、めっちゃ機嫌悪そう。

 

「こいつ、京都校で交流会やるって勘違いしてたらしいぞ」

 

「最近何言ってんだコイツってなること多かったのは、それが理由っぽいよ」

 

「礼司、交流会終わったらどこでもドア。わかった?」

 

 呆れた様子の恵と菜々子が説明し、野薔薇がいつものようにどこでもドアを要求してくる。

 

 どんだけ行きたかったんだよ……まあいいや。交流会が終わったら東京校皆で京都旅行としようか。丁度別荘もあるからね。

 

「いいよ、交流会終わったら皆で俺の別荘行こうか。皆が泊まれるくらいの部屋あるし」

 

「は? 別荘……?」

 

「礼司は術式上いろんな所に派遣されるからな。俺らも任務あるときは使わせてもらってるぞ」

 

「呆れた……」

 

 呆ける野薔薇に対して、パンダが説明をしてくれた。というか何でおれが呆れられてんだよ。流石に何もない時は宿泊施設として貸し出ししてるぞ。コンドミニアム的な感じで。

 

「そういう意味じゃないわよ」

 

 ……さいですか。とそんな話はさておいて、交流会について話そう。

 

「……術式で殺してしまわないか心配」

 

「ダイジョブだって。術式使わなくても、私らのコンビネーションでちょちょいのちょいよ」

 

 上から美々子、菜々子と会話が続く。そう、元々は停学中の3年生の代わりに出るはずだった1年だったが、「どうせならパーッとやろう!」という五条先生の言葉で1年全員参加となったのだ。

 因みに京都校の1年の子は出ないで、代わりに人数合わせでメカ丸がもう2体出るらしい。大変だな、いろいろと。

 

「てか礼司。お前その腕輪どうしたんだよ。似合ってないぞ」

 

 初手罵倒から入ってくるのは真希ちゃん、相変わらずだなホント。真依ちゃんに会えるからなのか、心なしか少しテンション高めに見える。

 他の皆も気になるのか、食い入るようにこちらを見つめてきていた。

 

「五条先生につけられた。何でも()()()使()()()()()()()()らしいよ。鍵は五条先生が持ってる」

 

 夏油の使ってた奴に似てるのは嫌がらせだろうか。美々子と菜々子は出会った時のことを思い出して目を輝かせている。やめてくれ背筋がゾッとするから。

 顔を青くする俺に話しかけてきたのは恵。めちゃくちゃ不満ですといった顔をしている。そりゃそうか、皆で頑張ってる中1人だけ舐めプだもんな。でも俺に言わないで欲しい。朝寝てるところを一瞬でカチッとされたんだから。

 

「……それありなのか?」

 

「ありなんじゃね? だって俺が術式使えたら一瞬で終わっちゃうもん。術式無しでも負けるつもりないけど」

 

 組み手100本中1本くらいだったら五条先生にも勝てるかも……? 

 

「そこはしょうがないだろうな。ほら、来たぞ」

 

「礼司くーん!」

 

 そんな何回目か分からない声が聞こえて来る。生徒より先に来るなよ。まあ引率って意味じゃ間違ってないけど。

 いつものように飛び込んでくる歌姫さんを抱きかかえる。もう完全に身長越しちゃったな。

 

「お久しぶりです。歌姫さん」

 

「またやってるよ……」

 

 それと同時に呆れたような桃ちゃんの声が聞こえて来た。そちらを見れば、少し遅れて京都校のみんながやってくる。

 

「おいっす皆! 全員と会うのは1年ぶりくらいかな?」

 

 個人的にはちょくちょくあってるが、全員と顔を合わせるのは中々久しぶりな気がする。

 

「ちょっと! この状況に誰もツッコまないわけ?」

 

 多分歌姫さんのことを言ってるんだと思うが、もう慣れっこだ。何故かツッコミ役みたいになりつつある野薔薇ちゃんに、真希ちゃんが説明してくれた。

 

「……それって教師として良くないんじゃないすか?」

 

「この2人は礼司が10の時からの付き合いだからな。そこら辺の感覚はちょっと違うんだろう」

 

 そんな呆れ顔の野薔薇ちゃんを置いておいて、皆それぞれが話を始める。

 

「礼司、今日こそはお前の女のタイプを聞かせてもらうぞ!」

 

「俺に勝てたらっていっつも言ってるだろうが」

 

 ホント人の話聞かないよなコイツ。

 

「……なるほどナ。そちらの担任にもう2人くらい連れて来いと言われていたガ、お前が理由カ、礼司」

 

「正直テレポートの術式はズルすぎるとおもうのよね……」

 

 上からメカ丸、桃ちゃんと続く。3体のメカ丸が並んでいるのは中々圧巻だな。どれも別タイプっぽいけど。

 それにしても、五条先生が気を利かせてくれるの珍しいな……いや、ただ単に俺に嫌がらせしたいだけか。腕輪付けられたし。

 

「その点なら大丈夫よ。俺、術式使えないから」

 

 五条先生に付けられたとの旨を補足すると、同情したような目で見られる。もう慣れたから大丈夫だよ

 

「まあ、だとしたら中々いい勝負が出来そうだ。礼司君に続いて、伏黒君も強いと噂は聞いているからね」

 

「……」

 

 御三家の一つ。加茂家の次期当主である憲紀君が語る。因みにご指名の恵は苦い顔をしている。そりゃあ禪院家の話出されてもって感じだよな。

 そんなやり取りをしていると、何時のもごとく遅刻してきた五条先生がやってきた! 

 

「────おまたー!」

 

 その手には何やらキャスター付きの箱がある。人一人が余裕で入れるくらいの……あ、察したわ。悠仁が居なかった理由ってこれか。

 

「はい! これ五条先生からのお土産! 京都の皆にはとある部族のお守りを。歌姫のは無いよ」

 

「いらねぇよ!」

 

 今後の展開が何となくわかってしまった……嫌だなぁ。俺も怒られるじゃん絶対。悠仁が気を遣って黙ってられるとは思わないし。

 

「そして、東京校の皆にはこちら!!」

 

 手に持った箱を俺達の前に運ぶ五条先生。そして何かが勢いよく箱から飛び出してきた。

 

「故人の虎杖悠仁君でーっす!!」

 

「はい! おっぱっぴー!」

 

「ブッ!」

 

 やばい、吹き出してしまった。テンションの差が面白すぎる。

 サプライズに夢中で気づくのが遅かったのか、恵たちの表情にたった今気が付いた悠仁は固まってしまっている。

 

「あははははは! あはは!」

 

 ちょ、だめだ。マジで申し訳ないけど面白すぎる。そりゃ死んだと思ってた友達とこんな形で再会したらそうなるって。

 

「おい」

 

「あ、はい……」

 

 悠仁が入っていた箱をガンと蹴とばした野薔薇ちゃん。その目にはうっすらとした涙が浮かんでいる。

 

「何か言うことあんだろ」

 

「……黙っててすいませんでした」

 

 

 

 ────悠仁の文字通り命がけのギャグは、大スベりという結果で終わったのだった。

 

 

 

 




メカ丸も簡易領域カプセルに入れてたしええやろって軽いノリ
因みに腕輪を解除するための鍵は五条先生が持ってて…
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