術式がドラ〇もんの道具で説明できるんだが? 作:妄想癖のメアリー
────領域展開。それは、術式の最終段階であり、呪術を極めたものでしか使用することは出来ない。
これを習得し自在に使いこなせるものはごく限られており、呪術師の中でも両手に収まる数しか居ない。
領域展開とは、術師の中にある術式、生得領域を結界として体外に創り出し、そこに相手を引きずり込ませる技。
大幅に呪力を消費し、発動後は術式を使う事が出来なくなるというデメリットがあるが、絶大なメリットが2つある。
1つは『環境要因による術者のバフ』
領域の中は己の術式の中であるため、術者は自分の能力をいかんなく発揮することができる。
そしてもう1つは、『領域内で発動した術式の絶対命中』
領域の中にいると言うことは、既に術式が当たっている事になるため、術式に基づく攻撃は必ず当たる。
対処法として、こちらも領域を展開して中和するというモノがあるが、基本的に先に出されてしまったら術式が必中するため、これも意味をなさない。
発動=死の術式ならば、領域に閉じ込められた時点で死が確定する。
────そしてこの領域展開、静謐揺籃は、領域が完成した時点で効果を発揮するというものだった。
「領域展開だと!? っぐ、クソ!」
俺は領域外へと脱出するため、すぐポータルを開いた。
しかしその努力も無駄だったようで、気が付いた時には、全く違う景色の中に居た。
────それは、呪霊の領域内とは思えないほど、余りにも穏やかな空間だった。
見渡す限り続く芝生の大地に、天からは暖かい陽光が差している。そしてどこか懐かしい匂い。
戦いの最中で無ければ、昼寝でもしてしまうほどだった。
「な、なんだよ……ここ」
「ここは私の生得領域の中、この景色は、あなたが一番落ち着く光景が自動的に写されるの。いわば、心の鏡の様に」
そう語るのは俺の
「……は? 俺は今、母さんと呼んだのか? ……こいつを」
おかしい。こんな事、あっていいはずがない。
こんな偽物に、俺は心を強く惹きつけられている。
「無理もないわ。私の領域は、入れ込んだ者の記憶を読み取ることができるの。全く。油断も隙も無い子ね、五条悟が来たら、お母さん殺されちゃうわ」
「記憶を……読まれてる?」
じゃあ。目の前の彼女が、どうしようもなく母さんと重なって見えるのは……俺の記憶を読んだからなのか。
「お前なんかに……お前なんかに! 俺の思い出を汚させてたまるか!」
ポータルを開こうと呪力を込めるが、びくりとも動かない。
「無駄よ。私の領域内で、あなたは私に危害を加えることはできない。逆も同じだけど。そして……」
そう言って掌印を結ぶ呪霊。その動向を見逃さないようにしていると、何かが背後に現れた。
此方に危害は加えられないと言っていたが、嘘はいくらでもつけるため、急いで振り返って確認する。
「……は?」
「あなたがここから出るには、その包丁で、彼らを殺さなければいけないの。ふふふ、素敵でしょう?
あなたはもう一度、
────そこにいたのは、両手をはりつけにされた俺の父さんと母さんだった。
「……この下衆が」
「ふふふふ。そんな所で立ち尽くしててもいいのかしら? この領域はね、長くいれば長くいるほど私に魂を吸われていくの。段々小さくなっていって、最終的には胎児になって死ぬの」
コイツの話が正しければ、俺はいち早く2人を殺さなければならない。
だができるのか? 俺に、2人を。
「あははははは! いいわ。その顔よ。ずっとそれが見たかったの! さあ。早く殺さないとどんどん戻って行くわよ?」
そうこうしている間にも、俺のナニカが失われていくような感覚がする。
後5分もすれば、俺の存在は消えてなくなり、こいつの養分となるだろう。
そうすればこれから、五条先生とか、皆と会えなくなる。思い出もなくなる。
そんなんでいいのか? 本当に。
一瞬のうちに溢れ出すのは、皆との楽しかった思い出や記憶。
五条先生と一緒にいろんなところに買い物に行った記憶。
酒とタバコを手に持った家入さんから逃げ回った記憶。
伊地知さんと五条先生の愚痴を言い合った記憶。
夜蛾学長にぬいぐるみを作ってもらった記憶。
その他にも恵や先輩たちなど、ここに来てからできた友達との記憶。
そして、両親との記憶。
『なるべく多くの人を幸せにして、幸せに生きてくれ』か。
ホント。子供のことしか考えてないんだから。死に際の言葉が、これだなんて。
────その覚悟を、俺は無駄にするつもりはない。
「ごめん2人とも。俺、2人を殺して幸せになるよ」
そう言って包丁を手に取る。
って、この包丁。俺が父さんと一緒に選んで母さんにプレゼントしたヤツじゃん。懐かし。
……これも俺の記憶からか、つくづく腹が立つ。
「何を言っているの、ふざけないで! ここまで澄み切った魂のあなたが、実の親を殺せるわけないでしょ!?」
俺が2人の元へ歩き出したのを見て、焦ったように声を荒げる呪霊。
その声を無視して、最初に眠る父さんの胸に包丁を一気に下す。……!?
「っがぁ!?」
その瞬間、胸に刺されたような痛みが走る。いつも呪力で体を強化していたため大丈夫だったが、今の俺は同い年の子供より弱いのだ。そのダメージは計り知れない。
「あっはははは! ざまあないわね。その2人はあなたの魂と繋がってるの。攻撃したら、そのままあなたに帰ってくるわよ! バカなことはやめて、大人しく私のエサになりなさい!」
「……っく。そりゃいい。2人だけに、痛い思いはさせたくなかったからな」
そう言って母さんの胸に包丁を下ろす。
「……っぐ!?」
「ああ。私の領域が……」
それと同時に領域が解けていく。そして目の前の母親の姿をした呪霊は。手足が生えた醜い泥のような姿に変わっていた。
「それがお前の本来の姿か」
領域展開を使用したことで、術式が一時的に焼き切れているのだろう。
祓うには今しかない。俺も早く戻らないと、出血多量で死んでしまう。
「縺? 縺九i菴輔□縺」縺ヲ險! 縺■繧?>縺ェ縺!!」
そんな言葉にならない叫びをあげた呪霊が、こちらに飛び込んでくる。
そうか。力が弱まったから、話すことすらできなくなったのか。
こんな奴に。母さんが侮辱されたのか。
「お前の敗因を教えてやるよ。
────俺たち親子の絆。舐めすぎ」
────その言葉と共に、黒い閃光が走った。
────呪霊
子供の親に対する悪感情にて生まれた呪霊。元々は準一級相当で、術式も相手の一番会いたい人物(大体母親)に変装するという弱い術式だったが、近年虐待問題などが浮上してきたため特級相当の呪霊となった。
術式は先ほど言ったのに加えて2つ追加効果を得た。
1つは、姿を変えるだけでなく、礼司であれば母親への思いの強さと、礼司本人の能力値によってバフがかかる。この際の呪霊の基礎能力は、宿儺の指3本分ほど。
百鬼夜行後の五条がこの術式にかかっていたら、夏油の姿をしたクソ強い呪霊が生まれていた。
もう1つは、子供限定で魂を吸収し、その力を取り込むという能力。これによって食べられた子供は、周りの人間から存在すら忘れられるという極悪非道なおまけもついている。高専側に気づかれずに力を蓄えれたのはこれが理由。
礼司が食べられたら、礼司の呪力と術式が奪われていたため、相当厄介な呪霊になっていただろう。
ーー領域展開:
天元の語っていた、必殺効果を含まない領域展開。その為押し合いに強く、礼司がポータルを開く前に飲み込まれてしまった。見た目は相手の1番落ち着くであろう景色を自動的に作っている。
対象者の一定以上の好感度を持つ人物を、十字架に張り付けにして立たせ、それを対象者本人に致命傷を与えさせない限り、領域から出られないというもの。
それを躊躇すれば、領域に引き込んでから5分ほどで、対象者の魂を吸い尽くし死に至らしめる。
一見すると大切な人を殺せばいいだけなので、簡単に攻略できそうだが、与えたダメージが対象者にフィードバックするため、礼司は今、胸に刺し傷を負った状態でいる。
その為、変身によるバフが解けても殺せると判断した呪霊だったが、礼司の黒閃により祓われた。
今まで子供しか食べてこなかったため、呪術師の相手は一度もしたことが無かった。もし過去に術師を殺して術式を奪っていれば、また違う結果になったかもしれない。
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