本小説は #三日小説_縁 のお題に沿って書きました。
白装束ファサー!
ろうそく装着ー!
夜二時の神社にズドーン!
ろうそく点火ー!
藁人形と金槌を手に提げてご神木トントントントントーン!
ヘドバンしながらトントントントントーン!
ごっすんごっすん五寸釘ファイアー!ドン!
...なんてことをやってからはや一週間。一向に何か起きるという事もなく、いまだにアイツはぴんぴんとしている。
丑の刻参りはもともと、京都の貴船神社にて「丑の年の丑の月の丑の日の丑の刻」に参詣すると、心願成就するという伝承があり、それが転じて呪いになったと考えられる説があるという、伝統的な呪いの方法である。現実だと、不法侵入や器物損害で捕まる恐れがあるため危ない行為ではあるが、誰もいない廃居みたいな神社でやったうえ、藁人形はすぐ回収したため、足がつくことはないだろう。
しかし、やっぱ呪いというものはオカルトみたいなものであり、実際行っても特に何の意味もなく、相手を呪ってやったんだぞという謎の自信がわいてくるだけである。
「...仕方ない。また今夜もう一度やってみるか」
というわけでまた、白装束ファサー!
ろうそく装着ー!
夜二時の神社にズドーン!
ろうそく点火ー!
藁人形と金槌を手に提げてご神木トントントントントーン!
ヘドバンしながらトントントントントーン!
ごっすんごっすん五寸釘ファイアー!ドン!
「...この地で丑の刻参りを行うのはお前か~?」
「うわっ見つかった...ってなんだ爺さん?」
声がすると思いきや後ろに立っていたのは変な服装をした爺さんだった。
「そう身構えなくてもよい。儂はこの神社の神様じゃよ。」
目の前の老人は自分のことを神様という。明らかにやばい人なので逃げようとした矢先に老人は話を続ける。
「ほっほっほ。その様子じゃまだ儂を信じられぬようじゃな?」
「うん。」
これには即答するしかない。
「まぁそうじゃろうな。ところでお主は丑の刻参りをするほど呪いたい相手がいるのじゃろ?」
「あぁ。友樹というやつなんだが、昔は仲が良かったんだけど今はなんか俺をいじめてくる奴だ。正直、死んでほしいとも思っているが、あんな奴のために手を汚すのはごめんだからこうしてオカルトの分野にまで手を染めているんだ。」
「...仲直りしようとは思わないのか?」
「仲直りできるならとっくにやってますよ。」
実際、最初の方は仲直りしようと思っていたが、今ではもう仲直りしようとは微塵も思わない。
「...よかろう。お主は縁切りって言葉を知っておるか?」
縁切り、聞いたことはあるが行う場所が遠いため諦めたやつだ。
「知ってる。」
「実は儂は縁切りの神様なのじゃ。」
「...そうなんですか?」
これは意外だ。捨てる神あれば助ける神ありとは言うものだな。
「あぁ。もともとはこの神社も縁切りの聖地として賑わっていたのじゃが、今ではもうすっかりこの様じゃ。もうこの神社が縁切りの神社だというのは知らないのじゃろな。」
「...だったら俺と友樹の縁も切ってくれませんか?神様なら切れるはずですよね?」
「...少年や、儂が言うのもなんじゃが、そう軽々と縁を切りたいなんて言うもんじゃないぞ。儂はそれで後悔する人もたくさん見てきた。考え直した方がいいぞ。」
なんだ、やっぱできないのか。この爺さんはどうやらただの不審者のようだ。通報される前に逃げるが吉だな。
「...やっぱ神様じゃないから縁なんて切れないんですね。」
その一言が地雷を踏んだのか、老人の雰囲気がいきなり変わる。
「...よかろう。後悔しても遅いぞ。」
老人は赤く大きな鋏をどこからか取り出し、神社の外へ駆けていく。慌てて追いかけるが、老人の姿はどこにも見当たらなかった。
「...とりあえず帰ろう。」
俺はとりあえず家へと帰ることにした。
翌朝、学校は臨時休校となった。ニュース曰く、どうやら彼奴は頭部を切断されて死亡したらしい。俺には分かる。絶対にあの老人が友樹の首を切ったのだと。俺はまた神社へ向かったが、その老人を見ることは二度となかった...。
直接お礼を言いたかったがまあいい。あの老人は本当に神様だったんだな。悪縁を断ってくれてありがとう。
俺は神社を後にする。あれから神様を少しは信じるようになった。
皆様は呪いを絶対に行わないようにしましょう。
基本的に丑の刻参りは不能犯として警察に検挙されることはありませんが、神社への不法侵入や、ご神木への器物損壊などで逮捕される恐れがあります。(前にそれで逮捕者が出なかったっけ?)
そのため、皆様は呪いを絶対に行わないでください。
あと呪術と縁切りは別です()
縁切りは適切な神社でお祈りしましょう。