その首置いてけザフト共 作:みども
イルクーツク守備隊の壊滅、及び残存兵力の投降。そしてシベリア鉄道の要衝の都市の奪還成功。
この情報はすぐさまシベリア・蒙古戦線のユーラシア連邦軍司令部に届けられることとなった。
「……おい待て。もう一度言ってくれ」
『は、はい……イルクーツクの奪還に成功。敵守備隊のMSと対戦車ヘリをはじめとする主力は壊滅、残存部隊は全て投降し、都市と鉄道は制圧できました』
「バカな、あそこの守備隊は1個師団だぞ! 予備バッテリーも与えていないジン1機と旧式戦車5輌、投げナイフの束だけの1個連隊がどんな奇跡を起こせばイルクーツクを制圧できるんだ!?」
『ユベール大佐、しかしこれは事実。奴らは確かに1個連隊で1個師団の敵軍を撃破し、イルクーツクを攻略しました』
「……わかった」
地球連合地上軍ユーラシア連邦第5方面軍。
シベリア・蒙古戦線を担当するユーラシア連邦軍の司令部にて、27機甲連隊に随伴している司令部所属の連絡要員からのイルクーツクの奪還成功の報告を受けたオスマンド・ユベール大佐は、信じられずに繰り返し確認を取る。
しかし27機甲連隊が本当にイルクーツクを攻略したということを聞き、想定外の事態に喜ぶべきかそれとも憤るべきか頭を悩ませることとなった。
イルクーツク攻略戦を27機甲連隊単独で行わせる計画を立てたのは、このユベールである。
彼もまたユーラシア連邦軍に多いコーディネイターを敵視・差別する1人であり、人的資源の不足を補うためとはいえ特区に追放したコーディネイターに対する徴兵は信用できないとして反対していた。
しかし、結成されることとなった27機甲連隊。
ならばと、ユベールは常時10機以上の稼働可能なMSが配備されており、1個師団からなる守備隊に守られている要衝のイルクーツク攻略を27機甲連隊の初任務に指定した。
戦力差を比較すれば、絶対に勝てるわけがない戦い。
撃退されて逃げてきたり、命令を拒否するならば、それを理由に軍法会議に士官たちをかけて全員極刑とし連隊は解散、シベリアに再度閉じ込める。
命令に従いイルクーツクに突撃してザフトとの戦いで全滅すれば、それはそれで良し。信用できない連中が散るのみ。所詮はコーディネイターどもの殺し合い、どう転んでも損はないと判断していた。
だが、27機甲連隊は命令に従い、そして絶対に攻略できないと思っていたイルクーツクの制圧に成功したのである。
それも、連隊の方はほとんど被害を出さずに。
数も質も圧倒的に上回るザフトを相手に27機甲連隊が勝利を収めたという報告は、ユベールにとって完全に想定外だった。
これが僻地の攻略戦ならば、そもそも攻略に突っ込ませた時点で爆撃機を飛ばして連隊もろともコーディネイター共を焼き尽くすところだが、今回攻略を成功させたのはイルクーツクである。
この都市はシベリア・蒙古戦線において最大の陸路の補給線となるシベリア鉄道の要衝であり、また文化的にも西暦時代より栄えてきた歴史的価値の高い建造物なども多い都市である。
イルクーツクの奪還成功は、現在のシベリア・蒙古戦線において劣悪なインフラにより補給が滞り前線で多くの地球連合の兵士が飢えと凍えで死者を募らせている現状を大きく改善できるものだった。
それらを爆撃機で吹き飛ばすなどという選択は取れるはずもない。
「ユベール大佐。直ちにイルクーツクへ増援を派遣しろ」
「閣下!?」
この予想外の事態にどうすればと悩むユベールに、第5方面軍司令官であるアレクセイ・コズイノフ中将がイルクーツクへの増援の命令を出した。
イルクーツクへの増援ということは、27機甲連隊の功績を認めイルクーツクの再攻略に動くザフトに対しそれを阻止する──つまりは27機甲連隊を援護する戦力を派遣するということである。
戦略的にはこの要衝のイルクーツクをザフトに抑えられるという事態は絶対に避けなければいけないことなので正しい選択だが、しかしやはりコーディネイター差別の思想が強いユベールとしては27機甲連隊のための増援など派遣したくないという感情が出てしまう。
「し、しかし閣下──」
「イルクーツクは、今も前線で物資不足により飢えと寒さに苦しめられている同胞の命を救う、シベリア鉄道による補給を行える要衝だ。あの連隊の功績が癪なのは分かるが、今は同胞の命を救うことを最優先にしろ」
「ハッ! 直ちに付近の部隊を増援に向かわせ、都市防衛線の構築を行います!」
しかし、コズイノフより27機甲連隊の否定よりも優先しなければならないことを聞かされ、ユベールはすぐに増援の派遣とイルクーツクの防衛線構築に向けて動いた。
コーディネイター共の連隊を潰すことなど、いつでも出来る。
今は前線で物資の枯渇に苦しむ同胞を救うために動くべき時。
予想外の結果となったが、イルクーツクの奪還に成功したこと自体は連合側にとって大きく有利になる事態である。
27機甲連隊の壊滅という目的を果たすことはできなかったが、そのための舞台などまだこのシベリアには幾らでも存在する。次の機会を狙えばいい。
ユベールはひとまずこの予想外ではあったが大きな功績となったイルクーツクの奪還を利用させてもらおうと、イルクーツクへの増援を行った。
「…………」
一方、ユベールにイルクーツクへの増援を指示したコズイノフは、険しい顔で思案を巡らせていた。
(イルクーツクの奪還は予想外とはいえ、我が軍にとって良い結果をもたらした。だが……1個連隊で1個師団の敵軍を撃破だと? いつ敵に寝返るかもわからぬコーディネイター共がこれほど危険な存在とは……なるべく早く手を打たねばならぬか)
イルクーツクの奪還は、シベリア鉄道の要衝の制圧により、枯渇した補給体制を大きく改善する。
これにより物資の行き届いた前線の連合部隊は飢えと寒さから救われることとなり、自分たちの命を救ってくれた連隊の存在を大きく意識することとなる。
一方で、数でも質でも圧倒的な戦力を有していたイルクーツクを攻略して見せた27機甲連隊は、その力を第5方面軍の司令部より強く警戒されることとなる。
イルクーツクを取り返されたザフトは、圧倒的な戦力差を覆して勝利したMSを運用する地球連合の部隊である27機甲連隊を強く意識することとなり、そして──
圧倒的な戦力差を覆し、イルクーツク守備隊を壊滅させて都市の奪還に成功した27機甲連隊。
イルクーツクに先に入り、都市を制圧したシュティーゲ・ヘルモルト中尉率いるヘルモルト中隊は、降伏したザフト兵の監視を戦車隊らに任せ、残りの部隊は占領下で支配されていたであろう民間人を解放するべく市街地へ向かっていた。
自分たちがコーディネイターだと知れば石を投げつけてくるだろうことは覚悟しているが、しかし初対面は解放軍として歓迎され感謝されるかも、あわよくばいい出会いがあるかもしれない
そんな淡い希望とどうせ後で来るだろう現実を思いながら市街地に到着したヘルモルト中隊の面々だったが、市街地は不気味なほどの静寂に包まれていた。
「……あの、中隊長? イルクーツクって、こんな寂しい都市でしたか?」
「いや、観光地としても有名でかなり大規模な都市のはずだけど……」
その静寂は、ザフト占領下において抑圧されていたとか、寂れて人口が少ないからとかではない。
まるで、つい最近まで人は住んでいたのだがそれがごっそりといなくなってしまったような、人の気配が感じられない静寂だった。
イルクーツクは西暦時代、帝政ロシア支配下より栄えている都市で、文化的にも大きく発展してきた観光地としても有名な都市である。
少なくとも、こんな寂しい街並みではないはず。
何かがおかしい。
そう思ったヘルモルトは、中隊の兵士たちは、市街地へと駆け出した。
「なっ──!?」
そして、その静寂の真相を見て、彼らは言葉を失う。
特区に追放されてから外界と実質的に遮断され捨てられた日々を過ごし、このプラント・連合の戦争の実態を知らないままに初めての実戦に挑んだイルクーツクの攻略戦。
特区に閉じ込められて長い年月を外界と隔絶された世界で生きてきた彼等は、地球のナチュラルとプラントのコーディネイターがどれだけの敵愾心を抱きお互いを憎悪してこの戦争をしているのか、本当の意味で理解できていなかった。
「嘘だろ……?」
「なんでこんなことが……?」
「相手は民間人だぞ……!」
市街地に入り彼らが目にしたのは、普段は市民の憩いの場としてあるはずの噴水が中央にある長閑な公園。
水が凍った噴水の周りに並ぶ街灯に、まるで掲げられるように縛り付けられたボロボロの死体。
そして、その公園を埋め尽くす手足を拘束され動けないままに虐殺されたと思われる大量の死体。
民家に入れば、団欒を破壊して見つけ次第中で撃ち殺されたと思われる死体。
浴室やトイレ、クローゼットの中やベッドの下まで念入りに探しては引きずり出して殺したと思われる死体。
中にはただ殺されただけでは済まず、乱暴を働いた上で殺害したと思われる死体まで。
病院や博物館に入れば、手当たり次第に中の設備や価値ある品々を破壊し、無抵抗の相手を情けのかけらもかけずに殺したと思われる死体。
病人が並ぶベッドを倒し、命をつないでいた機器を破壊して、無力な相手にすらも暴行を加えて銃撃を撃ち込まれた死体。
都市1つを無人に変えるまで、
それがイルクーツクの静寂の正体だった。
「うっ……!」
「こんなの……!」
この世界がロクでもないものだというのは、シベリア特区への追放を受けた日にわかりきっていたことだった。
慈愛なんて幻想。救いなんて夢想。神なんてものがこの世にいるならば、それはとてもおぞましく残酷で、悪魔と呼ぶのがふさわしいような存在。
そう、思っていた。
──だが、現実は自分たちの想像をはるかに超えるものだった。
いくらザフトでも、連合の兵士に対しては残酷になれても、コーディネイターでも同じ人間。本当に最低限のラインだけはわきまえているはず。
そう、思っていた考えは甘かった。
ナチュラルが相手だったら──
コーディネイターが相手だったら──
この戦争は、互いの人種を滅ぼすまで終わらない戦いなのだから、敵の人種ならばそこには民間人も軍人もない。どれだけ残酷に殺戮しても、敵だからという正当な理由がある。
敵の人種が相手ならどれだけ残酷になっても許される。
そこにあったのは、制御を失い悍ましく歪んだこの戦争の姿だった。
「…………」
ヘルモルトは、ザフトの捕虜を集めている庁舎に向かって走り出した。
こんなことは人のやることじゃない。何か理由があったからに違いない。
とにかくあの捕虜になっているザフトたちにこの件を問いたださなければ、せめて人として最低限の良心を残しておいてくれという微かな願いとともにこの件を問い詰めなければならなかった。
庁舎に到着したヘルモルトは、まだ事情を知らない戦車隊に属する監視用の兵士たちの間を駆け抜けて、捕虜のザフト兵の1人に詰め寄り襟を掴み上げた。
「おい、ザフト! あれはどういうことだ!」
「うぐっ……テメエ、クソナチュラルが……!」
普段の様子と明らかに異なる剣幕で詰め寄るヘルモルトに、ザフトの捕虜だけでなく周囲の27機甲連隊の隊員たちも困惑する。
「おいテメエ、放しやがれ! 俺たちはもう降伏した捕虜なんだぞ、コルシカ条約を無視する気か!」
「中尉!? 何をしているのですか!」
突然の降伏した捕虜に対する暴行。
いくらザフトが相手といえ、コルシカ条約を無視するような行為に走るヘルモルトをひとまず止めようと、怒りを露わにするザフトの捕虜からヘルモルトを引き離した。
コルシカ条約を無視する行いをすれば、27機甲連隊がどんな難癖をつけられるかわかったものではない。
隊員たちがヘルモルトをなんとか落ち着かせようと取り押える。
「ザフト共! 貴様ら、何故あんなことをした! 何故無抵抗の、戦争になんの関係もない人たちに手を出した! 誰に命令されてやったんだ!?」
一方、味方に取り押さえられるヘルモルトはザフトの捕虜に向かって市街地で行われた蛮行をどういうことかと声をあげて問い質した。
ヘルモルトの言葉に困惑する中隊の隊員たち。
一方でザフトの捕虜たちはヘルモルトが何を言っているのか、何に怒っているのか理解したらしい。
ヘルモルトが誰に命令されたのかと問うたのは、ザフト兵たちにも人としての理性と良心が少しでも残っているかもしれないという一縷の望みもあった。
誰かに命令されたと言ってくれと。強制された、本当は民間人なんかに手を出したくはなかったと。
せめて、せめて血のバレンタインの報復を叫んでくれと。怒りが収まらず手を出してしまったと。
だが、そのヘルモルトの言葉に対するザフトの捕虜たちの答えは──
「は? あいつら卑劣で劣等な人の形をした害獣共だろ。殺されて当然の奴らを殺して何が悪い?」
「ナチュラルは滅ばなきゃいけないゴミどもだろうが。そこに民間人だのなんだのあるかよ」
「誰に命令されたかって? 俺たちはザフトだぞ。やるべきことを俺たちの意思でやっただけだ」
強制されたから、怒りのあまりやったから。
これであっても許し難いというのに、その動機はあろうことか劣等民族を浄化するなどという、もはやナチュラルを人とみなしていない歪みきった差別思想によるものだった。
「今に見ていろ、卑劣なナチュラルどもが! すぐにでもこの都市の奪還に友軍が来る、そうなったら貴様ら全員苦痛という苦痛を与えて惨めにぶっ殺して──」
「──黙れ」
「中尉、待ってください!」
1発の銃声が、ザフトの声を最後まで紡がせることを拒絶した。
降伏した捕虜を殺害することは、コルシカ条約に違反する。
このことが第5方面軍の司令部に知られれば、難癖をつけられる可能性は極めて高い。
それでも、ヘルモルトには我慢することができなかった。
相手は民間人だった。
軍人ならば殺されても仕方ないかもしれない。
命令ならば殺すしかなかったかもしれない。
だが、
無抵抗の民間人を、戦争に関わらせてはいけない人々を、ナチュラルだからと殺した。
軍人は、国家に人を殺す手段と理由を与えられた存在。
だからこそ、決して踏み外してはならない一線を持つこと。
さもなくば、己の欲求のために暴走する殺戮者となる。
コルシカ条約は、軍人を暴走させずに理性を止めさせるためのブレーキでもある。この条約は相手がザフトであろうとも、決して破ってはいけない。
降伏した敵には手を出すな。
民間人には武器を向けるな。
人命救助に従事する者を攻撃するな。
民間人を伴う敵軍を攻撃するな。
捕虜には危害を加えるな。
忘れるな。我々の目的は理想郷を取り戻すこと。プラントを滅ぼすことではないことを。
アルトリアの言葉が脳裏をよぎるが、それでも止められなかった。
「ふ、ふざけるなナチュラルが! 降伏した捕虜を殺すなんて、コルシカ条約はなんなんだよ! この人の皮を被った化物──」
「──黙れ」
2発目。
また1人、ザフトの捕虜が撃ち殺される。
「中尉、それ以上は──」
「──貴様ら全員出て行け! そして許可があるまでこの建物に誰1人として入れるな! これは命令だ!」
もうやめるべきだと止めようとする部下たちに、ヘルモルトは庁舎が出て行くように命令する。
そして、誰も入れるなとも。
その命令が何を意味するのか隊員たちはすぐに理解して止めようとしたが、庁舎に向かって市街地からヘルモルトとともに民間人の解放に向かったはずの友軍が鬼の形相をみせてこちらに走ってくる姿が見えてしまう。
「……頼む。あいつらまで巻き込ませたくない」
「……了解!」
ヘルモルトがザフトにぶつけた言葉。
それを受けて返したザフトの答え。
そして及んだ凶行と、怒りをあらわにこちらに向かってくる友軍。
それで何があったのかと、このすべての責任をヘルモルトが1人で背負うつもりだということを察した隊員たちは、急いで戦車を使い庁舎の前でバリケードを立て、そして扉を閉じた。
「開けろ! 退いてくれ!」
「あいつら絶対に許さない!」
「頼む、通してくれ!」
「ダメだ! 許可がない限り、この先に立ち入らせることはできない!」
その中で何が起こったかは、建物の外に聞こえる銃声とザフトの捕虜の声が物語っていた。
「……連隊長、申し訳ありません。貴女の教えを全うできず、捕虜に手を上げてしまった。私は、軍人には向いていないようです。このような者に、武器を握る資格も、戦場に立つ資格も、軍人を名乗る資格もない。殺人鬼の咎は、私1人が──」
イルクーツクの攻略後、アルトリアたち27機甲連隊の本隊が都市に入るまでの間に連隊員同士の衝突があり、数名の負傷者と、そして多数の死者が発生した。
この衝突の理由は庁舎で降伏したはずのザフト兵が暴れたということとなっており、イルクーツクの守備に残っていた方のザフトの捕虜が暴動を起こし、それをやむなくヘルモルトが自ら鎮圧したという。
結果、庁舎のザフト捕虜は全員死亡。
そして、安全のために部下をすべて庁舎内から出したヘルモルト中尉が、暴動を起こしたとはいえ一度降伏した捕虜の虐殺というコルシカ条約を違反する蛮行に走った責任を取り、自殺を図った。
ヘルモルトの命令により庁舎外に出されていた連隊の兵士たちは、暴動の鎮圧に関する詳細は何も見ていない。
事件の結末が判明したのは、連隊長であるアルトリア・ホーエンハイム大佐がイルクーツクに入り、庁舎の封鎖の解除を命令したあとのことである。
この一件に関しては、ヘルモルト中尉の独断による決定だったこと、命令により隊員たちには庁舎外に出されており虐殺を止めることができなかったこと、そもそも対象がコルシカ条約に批准しないテロリストの定義に当たるザフト兵が相手であったことから、最終的にヘルモルトに全ての罪が着せられ連隊への咎は波及せずに済む結果となった。
その後、27機甲連隊の他にイルクーツク守備の増援として入ったユーラシア連邦軍の調査により、イルクーツク内における老若男女問わない赤子や病人に至るまでの都市1つの人口を消してしまった大々的な民間人に対するザフトの虐殺行為が発覚。
イルクーツクの大量殺戮と呼ばれることとなるこの事件はプラントが非難声明を出したヘルモルトの捕虜殺害に関する件など一瞬で記憶の彼方に消してしまう大きなニュースとなり、特に厭戦気分が広がっていたシベリア方面のユーラシア連邦内において一転し継戦に傾くほどの反プラント・反コーディネイター感情を爆発させた。
補給の改善が叶ったシベリア・蒙古戦線の地球連合軍はイルクーツクの報復を叫び低迷していた戦意が向上。
イルクーツクの攻防戦の結果は、ザフトの圧倒的優勢となっていたシベリア・蒙古戦線の趨勢に大きな影響を与えることとなった。
数日後。
イルクーツクの奪還を成し遂げた27機甲連隊は、高まる反コーディネイター感情により一層ユーラシア連邦にて孤立する立場となり、捕虜虐殺の件で27機甲連隊への反感を強めているザフトを相手取る次の戦場に向かわされることとなる。
その戦場は、極寒のシベリアより一変、乾燥した世界の広がるモンゴルの大地。
東アジア共和国とユーラシア連邦の連絡線を塞ぐこの戦線の重要拠点の1つである、ウランバートルの攻略であった。
イルクーツク攻略戦はここまで。
圧倒的戦力差を覆した勝利と、その都市で見た人種間の絶滅戦争の暗闇は、ザフトが勝利目前であったシベリア・蒙古戦線に大きな影響を与えました。
そして27機甲連隊は、上層部からはその強さを危険視され、味方からはイルクーツクの虐殺により反コーディネイター感情の昂りから一層反感を買い、ザフトからは捕虜の殺害により強い憎悪を受けるようになるという結果に。
アルトリアの教えとヘルモルトが暴走して死んだおかげで、イルクーツクの一件に関してはなんとかそれ以上の虐殺行為に走らずに済んだ連隊ですが……
しかし過去編は一旦ここで区切らせてもらい、次は時系列を戻してクルーゼ隊視点からになります。