仮面ライダーエターナル 永遠の悪魔   作:Hetzer愛好家

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第三話 Aする絶望/仮面の戦士

 大道提督の暗殺が達成されてから一ヶ月が経過した。

 

 かつて大道提督が指揮を行っていた横須賀鎮守府は、対外的に見れば何ら変わりなく機能している。

 

 近海に出現した深海棲艦を追い払い、時には遠方まで出向いて大軍を撃滅して。

 

 一般市民はまさか大道提督が死んだとは知らずに、相も変わらず横須賀鎮守府の提督を英雄扱いしていた。

 

 しかし実情は違う。そんな甘い話ばかりではない。

 

「クソ、やっぱりこの海域だけ攻略が進まんな……」

「このデータは興味深い。以前と比べて、このE海域へ出向いた艦隊への損害が数倍にも増しているね」

「お陰様で物資はカツカツだ。ホント、急に何が起こったんだか」

「悪魔が潜んでいるのかもしれない。全く、ゾクゾクする」

「今日こそはって意気込むのは良いんだがな。いつ、何が起きるか分からないから怖くて仕方ねえよ」

 

 新たに横須賀鎮守府へ就任した提督。いや、提督たちは、特定の海域だけ一向に攻略が出来ない現状に頭を悩ませていた。

 

 あまりにも巨大な艦隊を抱えることになる横須賀鎮守府。そこをたった一人で統治できる人材が海軍には存在していなかったため、急造で二人の提督を一つとして送り込んだ。

 

 士官学校では特に優秀であった二人なだけあり、少なくとも外見上は以前と変わらないように見せられている。

 

 だが、実情は深刻だ。

 

 とある海域に出撃した艦隊が、毎度大損害を受けて撤退しているのである。大破する艦娘も後を絶たない。

 

 不思議なことに轟沈した艦娘はゼロ。しかし損害は確か。横須賀鎮守府の物資は、日を追うごとにゴリゴリと減っている。

 

「轟沈していないだけマシなんだがなぁ。しかしこの大損害がほぼ毎回。練度は決して低くない。むしろ高いのにこれだ。ウチだけじゃ無理だって見切りをつけるべきなのかもな」

「そうだね。このままズルズル引きずるのは良くない。いつか取り返しのつかないことになる可能性が百パーセントだ。それに、連戦連敗は鎮守府内の士気にも関わる」

「しゃあない。出撃してるとこ悪いが、今日は早めに引き上げてもらおう。そして、改めて作戦会議と行くか」

 

 そう決断して無線機を手にする左の提督。撤退の指示を出すべく無線の周波を合わせ、旗艦に指令を飛ばそうとする。

 

 しかし、繋がった無線から聞こえる轟音と悲鳴を聞いて、右側に立っていたもう一人の提督が慌てて無線機を取って口を開いた。

 

「現状報告を! 君たちが通過しているその海域で、敵が出現した情報はなかったはずなんだけどね。この悲鳴と轟音の理由を説明してくれるかい?」

『て、提督ですか!? 良かった、こっちから繋ぐ余裕がなくて』

「襲撃かい? それとも奇襲?」

『はい、実は奇襲を受けているんです。しかも奇襲を仕掛けてきたのが、私たちは全く見たことのない未知の姿をしていて……」

「何だって!? 君、未知の敵とやらの姿形を少しでも良いから報告したまえ!」

 

 普段は飄々としていて、絶対に焦ることがないもう一人の提督が取り乱している姿を見て、左側に佇んでいる提督も目元を吊り上げて艦隊の直接指揮に入る。

 

 明らかにマズイ状態だ。想定していない奇襲を受けて、艦隊は大混乱を起こしている。練度が低ければ、それこそ一瞬で壊滅していたかもしれない。

 

 そんな可能性未来にゾッとしつつ、現状報告を右の提督に任せた左の提督は無線機を手に状況をまとめる。

 

『敵戦力は正規空母と正体不明の白い仮面戦士が一ずつです』

「仮面の戦士? 興味深いキーワードだ。まるで聞いたことがない」

「おい相棒、検索は後回しにしろよ? それよりも撤退の策を考えてくれ」

「承知した」

 

 世界でも有数の、高練度艦隊がたった二体に翻弄されている事実。世間に広まれば一大スキャンダルへと化け、国の大混乱へと発展するだろう。

 

 守るべき国民を不安がらせたくない。その一心で、提督は必死に指揮を執る。

 

「ひとまず生き残ることを考えろ! 艦隊の盾となれる戦艦は残っているか? 残っているなら前へ!」

『小破の大和が前に出ます! 攻撃はどうされます?』

「撃てるだけ撃ってこい! 大和の46cm砲なら、大なり小なりのダメージが期待できるからな! 沈められはしなくても、逃げるまでの時間を稼ぐんだ!」

 

 資材が、物資がと弱音を吐いている場合ではない。戦艦大和を動かすだけでも相応の物資を食うし、砲撃すれば更に多くの物資が消える。だが、逃げるために打てるでは全て打たねば、待っているのは全滅の二文字。

 

 航空母艦を同伴させていない編成なため、航空機を撃滅する手段は取れない。ならば、随伴しているであろう白い仮面戦士を牽制ないし撃退せねばならない。

 

 耳をつんざく轟音と共に、大和の主砲が火を噴いた音が提督たちの鼓膜に届いた。

 

 更に、随伴艦の主砲も遅れて砲撃を開始。少しでも仮面戦士の体力を削ろうと援護を行う。

 

 素晴らしい練度を誇る艦隊なだけあり、発射された多くの弾丸は仮面戦士に直撃した。

 

「命中したようだね」

「ああ。これで少しは……!?」

 

 左の提督が絶望を滲ませる。彼の目の先には、敵が健在かどうかを知らせる電報があった。

 

「『敵艦健在。無傷ナリ』だって……? そんな馬鹿な!」

 

 戦艦大和。及び随伴艦による一斉射撃。これを受けてもかすり傷一つ負っていない。

 

『ウソ……何で平然と立っていられるの!?』

 

 無線越しに聞こえた声を耳にし、更に提督は絶望の深淵へと叩き落されるのだった。




風都は東京にあるらしいので、それなりに近い横須賀鎮守府にあの二人(のそっくりさん)が就任しても変ではないかなって。
二人で一つの提督ってキーワードだけでも一作描けそうですよね。
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