人類が、大戦争で破滅寸前にまで追い込まれた地球を捨てて、コロニー型宇宙船で太陽系を飛び出して420年。

主人公の少女、マイはジャンク屋の仕事途中、一人の少女と、彼女を狙う宇宙海賊に襲われる。
機体を失って絶対絶命の彼女は、少女に導かれ、謎の兵器、ガンダムに乗り込む……!

1 / 1
小惑星帯(アステロイド)でガンダムを見つけたら、それが冒険(オデッセイ)の始まりでした~機動新伝説ガンダム(プレビュー版)

 宇宙の大海原。その中を、巨大な円筒形の船が進んでいた。中に幾億もの営みを乗せて。

 

 その船から、一隻の小型船が発進していった。

 

 その船を狙う複数の悪意があった。漆黒の宇宙にただ聞こえるのは、その悪意たちからの呼吸のような音のみ。

 そのうちの一機の単眼が怪しい光を放つ―――。

 

* * * * *

 

 遥か過去の記憶の映像……。

 

 鋼の人型がぶつかり合う。人型が持つ銃が火を噴き、人型が振るう光の刃がひらめく。

 人型が相手の人型を破壊し、破壊される。

 

 人型の銃が火を噴く。そこから放たれた光線は敵を貫いたばかりか、その背後にある円筒状の構造物をも貫いた。

 貫かれた構造物は、その周辺の構造物をも巻き込んで大爆発を起こす。

 

 別の人型が、対峙していた人型を斧で引き裂く。引き裂かれた人型は、その周辺の構造物を、その爆発の中に巻き込んだ。

 

 そして、その惨劇に興味がないかのように、筒形の超巨大な構造物たちが大量に、母なる青い星へと向かっていく。

 

 そして、その星のあちこち……スペースコロニーたちが落ちた先に、炎の華が咲いた。

 

* * * * *

 

 400年ほど前―――。

 

 かつて大きな戦争があった。

 

 その戦争は、人類の母なる星を滅亡の一歩手前まで追いやり、多くの犠牲を出し続けた。

 戦争が終わった後、人類は巨大な宇宙船を作り、それに乗って深く傷ついた地球を脱出した。

 地球の自然の回復を促し、緑の地球に復活させるため。自然そのものの手に、地球を返すため。といえば格好よく聞こえるが、実際のところは、そこまで荒廃した地球を捨て、人が住める新天地を求めて、のことだったのかもしれない。

 

 そして、人類が地球圏を巣立ち、外宇宙に新天地を求めて旅立って、長い時が経過した――。

 

 時はA.E.(アフター・エクソダス)420年。

 

* * * * *

 

 コロニー・シップの一つ、『ジプネス』。そのスラム街にある学校にて。

 

 昼休みを迎え、生徒の多くがお弁当を広げたり、学食へと向かっていく中、ボクはカバンをかついで下校の準備をしていた。

 そのボクに、友達の一人が声をかける。

 

「もう帰るのか、マイ。今日もバイト?」

「うん。今月中に家賃払えないと、あそこ追い出されちゃうからね」

「本当に大変だな。ま、無理すんなよ」

「ありがと、それじゃ。代返よろしくね」

「あいよ」

 

 そしてボクは教室を出た。

 

* * * * *

 

 ボクはマイ・ユズキ。コロニー・シップ国家『ジプネス』にあるジプネス第二中学に通う中学三年生の14才。

 ジプネスは二年前までは経済も順調だったのだが、その二年前に宇宙海賊の被害がこのジプネスが進んでいる宙域にも及びだしたことから、経済が急激に悪化。今はすっかり大不況!

 

 今やこのジプネスに住む人々は、大企業の社長やそこで働く人などの裕福層。少し苦しい生活を営んでいる一般人層。そして、スラム街でとても苦しい生活をしている貧困層の三つに分かれていた。ちなみにボクは三番目だ。

 

 この苦しい生活で、親は他のコロニー・シップ国家に出稼ぎに出ていて、そこからの仕送りでなんとか過ごせているが、それでもギリギリ。その仕送りと、周辺宙域から資材を集めて売りさばくジャンク屋のバイトをしての給料で、なんとか過ごせている有様である。

 

 でもそれでも、今月はちょっと気合入れて稼がなきゃいけない。なぜなら、住んでいるおんぼろアパートを滞納しまくっているのだ。大屋さんから、今月中に払えなければ立ち退くように言われている。さすがにあそこを出て、野宿生活なんて嫌だ。

 

 そんなわけで、バリバリと働かなくっちゃ! ボクはスラム街の片隅にあるジャンク屋へと入った。

 

「おう、マイ! 今日も精が出るな。今日もよろしく頼むぜ!」

「うん!」

 

 ジャンク屋の店主さんにそう元気に返事を返す……元気なのが、ボクの数少ない取り柄だからね!……と、ボクはほっぺたを叩き、ボロボロの箱に腕がついたような、自分用の民間用MA(モビル・アーム)に乗り込んだ。そして、スイッチを入れたり、計器をチェックしたりする。

 宇宙服を着ているとはいえ、下手したら宇宙に放り出されちゃうからね。気を付けないと。……よし、オールグリーン。

 

 そこに、また店主さんから通信が入る。

 

「そうだ、言い忘れてた。最近、この周辺宙域で大きな戦いがあったらしい。くれぐれも気をつけろよ」

「うん、わかったよ。それじゃ行ってきまーす」

 

 そう言うと、ボクの乗ったMAは、ジャンク屋の地下に(違法に)作られた発進口から宇宙に滑り出て行った。

 

* * * * *

 

 宇宙に出てみると、店主さんが言った通り、近くで戦闘が行われたのか、MAの残骸や部品などが散乱してた。

 

 でも、かなり大きい戦いだったのか、その数が多い。拾えるものが多いのは嬉しいんだけど。

 そう思いながら、ボクはMAを操作して、残骸などを拾い集める。

 

 数十分ほどすると、コンテナは残骸や部品などで一杯になった。

 ふぅ、これだけ売れば、家賃を払っても、まだおつりが来そうだなぁ。余ったお金は何しよう? おいしいものを食べる? それとも、このMAをパワーアップさせる?

 これはボクの相棒であり、商売道具だからなぁ。壊れたらとっても困る。そう思いながら撤収の準備をしていると。

 

「あれ?」

 

 付近を漂うカプセルを見つけた。センサーによると、中に生命反応があるみたい。この戦いの生き残りかな? 何はともあれ助けないと。

 MAを操作してカプセルを拾い上げる。中に眠っていたのは、ボクと同じ年ごろの女の子。幸いにも宇宙服も着ているようだから、コクピットに保護することもできるかな?

 

 そう判断したボクは、一部MAから降りてカプセルに飛び移り、ハッチを開いた。

 とってもかわいい、かわいいというかきれい。まるで人形さんのような顔立ち。額に少し張り付いている髪の毛は美しい銀色だった。銀色の長髪でこの顔立ちだったらとてもかわいいだろうなぁ……。ボクは別に百合ってことはないんだけど、ときめいちゃいそう。

 

 と、その時。MAのコクピットから警報が聞こえてきた。それと同時に、かすかにこっちに近づいてくるバーニアの音が。

 もしかして、また賊が!? ボクは急いで彼女を連れて、コクピットに戻ると、キャノピーを閉じた。

 

 オンボロのレーダーを見ると、ついたり消えたりを繰り返すそのスクリーンに、こちらに近づいてくる敵機を表す光点が。

 いけないいけない! このMAは民間用なんで非武装なんだ。宇宙海賊どもに見つかっても、戦うことなんて無理!

 

 ボクのMAが残骸の集合地帯から出ると、賊のものらしいMAがレーザーを撃ちながら接近してきた! その連射具合や狙いなどから、殺意マンマンなのが感じられる。

 レーザーの一発がボクのMAをかすめた。カチンときたボクは、MAの腕で残骸を思いっきり殴りつけて、そのMAの元へ飛ばしてやった!

 

 残骸は見事に海賊のMAを直撃! へへん、どんなもんだい! ところが、海賊たちはそれで頭に来たのか、こちらに向けて猛スピードで突進してくる! に、逃げなきゃ!

 

 ボクは必死にMAを操り、海賊たちのレーザーをかわしながら逃げ続けた。

 やばい、こいつら、かなりの手練れだよ! 動きやら狙いやらが、完全にプロのそれ! このままじゃやられちゃう!

 

 そこにレーザーが着弾して、ボクのMAの左腕で吹き飛ばされた! その衝撃で、コクピットが大きく揺れ、身体を打ち付けてしまう。でもそれで、あの女の子も起きたようだ。

 

「ここは……?」

 

 うん、涼やかなきれいな声。まるで鈴のよう。って、今はそんなことを言っている場合じゃない!!

 

「ごめんね、詳しい話はあと! まずはこいつらから逃げなきゃ!」

 

 そう言いながら、ボクは必死にMAを操る。左腕をやられたことで、機体バランスが崩れてさらに不安定になるけど、それでも頑張って逃げなきゃ!

 

 そしてレーザーがまたかすめたところで、女の子が聞いてくる。

 

「あなた……私を助けてくれたの……?」

「うん。君がここを流れてたからね! そんな子を助けないわけにいかないでしょ。でも、詳しい話はあと!」

 

 そこで。

 

「ありがとう……。そんなあなたに、力を……」

 

 彼女は何か祈りをささげたようだ。すると、近くの小惑星の地面がひび割れ、土煙とともに何かが現れた。

 

 あれは……人型のMA?

 

* * * * *

 

 小惑星から現れたのは、人型の兵器らしきものだった。

 

 色は白と青で塗り分けられたトリコロール。頭部にはV字型のアンテナと、二つの目。

 背中には、二本の棒らしきものが伸びている。

 

 そして、その胴体のハッチが開いた。ボクたちに乗れと言ってるのかな?

 

 だがそこに!

 

 ドゴァ!!

 

「うわぁ!!」

 

 激しい衝撃。ダメージモニターを確認すると……やばい、動力炉を撃ち抜かれたみたい! 早く脱出しないと、このMAと一緒に宇宙の塵になっちゃう!

 ボクはまた大慌てで女の子を抱きかかえると、キャノピーを開けた。

 

 でも、ここを脱出してもどこに行けば……避難するところなんて、あの人型しかないんだけど……。

 えぇい、もうどうにでもなれ!

 

「行くよ。しっかりしがみついてて」

「うん」

 

 そしてボクは機体を蹴り、人型に向けて飛び出した! それと同時に、MAは大爆発を起こして爆散した。うぅ、店長さん、ごめんなさい……。

 

「うぅっ!!」

 

 その衝撃で飛んできた破片に身体を打ち付けられて、とても痛かったけど、今はそんな場合じゃない。

 痛みをこらえながら、なんとか人型のコクピットに飛び込むことができた。それと同時に、人型のハッチが閉じた。

 

 そして、コンソールが点灯しだす。その一つには、小さく『MOBILE SUITS』、そして大きい文字で『G.U.N.D.A.M』と表示されている。

 モビルスーツ・ガンダム。それがこの人型の名前だろうか?

 

 そして、コンソールを見て、ボクは驚いた。なんと。

 

「すごい……。エネルギー出力が、MAの5倍もある……」

 

 そして再びコクピットを見てみると、操縦系はMAと大して変わらないようだ。これならボクでも操縦できるかな?

 

 意を決したボクは、レバーを握って、そして言い放った。

 

「それじゃ行くよ! ガンダム!!」

 

* * * * *

 

 宇宙海賊たちは驚愕した。彼らのターゲットだった少女が、もう一人の少女とともに、人型に乗り移ったと思うと、それが動き出したのだ。

 

「あれは、クライアントが言っていたMS(モビルスーツ)……動き出すとはなんてことだ!」

 

 だが、海賊のリーダーに対し、その部下の一つは、そのMSの登場にも臆する必要はないようだった。

 

「ダニム親分! 恐れることはありませんよ。どうやら、パイロットは素人みたいですし、ここでやっちまいましょう!」

「待て、ディーン! 俺たちの目的は、少女の確保なんだぞ!」

「大丈夫です、やれますよ!」

 

 親分のダニムの制止を振り切り、ディーンの乗るMAは、マイの乗るガンダムへと向かっていった。

 レーザーを撃つ。しかし、それはむなしく弾かれてしまう。

 

「バリアーを張ってやがるのか!? ならば接近戦に持ち込めば!」

 

 そして、右腕のブレードを伸ばすと、ガンダムに斬りかかっていった!

 対するガンダムは、背中から何かを引き抜いた。それは荷電粒子で形作られた光の剣(ビーム・サーベル)だった。

 

 そして、MAのブレードと切り結ぶ!

 ディーンは、相手が素人となめてかかり、つばぜり合いで押していくが、すぐにそれは衝撃へと変わる。

 

「なっ!?」

 

 なんとガンダムは、簡単に押し返し、しまいにはMAの右腕を切断してしまったのだ!

 

「な、なんてやつだ!」

 

 ディーンは方向を転換して逃げ出すが、ガンダムはそれを追いかける。そしてビーム・サーベルを一閃!

 ディーンのMAは、哀れ一刀両断されて爆散してしまった。

 

「えーい、よくもディーンをやってくれたな!! 行くぞサレンダー!」

「は、はい!」

 

 ダニムは部下を失った憤慨から、MAをその憎き人型に向けて突撃させた! その後に、部下のサレンダーのMAも続く。

 

* * * * *

 

 海賊たちのMAの一機を撃破したと思ったら、今度は別の二機が襲ってきた! しかも、今度はかなりの手練れみたい。

 ガンダムの頭部に装備されているというバルカン砲で迎撃するけど、それを軽くかわすとこちらに迫ってくる!

 

 そして、MAの一機がワイヤーを放ったと思うと、それはガンダムの左腕に巻き付いた! もう一機が放ったワイヤーも、こちらの右脚に巻き付いてしまう。そして。

 

「わああああああ!!」

 

 コクピットを電光が走り、全身をしびれるような痛みが駆け抜ける。どうやら、ワイヤーを通して、電撃を浴びせられてるみたいだ。

 やばい、このままじゃやられちゃう! いくらガンダムが頑丈だからって、中のボクたちがやられたらおしまいだよ!

 

「ね、ねぇ、何かいい手はないの?」

「ある……ビーム・ライフル……」

「ビーム・ライフル……? これか!」

 

 ビーム・ライフルのボタンを押す。すると、ガンダムの右手に光が現れ、それは巨大な銃、ビーム・ライフルへと変わった。

 ボクは電撃による痛みの中、ビーム・ライフルをMAの一機に向けて、狙いを定めた。そしてトリガーを引く!

 

 すると、ビーム・ライフルから光弾が現れ、それは見事、MAを貫いた! そして爆散。

 

 もう一機は、それにおそれをなしたのか、ワイヤーを切り離して、逃げ去っていったのだった。

 

「ふぅ、なんとか助かったね……。でも、本当にすごいよ、ガンダム……」

 

 ボクはガンダムのすごさに、そうつぶやいたけど、でもボクは気づかなかったんだ。

 これが、ボクの壮大な冒険の旅(オデッセイ)の始まりだということに。

 

* * * * *

 

 一方、そのガンダムを遠くから眺める、別の人型があった。

 そのボディの色はサーモンピンクに近い赤。頭部には一本の角と、一つ目。

 左肩には固定式のシールドを持ち、右肩にはスパイクのついたアーマーを持つ。

 

 それが特徴の人型であった。

 

 それに乗っているのは仮面の男。男はガンダムを見つめたまま独り言ちる。

 

「ガンダムが起動してしまうとは。やはり、海賊どもに任せたのが間違いだったか……。若さからの過ちというのは、認めたくないが……」

 

 その男の乗るMSの足元には、サレンダーの乗るMAの残骸が漂っていた……。

 

 




というわけで、まったく新しいガンダムを書いてみました。
きっかけは、富野監督が『最近のガンダムは、1stの練り直しでしかない(意訳)』と言っていたので、まったく新しいガンダムを書いてみようと思ったことでして……。

そして考えたことは
・舞台が宇宙戦争ではなく、宇宙を舞台とした大冒険。宇宙船サジタリウスや、宇宙伝説ユリシーズ31とか、あんな感じ
・ガンダムは兵器としてよりも、まさにスーパーロボットという感じ。鉄(くろがね)の城ってやつですね。もっとも、敵も同じ種類の兵器なので、あちらも鉄の城なスーパーロボットなわけですが。そんなMSで大戦争をする400年前の人類スゴスギィ!!

そして考え、書き上げた新しいガンダム。気に入っていただけたら幸いです。
肯定的な感想をたくさんもらえたら、連載も考えていますので、ぜひとも感想くださいませ(平伏

さて、この後は9/19にいよいよ『スクみた』こと『スクールアイドルアニメで見たような二人が、銀河の深宙域を駆けまわります!』の第二期の連載をはじめる予定です。こちらもどうぞ、よろしくお願いします!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。