本作は、「著:北沢慶/グループSNE、KADOKAWA」が権利を有する『ソード・ワールド2.0/2.5』の二次創作作品です。
(C)Group SNE 「ソード・ワールド2.0/2.5」
大破局の前か、あるいは後か、何れにせよそこには豊かな王国が存在した。
優しい王様と、笑顔絶えない国民、素晴らしい技術。
繁栄を極めた国が、そこにはありました。
かつてランドールの山谷の地には"大海原"と呼ばれた王国がありました
海と山から流れ込む水から作られた豊かな汽水域は、人々に富みを齎したのです。
彼らは山と海、川と鉱石を求めて往来し、その様は太陽の光を反射した水平線のようでした。
ですが、ある時悪い国に宣戦布告されてしまい、国民を守るため、
"大海原"の王国は受けて立ちました。
「来い。我が剣、グランライトを見せてくれよう。」
王様は高齢ながらも勇敢であり、同時に素晴らしい智慧を誇るリカントでした。
彼は魔剣を携え戦場を渡り、その姿は"暁の老狼"として、悪い国は恐れました。
戦は百戦百勝、戦争は常勝を極め、悪い国は結果の見えた戦いに停戦を申し込みました。
王様はその申し出を快く受け入れて、困ったことがあれば相談するようにと伝えたそうです。
しかし、そんなある日、"大海原"の水は腐り果ててしまいました。
誰かが大量の毒を混ぜたそうです。
王様は毒の魚を食べてしまい、動けなくなってしまいました。
そんなとき、悪い国は再び宣戦布告をしてきたのです。
兵士も王様も、国民の皆が苦しんでいる中で、百戦百勝と謳われたその姿は
見るも無残に消えていきました。
そして、最後の最後に、"大海原"の国が侵攻された時、お姫様が城の壁に登って言ったのです。
「どうか、攻め入る前に一つ。私の唄を、聞いてください」
お姫様は手にした竪琴の弦に指をかけ、ゆったりとかつて栄えた、水と石の国を語り始めました。
その旋律は大変美しく、聞いた兵士の全てはその場に武器を落としたそうです。
唄が終わりを告げお姫様が一礼をすると、感銘を受けた偉い兵士が大きな声で問いかけました。
「あなたの名をお聞かせ願いたい」
お姫様は凛として答えました。
「アリス・クロスクロード」
偉い兵士は再び聞きました。
「何か、我々に出来ることはありませんか」
その問いに、お姫様は嫋やかで安らぐ声で答えました
「どうか、皆様の祖国に帰ってください」
「そして、出来ることならば家族を愛し、友達を愛し、自身を愛してください」
その言葉を聞いた全ての兵士は互いに顔を見合わせ、
誰が言うでもなく水と石の国から立ち去りました。
次の朝日を迎えた時、かつて栄えた国は一つの唄声を残して静まり返ってしまいました。
唄は幾年を経ても一日欠けることなく続き、その声は時折山を越えて耳に届いたそうです。
いつしか死に果てた水はかつての暁の輝きを取り戻し、
百年に亘って次がれた歌は止んだそうです。
この寂れた逸話はいつしか"幻想の境域"として名を変え、
一部の詩人の巡礼地となっているようです。
一部の詩人の間には、密かに伝えられた続きのお話があるそうです。
それは、この詩を作り広めた者が、アリス・クロスクロード本人としたものです。
そこから先の物語は詩人によって異なっていき、多種多様な物語が生まれています。
しかし、その前日譚となるこの物語は、誰も口を加えることなく語り継がれているようです。
投稿しようと思ったのは文字数確認したら1000文字いってたからです