絶望的ですが明日も学校です   作:活動休止

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今回の登場人物


・糸色 望
・風浦可符香
・関内・マリア・太郎
・木津千里
・日塔奈美
・古節あびる
・小森霧
・臼井影郎
・中年男
・中高年男AB
・本田さん
・女子高生(多数)



※原作を知らない方はwikiなどで予習したうえで読んでいただけると、さらに楽しく読んでいただけると思います。



さよなら絶望先生の二次創作小説を見かけなかったのでちょっと書いてみました。
うまく世界観を書けているか分かりませんが楽しく読んでいただけたら嬉しいです。


第弐話 現代病

―――「奈美ちゃん何聞いてるの?」

「キャリパのnew single出てたから思わず買っちゃったんだ。聞いてみる?」

「え!?いいの?聞く聞く」

~視聴中~

「【バイブス】高いね!!私ファンになっちゃうかも!!」

「でしょ!!この曲私もお気に入りなの」

 

―――「この前彼氏に【KS】されちゃってさぁ~もうほんと最悪~【KS】とかマジないよね~」

「そうなんだ【KS】するとか酷いね。私なんかこの前【ヤグられて】さぁ~マジ焦ったよ~」

「マジでww超ウケるわwww」

 

 

「その言葉!意味を分かって使っていますか!!」

 

 

我慢の限界を超えた糸色 望は誰に言うでもなく叫んだ。

それを聞いた日塔奈美がビクッと肩を震わせた。それをあざとく見ていた糸色 望は意地悪な顔で意地悪な質問を投げかける。

「では、バイブスとは一体どういう意味なのですか?分からないなぁ~教えてほしいですね~」

「そ、それは………」

「それは?」

「楽しいって………ことですか?」

「なんであなたが疑問形なんですか。ちなみにバイブスとはテンション、ノリ、雰囲気といった意味合いがあります」

日塔奈美が恥ずかしさのあまり走り去っていくのを気に止めることなく糸色 望は自分の話を続ける。

「昨今、自分たちも分かっていない若者言葉が流行りすぎている気がします。例えば、

シェルモ→シェルモチーフ

サスパン→サスペンダー付きパンツ

デニる→デニーズに行く

Fラン→誰でも入れる大学

ロクマル世代→60代

デビルサマナー女子→厄介な女を連れてくるやつ

マミる→首飛ぶ

アイキャンディ→見ていて楽しい人

アイコ→アイスコーヒー

パリラ王→くりぃむしちゅー上田

a.k.a→別名

etc...」

 

「絶望した!!若者さえ置き去りするぞーしゃー(造語社会)世代に絶望した!!」

「先生無駄に若者言葉に詳しいですね」

「別に普段チャラチャラなんてしてませんよ」

額に汗を流しつつ強く否定した後、糸色 望はわざとらしく話題を戻す。

「みなさんあちらを見てください!!」

糸色 望が指した方を向くと、そこには簡易的な厨房が用意されていた。

「あれは若者言葉造形調理施設です。あそこから新しい若者言葉は生まれているのです!!」

「なっ!!?」

「これからの社会。誰もが若者言葉を正しく理解できるよう、取り扱い説明書を付けるように私が若者言葉造形調理施設に掛けあってこようと思います!!」

「あっ!ちょっと!!……」

そう言って糸色 望は若者言葉造形調理施設と呼ばれる場所へ走って行った。

糸色 望を一人にしておくわけにもいかないので、その後を少し離れて生徒達も着いていく。よく分からない怪しい場所に特攻を掛ける糸色 望と違い慎重だ。

キッチン台に置かれている物がはっきり認識できるくらい建物に近づいたとき、DV疑惑包帯少女の古節あびるが何かに気づいた。

「あれ何だろ」と彼女が指差す先を見ると、スーツ姿の二人の中高年の男が何かを神妙な面持ちで話していた。

 

ーーー中高年A「維新もそろそろ潮時だな」

中高年B「石原が代表を務めるようになってから党内は安定しませんからな」

中高年A「ここらで【げっぷ】しませんかな」

中高年B「【げっぷ】ですか、なるほど」

中高年AB「フハハハハハハハハ」

 

 

 

「なにあれ…………」

皆がげっそりとした顔をする中、次は違う中年男が電話で話している姿を見つけてしまう。

 

 

 

ーーー中年A「もしもし広告見たんですけど【指名打者】90分お願いします。

住所は##########です」

 

ピンポーン

 

インターホン「お電話頂いたものですが」

 

ガチャッ

 

中年A「チェンジで!!」

 

 

 

皆の顔が引きつるぐらいげっそりしているところに涼しい顔で糸色 望が帰ってきた。

「説明書も読まずに皆さん若者言葉に触れてしまったんですね。無理もない。さっき私が工場長に掛け合ってすべての若者言葉に説明書を付けてもらえることになりました」

「工場長ってもしかして!?」

「はい、こちらの方です」

糸色 望の脇に立っていたのは金髪に装飾の多い帽子を被り、ギラギラのど派手なTシャツを着て、ダメージだらけのジーンズを履いた、サッカーが好きそうな男だった。

「こちらが若者言葉造形調理施設の工場長の本田さんです」

「ちっす」

「なんかイメージと違う!」

分かってはいたけど思った以上にチャラい感じな本田さんだった。

「本田です。ワン(今日1日)で此処の茶服(工場長)を務めることになりました。よろ(よろしくお願いします)です。」

「あの先生、本田さんの言葉の後に括弧書きされてるのってなんですか?」

「あれが先ほど話していた取り扱い説明書です。言葉の詳細を知りたい方はこちらから検索してください→http://newword.fc2.com/

ちなみに、先で話していた若者言葉は、

天下り→Golden parachute→GP→げっぷ

デリバリーヘルス→DH→指名打者

といった感じです」

「それは雰囲気でなんとなく分かりましたけど…………」

「とにかく、これで若者言葉に悩まされることなく生活することができます」

「待ってください、先生」

とそこでストップを掛けたのは風浦可符香だった。

「どうしましたか風浦さん」

「このままだと個人情報が流出してしまいます!!」

「なんですって!!?どういうことですか」

「まずはあれを見てください!!」

 

 

 

 

―――「小森ちゃんのlineって88.58.92なの!?意外とクリアランスなんだね」

「そんなことないよ」

「私もそんなIDがよかった」

「じゃあ交換する?」

「えっ!?」

 

 

 

―――臼井「ふ~らふ~らふ~ふ~ふ~」

女生徒「ねぇねぇあの人見て、マジi選なんだけどwwww」

女生徒「ほんとだほんとだマジi選だwwwwwきもいんだけどwwwwww」

女生徒達「wwwwwwwwwwwwwwwwwww」

臼井影郎が涙を噛みしめ逃亡。

 

 

 

 

「・・・・・」

一連の流れを見終えた糸色 望は首を傾げる。

「これのどこが個人情報に関係しているのですか?」

二つの会話にはどこにも個人情報らしきものはない。説明書がなければ一見、lineのIDが羨ましいと言っているだけの会話と、頭の悪い女子高生の崩し言葉にしか聞こえない。

「では、説明書を付けてみてください」

 

 

 

―――「小森ちゃんのline(スリーサイズ)って88.58.92なの!?意外とクリアランス(着やせするタイプ)なんだね」

「そんなことないよ」

「私もそんなID(理想の体型)がよかった」

「じゃあ交換する?」

「えっ!?」

 

 

 

 

―――臼井「ふ~らふ~らふ~ふ~ふ~(髪生えろ~髪生えろ~)」

女生徒「ねぇねぇあの人見て、マジi選(育毛剤が必要な人)なんだけどwwww」

女生徒「ほんとだほんとだマジi選(育毛剤が必要な人)だwwwwwきもいんだけどwwwwww」

女生徒達「wwwwwwwwwwwwwwwwwww」

臼井影郎が涙を噛みしめ逃亡。

 

 

 

 

「なんと!!!」

あまりの絶望的ショックに糸色 望他、2年へ組生徒は息を呑んだ。

「2つ目の方は個人情報とは少し違う気もしますが、若者言葉を取り説するだけで健全な中高生諸君には危険すぎる情報が筒抜けになってしまうなんて!!」

「やっと気づきましたか。あえて人に伝わりにくく言う若者言葉。あえて意味を持たせない若者言葉。若者言葉とは一種のセキュリティだったんですよ」

「私は知らず知らずのうちに若者言葉にハッキングを掛けてしまっていたんですね」

「そうと分かれば、先生も早く若者言葉を使って、ウイルスの侵入を防ぎましょう」

「そうですね。私もしっかりセキュリティ対応したいと思います」

 

 

 

―――翌日

 

 

「皆さん、おはです。今日もMAXでぼっくすしていきましょう!!」

「先生…………」

「ど、どうしましたか木津さん」

「ちゃんと喋れぇぇぇぇぇええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「ぎゃあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(バキョキンバ**キvナキャmmslkファンキキャンバキバキボキ♡)」

関内・マリア・太郎「コトバ人に届けるモノ愛情コメテ届ケヨ」




次話いつになるか分かりませんができるだけ早く投稿できるよう努力したいと思っています。
第弐話最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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