転生してから九年の月日が経った。私は現在、母親に鍛えられています。
「反応が遅いっ!」
「っ!」
母親が振り下ろす鞘付き刀を間一髪で躱し、次の攻撃に備える。その鞘は武装色の覇気が纏わされて居るという徹底ぶり。これがなんの修行かと言うと
「もっと自然に感知ができるようになりなさい。貴方ならもっと上の見聞色の覇気を習得できるはずよ!さぁ、構えて!」
「は、はいっ!」
見聞色の覇気の修行です。転生で才能は望んだけど、ここまで厳しい修行は聞いてないよ!第一、母親が見聞色の覇気と武装色の覇気を使える時点でおかしいんですけど!?しかも剣の腕も半端ないし!もう四年間鍛えられていた追いついてきたかなぁと思っても、余裕で返されるし。
「まだまだ……ゴフッ!?」
「お、お母さん!?」
お母さんは咳き込み口元を抑える。指の間からは赤黒い液体が見え、その液体は鉄の臭いがする。つまるところ血を吐いている。私はお母さんに駆け寄る。母は……
「だ、大丈夫よ……」
と、自分より私を鍛える事を優先する母に私は怒りながらに言う
「大丈夫じゃないよ!はやく家に戻る!あとの鍛錬はしっかりとするから!」
「わ、分かった……分かったから。しっかりね」
そう言うとお母さんは口元の血を拭うと家の方にとぼとぼと帰って行く。お母さんの体は病魔に侵されていて、微熱があったりするし、寝汗が凄かったり、体のだるさを訴えることがあったが、最近では咳き込むと血を吐くことが見られ、回数も最近では増えてきた。気配で長くはないと察することが出来てしまう。
「『見聞色の覇気』、『武装色の覇気』この二つを極めないと。せっかくお母さんに鍛えて貰っているんだし……!」
休憩もそこそこに、目隠しをして立ち入り禁止区域エリアに指定される森へ私は足を踏み入れる。ここは猛獣が跋扈している危険地帯である。それらとの相手が私の修行の日課です。目隠しをして森を歩き、夜が明けるまで過ごす。朝帰りをこの年齢からするのは気が進ままないけど、やるしか無いので森で過ごします。
「ふぅ、今夜もよろしくね……皆」
私がそういうのと同時に飢えた獣たちが私を食い殺さんと襲いかかってくる。それを
「私の真後ろから一匹、左右斜め上から一匹ずつね。真後ろは噛みつき、他二匹は爪で仕留めに来る……」
獣たちの気配を強く感じとり爪牙を躱す。獣たちの殺気を感じ取りながらひたすら攻撃を躱し続ける。かすり傷すら負うことはダメという考えの下、獣たちの猛攻を躱し続ける。
「見えない鎧を着込むイメージで……武装色・硬化……」
両腕に鎧を纏わすイメージを固めて、拳を握る。私の腕は覇気を纏い黒くなる。その腕で獣の爪を腕で止める。爪は私の皮膚を切り裂くことはなく受け止めることが出来る。
「上手くいった。流石に四年もスパルタお母さんに鍛えられたら出来るようになるよね……まぁ、私からお願いしたんだけどね。とりあえず、寝ててねっ!」
私は爪を振り払い、覇気を纏った拳で獣を殴り飛ばす。勿論、九歳の女の子の腕力なんてたかが知れているけど、武装色の覇気を纏った一撃は生半可な一撃じゃないので獣程度ならどうにかなる。
「とりあえず、朝になるまでゆっくり過ごそうかな。もうこれにも慣れたし」
私は適当な木に上り休息を取る。その間も獣が襲いかかってくることもあるけど、気配や殺気を察知して対処して過ごす。この修行を始めたのは今から二年前になる最初は泣き泣き森を走り回っていたなぁ。昔に思いを馳せながら私は寝て起きてを何度も繰り返して夜を超える。
朝方には森を出て、砂浜で軽く走り込みをする。足腰を鍛えるにはうってつけだし、関節の負担も普通の道より軽減されるから。後は、波の音を聴きながら走ると気分がいいんだよね
「はぁ、はぁ……ふぅ。よし、今日はこの辺でいいかな。家に帰って、汗流してゆっくりしよいかな」
家に帰ろうとした時に私は何かを発見する。波際に木箱が流れ着いていた。気になった。とても気になって仕方ない。何かを運命的なものを感じた。
「開けてみよう」
即決だった。持ち帰ってから開けるとか、開けないという選択肢は無かった。手に取って開けようとすると、
「鍵かかってんじゃん!そりゃ鍵かかってるよね!この手の箱には!……こじ開ける!」
再び武装色の覇気を纏い無理やりこじ開けようとする。しかし、鎧を纏うイメージの武装色を使った所で腕力が上がる訳では無いのでこじ開けようとしても意味が無いのに気づくのにはそう時間がかからなかった。
「はぁ、はぁ、私バカ過ぎない!?こういう時はもう、箱を壊してしまえば良いんだよね!」
私は思いっきり、箱を殴りつけた。何度も、何度も、何度も。箱が壊れるまで何度も殴り続けた。そして、その中から出てきたのは雷の模様の果実だった。
「これ、もしかしてゴロゴロの実?私が転生する時に望んだ悪魔の実……。食べれば海に嫌われて泳げなくなる……。嫌だなぁ、泳げなくなるのは……」
望んだものと言えど、これを食べれば一生泳げなくなるということを天秤にかけた時に、食べて得られる力は確実なものだけど、今食べるほどのものなのかと……少し戸惑ってしまう。そこで私はとりあえず……
「まぁ、まだ食べないかな。後悔したくないし、とりあえず保留にして森の秘密基地にでも隠しておこ」
私は森の秘密基地に箱と悪魔の実を持って帰りそこに隠す。そして、家に帰り休息をとって、床に伏せる母の看病をする。そんな日々を送っていた。しかし、病状が悪化し……
「……長くは……無いわね。この体も……」
「そんなこと……!」
私は母が長くないというのは分かる。転生前は曲がりなりにも医者をしていた人物だ。症状からなんの病気か見当をつけることが出来る。しかし、この世界ではその病気を治すすべが確立されていないし、手遅れと言ってもいい状態の病……。
「分かる……のでしょ?貴方は聡明な子だから、何となくこの病の事も、治す術が無いことも……ゴホッ...ヴ...ゲホッゴホッゴホッ...!」
「喋らないで!今喋ったら辛いだけだからっ!」
何度も経験したはずの救えない生命。今の私にあるのは知識だけで、医者としての腕は失われている。どうしようもない。
「だからこそ聞きなさい……!貴女にこれを渡すわ。私が現役時代に使っていた刀よ」
そう言ってお母さんは二本の刀を私に渡す。
「大切にしな……さいよ。そして、強くなりなさい……そして、海のどこかにいる父親のように強く自由に生きなさい……!」
そう言うとお母さんは眠りについた。まだ死んではいないけどもう時間の問題だ思う。そして、数日後、お母さんは旅立った。私に刀と父親の話をして……。
連続
6年後のカナンの強さ
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四皇幹部と同等 最高幹部相手は辛い
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四皇幹部に少し辛い 最高幹部相手は防戦
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四皇幹部に勝てる 最高幹部相手は辛勝