転生したら四皇の娘で歌姫の妹になった(仮)   作:皐月の王

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エレジア到着 回り出す運命の車輪

「今日の勝負はどっちが早く洗濯物を綺麗に畳めるかよ!」

 

「うん、別にいいよ」

 

私とウタの前には赤髪海賊団の乾いた洗濯物が山のように積まれていた。私がこの船に乗ってから1ヶ月が経とうとしていた。ウタの宣言の後から度々勝負と言って色々なことを競い合っているのだ。まぁ、勝負の内容的には可愛らしいものばかりだから微笑ましいんですけどね。

 

「そうやって笑ってられるのも今のうちよ!この五十戦目は私が貰うから!」

 

「負けず嫌いだねぇ。まぁ、私も負ける気は無いよ!」

 

私とウタは大きく息を吸い込んでから洗濯物を見る。そして

 

「「よーい……スタート!」」

 

自分達の掛け声で洗濯物を畳み始める。こんな勝負をことある事にしている。因みに私が25勝24敗でリードしている。まさかここまで磨いていたものが通用しなかったり、前世の記憶とか経験が生きる勝負が回ってこないとは思わなかった。

 

「また勝負しているな!」

 

「どっちに賭ける?」

 

「俺はウタが勝つ方に酒をかける」

 

「じゃあ俺はカナンが勝つ方に肉をかける」

 

対決は早くも恒例の光景となり、軽い賭け事が成立するレベルで皆には受けていた。

 

「俺達の娘は何故こうも仲良くできないんだ?」

 

「そうでも無いさ、本当に仲が悪かったらこうして勝負なんてしないだろう?」

 

「そうは言うがベックマン……。毎回審判をする俺の身にもなってくれ。まぁ、楽しいから良いんだけどな。ウタもカナンも頑張れ!ハッハッハ!」

 

シャンクスはすっかり酔っ払い大笑いしながら私たちを応援する。

 

「絶対に勝つよ!」

 

ウタはシャンクスに向かって言う。私は淡々と洗濯物を畳んでいく。こうして洗濯物を畳むと母との二人暮らしを思い出す。よくお手伝いしたなぁと。そして、互いに最後の一枚を畳み終える

 

「終わった!」

 

「こっちも終わったよ!」

 

「よぉし、どっちが勝ったか見るか」

 

すっかり酔っ払ったホンゴウさんが私とウタが折り畳んだ洗濯物を見に来る。ホンゴウさんは頷きながら洗濯物を見比べて結論を出す。

 

「この勝負……ウタの勝ちだな」

 

「やったあぁぁああ!!!」

 

ウタは大喜びする。私は負けたかぁと肩をすくませて座り込む。

 

「これで25勝25敗……つまり、勝ちも負けも半々ね。今度の勝負が決着になりそうね」

 

「そう言って50戦も勝負してきたじゃんお姉ちゃん」

 

私はウタを見上げながら微笑みながらに言う。ウタもウタで少し笑いながらに言ってくる。

 

「何よ、何だかんだアンタだって乗ってきたじゃん。それと同じ歳なんだからお姉ちゃんって呼ぶのやめて」

 

「そりゃ、負けっぱなしは嫌だしね。そっちの方がお父さん達と長く居たんだから良いじゃない」

 

負けっぱなしは嫌だ。これは私の本心でもある。だから、この勝負は何度だって受けるし何度だって挑む。それと同時に、ウタとの関わりを楽しんでいるのは本人には内緒である。そしていつものやり取りを終えて、ご飯を食べて今日も一日が終わる。翌日、私はホンゴウさんにこの世界の医術について教えて貰っていた。

 

「この薬草とこの薬草を調合すると解熱効果のある薬が作れるんだ。それに、この薬草単体だと傷薬にも使えるんだ」

 

「なるほど……」

 

「それにしても、いい腕だな。覚えも良いし、これなら怪我人の応急処置とか手伝ってもらってもいいかもな。応急処置に関しては本当に子供か疑いたくなる手際の良さだよ。良い医者になるだろうな」

 

「いやいや、私なんてまだまだですよ。今日も教えてくれてありがとうございます」

 

「ああ、気にするな。俺も教えるのは楽しいしな。さて、そろそろ次の目的地に着くくらいじゃないのか」

 

「そう言えば次の目的地って何処なの?私途中で乗ったからどこに向かっているか分からなくて」

 

そう言うとホンゴウさんは目的地を教えてくれた。それは見ることが叶わなかった映画の舞台でもあった。

 

「音楽の都と言われているエレジアが今回の目的地なんだ」

 

何か運命的なものを感じた。音楽の都エレジア、ウタ、そして赤髪海賊団。そこに居ないはずの私。私は映画は見れてないからどうなるかは分からないけど、一つだけ何となくわかる。私の運命もウタの運命も赤髪海賊団の運命も大きく動く。そんな予感が何となく胸を締め付けていた。

 

そして、エレジアに到着した。転生してから初めて別の島に来た私にとっては目に映るもの全てが新鮮に感じた。

 

「すごい綺麗」

 

「カナンー見惚れるのはいいが迷子になるなよー」

 

「迷子にならないよ!」

 

私は『神楽』を右手に持ち、『斬魔』は船に置いて行く。身体的に刀を二本の十全に使うことは難しいと思ったから。まぁ、荒事なんて起こることはないと思うけど。

 

その後はエレジアを観光した。音楽の都と言うだけあって、どこもかしこも音楽にまつわるものばかりである。ウタはそんな光景に目を輝かせていた。私も音楽携わってなくても凄いと思った。

 

「私少し見て回ってくる」

 

「ウタが歌う前に戻ってくるんだぞカナン」

 

「もちろん」

 

私は一人で都を歩いた。久々の一人で色々考えることが出来る。現状、シャンクスの左腕があるということはまだルフィとの名シーンはまだということだ。それより前の話でウタの話があるとは思わなかった。石段に腰掛けてこれからの事を考える

 

「うーん、医者としても勉強したいけど、それ以上に強くなりたいなぁ。覇気も鍛えたいし、能力でできることも増やしたい。同じ能力だったエネルを超えるくらいにはなりたいなぁ。超えたあと……」

 

超えたあとどうするかなんて考えていない。でも、誰かを守る為には力がいる。それは今いるこの世界の物語で度々出てきたもの。死に方を選べないとか。だから私は強くなりたいと思う。その分岐はいつ来るのか私には分からない。

 

「考えても仕方ないから、もう少し見たら皆と合流しよ」

 

私はそう呟き歩き出した。知らない街を歩くのはやっぱり楽しいし、目新しくて飽きない。楽器を売っている店一つとってもその楽器の専門店みたいな感じで売られていて、その楽器を専門にする人からしたら輝いて見える場所だろうと思う。また、街を歩くだけでも音楽が耳に入り、思わず聴き入ってしまいそうになってしまう。

 

「いけないけない……皆と合流しなくちゃ」

 

私は足早に皆との合流を目指しながら、集合場所に指定された場所を目指す。そして目的地に辿り着き、ウタが歌うためにステージに行くことになった。

 

「見ててよ皆!」

 

「勿論だ。思いっきり歌ってこいウタ」

 

「ウタなら行けるぜ赤髪海賊団の音楽家なんだからな!」

 

皆思い思いにウタに声をかける。そして私も一歩前に出て言う。

 

「楽しんできてね。歌じゃウタには叶わないし、観客席から見てるから」

 

「見てなさい。赤髪海賊団の音楽家は伊達じゃないところ見せてあげるから!」

 

そして大舞台でウタは歌う。こんな大きな舞台だったら経験を積まないと緊張して本来の力を出せないとかあるだろけど、ウタはそんなの関係ないように楽しそうに堂々と歌って見せた。

 

……凄いと思った。そして、色々と勝てないと思った。だけど、悔しい気持ちはこれっぽっちも無くて、会って1ヶ月だけど誇らしく思えた。

 

「…すごい」

 

私の口から言葉が漏れていた感嘆の声。シャンクスが私の頭に手を乗せて

 

「だろ?俺達の音楽家は」

 

「うん……本当にすごい。他に言葉が出てこないや」

 

「思った感想を口にすればいい。それが賞賛なら届くはずだ」

 

私はシャンクスを見上げる。その顔は娘の舞台を楽しんでいる父親の顔だった。私はその表情からしばらく目を離せないでいた。

 

ウタのステージが終わりパーティが模様された。ウタの歌声に惚れ込んだ人達がウタに様々な歌を歌ってもらっている。私は近くの方で、ご馳走を食べていた。

 

「大変だなぁ」

 

ウタは快く歌っているけど、次々に歌わされたら喉とか痛むんじゃないかと私は心配してしまうと同時に、大変そうだなぁと様子を見ていた。今生の別れじゃないだろうにこんなにも歌わせて……。まぁ、ウタが歌いたくて歌っている以上は私が邪魔する訳にも行かないし。

 

「楽しんでいるか?カナン」

 

「シャンクス。まぁ、楽しんでいるよ。こういうのは初めてで美味しいもの食べれてるし。それにウタが楽しそうに歌っているのは見てて気分がいいんだ」

 

何かを楽しそうにしている人を見るのは気分がいい。何せ生き生きしている。前世の職業柄元気がない人を見続けることが多かった。元気になって退院する時手を振って見送るのが好きだった。

 

「そうだな。カナン、明日には此処をたつ。今のうちにいっぱい美味いもん食っとけよ」

 

「人を食いしん坊のように言わないでくれるかな!?」

 

「ハッハッハ!!!ほら、これも食えよ!」

 

肉料理をシャンクスに渡される。私は少し睨みつけながら肉料理を受け取り食べる。

 

「やっぱり食いしん坊じゃねぇか!!!」

 

「いっぱい食え食え!」

 

「嵌めたなぁ!?」

 

食べながらも講義をする私とそれを見て笑うシャンクス達。しかしパーティは突然に崩壊する。ウタが手に取った古めかしい楽譜の歌を歌った瞬間突風のようなものがウタを中心に吹き荒れ、黒い瘴気のようなものがウタを包みこむ。私はその衝撃で大きく吹き飛ばされてしまうが受身を取って

 

「ウタ!!!」

 

ピエロとも竜とも見える顔立ちの、両腕がピアノの鍵盤になっている黒いハットを被った異形の怪物がウタを取り込み姿を現す。私が感じていた予感はこれだったのか?もっと警戒していたらウタがこうならずに済んだのかと考えてしまう。けど、後悔するより先に私は『神楽』を抜き、怪物に刀を向け

 

「ウタを返して!!!」

 

心から叫ぶ。大切な人を返せと、もう失ってたまるかと叫び、自身の体を雷にして切りかかる。無謀な戦いだとしても……

 




大きな分岐に来ました。これからのカナンの行動次第でウタの運命も変わるかもです。

6年後のカナンの強さ

  • 四皇幹部と同等 最高幹部相手は辛い
  • 四皇幹部に少し辛い 最高幹部相手は防戦
  • 四皇幹部に勝てる 最高幹部相手は辛勝
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