Muv-Luv IGLOO [M.L.I] 記録無き戦人達への鎮魂歌 (再投稿)   作:osias

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第十話「死せし大地に軍靴が木霊した~前編~」

西暦1999年11月9日

国連太平洋方面第11軍横浜基地、第6区画03格納庫

 

流れる様にコンテナが格納庫に運ばれるのを武達4人は見つめていた

 

4人は予定通り、武の退院と同時に任官式を終え、4人とも臨時階級から正規の少尉になっていた

 

「で、なん何だアレは?」

 

ケニーが問う

 

「香月副指令曰く、技術評価対象だそう「そうよ」・・・副指令・・・」

 

モニクの後ろに夕呼が立っていた

 

「おや、博士さん、相変わらずお美しい」

 

「あれは、白銀とオリヴァーが昨日終わらせた708品目の内スグに使えると判断した物と、工場で生産が終了した車両よ」

 

彼女はケニーの妄言に対し無視を決め込む

 

「だからオリヴァーとタケルはこんなに疲れているのね」

 

「ホント、嫌になるわ、折角の『罰ゲーム』が無駄になったじゃない」

 

「先生・・・勘弁してください」

 

4人の所にオリヴァーがクリップボードを持ちながら来る

 

「博士、技術評価対象108品目全て受け取り完了しました」

 

「ご苦労さま」

 

「あ、あの~」

 

横から別の男の小声がする

 

「・つ・・縁少尉、序でに到着しました」

 

「「ワシヤ?」」

 

二人は振り返る

 

「いえ、黒藤です」

 

そこには帝国軍服を着、右手で頭をかきながら気ダルそうにする文縁少尉がいた

 

「ヅラか?」

 

と茶々を入れるケニー

 

「ヅラではない、黒藤(つづら)だ、黒葛(つずら)じゃないから間違えんなよ、いや・・・俺が間違いか・・・?」

 

「何してんですかアンタ達は・・・」

 

顔に手をやる武

 

「変わらないわね、文縁・・・」

 

「おお、香月先生、相変わらずおうつ「それはもうやったわ」」

 

言葉を切られる文縁、その言い回しを見て、ケニーが彼を凝視する

 

「フッ、俺も見る目が落ちたな・・・ハゲと・・・ヅラと呼んですまなかった、ヒゲと呼ばせてもらおう」

 

「ふっ、ならば俺はお前をグラサンと呼ぶ!」

 

そして熱い握手を交わす二人

 

「お前とは上手くやって行けそうだ、ヒゲ!」

 

「ああ、同感だ、グラサン!」

 

不思議な漢の友情が生まれた瞬間である

 

「・・・ん、でアンタなんで私にはそんなに他人行儀なのよ?」

 

「副指令、彼とは知り合いなのですか?」

 

「腐れ縁よ、コイツとは・・・この『黒の道化』とは」

 

「『黒の道化』ですか、カッコいいですね」

 

武が文縁の方を見ると、それに合せ彼はボディビルダー的なポーズを取る

 

「格好良いね・・・まぁ真実はコイツが帝国軍訓練学校の時、色々と低脳な悪戯をしてね、それで『道化』・・・9割がた問題が発生したらコイツがホシだから『黒』・・・故に『黒の道化』・・・」

 

「ちょ、ちょ何イキナリ!?ネタBARE!?俺の異名滅茶苦茶チープになったじゃないっすか!!」

 

「事実でしょ」

 

「「「「・・・」」」」

 

唖然とする4人

 

「取り合えず、アンタちゃんとした自己紹介しなさい」

 

「おぅ、いや。んん、自分は帝国本土防衛軍衛生科、軍樂部所属、黒藤文縁少尉であります!」

 

「うそよ」

 

言い切る夕呼

 

「「「「「えぇー(は)?」」」」」

 

再び唖然の4人プラス1

 

「えーっと、おりゃぁ、黒藤文縁、26歳、独身、しがない帝国軍少尉さ!軍樂所属の俺の歌・・・聴いていくかい?」

 

言い直す文縁

 

「別に、言い方の事を言ったわけじゃないわ。文縁、貴方今日からここの配属よ?」

 

「オカマゲイ?ん、スキューズミィ、カマゲイ?」

 

「Come Again・・・もう一回ね・・・「副指令良く分かりますね」言ったでしょ腐れ縁って・・・さて、何度でも言うわ、貴方はここ、第6区画03格納庫技術試験隊所属よ!」

 

ハニワの様なポーズをとって動かなくなる文縁

 

「モニク・・・これを読みなさい、ちゃんとした辞令よ」

 

茶色い封筒をモニクに手渡し、モニクは中身を確認する

 

「はい・・・ロンズ少尉、オリヴァー=マイ少尉、モニク=キャディラック=マイ少尉、白銀武少尉、黒藤文縁少尉、以上5名を本日付で・・・“第603・・・技術試験隊”転属せし・・・!!」

 

「僕達はまた『魔女の鍋』の中か・・・」

 

<ピクリ>

 

その呟きに夕呼が反応

 

「魔女の鍋?」

 

「昔、モニクと自分がいた部隊、第603技術試験隊は『魔女の鍋』と呼ばれてました」

 

それを聞きニヤリとする夕呼、長い髪をかきあげる。

 

「ふ~ん、良いじゃない私達にピッタリね。今日から貴方達と私「・・・私も・・・」あら、社いたの?・・・そうね、社を入れた7人が第603技術試験隊『魔女の鍋』よ」

 

「「「「「・・・了解(はい)(あいょ)」」」」」

 

文縁を抜く5人が夕呼に言い返す

 

「・・・ちょ、ちょ、ちょっと待ったぁぁぁぁ!異議有り!」

 

再起動する文縁

 

「却下よ」

 

またも一言で切り捨てる夕呼

 

「いや、ちょっと待ってくださいよ先生、わしゃ、帝国軍仕官よ?国連軍の部隊に入隊ってなんばちょってるでごわすか!」

 

「落ち着きなさい。文縁、貴方白銀達の機体をハイヴ内で見たでしょ?」

 

「お、おぅ」

 

「あれは機密なのよ「喋らん!絶対喋らん!」・・・口約束でどうにかなるような事でもないでしょ、それにアンタがいたエリア、あそこは帝国軍にとっては立ち入り禁止地域のはずよ」

 

「・・・だが!それで俺が国連軍入りする理由には!」

 

「いいのよ~でもアンタ色々帝国軍内で問題起こしてきたでしょ、今日付けでクビになってるわよ~」

 

「嘘だ!」

 

鬼の様な形相で叫ぶ文縁

 

「嘘じゃないわよ、だから、アンタには選択肢が二つ、一つはこのまま603に入隊する事、もう一つは無職になり帝国軍と国連軍両方から監視される事」

 

「夕呼先生・・・それ実質1択じゃ・・・」

 

哀れむ武

 

「どうするの、このまま「・・・分かった・・・分かった、因果応報的な理解をした・・・だが音楽は捨てんぞ」・・・良いわよ、好きにしなさい。じゃ、先ず白銀達に付いて話しましょうか。モニク、頼めるかしら?」

 

「ハッ!」

 

~数分後~

 

文縁はモニクから大体の事情を聞く

宇宙世紀の事、武のループの事、MSの事、彼らの目的・・・

 

「・・・信じられるかよ・・・何処の所属だ!?異世界から来た!僕の名は武・・・地球は狙われている!・・・って何処の蒼い○星ですか・・・」

 

「蒼○流星?」

 

「気にしないでくれ」

 

疲れたように武に返す文縁

 

「・・・所で、文縁アンタ、私の質問に答えてないわよ」

 

「何だよ?」

 

「何で、そんなに私に他人行儀で避けようとするのよ?」

 

「ハハハ、ワロス。だって夕呼、歩く死亡フラグじゃん」

 

光の篭らぬ目で答える文縁、そしてそれを睨む夕呼

 

「・・・アンタ・・・何を知ってるの?」

 

「何も知らん」

 

はち切れんばかりの勢いで首を横に振る文縁。

 

「・・・そう、いいわ、そうそう3日後、帝国軍が大規模なBETA掃討作戦を九州と四国で行うわ。貴方達はその2日後にその作戦に参加して貰うわよ」

 

「ほらキタ・・・よりにもよって列島奪還作戦か」

 

列島奪還作戦、それは本州以外の島に残るBETAを掃討する作戦である。

数は少なくとも(と言っても数1000単位でいる)BETAが九州及び四国に残っているため、日本はそこからの資源採取ができない状態である。それを打破するために今作戦が結構された。作戦自体の規模は大きくなくとも帝国軍にとって、日本にとっては死活を分かつ大事な作戦であった。

 

「知ってるのか黒藤少尉・・・腐っても元帝国軍だな」

 

モニク節が炸裂する

 

「元ね・・・はぁ~」

 

「で博士さん、何で作戦開始の2日後なんだ?同時展開しないのか?」

 

ケニー=ロンズのサングラスが室内なのに光る

 

「ロンズ少尉、それは私が答えよう・・・正式な出撃要請が無いからな、帝国軍には頼み込む形で我々は出撃する。そのため相手は戦力が分からない小隊が戦場を混乱させないようにするため2日遅らせて出撃させるようだ。真意は兎も角そういう“名目”だ」

 

「政治か意地(プライド)か・・・どちらにせよ、くだらねぇな・・・」

 

帝国軍にとって国連軍は米国に掌握されているイメージがあり、一度とはいえ光州作戦のおり米国軍は帝国軍を見捨てた。当然良い印象を持つはずがない。

 

「副指令・・・」

 

「あら、ピアティフ。時間通りね。じゃ、白銀、オリヴァー、文縁と社を連れて仕事を始めて」

 

「はい・・・皆さん行きましょう」

 

5人は運ばれてきたコンテナの方に向かった

 

「・・・副指令・・・」

 

モニクは頭から離れない疑問を夕呼聞こうとした。

 

「何・・・?」

 

「本当に私達の事を知られた『かも』知れないという理由で彼を?」

 

確かに文縁はハイヴ内でモニク達にあった、しかし変わった戦術機(MS)を見たというだけであり、その他諸々の事がバレるとは考えられない

 

「それこそ貴方が言った“名目”よ」

 

「・・・ヒゲはそんなに使えるのか?」

 

「・・・モニク、資料は手元にあるでしょ?」

 

「はい、今見ていますが突出したものは何も・・・色々な作戦を生き延びたのは目を見張りますが、別にこれといった戦果を出してませんし。後は部署を転々としている所でしょうか」

 

「訓練校時代の技術検査結果はどう?」

 

ケニーはモニクの後ろに回り資料を覗く

 

「何だ、戦闘適正平均15標準偏差5のテストで17.5、繰上げで18、技能適性平均7標準偏差2で8・・・アベレージ・ジョー(一般兵)よりはマシだが、平均よりちょっと高いだけじゃねぇ~か、ヒゲより強い奴は3割以上帝国軍にいるって事だろ?」

 

モニクは何かに気づく

 

「・・・気づかんかロンズ?「何だ?」・・・彼の技術適性の量と数字が異常だ」

 

そう言われ、ケニーもその不思議に気づく。どこの人間の資料に同じ番号が永遠と続く事があるのだろうか?

その二人を見てまた夕呼は面白そうにニヤリとする。

 

「・・・アイツは何処に行っても平均以上、エース以下、性格もあれだからね~帝国軍じゃ使い切れないわよ」

 

「面白い」

 

サングラス越しに目を見開くケニー

 

「それに・・・アイツは何か隠してる気がするのよね・・・じゃ、私は研究に戻るわ~後は任せたわよ」

 

夕呼は格納庫を出て行った

 

○○○●●

11月12日

 

あっと言う間に4日間が過ぎた

 

この間、武達は忙しく走り回っていた。先ず、列島奪還作戦に参加するため、出撃可能なYMS-15K試作改良型ギャン、及びMS-09F/TROPドム・トローペン(先行量産型)のコクピットを99式衛士強化装備用に換装することであった。

 

強化装備はこの世界でのノーマル(パイロット)スーツであり、その性能はオリヴァーに「信じられない・・・オーパーツだ・・・素晴らしい」と言わせたほどに高性能である。余談だがケニーは別の意味で「素晴らしい・・・このデザイン考えた奴は天才だ」と言い、武と文縁はそれに同意していた、モニクは汚物を見るような目をした事は言うまでもない。

この装備は高度な伸縮性を持ちながら、衝撃に対して瞬時に硬化する性質をもった特殊柔軟素材と、各種装置を収納したハードプロテクター類で構成されている。耐Gスーツ機能、耐衝撃性能に優れ、防刃性から耐熱耐寒、抗化学物質だけでなく、バイタルモニターから体温・湿度調節機能、カウンターショック等といった生命維持機能をも備えている。他にも色々便利な機能があり、戦術機の弱さをある程度カバー出切るほどに性能が良い。

 

更に戦術機操縦においては、ヘッドセットとスーツ全体で脳波と体電流を測定し、装着者の意思を統計的に数値化し常にデータを更新、戦術機や強化外骨格の予備動作に反映させるという、間接思考制御のインターフェイスとして機能する。この機能を知り、オリヴァーと武はヅダ改に搭載されているEARTHコンピューターとの違いを分析し始め、夕呼と社に助けを借り改造し始めた。そして将来的にXM-3の強化版を作る予定を立てた。

 

ヘッドセットは戦域情報のデータリンク端末であり、それ自体に高解像度網膜投影機能を有しているため、ディスプレイ類を必要としないだけでなく、視力の強弱も影響しない。そのためMS全部のコクピット内モニターを取り外さなければならなかった。機体側コンピューターとの回線接続は、シート全体でコネクトする接触式と無線式の二系統であり、これにも適応するようにコクピットを改造。

 

前々より、計画をしていたため換装自体は一日で何とかなった。

 

二日目にオリヴァーは夕呼の研究室に呼ばれ、試験評価する機体と車両を紹介された。その折、夕呼の室内には音楽が流れていた

「ボレロですか?」

「文縁曰く、603ボレロらしいわ。オリヴァーと試験評価品目について話す時に流せって。軍樂家としては譲れないそうよ」

「はぁ」

なんというやり取りをしながら評価品目を見せられた。

一つは99式ホバートラック。宇宙世紀で連邦軍が使っていた74式ホバートラックの正にそれである。形式番号には年号の99が使われている。違いは20mmガドリング砲ではなく、戦術機の87式突撃砲に使われる36mmが搭載されている事とそれに合わせてホバートラックの性能が向上している以外は殆ど機能に違いはない。振動を音で索敵する方法や、レーダーもあり。指揮車両として開発された。

 

次にTSF-TYPE77/F-4JT 77式戦術歩行戦闘機――撃震T型(げきしん、ティーがた)、撃震の黒藤文縁改良(改悪)機である。元々は文縁が帝国軍の第壱開発局で魔改造していた機体にXM-3と核反応炉を着けた機体である。反応炉は小型化の最中であり、その大きさのため機体に拡張スペースのある撃震ですら外に飛び出しており、そのバランスの悪さは追加スラスターで補うという怪しい機体である。

 

武、オリヴァーと文縁はホバートラックと撃震の調整や機動試験などを行った。

ちなみに、この撃震を見た時文縁は「俺の撃震王!」と叫び「王を付ければ格好良いと思うとは哀れだな」とモニクに罵られ、「だがそれこそ王道なり!」と返していた。

 

 

3日目以降は最終調整及び、武器の確認に殆ど時間を対やした。

その他にオリヴァーはヴァル・ラングに搭載されているCAD=CAMシステムを利用し、MS-09F/TROPの戦術機版、TSF-99Type-MS-09F/TROP黒法師(くろほうし)の設計や他の兵器の設計を行っていた。

武は川崎の工場に出向き、TSF-99Type-MS-15K鳥兜の開発状況を確認したり、職員にアドバイスをしていた。

文縁は雑用の他にヴァル・ラング内の情報を利用しながら自分の作った708の書類を検証し、暇を見て機体の左側に603Witch's Pot(魔女の鍋)と禍々しい鍋を描いたエンブレムを描いていた。

 

この間、モニクは列島奪還作戦の詳細を確認し、その情報を武達に渡していた。それ以外にも夕呼の替わりに国連軍の上層部や帝国軍と交渉を続けていた

ケニーは作戦の詳細や地形を見ながら作戦を練り。武と共にネットワークで繋げたシュミレーターを使い夕呼の私兵とも言えるA-01を自身の訓練も踏まえ、鍛えていた。この時A-01の隊員達には武達の事は知られておらず、アンノウン1&2と呼ばれていた。夕呼、曰くまだ名前を出すには早いらしい。

霞は引き続きXM-3及びEARTHの改良に手を加えていた。何故か彼女が作業するとEARTHがエラーを出す回数が少ない。

 

ちなみに文縁は皆と交流を深め、ケニーとは漢の絆(ライバル)を結び、武とは心の友(親友)となった。色々と武から宇宙世紀や元の世界の事を目を輝かせながら、「キモイ、近づくな、息をかけるな」と言われながら聞いていた。

 

そして11月12日11:00

第6区画03格納庫、ブリーフィングルーム

 

「・・・と言う事で、第603技術試験隊『魔女の鍋』隊長はケニー=ロンズ少尉、副長は白銀武少尉だ」

 

言い終えるモニク

 

「モニク姉さんは?」

 

「俺は構わねぇが・・・いいのか?」

 

「私は戦場に出るが本職が文官だ、オリヴァーは技術仕官だし、ついこの間着任した元帝国軍の黒藤少尉は当然除外だ。それにこの先この部隊は人数が増える可能性がある、その場合私とオリヴァーが戦場に出る回数が少なくなるだろう。それを踏まえ、戦闘経験、パイロットとしてのスキル、戦闘での指揮能力を考えた場合。この選択しかないでしょ?」

 

「了解しました」

 

「おう、大船に・・・もとい泥舟に乗ったつもりでいろ!」

 

ケニー=ロンズはサムズアップで答える

 

「何故、言い直したし」

 

武は呆れる

 

「さて、今回の試験品目についてはオリヴァー頼むわね」

 

そしてオリヴァーはモニクに代わりモニターの前に立つ

 

「では、今回の試験品目です。ご存知の通り、YMS-15K試作改良型ギャン、及びMS-09F/TROPドム・トローペン(先行量産型)のコクピットは99式衛士強化装備用に換装され出撃可能となりましたので出します。装備は15がヒートソード2本、ツイン・ヒート・スピア、シールドミサイル、ショットガン、99式超振動短刀、87式突撃砲です。09がラケーテン・バズ、ヒート・サーベル、シュツルムファウスト、ショットガン、99式超振動短刀、90mmマシンガンに代わり87式突撃砲です。87式突撃砲はMSのマニュピュレーターでも操作可能に調整しました。MSの大きさが基本的に戦術機に近くて助かりました。99式超振動短刀(ソニックブレイド)は黒藤少尉の計画を元に我々(宇宙世紀)の技術を応用し作られたものです。シールドミサイルのミサイルはこの世界の物を利用します。09にはモニク、15にはロンズ隊長でお願いします」

 

「分かったわ」

 

「了解だ」

 

「次にTSF-TYPE77/F-4JT 77式戦術歩行戦闘機、撃震T型です」

 

「俺の撃震王!当然、搭乗は俺だよな?」

 

と興奮する文縁

 

「いえ、文縁少尉は僕と一緒に99式ホバートラックです」

 

「えっ!?・・・いや、ここは・・・僕が一番ガ「続けます」・・・(分かっていたんだけどね・・・銀色(武カラー)に塗られている時点で・・・)」

 

「このF-4JT、撃震T型ですが、元々の機体も変な改造がされていて使いにくいですが「大きなお世話だ」、XM-3、試作戦術機用核反応炉とそれを抑える追加スラスターの所為で非常に扱い辛くなっています。関節部分の負荷を軽減するためにマグネットコーティングなども施してありますが、それでも機体の不安定さは拭い切れません。そのため、操縦技術は勿論、戦術機乗りとして一日の長があるタケル君にこの機体には乗って貰います。装備はヒート・ソード2本、ショットガン、99式超振動短刀、87式突撃砲。左腕部に36mmガドリング砲が搭載されていますね、右腕部にも、計画書によると“ノーススター”とありますが、これは?」

 

「撃震王の必殺技だ!」

 

「続けます。それ以外にもヴォイスコマンドシステム(VCS)という物がこの機体には取り付けられています。VCSは声によって兵装の変更や発動をコントロールするシステムのようです。便利といえば便利ですね」

 

と真剣に頷くオリヴァー

 

「スーパー系には必須の漢装備だ!」

 

両手を挙げる文縁

 

「さて、99式ホバートラックですが、装備は36mmガドリング砲のみで、指揮車両として今後も配備される予定です。核反応炉もF-4JTと同じく積んであります。後は弾薬と食料が積んであります。積んである電子機械での索敵範囲は20km±3kmです、この機能はMP-02Aa-YOP オッゴ大気圏使用型(バロール装備)から応用しました。最もオッゴが使えるなら索敵範囲はホバートラックの比じゃありませんが。今回は主にホバー機能の試験とも言えます、運転手は文縁少尉、記録係と砲撃手は僕となります。ガドリング砲は運転手が操作する事も可能ですが試験的に積んだ核反応炉や他の物資が機体を不安定にするため、文縁少尉には操縦に集中してもらいます。今回試験的に衛士強化装備を軍用車両で使う目的でコクピット周りを改造したので、僕達も衛士強化装備を着用します」

 

「戦術機に乗れないのに強化装備なんて、それ何て罰ゲーム・・・」

 

項垂れる文縁

 

「では、作戦についてはロンズ隊長」

 

「おぅ」

 

今度はロンズがモニター前に立つ

モニターには四国が移し出される。

 

「俺達は今回退役した空母を再利用し、四国徳島県橘港に入る。帝国軍の大部分は徳島市を中心に反時計回りに殲滅戦を仕掛けているので、俺達は逆に時計回りに行く。そうしないと化物(BETA)に会えないからな」

 

「順打ちか」

 

「遍路ですか」

 

文縁の一言に反応する武

 

「化物は機械や人が多い所に集まるからな、人口密度が高かった北側に多いのだろう。詰り俺達は余り旨みが無い所を回るって事だ。まぁ、核反応炉を積んでいる機体ばかりだから俺達の方が補給なしで長時間作戦行動を取れる、というか帝国軍がいる辺りまで行かないと俺達に補給はない。素早く行動すれば愛媛県大洲市に帝国軍がつく前に進軍できるはずだ」

 

画面の映像が街を移しだす

そこには廃墟となった街があった

 

「数週間前に取られた、高知市だ、ゴーストタウンだな。四国全土に人はもう住んでいない。居るとしたら少数の動物、虫と化物だけだ。化物の種類は主に小型種の兵士級、闘士級、戦車級。ホバートラックには36mmとショットガンの弾しか積まないが弾数には気をつけろよ?割合としては小型種は街の方が多いみたいだがな。大型種がいるとすれば俺達の方が遭遇率は高いだろうよ。要塞級、重光線級、光線級は四国では確認されていないらしい。あくまでらしいだけであって、いる可能性はある。当然、武がいった母艦級という超大型のキャリヤーは現時点ではいないと見て良いだろう」

 

次のフォーメーションを移す映像が出る

 

「フォーメーションは逆三角型だな、ツートップで俺のギャンと少年の撃震、この世界で言う突撃前衛(ストーム・バンガード)の位置だ、その後ろ、中央、強襲掃討(ガン・スイーパー)の位置に嬢ちゃんのドム。更に後ろ、打撃支援(ラッシュ・ガード)の位置にホバートラックで技術屋とヒゲだ」

 

「「「「了解」」」」

 

「じゃ今日、19:00出航だそうだ。明日の朝には四国だ」

 

5人はブリーフィングを終了した。

 

○○○●●

11月13日8:00

徳島県橘港・国連軍空母

 

狭くも強化装備で快適なコクピットの中に武達はいた

空母は橘港の前で止まっている

 

「13時間で徳島か・・・流石軍艦早いな・・・」

 

武は鉛色に白色のタッチがある強化装備を着ながら港を見つめて言った

 

「・・・よし、ホバーできる。嬢ちゃん、技術屋とヒゲは先行してエリアをクリアしてくれ」

 

ケニーの強化装備は濃い橙色をしている。

 

「「了解」」

 

モニクは赤茶色の強化装備、オリヴァーは深緑の強化装備を着ていた。

空母の先端にドムとホバートラックが行き出撃する

 

『マイ少尉どうぞ』

 

オペレーターの声がヘッドフォンを通し聞こえる

 

「モニク=キャディラック=マイ、ドムトローペン出すぞ」

 

ドムが滑走し海に下りるとそのまま滑るように港に向かう

 

『黒藤少尉どうぞ』

 

「黒藤文縁、ホバートラック、行っきまーす!」

 

文縁の強化装備は通常の黒い帝国軍強化装備(本人と共に何故か送られてきたもの)である。

 

ホバートラックも空母からユックリと着水すると、同じく海の上を走る

 

「記録開始します」

 

オリヴァーはゆっくりと各機に取り付けられたカメラの録画ボタンを押す

 

 

BETAは人や機械そしてハイヴ、G元素に惹かれる、

そのため港には小型種が待っていたかのように束になっていた

 

「早速お出ましだ、ワラワラと・・・私の前に出た事を呪いながら死ね」

 

<ドン!>

 

ドムのラケーテン・バズが火を噴き、BETAの小型種はまるでボーリングのピンが如く弾け飛ぶ。

 

「おお、ストライク。オーリー!撃ち漏らしは俺達が処分するぞー、ちゃんと狙え!」

 

「分かってます、文縁少尉」

 

軽口を叩く文縁にオリヴァーは36mmガドリング砲のスイッチを押す

キィーンという回転音と共に、発射される36mmは鉄の雨を作る。

港に近づくにつれ、モニクはショットガンに武装を換え、無差別に小型種を撃つ。

暫くして、港にはBETAの死骸の山が残った。

 

「黒藤少尉索敵!」

 

「もう、やっている!・・・BETA認識の振動音・・・0、生体反応、熱量・・・0・・・オールクリア!」

 

「よし、ロンズ少尉!タケル!エリア確保!」

 

『了解した、そちらに向かう』

 

近づいた空母からギャンと撃震はスラスターの推進力を使い港に飛ぶ

 

「何て、不安定なんだこの撃震・・・」

 

空中でフラフラとする撃震を武はスラスター操作で安定させようとする

 

「大丈夫か少年?」

 

「今、誤差修正しています」

 

武は機械操作用のキーボードを出し、プログラムを書き換え始める

 

「・・・後ろに重心が行くのは分かっていた、空中だと前のめりになって今度は前に引っ張られる、なら前部スラスターの開きを・・・」

 

<カタカタカタカタカタカタ>

 

「・・・よし!」

 

そして、撃震のブレはピタリと止まり、武は空中で撃震を一回転させ、港に着陸させる

 

「少年、規格外な事をするな」

 

ケニーは実戦でプログラムを変える武の異常性にコメントをしながら、ギャンを港に着かせる

 

「・・・範囲20km以内、敵影なし」

 

文縁がそう告げる

 

「・・・文縁さん、戦闘中は真面目ですね・・・そう言えばハイヴ内であった時もそんな口調でしたし・・・」

 

武は撃震の状況を確認しながら答える

 

「TIMって奴だ」

 

「TPOでしょ」

 

モニクは素早く修正する

 

「アザース」

 

「真面目っての訂正します」

 

「さて俺達はこれから南東に向かう。索敵範囲を上手く使い出きるだけ南エリアをカバーするぞ。技術屋!今の戦闘記録は?」

 

「取れています」

 

「・・・しかし、見たところ70から90体は今ので倒したな。足の踏み場が無くなるって事も考慮すると、ホバー系の移動機の運用考えねぇとな・・・UCなら5機以上でエースらしいが、ここ(この世界)の場合何体倒したらエースになるんだ?」

 

「千単位で倒したらエースって言われましたよ」

 

そう小さく言う武

 

「桁外れだな・・・時間と補給さえあれば小僧一人でこの島を開放できるって事か」

 

「まさか・・・仲間がいたから・・・俺は生きていけたんですよ・・・」

 

「そうかい・・・では603技術試験小隊行くぞ!」

 

「「「「了解!」」」」




MS-09F/TROPドム・トローペン(先行量産型)
及び99式ホバートラック戦力評価報告書
我が第603技術試験小隊はさる11月13日、四国橘港にてMS-09F/TROPドム・トローペン(先行量産型)及び99式ホバートラックの実戦試験運用を実施せり。ホバーによる海からの進軍は戦術的にも効果有り。この戦闘においてドム・トローペンはラケーテン・バズ及びショットガンを使いBETA小型種を駆逐せし。両兵装は広範囲に威力を見せしも全ての敵を捕らえる事は困難なり。今回運用せし99式ホバートラックの36mmガドリング砲は捕らえ切れぬBETAを殲滅し、兵装の弱点を補ったと信じる。橘港を占拠せしBETAを殲滅し、港を解放する事で任務を全うす。この戦果を持って両機に実用性があるものと信じる。しかし、両機体のホバー移動は乱戦時、主にBETAの死骸が増えるにと共に困難になると思われる。この問題の解決が必要とされたし。我々は引き続き列島奪還作戦に参加し、これら兵器の実用性検証と評価を続ける。
               ―西暦1999年、11月13日オリヴァー=マイ技術少尉
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