Muv-Luv IGLOO [M.L.I] 記録無き戦人達への鎮魂歌 (再投稿)   作:osias

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第十三話「遠吠えは落日を染めた~前編~」

11月16日0832

四国、愛媛県八幡浜市

 

列島奪還・四国解放作戦、八幡浜市殲滅戦から一夜明け、昨日までの雨は噓の様に上がっていた。最終的被害は131連隊が戦術機76機を失い(約7割)によるほぼ殲滅、133連隊は50機(約5割)の被害により壊滅。132連隊も15機(約1割)を失い、陸軍第13旅団3連隊、合計141機の戦術機が戦闘不能になる。壊滅は免れるも全滅以上の被害(約4割)を出す。物理的被害以外にも精神的被害も多く、戦闘中は暗示と薬物投与で恐怖を麻痺していた新兵の多くは戦闘終了と共に恐怖と不安の津波に押しつぶされた。これにより実質旅団としての機能は完全に停止。元々四国より九州へ援護に向かう予定だった旅団は八幡浜市で再編成行う事となった。

 

殲滅戦が終わった後の八幡浜市は慌しかった。先ず主に新兵に対してのβブロッカー(精神薬、元は血圧を下げる薬)の投与を行いPTSDの発症率を抑え、その後に重機を使い市内のBETAを一ヵ所に集め、火炎放射器で燃やす。生物、血、と金属物質が燃える臭いはお世辞にも良いものではなく、放置していてもそのBETAの腐臭がするので食事を取るどこれではない。そのため食事は作業が一段落してから行われた。他にも溝などに嵌った戦術機は重機により引っ張り出されたり、整備の開始や二個一的戦術機の修理が行われ始めた。

 

・・・

 

「この泥臭さ、鉄の様な血の臭い、独特なBETA臭とむせ返るような湿気・・・これこそが戦場だな・・・」

 

未だに雨合羽を着ているケニーはそう言うと配給されたシチューを一口食べ、苦い顔をする。隣に座っているオリヴァーはそれを見て、さり気なく文縁から渡されたカレー粉をスチューに塗す。

 

「・・・ロンズ隊長はこういう戦場の方が慣れてそうですね・・・」

 

余り臭いに慣れないオリヴァーはスパイスを使っても、食事が進まなかった。

 

「まぁな、技術屋は宇宙(ソラ)での戦いが多かっただろうから、こういう生々しいのは慣れんだろ」

 

「・・・はい、そういえば文縁少尉も『ふふふ、この肌触り、この風こそ戦場よ!』と言っていましたね、彼も結構慣れてそうです」

 

「いや、あいつの場合9割9分9里世迷言だろ」

 

「はは、そうかもしれませんね」

 

オリヴァーは四国に来て初めて笑った

 

「さて、技術屋作業に戻るか・・・ギャンはどうだ?」

 

「15(いちご)ですか・・・帝国軍から87式自走整備支援担架を借り、09(ぜろきゅう)は整備が完了しましたが、15は損傷が激しく香月博士から補給待ちですね、一応バラして、パーツが届き次第素早く組み立てられるようにはしてありますが」

 

「そうか・・・となると後からくる新しい試作兵器と一緒に九州入りとなりそうだな」

 

「はい、幸いホバートラックは全く問題ありませんし、何より今回の戦闘データを利用し操作を簡易化し、一人でも操舵と射撃ができるようにタケル君がプログラムを弄ってくれました」

 

「少年は相変わらず仕事が速いな」

 

呆れ気味に放つ

 

「撃震の方もタケル君と文縁少尉が修復しているみたいですから。モニク、タケル君、僕の三人は先に九州に入りますね。整備の方大丈夫ですか?」

 

「ああ、これでも戦場じゃ、整備士何ていなかったか時もあるからな、マニュアルがあって組み上げるだけなら俺でも出来る・・・しかしアイツらちゃんと仕事してんのかねぇ?」

 

「してる“はず”です」

 

○○○○●

 

同刻

 

武と文縁は帝国軍より撃震のパーツを受け取り撃震T型の修理を行っていた

 

「これで、パーツは最後だ」

 

天田少尉は空になったトラックの荷台を叩きながら言う

 

「天田少尉、無理言って申し訳ない」

 

パーツの交渉は全て元帝国軍兵士であった文縁が行った。当然の様にモニクが交渉内容を考え、ボディランゲージから言う台詞まで徹底させた。

交渉は上手く行き整備器具、パーツ、それと食料を分けてもらう事となった。機密の問題も考慮し、運送役として一人だけ帝国軍から来る事になった。この時、天田少尉が臨時で受け持った隊は既に解散していた。そして比較的精神的、肉体的に疲労が少なかった天田少尉に運送役としての白羽の矢がたった。

 

「いや、俺達も君達には助けてもらったからね、もし君達が来なかったら・・・少なくとも俺達はBETAの餌だったろうさ。後、もっと気楽にしてくれ、その方がやりやすい」

 

「そう言って貰えると助かる・・・じゃついで、一言叫んでくれないか?」

 

「は?」

 

「“光にな「文縁さん!撃震の右腕直りましたよ!」チッ、相変わらずのタイミングだ」

 

文縁にそう舌打ちし、武は87式自走整備支援担架から降りてくる

 

「これで何とか昼前には出撃できそうです、っとこの人がッ・・・」

 

目を天田少尉に向けたとたん、軽い痛みと目に霧の様なものが映り目を瞑る

 

「何してんだ、武?あれか“んちゃらを持たぬ者にはわからんだろう”とか“こんな時にまで・・・しつこい奴らだ”て奴か?咲き遅れも良い所だろ、ヤメナサイ」

 

「意味は分からないけど、馬鹿にされたのだけは把握した・・・って違います、ちょっと疲れてるのか分からないんですけど、視界に靄が・・・天田少尉の足の付近に・・・」

 

「何という露骨なセルフモザイク・・・いやらしい・・・」

 

「人聞きの悪い事言わないでくださいよ!」

 

「と、ともかく俺は出撃の準備があるのでこれで失礼する!」

 

二人のやりとりにやや引きながらも敬礼し、天田少尉はトラックに乗り、走り去った。

天田少尉が視界から離れて直ぐ武は目が正常になったのを確認する

 

「・・・なんだったんだ・・・」

 

「まぁ、ごっこ遊びも良いがとっとと残りの整備終わらせるぞ」

 

「・・・文縁さん、そういえば・・・詳しく聞きませんでしたが、何してこの撃震墜落させたんですか?」

 

横を通り撃震に向かう文縁を呼び止める

 

「いやさ、マニュアルのギア操作できんじゃんこれ」

 

「確かにありましたね、オレは触りませんでしたけど」

 

「それを6速から3速に入れてさ」

 

「何で!?そんな事したら急にエンジンブレイクがかかって大変な事になりますよ!?」

 

「男は、いやWODOGO(漢)は・・・時にドリームカラーを追い求めてしまうものさ」

 

「そんな、ハードラックとダンスしちまったみたいに言って誤魔化さないでくださいよ!」

 

「<↑←↑>」

 

「何ですか・・・手旗サイン?・・・上左上???」

 

「だからお前は阿呆なのだぁ!」

 

文縁は独特な構えを取り左手の甲で武を叩いた

 

「理不尽だろ!!明らかに関係ない台詞だってどく「お前達は何を遊んでいる!」・・・姉さん」

 

普段着ている軍の正装ではなく動きやすい赤茶色の軍服を着たモニクが二人に近づく

 

「お前達は目を離すとスグに・・・」

 

「「いや、これは・・・武(文縁さん)が悪い!ってマネすんな(しないでください)!」」

 

「仲の良い事だな・・・でその撃震(ポンコツ)の修理状況は?」

 

「そう怒りなさんな、皺がふ<ギロ>・・・失礼しました・・・失った右腕を大破した帝国軍の撃震を利用、修復し、問題なく活動可能です」

 

モニクに睨まれた文縁は綺麗な敬礼をしながら、

スラスラと撃震のコンディションを説明する

 

「・・・そう、では予定通り、タケル、オリヴァーと私で先に九州に入り帝国軍の殲滅作戦に参加、傭兵・・・ロンズ隊長はギャンの整備があるため後から来るわ」

 

「・・・俺は?」

 

「黒藤少尉は今日か明日届く新兵器に搭乗することになっている」

 

その言葉に文縁の目を大きく開く

 

「新・兵・機!キターーーーー!俺の時代が来た!着た!もうー(中略)-これで勝つる!」

 

「モニク姉さん新兵器って・・・?」

 

「黒藤少尉は新兵器が気になるみたいだな、なら態々楽しみを壊す事も無かろう、明日の楽しみと言う事で詳しい事を話すのは止めておこう」

 

「はぁ・・・」

 

「フフフ・・・メタルジェ(略)・・・俺にも戦術機がくるか・・・ホバートラックアッシー(運転手)の時代は終った!」

 

「・・・タケル・・・昼までには出撃するぞ」

 

「・・・了解」

 

一人テンションを上げる文縁を横目に二人は出撃準備にかかる。

 

・・・

 

「・・・光州作戦・・・明星作戦の帳尻合わせがここで来る・・・これだけで済んでくれれば良いんだがな・・・」

 

一人佇む文縁は誰に聞かれる事なくそう呟いた

 

○○○○●

0913

 

<数十分後>

 

ホバートラック内

 

「じゃ、ブリーフィング始めんぞ「文縁さん押さないでください、狭いんだから「無理ゆうな」」小僧、ヒゲ、うっさいぞ、それとヒゲ、何食ったんだ?臭いぞ?」

 

「魚介類ですよ。八幡浜市は漁業が盛ん“でした”から」

 

「人がレーションの糞不味いスープ食ってるのによぉ・・・何所で見つけてくるんだ?・・・兎も角状況説明、嬢ちゃん!」

 

「・・・現在、帝国軍陸軍第8及び11旅団は九州南方より進軍中。四国と比べBETAの数が多く、現在帝国軍は九州中央、阿蘇山付近まで展開。そろそろ阿蘇山を確保する所だろう。山口県を確保した第12旅団もこれより九州に入る。作戦目標は佐世保市となっている」

 

「ヒゲ、佐世保には何がある?」

 

「花の名を持つ宇宙戦か・・・じゃなくて、帝国軍と国連軍共同で使われていた基地がある。高性能コンピューターと機械がうじゃうじゃあるから、今じゃBETAホイホイになってるだろうな。まぁ、取りかえす事によって後々にある朝鮮半島ハイヴ攻略を視野に入れてんじゃないか?」

 

「佐世保ってのはアッチ方面か?」

 

ケニーは北北西を指す

 

「まぁ、アバウトではそうだな」

 

「んんん」

 

腕を組み唸るケニー

 

「!!何がんん「いや、何か感覚的に良い気配がしない」て人の台詞を・・・」

 

「言われてみればオレもザラつく感じがしますね」

 

「タケルと傭兵がそう言うなら気をつけた方が良さそうね」

 

「あんたらニュータイプかよ」

 

「確証はありませんが可能性はありますね。それにしても良く知ってますね文縁少尉、香月博士から聞いたんですか?」

 

「・・・」

 

オリヴァーの問いに黙る文縁

 

「・・・ブリーフィングの続きだ」

 

「知っている通り帝国陸軍第13旅団は全滅的被害を被り、再編成が必要となる。斥候は出すみたいだが、小数だろう。第8,11,12旅団は予定通り佐世保に進軍。今日中には行動を開始するだろう。何を焦っているのか知らんが迷惑極まりない・・・ともかく、それに伴い私達も行動を開始する必要がある。整備と新兵器を待って、害虫(BETA)を皆殺しにされたら実戦試験のデータが手に入らないからな」

 

「そう言うこった、出遅れてデータ収集できなきゃ本末転倒だ。という事で小僧、技術屋と嬢ちゃんは先に九州に入り、西に進軍、佐世保に向かってくれ。まぁ、目的地に着く前に帝国軍とは合流出来るはずだ。俺達は新兵器の授与と整備が完了次第後を追う。技術屋!整備状況は?」

 

「09(ドム)は遠中距離支援ばかりだったので、3機の中では一番状況が良いです。逆に15(ギャン)とF4-JT(撃震T型)両機共に関節部分の疲労が激しく。F4-JTの方はパーツ等は文縁少尉が帝国軍と交渉し入手してくれたので整備は終わりましたが15はパーツ待ちです。F4-JTは失った右腕を帝国軍の撃震から取り修復、ガドリングの付いている左腕とウェイトバランスを取るため右腕には盾を固定しました。ホバートラックはほぼ損傷無し」

 

「最後の爆発を抜くと、傭兵が一番撃墜数が多いのか?」

 

「そうだね、四国殲滅戦ではロンズ隊長が約7500匹、ノーススターの一撃を抜いた場合タケル君が5000強。これだけ戦って、まだ整備すれば機体が動かせるんですから二人共流石としかいえませんね・・・まぁ、横浜基地に戻ったらオーバーホールでしょうけど」

 

「どっちが化け物(ばけもん)か分かんねぇな」

 

文縁は只々二人の戦績を聞いて唖然とする

 

「TSFでこれだけ戦えるのはビダーシュタット少尉とヒーリィ中尉に感謝っすね」

 

「・・・ああ、あの二人ね・・・タケルを徹夜で鍛えた・・・」

 

モニクは懐かしみようにしみじみと語る

 

「さて、じゃフォーメション確認すんぞ・・・三機は線状に並ぶ、トップが嬢ちゃん、センターが技術屋、バックが小僧だ」

 

「・・・グラサン・・・何故ホバートラックをセンターに持ってきて、ストームバンガード(突撃前衛)の武を後方に置く・・・?」

 

「いや・・・説明し難いな、漠然とした感じで」

 

「勘か?」

 

「勘だな・・・まぁ、小僧の方が技術高い、故に援護しやすい。それに何気に嬢ちゃんは格闘戦の方が得意っぽいしな」

 

「傭兵、お前の前では格闘戦をやった覚えがないんだが・・・」

 

「年の功って事で、俺も一応隊長だしな、それくらいは把握しているさ。でだ、俺達が合流したら、元のツートップのフォーメーションに戻す。ヒゲのポジションは新兵器しだいだな。合流までの指揮は小僧がしろ、一応副隊長だろ。・・・では0945に作戦開始だ」

 

「「「「了解」」」」

 

○○○○●

 

同刻、九州、阿蘇山

 

<ドーーーーーーーン>

 

200mを超える大砲が火を噴き、その弾道上に居たBETAは一瞬にして吹き飛ばされ、挽き肉だけが残る

 

「何たる脆弱なるモノ達だ!!」

 

金髪、細身の日本帝国陸軍技術廠・帝国軍第弐開発局、局長沙梁(さはり)技術准将は吹き飛ばされるBETAを見、歓喜した。彼は超大型移動砲台『大蛇(オロチ)』を作り続けていた。長年彼を悩ませ続けた技術的難題は春戸と呼ばれる者の技術提供により解決。

 

「これで再び我が沙梁家は斯衛に舞い戻る事が出来る」

 

沙梁家は過去斯衛の赤を着る名家であったが、先代の失敗により没落した。

 

「ククク、中々の威力、こちらとしては技術を提供したかいがある」

 

茶色いトレンチコートを着、見える範囲を包帯で隠した長身の男はそう答える

 

「春戸・・・貴殿があの技術を発見したのか?」

 

「いや・・・だが出所は言えんな」

 

「・・・戦果さえだせればな、出所など構わん」

 

「沙梁様!」

 

一人のモヒカンの様な奇抜な髪型をした中年男性が指揮車両に通信を入れる

 

「則守(そくもり)か、どうした?」

 

「士気は十分、頃合かと!」

 

「よし、一気に殲滅する・・・全軍に突撃命令を!」

 

「は!」

 

<ピピピ>

別の通信が割り込む

 

「・・・お兄様・・・」

 

そこには青緑がかった髪をした女性が画面に映る

 

「・・・お前か、どうだ・・・その機体は?」

 

「高機動試験型吹雪の運用は順調です」

 

「そうか、では引き続きデータの採取を行え」

 

「はい・・・」

 

沙梁准将は素早く通信を切る

 

「・・・クッ、失った栄光・・・再び手に入れさせていただく」

 

「ククク、面白いなお前達は、歪でありながら実に形に嵌っている・・・」

 

「何が言いたい春戸!」

 

「これは失言だったかな、ククク」

 

「ふん!お前は黙って我が沙梁家再興の生き証人となりたまえ」

 

「ククク(後は色々かぎ回っている犬と帝国軍の犬がどう動くかだな)」

 

○○○●●

九州北東部、別府湾→阿蘇山北西、酒呑童子山に向けて移動中

 

九州大分県万年山

同日11:38

 

「タンゴダウン!エリアクリア!」

 

武は120mmで突撃級と要撃級を落とし、弾を再装填する

 

「確認した、オリヴァー!」

 

「既に周囲をサーチしてます・・・反応無し、周囲にBETAはいません」

 

三人は一息入れ、状況確認をする

 

「このまま行けば酒呑童子山付近で第8,11旅団と合流できるわね」

 

「細かい詳細は分かりませんが、南南東に移動する部隊がいます、これが第8、11旅団でしょう、北北東にいるのが第12旅団、それと僕達を追うように数機来ていますが、これが第13旅団の斥候かと」

 

「・・・ん霧・・・?」

 

三機を取り囲むように白い煙が包む

 

「霧じゃない、後方の機体より来ます!」

 

<カッ!!!>

 

閃光が三機を包み、オリヴァーの叫びと共に一番後ろの武にロックオンの警告音が響く

 

警告音より一足早く武は回避行動に入っていた

 

「ちっ、悪意が来たか!」

 

空中に上がり、反転、スモークに向かって36mmを発射する。

36mmは何かに当り大爆発を起こす

 

「!!誘導兵器!!」

 

音を聞き、ミサイルだとあたりをつけるモニク

 

「・・・この時代にはまだある事を忘れていた、オリヴァー!」

 

「ミノフスキー粒子散布します!」

 

ホバートラックを中心に粒子が散布され、一定の濃度になった途端、警告音が止まる。

 

「敵は!?」

 

「一つは識別・・・TSF-TYPE94『不知火』が1機、所属識別不明!他に震動音があり数機存在すると思われますが、レーダーに反応なし、ステルスだと思われます!」

 

「ステルス戦闘機・・・戦術機・・・モニク姉さんオレが切り込みます!」

 

「しかし、この視界じゃ「敵の位置は分かります!」・・・そうかなら、頼む!オリヴァー索敵は頼んだわ、私もタケルの後ろに付き接近する!」

 

「了解」

 

「各自散開!」

 

視界が戻り始めたのを確認し、武が号令を出す

 

○○○●●

 

11:40・所属不明機

 

『Tango approaching, see it?』[ターゲットに接近中、見えるか?]

 

『In sight, just three? What kind’a joke is this?』[視認した、たった三機?どんな冗談だよ?]

 

『Shut your bloody mouth job is a job』[無駄口を叩くな仕事は仕事だ]

 

『Hey JAP! Are you ready? We are rush’n in Ooray?』[ヘイ、ジャップ!準備は良いか?俺達は攻撃を開始するぞ、オーライ?]

 

「・・・」

 

『Silence huh? Ladies lets get the party roll’n!』[ハッ、沈黙か?レディーズ(お前ら)パーティを始めんぞ!]

 

『Fire in the whole!』[閃光弾を飛ばすぞ!]

 

スモーク弾と同時閃光弾が放たれる

 

『Rock on baby!』[ロックしたぜ!]

 

『Smoke them!』[ぶっ放せ!]

 

ミサイルが放たれ・・・着弾しなかった

 

『What the hell!?』[何だ?]

 

『R U Serious!? Who the F!?k can shoot directly towards a missy』[マジかよ!?どんなフ○Xク野郎がミサイルを直で打ち落とせるんだよ!?]

 

『Go Second round!』[2発目を撃て!]

 

<ピピピピッ・・・>

 

ミサイルを構え、ロックオンを持つが、突然ロック不可の文字が画面に現れる

 

『Damn it! Can’t lock』[クソ!ロックできねぇ]

 

『Tango lost! No sign on rader!』[ターゲットロスト!レーダーに反応なし!]

 

『Wha!? Chaff?』[な!?チャフか?]

 

『Open Fire guy le…』[撃って出るぞ、お前ら行・・・]

 

<バラララララララ>

 

一機が通信を終える前にスモークを切り、36mmの嵐がUnkownを撃ち、破壊する

 

『Shit! Man Down! MAN DOWN!』[クソ!一人やられた!一人やられたぞ!]

 

『Tango Com’n!』[ターゲット来るぞ!]

 

スモークを抜け、飛行機雲を作りながら一機の撃震が突っ込んでくる。

 

<カカカカカン>

 

WS-16C突撃砲を構えその撃震に向かい撃つが、右腕の盾と回避行動により当たらない。

 

撃震はそのまま懐にまで飛び込み、赤い線を作り、敵の突撃砲ごと一刀両断にする。

手に接近戦武器しかもっていないのを見て、一機が飛び込むが、突如左腕から現れたガドリングガンをくらう

 

『Mayday Mayday Mayda』[メーデーメーデーメーデ]

 

また一機黒煙を上げ爆発する

 

『What’s go’in on…』[何が起こっているんだ・・・]

 

唖然する一機の横を漆黒の不知火が通り過ぎる

 

『オ前ノチカラヲ見セテミロ白銀武』

 

○○●●●

第603技術試験隊白銀分隊

 

武は突如あらわれた不知火の一撃を退き、距離を保っていた

 

『タケル君大丈夫ですか?』

 

オリヴァーからの通信がはいる

 

「なんとか・・・オリヴァーさん何か分かりましたか?」

 

『敵機体を確認しましたが、照合結果ではF-117ナイトホークとあります』

 

その名前を聞き、武は数年前・・・元の世界でその名前を聞いた事を思い出す

 

「・・・初代ステルス・・・戦闘機・・・」

 

『その通りです』

 

『となると、私達を暗殺しにきたと見て良いみたいね、古い機体なら他の国でもつかっているでしょうし、特定は難しくなるはずだから・・・ともかく今、このゴミ虫を捻り潰す事が先決ね』

 

モニクがそう言い、一機をヒート・ソードで敵の装甲を容易く切り裂く。

 

「こっちはこの一機で手が一杯です・・・この不知火、プレッシャーは感じないが上手い!」

 

不知火は一太刀真正面に打つ、これを武は左への入り身(斜め移動)で避ける。

それを予想していたかのように、不知火が後ろ回し蹴りを放つ

右腕の盾で受け止め、左のガドリングを放つ武

 

再び最初の距離を二機はとった

 

「(旧型のOSであれほどの動きを不知火でやるのか・・・)」

 

ジリジリと移動し距離を保つ、二機の攻防を見て他の機体は援護が出来ないでいた。

 

『ソレ程ノチカラガ有リナガラ、何故祖国ノタメニ戦ワナイ!白銀武!』

 

突然の通信に驚く武。その通信の主は声を変えているようであり、酷く機械的な声であった。

 

「何だ、突然!アンタ達は何なんだ、何で俺達を狙う!?何故人間同士で戦おうとする!?」

 

『貴様ガソノチカラヲ己ガタメノミニ使イ自国ヲ、他ヲ踏ミニジルノナラバ俺ガ立チ向カウ!』

 

再び長刀を振り下ろす不知火、それを盾で受け流す武

 

「何を勝手な事を!俺は何時も皆の未来のために戦っている!アームガドリング!」

 

ヒートソードを振り、ノーモーションで36mmが火を噴く。

VCS(ヴォイスコマンドシステム)を使う事によりほぼラグなしに武器が操作できる、それ故に行える戦術である

 

放たれた36mmは不知火の右半身に被弾する

 

『チィィィ!当タリ所ガ悪イトコウイウモノカ!』

 

その台詞にハッとなる武

 

「あんた!もしかして」

 

言い終える前に再びスモークが発生し、上空に何かの信号弾が上がる

そして、再び閃光弾が武達の画面を焼く

 

『タケル君!敵が撤退を開始しました!』

 

「確認した!やってみる!」

 

背中に背負った突撃砲を再び装備し、左腕のガドリングを起動させる

武は勘を頼りに撃ち始める

 

<―――^v―――>

 

「そこ!」

 

遠方で爆発音がし、それと同時に武達の前方にミサイルが当り土煙を巻き上げる

 

「ロック無視で撃って来たか・・・」

 

『敵振動音射程範囲を出ます、中々の逃走能力です』

 

『しょうがないわね、対戦術機戦は完全に想定外よ、良いデータは取れたけど・・・いや』

 

モニクはドムが持つ対装甲に適したヒート・ソードに目をやる

 

『これも想定内なのかもしれないわね・・・』

 

「オリヴァーさん、敵機回収して、先生に連絡を入れて、詳細を報告してください、周りの帝国軍にも・・・今の奴ら捕まる気はしないですけど何もしないよりマシです。小休止の後は、このまま佐世保に向かいます」

 

『『了解』』

 

○○●●●

四国、愛媛県八幡浜市、陸軍第13旅団キャンプ横、

12:00

 

「おい、ヒゲ何時まで、そうやっている気だ」

 

文縁は地面で図に書いたようなorzのポーズをとっていた

 

「・・・殺したい、新型の戦術機が来るとはしゃいでいた過去の俺を殺したい、うあああああ」

 

ゴロゴロとのたうち回る文縁

 

「大丈夫ですか彼?」

 

ケニーの隣に立っていたロス少尉が聞く

 

「ああ、まぁ、アイツはほって置いて続けてくれ」

 

「はい、試作鳥兜(ギャン)の整備は完了しました、このまま試作新型兵器と共に九州に向かい、運用試験を行います。ウィリアムズ中尉、阿野本少尉と私はこのまま貴方がたと一緒に九州に向かいます。碓氷大尉は受け取った資料を持ち、横浜基地に戻ります。そして今日からロンズ少尉、両マイ少尉は中尉に昇進です、おめでとうございます」

 

「了解した。まぁ、今更中尉に上がってもな・・・お、大丈夫みたいだ、立ち直ったぞ」

 

文縁は立ち上がりヨロヨロとケニー達に近づき、近くにいた阿野本少尉の手を掴む

 

「へへへ、今時戦術機戦術機と騒ぐがな、戦車の時代はまだ終わっていない。こいつはどうだ?45口径、20インチ紀伊級砲を積んだ超弩級戦車、TSMT-05戦狼、別名ヒルドルブ・・・こいつがあればBETAの野郎どもに一泡吹かせられるぜ」

 

<シャカシャカ>

 

文縁はポッケから何か長方形の入れ物を出し、その中のタブレットを飲み込む

 

「ふ、フリスク(ミント)だ、兄ちゃん食べるか?」

 

「い、いえ結構です(誰か助けてください!)」

 

話をふられた阿野本少尉は驚きながらも拒否する

 

「・・・大丈夫ではなさそうですが・・・」

 

ロス少尉がそう心配そうにそうケニーに言う

 

ケニーの深い溜息は空に消え

 

大型の大砲は九州を静かに見つめた




ミノフスキー粒子散布装置――技術評価報告書

我が第603技術試験小隊はさる11月16日、四国九州大分県万年山に所属不明機の奇襲を受けし、これに応戦せし。所属不明機一機は不知火、その他はF-117ナイトホークと判明、何れも所属識別反応なし。この時、我々はスモーク弾及び閃光弾により視界を奪われた上で誘導弾(ミサイル)の攻撃を受ける。それに伴いミノフスキー粒子を散布せし。一定濃度に達した時、所属不明機はミサイル攻撃を止め、更には混乱したように見受ける。これによりミノフスキー粒子が対戦術機戦で有功だと証明せし。戦闘は白兵戦に移行せし。F4-JT撃震T型、及びMS-09F/TROPドム・トローペン(先行量産型)の威力抜群なり、敵を翻弄せし。両機の対戦術機能力も高いと思われる。尚、戦術機に対しヒート・ソードはBETA戦以上の戦果を上げる。我々は引き続き列島奪還作戦を続行、帝国軍と合流し、後に佐世保殲滅戦に参加、これら兵器の実用性検証と評価を続ける。
               ―西暦1999年、11月16日オリヴァー=マイ技術少尉
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