Muv-Luv IGLOO [M.L.I] 記録無き戦人達への鎮魂歌 (再投稿) 作:osias
マージャン分からない人達はノリを楽しんでください。
そして、本当の地獄の前に一休み一休み(作者にとっても)。
ここまで読んでくれている方々に感謝を!
11月17日10:00
国連軍管轄下佐世保基地
一日が経ち、佐世保市及び、佐世保基地周辺は完全に制圧された
そして戦人達は束の間の休息をとっていた
<パチン>
右の耳にイヤホンを入れた文縁がリズムを取るように指を鳴らす
「はぁ~、しかし本当に休みくれねぇなこの部隊は、今日だって新しい兵器の調整が済み次第別任務だろ?」
<カタ>
目の前に牌を置く文縁
「軍隊なんてもんはそんなもんだろうが?」
「そりゃ、そうだがよ、てか今度こそ戦術機だろうな。戦車も男の浪漫回路が高速回転するが、やっぱ人型に乗りたいじゃん?」
「人型らしいぞ新しい兵器」
<カタ>
文縁に続き、牌をとってから、別の牌を置くケニー
「あ、その“發”ポンだわ」
「また、ですか・・・」
オリヴァーが呆れる
「げ、マジか!?」
そして武が焦りを見せる
そう、彼ら、603技術試験部隊の男衆は空いた時間で青空の下、
・・・・麻雀をしていた
4人は各々違った迷彩色の軍服を着、左腕にはAlternativeIVと書かれたバッジを着け、右腕には603rd Technical Evaluation Unit “Witch’s Pot”と書かれたコンバットバッジが光っている
「貴方達は何をしているのよ・・・」
そこにモニクが霞を連れて現れる
「麻雀という中国発祥のゲームです。ルールは日本式のを採用していますがね」
オリヴァーがそうモニクに説明する
「何か賭けているのか?」
「そ、それは・・・」
「ほぅ、私に言えない事か?」
言葉に詰ったオリヴァーをモニクが睨む。この夫婦間での力関係を垣間見る面々
「・・・コールネームの統一をすべく、そのネーム・・・「それと?」・・・給料です・・・」
「そう・・・傭兵!」
「お、おぅ。何だじょ「ルールブックは?」・・・
・・・そこに置いてあるぞ、たまに点数計算で必要だからな」
「借りるぞ・・・」
「「「は?」」」
モニクの意図が分からず聞き返す、武、ケニーと文縁
「・・・いいな?」
「「「「イエスマム!」」」」
男4人は敬礼する。その光景にどうするべきかオドオドする霞。
「・・・あー霞もこっち来いよ。ルール知らずに見て面白いか分からないけど」
「(コク)」
武の誘いに頷き、武が引っ張った丸椅子に座る霞
<パチンパチンパチンパチン>
「いやーノッて、来たねぇー」
更に素早く指を鳴らし、場を誤魔化そうとする文縁
「・・・しかし、今回も結構被害出たな・・・まぁ全てが司令官のせいではないにしろ、酷いもんだな・・・」
ケニーは七筒を切る
「司令官のせいでしょ完全に、どんな状況でも的確な指示をだす。奇襲されたから壊滅しました何て言い訳が通るわけないでしょ。今回も、前回も、司令官は完全に無能のクズね」
足を組み、本を読んでいるモニクはそう辛辣な事を言う
「しかし、それでも旅団一つで師団クラスのBETAを相手にできたのは、一重にあの大型移動砲台『大蛇』と正確な艦砲射撃指示と情報のおかげでしょう・・・我々の時もそれほどの支持(サポート)があれば・・・ヨルムンガンドも・・・」
武の記憶ではBETA新潟上陸にて、BETA旅団規模の奇襲により、帝国本土防衛軍の1個師団が壊滅した。それを考えれば今作戦においての帝国軍新兵器の有用性が伺える。そしてそれ以上に八幡浜市殲滅戦及び佐世保市制圧戦がいかに危険であったかが分かる。帝国軍一個旅団で両戦闘共にBETA数個師団を相手どった。これはBETAとの戦争始まって以来の快挙であると軍上層部は歓喜し大声を張り上げるであろう・・・
「あの砲台とヒゲが乗った戦車、それに新型の支援兵器が無かったらと思うとぞっとするな、俺達が殲滅されていてもおかしくなかった」
それでも、帝国軍第八旅団は5割の被害を被り、壊滅となった
「オレ達がもっと上手く立ち回れたら、被害はもっと抑えられたんだろうか・・・」
武はそう静かに呟く
「先、報告が入りましたが、今回ロンズ中・・・いえ今日付けで大尉でしたね。ロンズ大尉達と一緒に救援に来た天田少尉は先の戦闘で足をやられ。命に別状はないですが、重体だそうです・・・今後戦術機に乗れるかは分からないそうです・・・」
オリヴァーは言い難そうに天田少尉の状況を報告する。
「(・・・足・・・戦術機に乗れない程の怪我・・・あの靄・・・涼宮さん・・・因果・・・)」
武は何か、引っかかって、思考の海を泳ぐ。
「余り辛気臭い話すんの止めようぜ、おい武!」
文縁が空気をかえる様に叫ぶ
「タケル君、番ですよ」
「早くしろ小僧!」
「は、はい」
タケルは牌を拾う
「(一萬か・・・別にいらないけど・・・<―^v―>別の捨てるか・・・)」
タケルは余っていた東牌を捨てる
「(・・・)」
霞は静かに場を眺める
<パチンパチンパチン>
「いけ好かねぇ上官しかいねぇのかねぇ、軍ていうのは?暴走するわ、味方見捨てるわ、ここ最近の戦闘、禄な奴がいねぇ・・・603に入ってから本当に禄なことがねぇ、態々夕呼から距離とってたのも裏目ったし・・・」
はぁーーと深いため息を吐く文縁。
「おい、ヒゲそれは俺に対するあてつけか?」
「ポン、確かにアンタも上官になるが、別にお前の事を指しているわけじゃねぇよ。てかさ、俺達同時期に少尉で始まったのに何でグラサンとマイ夫妻が大尉で俺と武が中尉なわけ?」
文縁はケニーの捨てた一索を拾い、二索を捨てる
「知らんな。実際俺の大尉は隊長としてだろ、技術屋のは技術大尉、嬢ちゃんのも文官としての大尉だろ。武官としての大尉とは扱いが違う。後は他の仕事での功績じゃないのか?二人とも技術提供と外交、内政関係で功を上げてるからな、何気なく。そんな事いったら小僧の方が功績多いんだから、お前が中尉に上がるのが不当だろう。まぁどうちらにしてもこの昇進速度は異常だがな」
「クッ」
文縁はケニーの正論に黙る
「おっとグーの音も出ないくらいに凹ました感」
「何であんたがその台詞を知っている!てか実際に言われるといらつくな!!」
髪の毛を掻き毟る文縁
「何言ってんだヒゲ?それとあまり頭皮に刺激与えすぎると禿るぞ?」
「てか、文縁さん出番ですよ!」
武が文縁とケニーの口論に割ってはいる
「え、もう周ったのかよ早えぇよ!」
<パチンパチン>
「いいよ!もう俺は何も言わん!大尉良かったじゃないか、このミラーグラス大尉!」
「どんな返しだよ・・・」
ケニーのミラーグラスが光る
<カタ>
「ポン!」
文縁は再びケニーが捨てた牌、一筒を鳴く
「文縁さん、鳴き過ぎですよ、この半荘(ハンチャン)始まってからずーと鳴いてるじゃないですか」
「鳴けるから鳴いているだけだよ。お前だって始まってから2万5000(点)から変動してねぇじゃねぇか」
オリヴァーに順が周り、牌を切る
「悪いな、オーリィーその一萬、高目でロンだわ」
一筒x3、一索x3、發x3、南x2、一萬x2+一萬x1(ロン)
「対々(トイトイ)、三色同碰(サンショクドウポン)、混老(ホンロウ)、發、跳満(はねまん)、1万2000(点)」
「な・・・」
オリヴァー12800→800
「オーリィ、しぶといな」
「雀士の力量差を運がどこまで埋めてくれるのか・・・!」
前のめりになり力強くそう放つオリヴァー、それは過去の戦いを思い出させるほどの血気迫るものである。
「・・・ハッ、オーリィー世の中、運じゃどうにもならねぇ事もあんよ?」
挑発するように言う文縁
この時点でトップが文縁、2位にケニー、3位武、4位オリヴァーとなっていた
そして武の親であり、オーラス(最終局)である
「小僧、流石NTだ・・・その勘の良さは立派だ。全く振り込んでいない。だが勘の良さが命取りだな。臆病過ぎは勝ちを逃す、心に弱さを持っている内は危険だ」
ケニーはニヤリと武を笑うようにそう言い放つ
牌が配り終わり、皆が牌を整理していく
南4局オーラス、ドラ四萬
その際、武がニヤリと笑みを浮かべる
「おい、武、番だぞ、早く捨てろよ」
「・・・やっと風が吹き始めた・・・ダブリーだ!」
タケルは千点棒を乱暴に卓に投げ捨てる
「ダブル・・・リーチ・・・」
息を呑むオリヴァー
<パチンパチンパチンパチン>
「・・・急に来るね~・・・だがな・・・勝負はこれからだぜ」
牌を拾う文縁
その後、早い聴牌、そしてダブルリーチも虚しく、武は上がれずにいた
文縁は先の局と変わらずに鳴き続ける
そして運命の第6順目ケニー
「フッ・・・小僧、勇敢さの取り違いが隙を作る、勝負を焦るとどうなるか教えてやる・・・オープンリーチ」
三、六、九萬の三面待ちを開く
「なん・・・だと・・・?」
ケニーの手に武は息を呑む
「多面待ちのプンリーか・・・グラサン勝負に出たな・・・」
「しかし、タケル君は振り込んでも唯の2役・・・役満にはなりません」
「そうだな・・・もしかしたら一発があるかもしれんぞ」
牌を捨てるロンズ
「そうですね」
牌を拾い、手堅く安牌を捨てるオリヴァー
「・・・大丈夫・・・か・・・」
続いて牌をすてる武
「怖い怖い」
そういい裸単騎(一枚のみ)の文縁は牌を捨てる
そしてケニー
「一発・・・!!」
牌を拾い・・・そのまま捨てる
その瞬間安堵がオリヴァーと武を包む
「そう上手く行かんか・・・が、そのための保険だしな・・・」
・・・そして第11順目
「(この空気・・・耐えられない、早く来てくれオレの牌!)こいつで!」
牌を拾う武・・・
<――――^v――――>
その時武に電流走る!
「どうした武?あがっていないなら捨てろよ」
文縁が武を急かす
その一手に賭けた武、上がれば親続行、そして勝ちの可能性を残す
<が・・・>
「・・・お互い嘘か真か勘が鋭い者(ニュータイプ)同士だ・・・ククク、分かってしまうと言うのは時に辛いものだな・・・そして分かっていても回避出来ない事がある・・・」
武の手から牌が零れる
<駄目!>
それは・・・九萬
「クク、では失礼して・・・ロンだ・・・」
一萬x2、二萬x2、三萬x3、四萬x3、五~八萬x1+九萬(ロン)
「清一(チンイツ)、一貫(イッツー)、一盃(イーペイ)、平和(ピンフ)、プンリー、ドラ1、丁度・・・13役・・・数え役満、3万2000点だ」
マッチを打ちタバコに火を着けるケニー
そして武は力なくうな垂れる
「おぃ、武、絶望するのは早いぜ。頭跳ねはないからな、俺もロンでダブ(ル)ロンだわ」
南x3、白x3、中x3、六萬x3、九萬x1+九萬(ロン)
「混一(ホンイツ)、対々(トイトイ)、ダブル南、白、中(チュン)、倍満、1万6000だな」
<ぐにゃぁ~>
武の世界が崩れる
「これでトップは俺って事でコールネームはエインフェリアで決定な!いやー武の半月分の給料&オーリィーの1週間分はスタッフが美味しくゴチんなりやす!」
ニヤニヤとドヤ顔で二人を見下す文縁
「少年、技術屋。勝負の世界というのはそういう物だ・・・じゃ、払う物払ってもら「待ちなさい!」・・・なんだ嬢ちゃん、コールネームの事が不服か?嬢ちゃんと・・・ウサっ子も抜きで決めちまったが」
そう言いケニーは煙を中に吹かす
「いや、それは構わないわ・・・だけど、自分の旦那と弟分が給料を盗られる所をただ黙ってみている分けにも行くまい」
「しかしこの勝負既に付いているぞ、それにもう半荘やる時間もない」
「ならこのまま西入して西風戦をやりましょう」
「「!!」」
「点数持ち越しと言う事か?」
ケニーはタバコの灰を落としながらモニクに話す
「そうよ、私と社が入って、社の点数は2万5000にして、その分も差し引いてマイナスの全ては私が持つわ」
「な・・・マイナス4万3200点から始めるって事か・・・奥さん俺達を馬鹿にしてないか、そんなの西風戦、一戦で引っくり返せるわけがない!」
「そうかも知れないし、そうじゃないかも知れない。素人の私と社、そして点数と一戦のみというアドバンテージ・・・」
「だからと言ってだな奥さん・・・「倍プッシュよ」・・・賭ける金倍にする気か!」
「まさか断ったりはしないわよね?」
モニクは立ち上がり霞に近づき、何か耳打ちする
その後、席に座る
「・・・霞、いいのか?」
武は隣に静かに座る霞に問いかける
「(コク)」
霞は静かに頷く
その目には闘志のようなものが窺える
<スゥーーーハァーーーー>
大きくタバコを吸い、吐き出すケニー
煙は卓に辺り、卓から零れ落ちる
「いいだろ、かかって来な・・・ヒゲも良いな?」
「勝ったら少なくとも大尉2ヶ月分の給料か・・・遊んで暮らせるな<ジュル>・・・いいぜ」
涎を拭き勝負を買う文縁、
モニクはオリヴァーの席に座り、霞は武と交代する
「さて、じゃ始めましょうか、ルールの変更をしたいわ」
「なんだ?言ってみろ」
「傭兵か黒藤どちらかが箱下(マイナス)になった時点で終了、途中流局は親流れ、そしてローカルルール有りで打ちましょう」
「ハッ、更に自分に不利な状況を作るか、舐められたもんだぜ、いいぜ。いいなヒゲ?」
親が速く流れると言うことはそれだけ勝負が早く終わってしまうという事、これはそれだけモニクの逆転のチャンスが少なくなるということである!
「俺も良いぜローカルルールはあった方が面白いしな」
西風戦第一局
一位黒藤文縁 60100(親・東風)
二位ケニー=ロンズ 58100(南風)
三位社霞 25000(北風)
四位モニク=マイ ―43200(西風)
文縁とモニクの差、約2倍!
無謀とも思われる一戦が始まる・・・
「・・・にしても、今日は“天気が良いな”」
「そうですね、たまにはユックリと太陽の下でこのような事をするのも良いでしょう」
オリヴァーが文縁の言葉に同意する
ケニー達は牌を洗牌(シーパイ)し、山を作ってく
各自壮絶な牌取合戦を行う
「あ・・・あ・・・」
ただ一人、霞は四苦八苦していた
「霞・・・オレがやるよ」
武が変わりに山を作る
「少年・・・積んでいないだろうな?」
「その言葉、ロンズさんにそのままお返しします」
「へっ、親はヒゲからだな、とっとと(サイコロを)振れ」
「急かすなよ」
文縁は人差し指と中指を曲げサイコロを二つ取る
そして振るう
目はぞろ目の1
「・・・(嬢ちゃんとウサっ子に邪魔されて『ニノニ』は出来なかったが、配牌は悪くないはずだ)・・・」
ケニーは無言で端の牌四つを分ける。『二ノ二』、それは予め牌を予定の場所に入れ、『ツバメ返し』という技で入れ替えを行い、一気に勝負を終わらせる、『イカサマ』!!
<パチンパチンパチン>
「にしても・・・奥さん、そんな短時間で読んだだけで大丈夫か?てか社ちゃんも打てるのか麻雀?」
「・・・大丈夫です・・・」
「ふん、見くびってもらっては困るな」
「嬢ちゃん番だぞ。間違って王牌(ワンパイ)から取るなよ?」
「わかっている!」
牌を拾い、二索を捨てるモニク
「ポンだわ」
「あ・・・」
悲しそうに霞は手牌を見る
「そういう事もあるよ、霞・・・(しかし、霞の手は酷いな・・・・この局は捨てたほうが良さそうだな)」
武は励ますように霞の頭に手を置く
「・・・はい・・・」
顔を赤くし、頷く霞
<パチンパチンパチンパチン>
「さっさと、もげろ・・・」
文縁の指パッチンが加速する
「何ですか・・・」
「その嫉妬はないだろう、ペドか?」
モニクの毒が飛ぶ
「紳士と呼びたまえ!」
が、全くそれをものともしない(変態)紳士黒藤文縁
「真正の変態だな」
「失敬な!俺はウサギっ子のみならず、義姉義妹義母義娘双子未亡人先輩後輩同級生女教師幼なじみお嬢様金髪黒髪茶髪銀髪ロングヘアセミロングショートヘアボブ縦ロールストレートツインテールポニーテールお下げ三つ編み二つ縛りウェーブくせっ毛アホ毛セーラーブレザー体操服柔道着弓道着保母さん看護婦さんメイドさん婦警さん巫女さんシスターさん軍人さん秘書さんロリショタツンデレチアガールスチュワーデスウェイトレス白ゴス黒ゴスチャイナドレス病弱アルビノ電波系妄想癖二重人格女王様お姫様ニーソックスガーターベルト男装の麗人メガネ目隠し眼帯包帯スクール水着ワンピース水着ビキニ水着スリングショット水着バカ水着人外幽霊獣耳娘まであらゆる女性を迎え入れる包容力を持っているんだが?」
武、ケニー、モニク、そしてオリヴァーまでもが深い溜息を吐く
霞は一人分けがわからずにいた
そして静かに牌を捨てる
「分かった?社。こういう大人が半径15m以内に入ってきたら射殺しろ」
<パチン!>
「笑止!この俺をそんじょそこらの変態と一緒にしてもらっては困る!YESロリータ!NOタッチ!は紳士三原則だ!」
「そんな大人は修正してやる!」
武は大振りのパンチを文縁に食らわすが
「これが・・・若さか・・・」
ビクともせず堂々と受ける文縁
「ヒゲ・・・他の二つは何な「貧乳は希少価値!諫め、虐待、罵りは我らが業界ではご褒美です!」・・・腐ってやがる・・・修正が遅すぎたんだ・・・」
「て!今自分で変態なの認めましたよね!?」
武の鋭いツッコミが炸裂する
「さて、何の事かな?・・・グラサン、それポンだわ」
文縁はケニーが捨てた白牌を鳴く、この時点で文縁は一向聴(イーシャンテン)となる
「フフン、この局もいただきだな」
「そうかしら・・・」
モニクは自分の顔を隠すように片手に千点棒を掴む
「何が言いたい?」
「この国風に言えば・・・ホトトギスは鳴かされている事も気づかずに鳴いている・・・て所かしらね・・・リーチ」
「(早いな・・・ウサっ子の手に聴牌の雰囲気はない・・・が嬢ちゃんの手が早いのは、『ニノニ』の失敗が響いたか・・・)」
順は文縁に周り、手が進む。
これにより文縁、聴牌(テンパイ)
彼はモニクに一瞬目をやるとニヤリと笑う
「(ヒゲの待ち牌は最初のアレだろうが・・・生憎持ち合わせはない・・。振り込んででもヒゲに親を維持させるべきなのだろうが・・・自分の山を把握し、ああ笑っているわけだから・・・大丈夫だろう)」
ケニーは安牌を切る
そして、モニク
山に手を伸ばすモニクを見て、何かを確信したように文縁は再びニヤリと笑う
だが
彼女は牌を取った瞬間、それを裏返し親指で空中に弾く!
自然落下する牌を指で更に加速させ、卓上に叩き付ける
<ドン!>
その音と行動に一同驚愕し、固まる。
それはその場だけ衝撃波が出たような気さえする、そんな力強い叩き付けであった。
霞は目を丸くする
「・・・リーチ、一発、ツモ・・・のみ」
指は退けられ、そこには三萬が現れる
そしてモニクはそのまま、自分の牌を倒していく
「・・・1000、2000よ」
「あぁぁぁ、姉さん、客風牌(おたかぜ)だけどもう少し待って、萬子で揃えれば混一色(ホンイーソー)狙えて、満貫以上いったのにな」
悔しがる武、だが、この時、ケニー、文縁両名は背中に冷たい物を感じていた
「どうした?二人ともたったの1000、2000。青い顔をする程のものじゃないでしょ?」
<ゴクリ>
唾を飲み込む文縁
「・・・」
この時、文縁の上がり牌は
・・・三萬
「・・・(ヒゲはあの三萬が切られると思っていた・・・だが、嬢ちゃんの手札は三萬、頭待ち以外は字牌と筒子・・・少年の言うとおり容易く混一(ホンイツ)を狙えたのに、そうしなかった・・・役を知らないという線もあるが・・・流れを持っていかれるわけにもいかねぇし、仕掛けるか!)」
点棒の交換が住み、親はケニーへと流れる
セイコロの目は2・3の5
配付はケニーの山から始まる
「(手は悪くない・・・さて、確認のために么九牌(1・9・字牌)を多めに嬢ちゃんの所に送ったが・・・どう出る?役を全て把握しているなら混老(ホンロウ)、国士を狙う、もしくは九種九牌で場を流すが・・・)」
牌がきられる
そしてモニク
牌を拾いそのまま、切る
「(役牌の東牌・・・矢張り素人か?勘繰りし過ぎたのかも知れんな)」
霞の番
「カンです・・・」
西四枚の暗カン
「(国士無双は無くなったか・・・)」
そして、順は巡り、文縁
<パチンパチンパチンパチン>
「早めに勝負を終わらせて、飯食いに行きたいな」
そう言い、山に手を伸ばす文縁
「黒藤・・・牌を拾うのに、手に牌を持つ必要はあるまい?」
<ピクリ>
伸ばした手を宙で止める・・・
その掌には牌が一枚、収められていた
「ははは、捨て牌と拾うの同時に考えてたらこうなっちまった、ははは」
そう笑いながら牌を手札に戻し、再び山に手を伸ばす
この時、文縁が行おうとしたのは、手業芸の一つ、すり替え・・・
それは予め掌に収めた一枚を拾う時にすり替える、それにより邪魔な一枚を交換、手を加速させる初歩的不正行為
「それにそんな事をせずとも“八萬”が欲しいなら、言ってくれ。まぁ、生憎今は無いがな」
「・・・誰か呼んでる、気がする~来てよ八~萬~僕の所へ~♪」
歌って誤魔化してはいるものの、内心焦っていた
「どうして分かった・・・?」
ケニーがモニクに問いかける
<パチン>
モニクは指を鳴らす
「字牌」
<パチンパチン>
「筒子」
<パチンパチンパチン>
「索子」
<パチンパチンパチンパチン>
「最後に萬子・・・その後に続く言葉の最初の一文字で1~9又は字牌の何かを決める。この場合“さ”・・・三の萬子ね」
「な、じゃ、今までロンズさんと文縁さんは!」
「そう・・・イカサマね」
すり替え、積み込みだけではなく
通し、ローズと呼ばれる隠語を使い、ケニーと文縁はコンビ打ちをしていた
「これは・・・勝負の外道じゃないか!」
「何を勘違いしている、技術屋・・・勝負の世界に綺麗も汚いもありはしない。それに俺達が今までイカサマをしていた証明はない。“仮に”やっていたとする、その場合お前達は気づかなかった事になる・・・バレなきゃイカサマじゃねぇ」
ケニーは二本目のタバコを吹かし、空中に煙を吐く
強がっている物の、実際はここから先、小技が使えないという事である
「(ヒゲの手牌は聴牌の兆しはある、後の二人は手が悪そうだな。最悪聴牌まで持っていければ俺の親は流れるが、まぁ点数は貰えるな)」
・・・
そして、元々の積み込みにより荒れた手配は何の進展も見せず流局へと繋がる
「よし、聴牌だ!」
「同じく聴牌だ」
文縁、ケニー両名は牌を倒し聴牌を宣言する
「・・・何もありません・・・」
霞は不聴(ノーテン)
同じくモニクも無言で牌を裏に倒し、不聴を表示
「嬢ちゃんとウサっ子は1500の罰符だな」
一本場を示す、100点棒を取り出すケニー
「何を勘違いしている?」
赤い髪を顔の前から払いのけるモニク
「とっとと、2000、4000払いなさい」
モニクの前には綺麗に么九牌17枚が並ぶ・・・これにより
「流し満貫・・・」
が成立する
「傭兵、タバコが消えているぞ」
ケニーのタバコはギリギリまで吸われ、消えていた
そして親はモニクとなり
流れは変わる
モニクは止まらぬ早上がりを見せる
「・・・こちらの手を悉く潰してくれるな」
怒涛の巻き返しを見せるモニク
この時点、4人の点数は
一位、文縁32100
同位、ケニー32100
三位、霞18600
四位、モニク17200
モニク自身怪しい動きを見せるも、
ケニー達にはそれは指摘し辛かった
そして6本場(モニクが連続で上がっている)も中盤に差し掛かっていた
「まさか、あのマイナスを引っくり返されるとはな・・・奥さんやるね~」
文縁の手札は・・・悪い
「ここでその勢い、止めさせてもらう」
ケニーの手も同じく、けして良いものとは言えなかった
「その方が良かろう」
二人の言葉に同意するモニク
「なんだと?」
「貴様らは何か、重要な事を忘れていないか?私は“ローカルルール”有りと言ったんだぞ?」
「知っているよ、奥さん、だってまだ6本場だろ?」
「・・・ヒゲ、迂闊過ぎた・・・6本だが・・・嬢ちゃんの上がった回数は7回・・・」
<ざわ・・・ざわ・・・>
モニクが牌を拾う
「気づくのが遅かったわね・・・リーチ、ツモ、平和のみ・・・そして、これで8回目」
八連荘(ぱーれんちゃん)・・・
ローカルルールの枠を出ない、特殊な役満、それは一人が連続で8回上がる事で成立する
「1万6000オールよ」
ここでモニク、逆転!
一位モニク 65200
二位文縁 16100
同位ケニー 16100
四位霞 2600
西風戦7本場、親・モニク
「ちっ、これ以上やらせるか、まだ反撃の目はある!」
文縁が叫ぶ
各自理牌(牌を整頓)させ
「弱い犬ほど・・・」
「何!」
文縁はモニクを睨む
彼女は視線を無視し牌を置く
そして霞の番
「・・・」
「どうしたウサっ子?」
「・・・何もありません・・・」
九種九牌・・・場は流れる
最初の決め付け通り、モニクの親は流れ、霞のオーラス(ラス親)
「「クッ・・・」」
反撃のチャンスが少なくなり、厳しい顔をする男二人
ここに来て最初の取り決めが彼らを苦しめる。
再度、洗牌が行われる
「貴様らの敗因は・・・そうだなこの遊戯に的に言えば天地人と言った所だろう。人、確かに技術は貴様らのが上だろう、そしてこの遊戯を選んだ時点で地の利は貴様らが持っていた。だが、所詮、天も地も小手先の技術で作り上げた幻。一度崩せば脆いもの」
再び理牌が行われる
「もう、勝ったつもりか?」
ケニーが口のタバコを吐き捨てる
モニクは一瞬何かを考えるような表情をし、そして口を開く
「・・・もう、勝っているわよ。真の天命には勝てないわ」
「どういう意味だ・・・」
沈黙が卓上を支配する
・・・
・・・
・・・
「社ちゃん、親だから何か切らないと、始まらないよ?」
「どうした、ウサっ子また九種九牌とか言うんじゃないだろうな?」
「(フルフル)」
首を振るい、否定する霞
「じゃ、なんだ?」
「・・・いらない子がいません・・・」
「霞・・・お前」
後ろで手(牌)を除いていた武は息を飲む
霞は一つ一つ牌を倒していく
「まさか・・・」
ケニーは睨む
「嘘だろ・・・」
文縁の心臓は素早く鼓動する
「・・・和了(ホーラ)です」
「天和・・・運が打ち手の技術を補った・・・」
オリヴァーはこの状況にそう呟く
1万6000点オールにて
一位霞 50600点
二位モニク 49200点
三位文縁 100点
同位ケニー 100点
男二人の顔に影が指す
「戦は止めを刺すまで油断しない事ね・・・」
静かに最終局は進む
「(おかしい、ウサっ子の天和はともかく、八連荘は出来過ぎだ、何故俺達の上がり牌が尽く抑えられている?)」
<――――^v―――――>
何かを感じ、ケニーは霞を見つめる
「気づくのが、遅かったわね・・・バレなきゃイカサマじゃないんでしょ?・・・ツモ、食いタン、300、500で仕舞いよ」
そのやり取りに一足遅く、文縁はカラクリに気づく、そして最初、モニクが霞に耳打ちしていたのを思い出す
「リーディング・・・そしてプロジェクションか・・・最初から俺達は掌の上という事か・・・」
西風戦、最終成績
一位 モニク=C=マイ 50200点
二位 社霞 50100点
最下位 黒藤文縁 -200点
同位 ケニー=ロンズ -200点
「603技術試験隊の皆さん、調整完了しました、作戦に移行できます」
ピアティフ中尉が報告をするため皆が休憩している部屋に入ってきた
ピアティフは項垂れるケニーと文縁を見て不思議そうに尋ねる
「何があったんですか?」
ピアティフは近くに立っていたオリヴァーに質問した
「僕は今日見た、奇跡を言葉にする術を知らない・・・」
西暦1999年11月17日昼の出来事であった
西暦1999年11月17日
奇跡とは常に日常にあるものなんですね。
-オリヴァー=マイ技術大尉