Muv-Luv IGLOO [M.L.I] 記録無き戦人達への鎮魂歌 (再投稿) 作:osias
第六話「洞窟に射す希望(ひかり)」
武は目を開き、脳を覚醒させる。
ここ数年ないくらいハッキリする思考。
「頭痛は・・・無いな・・・と、今回は俺の部屋からじゃないのか」
怪我などはないが武は全身に疲れを感じ、
自分がヅダ改のコクピット内にいるのを確認する。
武は“思い出していた”自分が誰で、何であるかを。
次に武は再び自分の身体を確認する。
そこには宇宙世紀に居た時と同じ20歳前後の鍛えられた身体があった。
そして、モノアイを起動させ周りを見渡した
「洞窟・・・いや・・・違うか・・・」
見覚えのある構造、生物によって掘られた、大きな空洞
自分がBETAのハイヴ内にいるのを理解する
しかし、視認できる範囲では全くBETAの気配がしない。
「ヅダは・・・レッドアラートの部位が64%、イエローが21%か、形が残っている大破だなこりゃ・・・」
未完全の整備で無茶をしたヅダ改の状態は芳しくなかった。
特に間接部位とスラスターは完全なオーバーホールが必要なくらい損傷していた。
そして武は起動停止している周りの三機を見渡す
「・・・オリヴァーさん、モニク姉さん、ロンズさん起きてください」
暫くして、オリヴァー達が起きる
「ん、タケルくん・・・僕達はどうなんたんだ」
「ここは、何処だ・・・私達は・・・」
「ん、何だ殆ど機体が動かねぇな」
予想はしていたが考えたくなかった結果に武は軽く頭を垂れて息を吐く
「巻き込んでしまったみたいですね・・・」
武は一拍起き、話始めた・・・
記憶が戻ったこと、自分が何であるか、
この西暦、世界の事、BETAのこと・・・
・・・
「少年、頭をおじさんに見せてみなさい、多分脳震盪とかそこらから来る混乱だろ」
ケニーは哀れむような目をし、武に語りかけた
「ロンズさん、信じられないと思いますけど・・・スグに分かると思います」
それを軽く流す武
「タケル君、君の話が本当だったら、これで君はこの世界に3回来た事になるんだよね?」
オリヴァーはヴァル・ラングのチェック及び、ギャンの応急整備をしながら話しかけた
「ええ、予想が正しければですけど、普通だったら俺は自宅で目を覚ます筈なんですけど」
「うーん、そして今回は別の場所、しかも僕達も巻き込まれていて、理由は不明と」
「すみません、俺はそこの所は専門じゃないんで、夕呼先生辺りに聞けば理由が分かるかも知れません」
「タケルが言っていたこっちの世界での協力者だったな?」
機体の損傷が少なかったモニクは既に状況確認の作業を終えていた
「はい、ただ、俺の事を現時点では知りませんから」
また、香月夕呼博士から信用を勝ち取る作業をしないと行けないと思うと憂鬱になる武であった。
「・・・取りあえず最初の内は適当に俺に合わせてください、その方が問題も少なくてすみますし」
「確かにタケルの説明が正しければ、ここは旧時代のしかも違う並行世界なんだろ、我がジオン公国軍もなければ連邦(モグラ)もいないならば、下手に話して狂人扱いされる必要もないだろう」
<ピピピ>
熱源レーダーに反応がする
整備が完了していないギャンを抜いた三機が銃を構える。
大空洞の先、小さな穴からMS(モビルスーツ)と同じサイズか若干大きめの黒い機体が現れた。
武は素早く全員に通信を送る
「ここじゃ、MSぽいのは基本味方です、銃を下げてください」
そう言われ、オリヴァーとモニクはロックを外し、モニクのドムはラケーテン・バズを下げる。
黒い帝国軍仕様の撃震は武達に近づき、通信を開く
『こちら日本帝国軍技術科第8調査隊所属、黒藤文縁(つづら=ぶんえん)少尉。貴殿らの所属を確認したい』
それに武は応答する
「こちら国連太平洋軍所属の白銀武中尉です、現在極秘任務中により詳しい所属は言えない、了承してくれ」
『了解した』
「それと、こちらのモニターが故障したんで、年月日、時間を教えてくれると助かる」
『1999年10月22日0836時だ』
「な!」
年を聞いて武は驚く
オリヴァーはジオンの秘密回線を開く
[タケル君、どうしたんだい?]
[いえ、“何時”もより2年早いんです]
[どういうことだい?]
[何時も、起きる時は西暦2001年の筈なんですが・・・]
[それも僕達のイレギュラーが関係しているのかも知れないよ]
『・・・し・・い・・・白銀中尉!』
「はい!」
『どうした?』
「いえ、思ったより時間が・・・早かったので驚いただけです」
『何の任務か知りませんが早く終わったなら良いのでは?』
「ええ、すみません、一つよろしいですか?」
『ああ』
「国連軍所属の香月夕呼博士に繋いで頂けますか、指示を得たいのですが、長距離通信もイカレているので」
『香月博士・・・ああ、“この横浜ハイヴ”に基地を建てろと言った博士か、お陰で俺達も今週いっぱいで調査できなくなるしな・・・なる程、君達はその人の部下か』
黒藤少尉は一人納得し、通信を行う
「(ここは横浜ハイヴか、なる程見た気がするわけだ・・・)ああ、それと多分知らないと惚けると思うので、そちらを通してこっちに通信まわしてください」
数分後、武のヅダ改に通信が入る、通信はオリヴァー達にも聞こえるように設定されていた。
『香月よ・・・アンタが白銀武中尉?アタシはアンタなんか知らないわよ?』
「またまた、香月夕呼(こうづき=ゆうこ)博士、第4計画直轄の俺達を忘れる筈がないじゃないですか、半導体150億個分の処理装置を手の平サイズにするために、A-01とは別に俺達技術試験部隊がいるんじゃないですか。流石にまだ急がなくても良いですけど、その内宇宙(そら)に船が飛んじゃいますよ」
『・・・!!!』
夕呼は息を呑む、それは機密情報のオンパレード、しかも自分しか知り得ない情報を白銀武中尉と名乗る青年は言い当てた。
『・・・たまには・・・ふざけたくなるのよ、じゃなきゃ息が詰まっちゃうわ。・・・で要求は何?』
「“ご存知”の通り俺達の機体は機密性が高い上に、一機はアメリカのXG-70に匹敵する大きさですから、どうしましょう?」
『その大きさでその位置になると・・・第6区画03格納庫が良いわね、つい先日完成したから、そちらに移動して頂戴・・・位置は・・・貴方達の機体には情報が送れないから、そこの帝国軍衛士に途中まで送らせて、その後にこっちの衛士に03格納庫まで送らせるわ』
「夕呼先生、回線黒藤少尉と開きっぱなしでいいんですか?機密は?」
『(先生・・・?)今更いいわよ、どうせ見られちゃったんだし。それに・・・と言う事で、黒藤少尉頼むわね』
『・・・了解しました、皆さんこちらです』
ギャンの応急整備も終わり移動するだけには問題がないので、4機は黒い撃振の後を追う。
[一応上手くいった、て事で良いのか?少年?]
[この後が大変なんですよ・・・ああ、心読める子がいるんで気をつけてください]
[ニュータイプか?]
[の強化版というか別物ですね、本気(マジ)で心を読みます]
[・・・宇宙人に、超能力者、旧時代に次元移動か・・・Welcome to Science Fiction World(SF世界へようこそ)てな・・・]
ケニーが皮肉そうに笑う
[それより、タケル君、後でこの世界のMS・・・いやTSF(戦術機)と言いましたね、それについて教えてくれないか?興味があります]
[オリヴァー・・・アンタはそればかり]
少しして、帝国カラーの撃振は青色の不知火に合流し、武達は後を追うように指示される。
帝国衛士はその青色の国連不知火と何やら会話をした後、武達に別れを告げハイヴに消えた。
「ここから先は私が案内しよう・・・」
通信からは若い女性の声が響く。
武には聞き覚えの無い声だった。
「(2000年以前に殉職した人か・・・?)白銀武中尉です、宜しくお願いします」
「そういえば、貴殿らは我々の事を知っているんだったな。A-01連隊・・・いや今はA-01大隊だったな、第07中隊隊長碓氷奈々(うすい=なな)大尉だ」
やはり武にとって知らない人であった。そして武の記憶では特殊任務部隊A-01は2000年までに1個中隊しか残らないはずである。しかし、1999年現在どうなのかは彼には分からなかった。
「ついてきたまえ」
4人は碓氷大尉の不知火を追う
[随分厳重な警備だな、何があるんだ?]
[第6区画の03格納庫なんてのは“前”の世界では聞いた事がない、あったのかも知れないけどいった事がないのだと思う。どちらにせよオルタネィティブ4関連じゃないかな]
[宇宙人〔BETAだロンズ中佐〕・・・細い女は結・・・いやもうしているか、旦那に逃げられるぞ嬢ちゃん〔逃げたら本人がどうなるか良く理解している筈だ〕・・・技術屋・・・いや、ともかくそのベータとかいう化物相手の諜報員を作る計画だろ?]
[タケル君の話じゃ、結局上手くいかないみたいだけど]
[今の段階なら何かしらのアクションは取れると思います・・・]
武の脳裏に一瞬だけ第4計画の犠牲になり、命を“2度”落とした幼馴染の顔が横切る
[・・・オリジナルハイヴさえ叩けば有効的な戦略ですから]
[・・・にしても、いきなり機密区域に連れて行かれるとは、信用されているな。一歩間違えれば消されるという所か]
モニクの言葉に一同沈黙する
[ともかく、政治的取り引きが必要になるなら、私がやろう。お前達よりは幾分かマシだろう、タケル取りあえず知っている事を教えられるだけ教えろ!]
[は、はい!]
タケルはモニクに質問される事を全て答え、そうしている間に4人は碓氷大尉に連れられ薄暗い洞窟、明るく整備された格納庫に出た。
そして4人は機体にロックをかけ降りると、短い金髪の女性士官、イリーナ=ピアティフ中尉が彼らを迎えた。
碓氷大尉の不知火は既に03格納庫から離れていた。
「イリーナ=ピアティフ中尉です、香月博士のもとまでご案内いたします」
ピアティフ中尉は手を武に差し出すと、武は軽く握手をする
「宜しくお願いします」
武がピアティフの手を話した直後にケニーがピアティフの手をとる
「いやー美人さんにイキナリ会えるとは運が良い!この世界も捨て<ドン>どぅふぉ!」
モニクが自重しないケニーの背中、左下に向かって右のキドニーブローを放っていた
「モニク、いくらなんでも反則打はどうかとおもいます」
「モニク姉さん・・・」
「さぁ、ピアティフ中尉、そこで子供のポーズをしている下種(ゲス)は気にしないで先を急ぎましょう」
「ヨガのポーズに例えるとは、モニク博識ですね」
「ありがとう」
「この夫婦は・・・」
武は右手で頭を抑え左右に振り
ケニーは地面で悶え
ピアティフはそんなやり取りをする4人をみて苦笑するしかなかった
○○○●●
一行はケニーが遅れるものの、何事もなく、香月博士の研究室についた
部屋は武の記憶よりも新しく、そして綺麗だった。まだ、書類は整頓され机の上に置かれ、地面に散乱していなかった。
机の前には軍服の上に白衣を着た妖艶な女性がいた。
彼女は振り返り紫色の長髪を手で払い肩の後ろに押す
「ピアティフ、ご苦労さん、下っていいわよ」
ピアティフは何も言ず、部屋の外に出る
彼女が外に出る瞬間、ケニーは彼女にウィンクをし、またモニクに冷ややかな目で見られる。
「さて、じゃ話しましょうか」
夕呼は立ったまま腕を組四人を見つめ
「取りあえず、夕呼先生、書類の後ろにある拳銃、詳しく言うとグロック26は使わないでくださいよ。超小型といっても先生みたいな訓練していない人が使うと逆に危ないですから」
武は過去の知識、夕呼の視線、そして“勘”から彼女に鎌をかけた。
「!!」
驚きを顔に出す夕呼
「それと、隣にいる霞・・・社霞・・・は別にいいか、嘘つくわけじゃないし」
「・・・アンタ達、何者よ?」
睨む夕呼を無視し、モニクが会話に入る
「自己紹介ね、私はジオン公国軍アクシズ最高責任者マハラジャ=カーン直轄文官モニク=キャディラック=マイ特務大尉だ」
モニクは夕呼を真似て同じく腕を組む
「同じくジオン公国軍アクシズ技術部、技術試験課所属、オリヴァー=マイ技術大尉であります」
オリヴァーは直立姿勢のまま答えた
「俺は偉そうな名称は無い、ケニー=ロンズ・・・傭兵だ」
壁に寄りかかっているケニーはダルそうに答えた
「私が代わりに答えよう、彼は元連邦軍アフリカ方面第5師団第09独立掃討部隊「黄昏蝙蝠」隊長・・・ケニー=ロンズ中佐だろう」
モニクはケニーを見て笑う
「そのネタ引っ張るね・・・まぁ、なんだっていいさ、今はただのケニー=ロンズだ」
両肩を上げ、困ったと言わんばかりのジェスチャーをする
「最後に俺だな。色々あるけど、新しい順でいったら、ジオン公国軍アクシズ技術部、技術試験課所属、タケル=シロガネ中尉。国連太平洋方面第11軍横浜基地、横浜基地副司令直特殊任務部隊A-01第9中隊所属、突撃前衛(ストーム・バンガード)隊長、白銀武少尉。まぁ、その前も大尉とかやってた『記憶』はありますけどね」
夕呼は懐疑的に四人を見つめる
「・・・あ、それと俺は『因果導体』です。夕呼先生ならその意味がわかりますよね?」
「!!!なる程、そういう事ね、色々とそうなると辻褄が合うわね、でもそれだと・・・<ブツブツ>」
因果導体という単語を聞き、一人考え込む
「夕呼先生!」
「ん?ごめん、続けてちょうだい」
「はい、では先ず俺の存在とこれから起きる事、それと彼らと俺達のMS(モビルスーツ)について・・・」
武は淡々と話し始めた
一回目の事、オルタネィティブ4が失敗し、5が発動し、最後まで戦うものの人類は負ける事・・・二回目のループ、過去の知識を元に積極的に加入し、幼馴染の鑑純夏(かがみ=すみか)は00ユニットになるものの再開を果たし、桜花作戦を成功させ、自分はその世界から消えた事。そして三回目になる今回は別次元で目を覚まし、全く記憶のないまま宇宙世紀で数年を過ごし、今また、西暦のこの時代に戻ってきたこと・・・
夕呼は複雑な顔をしながら武の話を聞いた
それに気づいた武は夕呼に声をかける
「・・・夕呼先生どうしたんですか?」
「・・・いやね、白銀・・・白銀でいいわね、アンタの話しを聞いてると、自分の理論が合っていたという事、オルタネィティブ4が成功する事、喜ばしい事ではあるんだけど、同時に00ユニットから逆にBETAに情報が渡る弱点や、BETAが生き物では無く、意思もなくロボットのように働くモノだという事、そしてそんなのが宇宙に10の37乗だっけ?アボガドロ定数よりいると思うと・・・喜ぶに喜べないのよ」
「まぁ、気にしてもしょうがありませんよ、今回は理由はわかりませんが、前回より前の時間に飛べたわけですし、最良の結果に出きると思いますよ。それにしても先生、今回はすんなりと俺の事信じてくれましたね」
そんな武の問いに馬鹿を見るような目で夕呼は武を見つめ答える
「馬鹿にしないでよね、報告はきているは、ラザフォード場(重力場)も発生させず、あんな巨大な物(ヴァル・ラング)を浮かせている時点で貴方達の存在は通常じゃ『ありえない』のよ、それに他の要因もあるし、アンタだって信じさせるために色々言ったでしょ」
「なんだ、頑張って損した気分です」
「・・・っでアンタ達はアタシに何をさせたいわけ?」
「そこからは私が話そう」
そう言ってモニクが前に出る
「マイ特務大尉だっけ?」
「マイの苗字が二人もいるし、モニクで結構よ」
「そう」
「私達の要求は至ってシンプル、目的を果たすために貴方に助力を頼みたいだけ。私達は元の世界に戻りたいし帰りたい。貴方が00ユニットというものを作り、人類に希望が生まれれば、そうすれば私達は帰れるとタケルは予測している。00ユニットとなった鏡純夏が私達を呼んだのではなくても、この世界で一番、時空や次元を移動する事について知っているのは貴方。だから私達にとっての最良の選択は貴方が誰の妨害も受けず、オルタネィティブ4を完成させる事。そして、そのために私達は持てる全て、知識を、技術を、人材を、知恵を、力を、貴方に貴方達に託すわ」
モニクは一息でそれを言うと夕呼を真っ直ぐ見つめる
「・・・全くやり難いわね・・・こっちの手の内が丸分かりなのに、そっちの手札は全くのブラインド、それにディラーの腕が良かったら、お手上げね・・・最初はどうするのよ?」
「(こんなに素直な夕呼先生は見た事がないな)」
「先ずは戸籍などの身分証明と衣食住ね。身分の設定等はそちらに任せるわ。私の知識と予測が正しければヨーロッパ、中近東系の人間の身分等どうにでもなろう、国が崩壊して戸籍等の記録は怪しいだろう?」
「先生、俺の場合はどうなってます、やっぱ死んだ事になってますか?」
「シロガネ、さっき調べたけどアンタの言う“やっぱり”死んだ事になってるわ。まぁ、明星作戦での死亡判明だし、たった2ヶ月だから、なんとでも出来そうね。でも、流石に童顔でも・・・」
夕呼は武の身体をノーマルスーツ越しに見る
「・・・その体格で15歳は無理がある気がするわ」
「・・・できるだけ大きめの服着ますよ「少年それで誤魔化せる問題でもないだろ」・・・後帝国の方にも報告してください、前の時はそれで帝国斯衛に目をつけられましたから・・・」
「そう言えば、帝国側は独自に情報管理していたわね。で、貴方達には一度国連軍に入ってもらうわ、入ってもらわないと動きが取りにくいしね」
「また訓練ですか、はぁ・・・」
これで国連軍での訓練学校経験は3回目になる武はため息をつく
「何言ってるのよ、そんな無駄するわけないでしょ。もう直ぐ、試験があるから、受けて、戦術機の機動訓練したら、とっとと任官よ。指揮経験のある人間4人も遊ばせておく程人類には余裕はないわ」
「この年で正規の訓練を受けるとはな・・・」
「士官学校を思いだすわね」
「・・・僕は肉体的訓練は余り得意ではないのですが」
オリヴァーだけが暗い顔をする
「任官したらまた少尉からだけど、任官さえすればこっちで何とかできるわ」
そう言いニヤリと夕呼は笑う
「で、最初は何をくれるのかしら」
「タケルが説明した通り00ユニットに必要な図式は2001年にならないと手に入らない。だが、オルタネィティブ4の副産物として私達の技術を有力者に提供すれば支持する者も増えるし、人類の戦力自体も増える。オリヴァー、タケル」
「はい、先ずはミノフスキー=イヨネスコ型熱核反応炉ですね。先ヴァル・ラングがミノフスキー粒子かそれに酷似したものを確認したので何とかなると思います」
「核反応炉!?アンタ達の戦術機はそんなものを動力にしてるの?」
20世紀~21世紀初頭にはまだ核反応炉は無いために夕呼は驚く
「詳しい事は後程報告書に纏めます・・・問題としては燃料のヘリウム3が地球上には少い事でしょうか・・・」
「ヘリウム3ならあるわよ?」
「本当ですか、地球上には殆どない筈ですが」
「ここ(ハイヴ)の地下とアトリエと呼ばれるBETAの工場付近で発見できるわ、当然他のガスと一緒にだけど」
「それなら問題ない筈です」
「後はXM-3(エクゼムスリー)ですね」
武は自信ありげに話す
「何なのそれ?」
「新概念のOSです!」
「OSならここ最近、新しいのが出来た所よ」
それを聞き、武の中で引っかかっていた謎が解けた、それは自分の記憶にある旧OS戦術機より帝国の撃振とA-01の不知火の動きが良かった事だ。
「で、そのOSの特徴は?」
武はキャンセル、コンボ、先行入力、そしてMSの基本OS機能を説明をする
「・・・確しかに、私の研究、更新されたばかりのOS、そして貴方達のOSの情報を使えばすぐに作れそうね。それがどれだけスゴイ物なのかは私にはわからないけど、どうなの?」
「そうですね、取りあえず衛士の戦死者を半数以下にして、死の8分を死語に出来るくらいですかね」
「死語て言葉を久しぶりに聞いた気がするぜ」
ケニーが横でちゃちゃを入れる
「それらを含めて、これからどうするかを詳しく報告書に纏めるわ」
「そうね、そうして頂戴。貴方達の部屋まではピアティフが案内するわ」
後ろのドアが開き、4人は外に出ようとする
「・・・そうそう、白銀、社に挨拶しなくていいの?」
考える素振りをする武
「う~ん、挨拶に似たような事はしましたけどね。まぁ感じでは元気そうなんで、また今度にします。今は早く飯を食って寝たいです」
「そう」
そして武達はピアティフに案内されるまま、夕呼の部屋を出る
・・・
入れ替わり、黒のスカート形式の軍服をまとい、ウサ耳のような髪飾りをした銀髪の少女が部屋に入る。
「社、どう?」
「モニクという方とオリヴァーという方は嘘をついていません」
霞の答えに疑問を持つ夕呼
「他の二人は?」
「分かりません。ケニーという方は読めませんでした。タケルさんは・・・話みたいな事をしました」
「!!白銀も貴方と同じ・・・?」
「違うと思います」
「本当に謎ね。彼らは私達の希望と成り得るのかしらね・・・」
○○○●●
一度部屋に案内された武達は暫くして、IDを渡される。
階級は武が臨時中尉で他3人が臨時大尉となっていた。
流石に臨時中佐なんてものはないらしい。
武が確認した時にはケニーはドアにロックもかけずパンツ一丁で寝ていた。
武、オリヴァー、モニクは一度、03格納庫に戻り、ヴァル・ラングから私物と重要データだけをとった。
モニクとオリヴァーの部屋は気を効かせてか嫌がらせか、二人部屋になっていた。
部屋に戻りモニクとオリヴァーは二人共報告書を書く作業に始める
だが、その時に疑問に思う
「モニク姉さん荷物ここに置きますよ」
トランクケースと箱をベッドの横に置く武、背中には自分の私物であるリュックを背負っている。
「ねぇ、タケル」
「タケル君」
「何ですか?」
「「何で僕(私)達は日本語を喋れるんだ(の)?」」
指摘されて、初めて武はその異常性に気づく。が同時、自分(因果導体)に巻き込まれたからその影響かと安易に思う。
「多分・・・次元を飛んだ影響じゃないかとしか思えません」
三人はアレコレ考えるが、時間の無駄と理解し二人は作業を始める
「オリヴァーさん、その報告書アクシズへのじゃないですか」
「まぁ、届かないくとも記録をつけるのが僕の仕事だからね、これとは別に日記もつけようと思うよ。っで、今日は何日だっけ」
「00(ダブルオー)・・・いえ、西暦・・・西暦1999年10月22日木曜日です」
我々は宇宙世紀0081、10月22日フォン・ブラウン市より西暦1999年10月22日木曜日の地球、日本帝国、横浜のハイヴという所に時空転移せし。シロガネ中尉の記録が戻り元々彼が転移者(トラベラー)である事が判明す。我々は彼の知識と経験を元に現在工事中の横浜基地副指令、香月夕呼博士と面会し彼女の助力を得る。彼女はこの世界では『天才』や『魔女』と知られる物理学者であり、即座に我々という異常(イレギュラー)を理解せし。我々は彼女に技術等を提供する代わり身元の保証と元の世界に帰る助けをしてもらう事を約束す。先ずはミノフスキー=イヨネスコ型熱核反応炉の技術提供、及びミノフスキー粒子の説明、そしてシロガネ中尉のXM-3という彼らのMS、TSF(戦術機)の新型OSの開発を手伝う事となる。そして我々は国連軍に任官するため、再度訓練を行う。
現在我々の機体の整備状況は以下の通りである
・MS-09F/TROPドム・トローペン(先行量産型)86%
・YMS-15K試作改良型ギャンは66%、盾未装備
・EMS-10ZFb最終調整型ヅダ・試験運用装備54%、塗装未完了、専用コンピュターEARTH設置完了
・MP-02Aa-YOP オッゴ大気圏使用型(バロール装備)74%
・QCX82-Aミドガルオルムは64%
・RX-81X-2試作量産型ガンダム2号機『ルピナス』45%
・MA-06MSSヴァル・ラング96%
MS-09F/TROP及びYMS-15Kの修理を優先す。EMS-10ZFbは暴走原因を突き止めるまで、起動を禁止す。
―西暦1999、10月22日 オリヴァー=マイ臨時大尉