【The back rooms】   作:T@ma

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【レベル153:ヴィンテージ オフィスビル】

いつの間にか、さっきまでいたはずの場所が無くなっていた。代わりに出迎えたのは、オレンジ色の縞模様…古い天井に、あちこちが擦り切れているカーペット。それに、机や時計、椅子などが置かれている。どう見ても昔の物だな…ただ、あのPCは気になるな。

注意は忘れず、RはPCに近づき調べ始める。年代はパッと見て、最近の物ではなさそうだ。1980年代の物辺りか?使えそうではある。だが、電源コードが刺さっていない。むしろ単体でボーンと置いてあるだけだ。

次に机の引き出しを開ける。筆箱に使えそうな長方形の箱とメモが2枚置かれている。

 

1枚目

【このレベルは火災が一般的に、頻繁に起こる為、滞在時は常に注意しなければならない。消化器は誰もがすぐに使えるように、邪魔にならない程度に置いてある為、使用を許可する。】

 

2枚目

簡素な物ではあるが、地図が描かれている。ないよりかはマシだ。今いる部屋には、赤いペンで斜線をつけた感じに印されている…のだろうか。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

…雑すぎやしないか?それともこんなものなのか?

Rは頭をかきながら地図を見ている。ナイフフォークの絵で何となく食堂なのは分かったが、点線の意味が分からなかった。

この部屋自体は確かにRから見て右側にドアがある。ドアの近くに消化器もいくつか置いてある。そこに繋がる道があるのも分かるが、前に向いた所に扉なんてない。これは隠し通路のような何かでもあるのだろうか。

 

調べる為地図を元あった場所に戻してから、色々触ってみる。食器棚や本棚がいくつかあり、観葉植物が一鉢置いてある。が、植物は少し枯れている。それ以外は変わりない。食器棚を調べてみる。お皿やコップが何十個もあり、どれも高価そうに感じるが、変わったところは見られない。食器棚に引き出しが1つある。サッと開けると、見慣れたスプーンやフォーク、ナイフが何本も置かれている。銀色に輝く物達は、淡い光に照らされてキランと輝いている。手に持ってみるが、これといった変化は特にない。

 

使えるかも…?Rはそこにあったナイフ、フォークを先程手に入れた箱の中に入れられる分だけ入れていく。Rはまあまあ意地汚い。

箱にしまった後はきちんと袋の中に入れた。

 

食器棚の調査を終えて、次は本棚を調べる。

本のタイトルはどの本にもついていなさそうで、分厚い物が多い。色は様々な色があるが、白色の本が1冊だけあり、存在感を強く主張している。本の多さと厚さに内心うへぇ…となりながらも、本棚に何かないか1冊ずつ手に取っては戻し、手に取っては戻す。

白色の本を手にして抜き取ろうとした時に、何かを踏んだような音が鳴る。Rはその音の居場所を探していると、本棚が小刻みに震えだし、引きずる音を鳴らしながら左へズレていく。

 

そこに隠し通路が現れ、風が通り過ぎる音が小さく聞こえた。こんなファンタジーにしか存在しないような、子供心を擽るものを目の前で見たRはワクワクしながら、通路の中に入っていく。小さな階段を降りて振り返った時には、もう扉の姿はなかった。

中は松明が照らしている。暑くも寒くもない丁度良い気温だ。洞窟のように音が響くわけではないようだ。4.50mおきに何かしらの荷物が置いてある。樽や木箱などがメインに置かれている。中に入るには丁度よさそうな大きさだ。

 

向かい側で大きな声で談笑している声が聞こえる。

ここで見つかると話がややこしくなる。嫌ったRは丁度よさそうな木箱の中に急いで入り、身体を丸くした。幸いにも向こう側からはこちらの姿が見えないような感じで木箱が置いてあったのだ。

息を殺して、談笑している奴らが通り過ぎるのを待った。

 

「そういえば…いつもどこに行っているんですか先輩。いつもいなくなるので、心配なんですよ。」

 

『あの図書館に行ってきたんだ。なんせ、ここを通らないと行けない場所だからな。あそこは知識と歴史が沢山眠っているんだ。』

 

「へぇ、あの有名な。聞いた事はありますが見た事はなかったんですよね…。本苦手だからというのもあるのですが。」

 

『ああそうだ。だがすごくタメになる物もたくさんある。次行く時にお前も来いよ。案外楽しいぞ?』

 

「先輩が言うなら…ちょっと行ってみたいですね。」

 

なんて会話を聞きながら情報を得る事が出来た。やつらは前に出会った奴の組織の一部の人なのだろうか。

成程、ここはまさに秘密を知る為の通路だったのか。

Rは声の遠さから判断してゆっくり木箱の中から出てきた。一通り身体を動かして準備をする。荷物も無事を確認して、談笑していたやつらとは反対方向に歩き出した。

 

出口は歩いて3分も経たない内に見つけた。扉が1枚あり、その周りには何も無い。ドアノブを持ち、捻りを加えて前に押すと、いつの間にかいた場所と似たような雰囲気の場所に着く。

壁紙や床は一緒だが、置いている家具は少し違っていた。

Rは盗み聞きした話を元に、調査を行う。

 

机の上には本が乱雑に置かれており、本棚はあるが仕舞われていないようだ。中には色々書いているが、難しすぎて頭の中に入ってこない。英語ならまだ分かるものの、明らかに現代では解き明かせない文字も入り乱れている箇所もある。元あった場所にそっと置く。Rは気づく。床に何冊か落ちており、道標を残したかのように、数m感覚に落ちている。落ちているその先には普通のドアがある。

そんな都合が良い展開が起きるものなのか?と思っていたRだが、非日常が日常の世界だ。そんな事もあるだろう。

ゆっくりその扉を開く。

 

 

 

その扉から向こうの先を誰が予想出来るだろうか。

その広さは普通の部屋の広さではなく、何百倍にも広がっていた。てっきり同じような部屋が続くかと思っていたが。生きてきた中では見た事ない広さの図書館だ。大きなシャンデリアが天井からお迎えをしてくれていて、スプリンクラーらしき物もいくつか付けられているのが目に付く。中には人という人はいなさそうだ。

大きな机がいくつもあり、1つの机に椅子が4つある。それが何セットか用意されている。そして床に消化器が何個か置かれている。

 

カウンターらしき場所はあり、メモ帳とペンが何セットか置かれている。有難く借り、得た情報を纏める時に使わせてもらおうと、1セット手にして本棚に向かう。

何百もありそうな本棚だが、カテゴリー分類されている訳ではないところもありそうだ。パッと目についた本棚には、年代順に並んでいる写本と誰かの日誌がある。テキトーに手に取って、中を見てみる。

数百ページ手書きで書いてあるが、難読すぎる。だが、初めの部分は何とか読む事が出来た。

 

『back roomsと呼ばれるこの世界に迷い込んだ放浪者に向けて、メッセージを残す。この世界から脱出は出来る。希望は持たない方が良いレベルではあるが、微かな光を掴み取れ。この世界は100で終わらない。創造した分だけこの世界は歪み作られる。フロントルームからLv.0に落ちて此処まで来た放浪者、情報を探して掴め。出口は繝ャ繝吶Ν3999縺ォ霎ソ繧顔捩縺上°縲∫悄縺ョ繧ィ繝ウ繝?ぅ繝ウ繧ー縺ォ縺溘←繧顔捩縺代?よュサ縺ッ險ア縺輔l縺壹?∵舞貂医b縺輔l縺ェ縺??縺?縲。

 

クソッ!重要な部分が文字化けと似たような形で邪魔をしてくる!しかし数字から、これは部屋に関係する事だと考察する事は出来る。数字の関係性をメモしたRは勢いよく本を閉じ、その本を戻した。

 

隣にあった本を手に取る。中には日付と前の人が書いた筆跡が残っていてイラストが描かれている。それはRと対面した事あるやつと非常によく似ていた。Rはその出来事を思い出して、寒気が走った。思い出したくない嫌な記憶が込み上げてくる。少し気分が落ち込みつつも読むことにしてみる。幸いな事に読める様になっていた。

 

『エンティティNo.▲ ハウンド 四つん這いのエンティティ。人間に対して敵対心を持つ。人間を見た瞬間に敵意をむき出しにする。睨みつけると威嚇し、一瞬足止めを食らう。うなり声が聞こえたら、しばらく目を離し、邪魔にならないようにするのが一番。』

 

写真も一緒に貼ってあったが、その出来事を鮮明に思い出したくないRは手で隠しながら、文章を読んでいた。だが分かった事もある。すぐにこいつが襲わなかったのも、Rが睨んでいると判断していたからなのだろう。そんなつもりは全くもってなかったのだが。幸運は変なところに転がっているものだ。

 

メモ帳にハウンドの事をメモしたRは次のページを捲る。

 

 

本のページ両面に、びっしりと乾いた血痕が広がっている。

 

 

 

Rは手に持っていた本を一瞬落としそうになったが、すぐ持ち直す。滲んでいるところもあるが、分かるのは姿と名前と。

 

『エンティティNo.=) パーティーゴアー こいつと出会うな。出会ったら最期だと思え。見つかるな。逃げろ。逃げろ。』

=) 僕達はいつでも君を歓迎しているよ。いつまでも待ってるよ。楽しいパーティーをしようよ!

 

生唾をゴクッと飲む音が微かに広がる。Rはこのページに少し釘付けになりかけたが、簡素にメモした後すぐに本を閉じて元の場所に戻した。Rが心の片隅にいつも思っていた脱出したいという気持ちに嘘偽りはなく、だがそんな上手く出来る訳でもなく。

 

溜息をつきながら本を戻した時に、Rは少し遠くに扉を偶然見つけたのだ。あちらの世界にも似たようなマークがある。君達は非常口のマークをすぐに思い出せるだろうか?そう、緑色と白色のあれ。あれに似たようなマーク…の形をした緑色の文字が書かれている。

 

従業員専用

 

と書かれている。Rは考えたが、来た道を戻って誰かと会うのも気が引ける。あまり気が乗らないが、何も無いよりかはマシだ。と考え、借りていたメモ帳とペンをそのまま持って行き、その扉を開いて中に入っていった。

 

従業員専用

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