唐突に真っ赤な病院の廊下らしき場所に転送されたRは、手首の切り傷を抑えながら先に続く廊下を見ている。廊下全体に赤いランプが光り、金属のドアがずっと並んでいる。
突如Rの耳に劈く勢いで鳴り響くサイレンは、頭をガンガン震わせ唸らせようとする。が、それさえも許さないように、Rの後ろから様々な鳴き声が混ざりあって咆哮を繰り返す大量のエンティティが、廊下を埋め尽くすように蔓延り、Rに向かって一直線に向かってくる。Rは血の気が引くのを感じると同時に、エンティティに襲われないように逃げ始める。
本能だけが身体に宿る魂を震わせて、生きる為に無理やり動かす。いつまで続くかも分からない見知らぬ場所に、エンティティに襲われながらこの状況を打破する方法を探さないといけない。
んな事出来たら苦労しねえよ!
Rは時々出てくる障害物をヒラリと身をかわしながら、捕まらないように走り続ける。永遠に続くとは思っていないが、この世界に常識は通用しない。だからなるべく体力温存を行いながらも、捕まらないようにする必要がある。走りながら後ろを確認する事なんて今のRには難しい話だ。ドタドタ走る音と鳴り止まないサイレンがお互いを調和を保つかのように鳴らしていく。
走っているといつかは疲れて足が痛くなったり、息が乱れて苦しくなったりするかもしれないが、Rは平気だった。何故なら、この廊下には、たまにアーモンドウォーターが置いてあった。飲むと疲れを癒す効果がある。半分しか無かったが、疲れた体に流し込むと、その疲れが飛んでいくのだ。荷物に持って行っているアーモンドウォーターを飲めば早いが、そんな動作は今は出来ないまでに追い込まれている。ただひたすら走る。
基本真っ直ぐな道らしく、曲がり角は見られない。それはそれで楽だから良いのだが…。大量のエンティティ達は疲れというものを知らないのだろうか。追いかける速さを変える事なくRを追いかける。ここまで追いかけられるのもうざったい…とはいえ永久には走れないぞ…Rは少し息が切れてきた。
そんなRが前をよく見た時にある物が目に飛び込む。赤く暗い廊下に白く輝いているのは
【exit】
Rはそれに目を輝かせて、ひたすらそれに向かって走り続けた。
足が痛くなり始めていたが、そんな痛みさえも忘れるかのようにRは赤く暗い部屋を駆け抜けていく。
それに近づいた時にRは(神に縋る思いでドアノブに手を伸ばす)
状況別ルート:ドアを素早く開き、中に吸い込まれるようにジャンプして入っていった。
ドアノブを握りドアを開け飛び込もうとしたが、扉が開かない。
Rは目を見開き扉の上を見上げる。
【exit】
確かにそう書いてある。だがドアノブはガチャガチャ乱暴に扱うがその扉が開かれる事は無い。これは所謂偽物というやつか??
こんな子供騙しな罠に引っかかったのか??
いや、そんな事よりも
Rが再び逃げようとすると、背中に大きな痛みと衝撃が迸る。それと同時に視界がぐらりと揺れ落ちる。床に突き落とされたRに無数の痛みが襲いかかる。その痛みは直ぐに治るわけもなく、まるでRを押さえつけてるかのように背中に痛みを与え続けている。
「クソッ…こんな…事って…」
今精一杯出せる声で呻きながらも、力を振り絞って身体を動かす。後ろには一体のエンティティが見下げている。Rがこの世界に落ちた時に、追いかけられた時に現れた奴と似た姿。ハウンドは逃げる事が出来ないRを見てニヤニヤ笑っていた。抵抗しようとするが、あっさり攻撃されまた床に叩きつけられる。もう動かす気力も、手を動かす小さな力さえもなくなった、そんなRが最後に見た景色は、大きく口を開け、鋭い牙で噛み付こうと接近しているハウンドの姿だった。
その瞬間、首に大きな痛みが一瞬だけ感じた後、Rの見る世界は終わりを告げたのだ。
残されたのは、赤く暗い廊下に転がる███ ██の首が取れた無惨な姿は、誰かに発見されることなく、数十年、数百年、腐るまで放置され、やがて塵となって消えていったのだ。
【END1:嘲笑する怪物】
【 世界をやり直しますか?】