【The back rooms】   作:T@ma

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【レベル97 η:連絡通路】

アーモンドウォーターと瓶を守りながら落ちてきた先は、駅の連絡通路にも似たような場所だった。狭い通路が無限に伸びてたまにホールがあり、何処へ向かうか分からない階段が出迎えてくれる。階段に対しては最後の移動手段と考えているRは、あまり近寄らないでおこう…と心の中で決めた。

 

床は暖色と白色のストライプ模様のタイル調に似たような感じで作られている。此処は少し肌寒い。暖かくなる事も寒くなる事もない、一定温度を保たれているようだ。タバコや飲料系統の自販機と、コインロッカーによく使われているタイプのロッカー、ポスト(のような何か)が置かれている。

 

近くにあった飲料系統の自販機は電気がついていない。ダメ元でボタンを押したが反応がなかった。やっぱりそう甘くはないようだ。タバコの自販機も同じように電気がついていない。何かを買う事は諦めた方が良さそうだ。

 

ロッカーは扉が薄い黄緑色で、他は白色と言ったシンプルな配色をしている。9つ1セットのようだ。取っ手に手をかけ開けようとする。…が、鍵がかかっているようで、開ける事が出来ない。ビクともしないのだ。他のロッカーも同じようだ。

 

ポストのような物は、本来のポストと似たような色と形をしている。錆が出ているようで、所々にメッキが剥がれている。郵便物を入れる箇所は、パカッと開くはずだが、何かに固定されているように閉ざされていた。

 

此処は使える物が使えないようにされている。ならば早く出る事に変わりは無い。数日なら居てもいいが、数ヶ月も居ると気が狂いそうだ。無限に続く通路を道なりに進んでいくしか進展はなさそうだ。Rはアーモンドウォーターと瓶を大切に持ちながら進んでいく。

 

無限に続く通路は、ループしているかのように同じ景色しか映さない。階段の作りも床や壁の色も変わりない。これが長く続くと退屈してくるのだ。Rは床を見る。何も姿が変わらない暖色と白色のタイル調の床が続いている。ずっと真っ白な物を見るよりかは…そう考えたRはタイル調を見ながら歩く。必然的に下を見て歩く。小石とかがあれば、蹴飛ばしながら暇つぶしにはなったと思うが。多く望んでも仕方がないのだ。

 

喉の乾きを潤す為に、アーモンドウォーターを1口飲む。天候がコロコロ変わって温度や湿度の変化が激しい環境の中、いつ飲んでもこの美味しさが変わらないというのは、ある意味天才なのではないか?なんて自問自答しながら、変わらないタイル調を眺めている。

 

何十分経ったか分からなくて、そろそろ見るだけも飽きてきたな…と感じていた時、Rは1枚だけ色が違うタイルを見つけた。白色やオレンジ色に囲まれて、黒色のタイルが異様なオーラを放っていたのだ。ずっと歩いてきた中で、こんなタイルあっただろうか?なんて疑問を持つ。一目見ただけでこんなにも気になると感じた事はなかった。

 

(黒色のタイルに惹かれて…誤って踏んじゃった)

 

 

 

だが同時に不気味さも感じたRは、敢えて黒色のタイルを踏まないように、遠回りに避けて通路に進んでいく。

通路を更に歩いて時間が経った。Rは何も変わらない景色に飽き飽きしていた。本当にこの先に何かあるのか?そう思いながら進むと、遠くの方に、今まで見てきた物とは違う物が目に飛び込んでくる。Rの見間違えでなければ、緑色の何かと絵画のような物がある。家具もありそうだ。あそこは此処のレベルでは少なくともなさそうだ!そこに行けば何か助かる情報があるかも!

 

僅かに抱いていた希望を胸に、Rは片手に荷物を持ちながら、前に広がる新しい場所に向かって元気よく走っていった。

(これは家かな?)

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