【コミカライズ連載開始】迷宮狂走曲~RPG要素があるエロゲのRPG部分にドはまりしてエロそっちのけでハクスラするタイプの転生者~ 作:宮迫宗一郎
年増
BBA
パイセンの仇
怨敵
2周目からはみんなのサンドバッグ
あ゛あ゛あ゛(⤴)ァ゛ァ゛ァ゛(⤵)!
業火ロイド
女王というか女首領
だが奴は物理的にハジケた
マジきたねぇ花火
汚いフェアリーゴッ◯マザー
フェアリー
フェアリーグランドマザー
ビビる・マジで・
顔芸
顔面凶器
精神的ブラクラ陛下
こいつで◯かないでください
オエーーー!!!(AA略
用意したティッシュで吐瀉物を拭いた
――【アへ声】プレイヤーから【クイーン】へ送る渾名・罵倒集より抜粋
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《表》
「ところで、HPが0になると完全に身を守るものがなくなって重症を負うようになるし、重症を負った後でHPを回復してもスリップダメージですぐにHPが0に戻ってしまうって話はすでにしたよな」
「あー、もういい。何をするつもりなのか分かったから」
アーロンは「何でか分からねぇが頭頂部が痛くなってきたぜ」とぼやきながら、いったん店に戻って連れてきたゴーレム軍団を率いて安全確保のための見回りに行ってしまった。
ので、3人組にこれから行うことの説明をしておくことにする。
「実は、【背信の騎士】を殴るついでに検証した結果、モンスターがアイテムをドロップするタイミングはHPが0になった瞬間ってことが分かってな」
「「「そうかい。じゃあごゆっくり」」」
3人組は「『大樹』が燃えた跡から他に燃え移らないよう、念入りに火の始末してくる」と言い残して去っていってしまった。なんだ、つれない奴らだなあ。
ルカはレムスと一緒にまだ残ってた魔術研究所を潰しに行ってしまったし、一緒にいてくれる相手がいなくなってしまった。ちょっと寂しい。
「まあいいや。どうせ詳しい仕組みとかは分かってないんだし、あとは実践あるのみだ!」
俺は白目を剥いてビクンビクンと痙攣する
まあ炎属性と【延焼】に耐性がないモンスターが一気に25+1発もの【火炎ビン】をまともに食らったんだ。ほとんど消し炭みたいなもんである。さすがに俺だって無耐性では食らいたくないな。
『アヘェ』
……うん、まあ、お察しの通りこの30cmくらいの老婆が【フェアリークイーン】の成れの果てだ。翅は【火炎ビン】によって燃え尽きてしまったので、大きさ以外に【クイーン】だった頃の面影は全くない。
フェアリーというのは魔術で若さと美しさを保っていた種族だ。その魔術の要である「大樹」を燃やしてしまえば、羽虫どもは「本来の姿」に戻る。で、花園の女王として長い年月を生きてきた【クイーン】が本来の姿に戻ったらどうなるかは……まあ、見ての通りだ。
今はまだわずかに残っていた生命力でなんとか急激な老化による死を免れているようだが、もって数分の命ってところか。その前に固有ドロップ品を落としてもらいたいもんだ。
なお、「大樹」が健在の場合、【クイーン】は鬼のように強い。【アへ声】で正面から戦うことを選択した場合、「MP無限からの厄介な魔術連発」「毎ターン自動でHP超回復」「異様に高いAVDのせいで対策なしだと実質単体攻撃無効」とかいうチートスペックで襲いかかってきた。
といっても、それは【アへ声】での話。ゲームだと「大樹」がただの背景でしかなく、こちらから何の干渉もできなかったが、ここは現実世界だからな。不意討ち食らわせて本来のスペックを発揮させないまま【クイーン】も「大樹」もまとめて燃やしちまえばそれで終わりだ。
そのための策は何重にも練った。こっちは【クイーン】の能力も性格も弱点すらも熟知してるんだ、搦め手には事欠かない。破壊工作で判断力を奪い、散々煽りまくって俺に意識を向けさせたうえで、
ちなみに、【アへ声】だと「大樹」を破壊できないのにどうやって【クイーン】を倒したのかというと……基本的にはサブヒロインが命と引き換えに倒すんだよな。
このサブヒロインは駆け出し冒険者である主人公に様々なアドバイスを送ってくれる先輩キャラで、大勢のプレイヤーたちから【俺の嫁ならぬ俺の先輩】とか【先輩最高です】とか【我らが師匠】とか言われて愛されていたキャラでもある。
が、彼女は主人公が中層に到達すると同時にギルドからいなくなり、フェアリー関連のサブイベントを全て無視して下層に到達するとそのまま行方不明になってしまう。
そして【先輩】の失踪を聞いたプレイヤーが彼女の足跡を辿って中層に赴き、フェアリー関連のイベントを始めると――
『あぁ、あの愚かな豚ですか? あのクソ豚は「世界樹」に傷をつけてくれやがりましたからね。【牧場】で「胎」を使い潰した後は生きたまま全ての臓器を引きずり出してゴーレムの電池にしてあげました』
『ふふ、分かりませんか? ――さきほど、あなたが破壊したゴーレムのことですよ』
『うふふっ! 面白いわぁ! あなたたちは本当に愚かな生き物なのですね!』
……道中で倒してきたゴーレムの中に【先輩】の成れの果てが混じっており、気づかないうちにプレイヤー自身の手で介錯してしまっていたことが判明する。しかもイベント中に戦うゴーレムは【ゴミクズ】を確定ドロップするうえ、【ゴミクズ】は99個まで持ち運べてしまう。つまり【先輩】の「遺品」が他のゴミクズの中に混じってしまうとかいう、システム上の罠まで仕掛けられてたんだよ……。
怒りのあまり下層到達後のステータスで最大火力を叩き込んで【クイーン】をボコボコにするも、それで【先輩】が生き返る訳でもなく。当然ながらその時点でサブヒロインの攻略は失敗なので、【先輩】狙いのプレイヤーたちは最初からプレイし直すなり、分けていたセーブデータからやり直すなりするんだが。
『ここまでたどり着いたことは素直に称賛しましょう。ですが――身のほどを弁えなさい、下郎』
そうやって【先輩】が行方不明になる前にサブイベントをこなしていったプレイヤーたちの前に立ち塞がるのが、前述のチートBBAなんだよな。こいつに中層到達時点のステータスで挑まなければならないうえ、最初に戦った時は「大樹」につけられた傷のお陰で【クイーン】が弱体化しており、【先輩】が死してなお主人公を助けてくれたから倒せたのだという事実が判明して二重の意味で泣くはめになる。
で、この戦闘に敗北するとゲームオーバーにはならず、【先輩】が助けに来てくれるんだが……彼女は【クイーン】に仲間を殺された過去や、主人公の雰囲気が殺された仲間に似ていたことを語り、最後に主人公へ、
「あなたと話していると、あの頃に戻れたようで楽しかった。最期にあなたと出会えてよかった」
と心からの笑顔でお礼を言い、主人公に背を向けると同時に一筋の涙を流して、制止する声を振り切って【クイーン】へ向かって走り出し――
『おぼふ』
「あ、やっべ」
気がつくと俺は靴底を【クイーン】の顔面にめり込ませていた。うん、まあ、これはゲームの話であってこの【クイーン】には関係ない話だし。いくら相手がモンスターといえど、やりすぎはよくないよな。不必要に痛めつけるのはやめておこう。
「……いつの間にか固有ドロップ品を落としてたか。じゃあもう逝ってくれて構わないぞ」
そんなことをつらつらと考えていると、いつの間にか用事が済んでいた。でも死んでなかったら困るから首をはねておいて……っと。
さて、アイテムコンプのために固有ドロップするまで【クイーン】を蘇生し続けた訳だが……消費した【蘇生薬】は26個か。まあこんなもんかね。今回のダンジョン攻略も成功と言っていいだろう。
「ようやく終わったみてぇだな」
「こっちに関しては問題なしだ。きちんと火の始末をしてきたぞ」
「摘んだ花が萎れたのは残念だったけどな……押し花にしようと思ったのに」
と、ちょうどカルロスたちが帰って来たな。てかチャーリー、その花は人間含む他の生き物の生命力を吸って咲いた花だぞ。捨てちまえよそんなの。
「やー、こっちも異常なしだぜ。ただ、そろそろ地面にブチ撒けてきた【匂い袋】の効果が切れて【キラービー】がこっちに雪崩れ込んでくる頃合いだ。早いとこ撤収しようぜ」
“こっちのレポートは……羽虫どもの言語に関しての記述かな。ちっ、翻訳魔術は口頭でないと働かないのか。思念会話が基本のボクには無意味だね。せっかく主とゴーレム談義ができると思ったのに、使えない羽虫どもだったなぁ”
ゴーレム軍団を引き連れたアーロンや、大量の紙束を抱えたルカとレムスもぞろぞろと帰ってくる。君たち、俺が【クイーン】にトドメを刺したタイミングを見計らって帰ってきてない???
「それじゃあ、俺たちの店に凱旋といこうか」
「だな。やー、今回もお疲れさんだぜ」
俺たちは【クイーン】の死骸がダンジョンに溶けて消えていくのをしっかりと見届けると、【キラービー】の群れが羽虫どもの残党*1を巣に連れ去っていくのを尻目に、【脱出結晶】を使ってダンジョンから帰還したのだった。
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《裏》
冒険者ギルドを擁する【冒険都市ミニアスケイジ】は、かつて勇者が拠点としていた集落を起源とする石造りの都市である。
名前の由来が魔術言語の「箱庭」と「檻」であることからも察せられる通り、勇者が施した封印を守るために世界中から人が集まり都市にまで発展した歴史を持つ。
「や~、なんだか今日はお祭り騒ぎですね~」
そんな【ミニアスケイジ】であるが、今日は何やら街全体が騒がしいようだった。規則正しく敷き詰められた石畳の大通りを歩きながら、とある少女が物珍しそうに周囲を見渡していた。以前少女がいた頃は、この都市は活気がありながらもどこか人々の顔に陰りがあったものだが。
「う~ん、今日は何かあったんですか?」
「なんだ嬢ちゃん、知らないのか? 何十年かぶりにダンジョンの【階層制覇】が達成されたんだよ! それも事実上不可能とされていたダンジョン中層の【制覇】だ! お祭り騒ぎにもなるってもんだろうさ!」
【階層制覇】とは、【アへ声】では「その階層のマップを100%埋めること」を指す言葉であった。ダンジョン中層の【階層制覇】を達成したということは、ダンジョン中層のマップを全て埋めたということである。
が、この世界における【階層制覇】は、【アへ声】のそれとは少々異なった意味を持つ。
この世界で【階層制覇】と言った場合、「マップの大半を埋めたうえで*2、その階層で確認されている全ての凶悪なモンスターを倒す」という偉業のことを指す。
この「凶悪なモンスター」というのは【ユニークモンスター】と呼ばれている存在で、「
ようするに、マップの全容が判明して、かつボスクラスのモンスターが殲滅されて雑魚モンスターしか出現しなくなれば、【階層制覇】を達成したとされているのだ。
これの何が偉業なのかというと、例えるならば「長年膠着状態に陥っている戦争で、そろそろ敗戦が見えてきた状況だったのが、突然の戦勝で前線を大きく押し上げることに成功した」といったところだろうか。
しかも「敵前線基地の突破は事実上不可能とされているため、少数精鋭部隊がひっそりと基地を迂回して敵地に潜入していたものの、成果は芳しくなかった」というオマケつきだ。
今後は中層でのレベリング難易度が格段に下がり、下層に到達する冒険者が増えていくだろう。そうして下層を攻略する冒険者が増えれば、いずれは下層を突破してダンジョン最奥へとたどり着いて世界を救う冒険者が現れるかもしれない*3。
事実、それまで上層で燻っていた冒険者たちが次々と中層を目指し始めており*4、その準備のために都市へと金を落としていくという特需景気をもたらしていた。それゆえのお祭り騒ぎである。
「いやぁ、【迷宮走者】には足を向けて寝られんな!」
「(【迷宮走者】? そんな冒険者いましたっけ?)」
少女は首を傾げた。少女が以前この街にいた時は、有名な冒険者の中にそんな異名を持つ者はいなかったはずだ。彼女がこの都市にいたのは数ヵ月前のことなので、そんな短期間でそこまでの偉業を達成できるとは思えない。もっと前から有名な冒険者であったと考えるのが自然だろう。
「(うーん、【迷宮走者】……「ダンジョンを走る人」? 「ダンジョンを走る」というのは、冒険者の間では「愚かな行為」とか「
――【壱の剣】! 【壱の剣】! 【壱の剣】! ハハハハハ! 楽しいなあ!
「ピェ」
恐ろしい「なにか」を思い出しそうになったため、少女はそこで考えを打ち切った。なお、その「なにか」は命の恩人である。もちろん助けられた恩を忘れた訳ではないのだが、やっぱり怖いものは怖いのである。
「……ま~、美味しいものが安く買えるなら何でもいいですよね!」
結局、少女は色々なことを棚上げすると、屋台で購入した蒸かし芋にかぶりつき幸せそうに頬張った。怖がりなくせして妙なところで図太い少女である。
「さ~、お兄ちゃんのお店はどこかな、っと」
実はこの少女、1度は【正道】を志して冒険者となったものの、色々あって実家に逃げ帰り、しばらくニートをやっていたら親に
かつてはサラサラとした金髪のロングヘアーがよく似合う小柄でスラッとした体型の美少女だったのだが……現在は不摂生が祟ってぽっちゃりした体型になってしまっている。
今はまだ「可愛い」で済ませられるレベルではあるものの、この都市に到着するなり買い食いを始めるあたり、放っておくとそのうち首と顔の境目が消失したり、腰のくびれが完全に消失して長方形の壁みたいなシルエットになってしまうことだろう。
「すみませ~ん、【H&S商会】ってどこにありますか?」
「おぉ、あの店に行くんじゃな。道を教えるのは構わんが、代わりにこれを届けてくれんか? ウチで取れた野菜じゃ」
……さて、【迷宮走者】とは言うまでもなく【
というのも、【狂人】はダンジョンさえ絡まなければ言動が常識的だからだ。転生者や転移者にありがちな非常識な言動や横柄な態度を取ろうとはせず、前世の価値観を必要以上に押し付けることもなく、きちんとこの世界の文化を理解して馴染もうとする姿勢を見せている*6。
また、ギルドの職員や他の冒険者が「【狂人】呼ばわりしていることを本人に知られたらどうなるか分かったものではない」と考え、ご近所ネットワークを警戒してギルドの外ではあまり【狂人】を話題にしたがらず、話題にする時は【迷宮走者】という隠語的な呼び方をしているせいで、一般人にはいまいち【狂人】が【狂人】たる由縁が伝わっていない。
さらに、【狂人】は自身のことを善人でもなければ悪人でもない普通の人であると思っているが、それはあくまで平和な日本を基準とした「普通」である。エロゲ世界であるがゆえに治安がクッソ悪いこの世界においては、悪人はとことんまで悪人なので善悪の平均値が低く、日本での「普通の人」がこの世界では相対的に善人に見えるのも大きい。
ついでに言うと、【狂人】が何を考えているのか表情などからはなぜか読み取れないのだが、そもそも一般人は相手の表情などを逐一観察して考えていることを読み取ってやろうと躍起になったりはしない。日常会話で頭脳戦みたいなことなんてしないのである。
つまり、この世界の一般人にしてみれば、【狂人】のことが「物腰が柔らかく丁寧で親切な人間」に見えるという訳だ。
「へ~、お兄ちゃんの雇い主さんは優しい人なんですね。(どんな人なのかちょっぴり不安だったけど、それなら上手いことやっていけそうかなぁ)」
――そのせいで、少女はこれから居候するつもりの店を経営しているのが誰なのか分からなかった。
こうして、少女はそうとは知らずに自分から