蒼の薔薇のラキュースは、自身の不甲斐なさに沈痛な面持ちを隠し切れなかった。
「なんで……なんで置いて来たのよ!」
ラキュース以外のメンバー達も暗い雰囲気を醸し出している。
だが仕方の無い事だ。先程まで共に依頼を受けていた冒険者を囮にして自分達は逃げ帰ってきたのだから。
「ラキュース、今は組合への報告を優先するべきだ。」
イビルアイがラキュースを諌めるが、イビルアイ自身も情けなさのあまり死んでしまいたかった。
伝説の国堕としと謳われ、十三英雄と共に旅をし、極大級魔法詠唱者等と持て囃されて調子に乗っていたのかもしれない。
何が伝説の国堕としだ……仲間一人守れないで。
あいつが……ダリアが居なければ今頃はコイツらと共に仲良く土に還っていただろう。
あまりにも急過ぎて転移する時間も稼げなかった筈だ。
「……分かったわ。ごめんね、セレネ。私達のせいで。」
「……馬鹿にしないでくれる?彼女があの程度で死ぬ筈がないでしょう?」
セレネは悲痛そうに顔を歪ませながらも憎まれ口をたたく。
……実は本心で言っているのだが、顔を歪ませているのは流石にこの空気を壊すのはという彼女なりの無駄な気遣いだ。
「そうだぜ、切り札があるって言ってたじゃねえか!それより俺らは早いとこ組合に報告に行かねぇと。」
ガガーランも場を和ませる為に敢えて明るい口調で声を上げた。
「ラキュース、お前達はここでダリアのいる方角を見張っていろ。私は転移で組合に報告を済ませてくる。」
そういうとイビルアイは
その瞬間、
「おいおい、なんだありゃあ!」
ガガーランが空を見上げて大声を張り上げる。
なんと、上空から小隕石が降ってきており、それはダリアのいる方角へと消えていった。
数秒後、地響きと爆音が鳴り響き、蒼の薔薇の面々はあまりの眩しさに目を瞑った。
「おい……あれじゃあ……。」
セレネの方を向くと彼女は顔を青くして俯いており、今にも倒れてしまいそうだ。
「お前は少し休んでろ。俺達は隕石が落ちた現場を確認してくる。」
そういうとガガーランは忍者二人を引き連れて先程自分達が逃げてきた森の方向へと歩いて行った。
その数分後、彼女はケロッとした顔をして
『お嬢様、今そちらへ向かいました。』
『そう、じゃあ私はある程度移動したら力尽きた感じで倒れとくから、蒼の薔薇と合流して探しに来てね。』
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はいはーい、レミリア・スカーレットよ。
私は今、高貴たる吸血鬼に有るまじき気絶した人間ごっこをしているわ。そろそろ誰かが見つけに来てくれるでしょう。
「おい!居たぞ!ダリアだ!」
お、この声はガガーランか?まさか一番最初にこいつに見つけられるとは。
「おじょ……ダリア!」
……咲夜、今お嬢様が出てたぞ。わざわざキャラを作って演技してるんだからしょうもない事でバレるのはやめて欲しいわね。
「……待て、気絶してるだけだ!頭を揺らさないように運ぶぞ!おい、お前らも手伝え!」
ちょ、忍者姉妹の片割れが今胸触ったわよ!こいつこのシリアスな状況でどんな神経してるのよ!
というか、魔法まで使って気絶したふりするのは苦痛でしか無いわ。何よこの時間。
ここからエ・ランテルまでこのままなの?
私は二人がかりで運ばれながら、安易な気持ちで気絶した事を後悔するのだった。