もう少しで転移させます。多分あと1話挟んでからです。
眩しい……。
「あら、起きたの?」
……なんだ、パチェか。
「ん〜、まだ眠いわ、夜になったら起こして……」
もう、折角なにか夢をみてたのに……何をみてたのか忘れちゃったわ。
「ちょっと……ある意味いつも通りだけど、何か身体に異常はないの?」
ん?……あ!そうだった!そういえば暇だから寝てたんだったわ。
「もう、実験は終わったっていうのにいつまで経っても起きないから本当に死んだのかと思ったわよ。」
そう言うと、パチュリーはやれやれといった仕草をする。
全く、勝手に殺さないでほしいわね。
というか、実験成功にしては特に何かが変わった気はしないわ……
「ちょっと……特に何も変わりないわよ?実験は本当に成功なの?」
もっとこう、力が溢れ出すような感じじゃないの?
「何を考えてるのか大体想像つくけど、多分レミィが考えているような事は起きないわよ。」
「え、変わらないんじゃ意味ないじゃない!」
私がそう言うと、パチュリーはあからさまにため息を吐く。
……一々仕草が大袈裟だし、なんかムカつくわね。
「はぁ。そういう実験じゃなかったでしょ?
それと何も変わってないって事はないわよ、鏡を見て来なさい。」
「パチェこそ何を言ってるの?吸血鬼の私が鏡に映るわけないじゃない、馬鹿なの?」
パチュリーの額に青筋が浮かぶ……
あ、なんか怒らせちゃった?
「ちょ、ちょっとした冗談よ!」
「……はぁ。馬鹿は貴女よ、いいからとりあえず確認して来なさい。
私には実験を押し付けておいて自分では歩く事すらしないのならもう二度と手伝ってあげないわよ?」
それは困るわ!うぅ、寝起きで怠いけど動くしかないのね……
「わ、分かったわよ!全く、でも鏡を見るだけで何か分かるものかしら?」
私は独り言を呟きながら図書館を出るとすぐ近くの部屋にある姿見の前へと立つ。
「おお、これは……え?」
ちょっと待って!え、どういうことなの!?
「こらぁ!パチェー!」
私はすぐに図書館へと戻りパチュリーに尋ねる。
「……うるさいわね。何よ?」
大きな声を出したからかパチュリーは不機嫌そうな顔をしているが私はそれどころじゃない。
「何って!私が鏡に映るのはまだ分かるけど、私のチャーミングポイントの翼がないじゃない!
……こんな、こんなの、吸血鬼じゃないわ!!!」
う、うぅ……強さの象徴たる翼を持っていくなんて……
パチェの鬼!悪魔!魔女!
「……はぁ、あのね?そもそも貴女、私は吸血鬼を超えるとか言ってたじゃない。」
それは言ったけど……
「それと心配しなくても、翼が消えるのは日中だけよ。
それも貴女の魔法で隠してるだけだから出そうと思えばすぐ出せるわよ。」
……私の魔法?影の奴かしら?
「こう?」
「そうそう。ちゃんと戻ってるわよ。
そうしなきゃ後で騒がれるのは分かってたからね。……それで、何か文句ある?」
パーフェクトよ、パチュリー!
「ないない!文句なんてないわ!ふふふ、流石は私の大親友!花丸をあげる。」
「……要らないわよ。それで、まだ日が出てる内に試して来たらどうなの?
実験は成功しているから、余計な心配は要らないわ。」
そっか……!
そういえばそういう実験だったわね。
「分かったわ!ちょっと出てくるわね、すぐ戻るから!」
「いや、実験は終わったんだから戻ってこなくていいわよ。」
全く、ツンデレって奴ね!このレミリア様は遂に日光すら克服したのね……!
ああ、日の下を歩くのが楽しみだわ…!
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私はルンルン気分で玄関までの廊下をスキップしながら進む。
途中で掃除をしている咲夜を見かけた。
「あら、咲夜じゃない。」
「お嬢様?何か御用ですか?というか……お嬢様、翼が見当たらないのですが。」
ふふん、流石の咲夜も驚くわよね。……その割には反応が薄いけど。
「ふふん、この私は遂に太陽すらも克服したのよ。日中も外を出歩けるし、川を泳いで渡る事すら可能なの!」
「おめでとうございます。お嬢様、それでは私は掃除がありますのでこれで。」
……えぇ。
さては信じてないわね!ていうか、主人の翼がないのよ!?
人間で例えると、ある日突然両腕が消えてるくらいの事なのよ!?
もうちょい深く聞きなさいよ!
「うぅー!主人の言葉を信じないなんて駄目なメイドね!見てなさい、嘘なんか吐いてないんだから!」
私はそう言って玄関の方へと駆け出す。
「あ!お嬢様…!」
ふふん、なんだかんだ言っても私の事を心配しているのね。
走って追いかけて来るなんて可愛い所もあるじゃない。
「大丈夫よ、咲夜!私には本当に日光なんて効かないの!」
「違います!足、足元です!お嬢様!」
足元……?
「うわぁああ!」
向かう先に置いてあった雑巾の掛けられたバケツに気付かなかった私は、
思いっきりバケツを蹴飛ばしてその中身を浴びてしまった。
……うぅ、臭い。
「お嬢様……」
そ、そんな目で主人を見るなぁ!
「うわぁあああ!」
うぅ……私の築き上げてきたカリスマがぁ!(そんなものは無い)
私は臭いを気にしながらもとりあえず外に出てみる。
「あ、お嬢様……そっちは、あれ?……まさか本当に?」
これが、日光の下……素晴らしいわ!
今まで日中は傘がないと外に出られなかったけど、これなら昼間も遊び回れるわ!
「ほら…!私の言った通りでしょう?咲夜……ってあれ?」
何処に行ったのかしら?
……まあいいわ。
それと、一応流水も試してみるかしら。
さっきバケツの水を浴びたのはノーカンよ!
「さて、ここが霧の湖ね……っすぅ〜」
私は深呼吸をする。そして……
さー!行くわよ!
「とりゃああー!」
ザバーン!と、水飛沫を散らしながら私は湖の中へと飛び込んだ。
「……寒い。」
よく考えたら、ここ流水でも何でもないわね。さっさと帰りましょ。
私は臭いが落ちて少しさっぱりした気分で紅魔館へと足を進める。
……あれ?ていうかどちらにせよ汚れてたし、
シャワー浴びるならそれで試せばよかったじゃない。
んー、……まあいいわ。
さーて、美鈴は……ってあら?珍しく起きてるわね。
さっき居なかったのは、庭の花でも弄ってたのかしら?
「あ、あれ、お嬢様が外に、しかも濡れてるし……うーん、まだ日が出てるんだけどなぁ?」
ふふ、やっぱりコイツの方が咲夜より驚かしがいがあるわね。
……そもそも驚かしてないんだけど。
「美鈴、私は遂に吸血鬼を超えたのよ。」
「あ、おめでとうございます。」
……理解は追い付かないけどとりあえず、みたいな感じで言わないで欲しいわね。
とりあえずシャワーを浴びないとだし、美鈴はどうでもいいわ。
「……まあいいわ。」
「え?何がです?」
さて、美鈴は放っておくとして、フランにもこの実験?いや、手術ね。手術を施してあげましょう!
……っと、その前にシャワーね。
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「ふぅ、スッキリしたわ。」
いつもは魔法で汚れを落としてたから、お風呂がこんなに気持ちいいなんて知らなかったわ。
そろそろ食事の時間ね。
「……あ!お姉様、なにしてるの?」
あ、ナイスタイミング!
「ちょうどいい所にきたわね!ちょっと見てて!」
私はフランを連れて脱衣所へと戻り、服を脱いでシャワーを浴びてみせる。
「え!?何それ、どうやったの!?」
流石私のフラン!驚いた顔も可愛いわ!
「ふふ、私は妖怪共通の弱点と、吸血鬼としての弱点すらも克服したのよ!
……つまり、幻想郷の外でも存在を保てるし、川も泳げるし、日の下も歩けるの!」
これで私に死角など無くなったわ!
「今シャワー浴びてたのもそれなの?お姉様いいなー!フランも泳ぎたいしお日様の下歩きたい!」
もう、相変わらず可愛いわね。可愛すぎて他に言うことがないわ。
「ふふ、そう言うと思ってパチェには話を通しておいたわ!フランもやりたいならパチェにお願いして来なさい。」
そういうと微妙な顔をするフラン
「やっぱり自分でやった訳じゃないんだ……」
え?
「私もお願いするから人のこと言えないけど、
お姉様は何かパチュリーにお返ししたら?何かある度にお願い事してるよね?」
う、そう言われるとそんな気が……
「……まあそうね。お礼はちゃんとしなくちゃだものね。」
「そうだよ。あ、あと……」
なんか急にモジモジしだして、どうしたのかしら?
可愛いからいいけど。
「フランもお外で遊べるようになったら、あの、一緒にお外で遊ぼうね?」
「勿論よ!」
あー可愛いわ!
なにこの子?天使かしら?
……いや悪魔だったわね。
「じゃあ、おやすみなさい。」
「うん、おやすみ。お姉様!」
さーて。パチェへのお礼は何にしようかしら。
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翌日、私は同じように手術を受けたフランと、紅魔館に住むその他全員を大図書館へと集めていた。
「さて、皆に集まって貰ったのは他でも無い、そう!異変を起こそうと思うの!」
すると間髪入れずにパチュリーが口を挟む
「ねえ、私は不参加でいい?」
勿論答えは決まっている。
「Noよ!」
「……はぁ。」
パチュリーは大きなため息を零すと、机に頭を沈めたまま動かなくなった。
すると小悪魔が手を挙げて質問をする。
「はいはーい!今回はどんな事をするんですか?」
「ふふ、いい質問だわ。それはね……」
私は寝る前に思いついた内容を説明する。
「紅魔館をね、飛ばすのよ。」
「……は?」
美鈴がアホみたいな顔になってるわね、元々アホだけど。
すると非難がましい目をしたフランが言う。
「ねぇ、お姉様。それってまたパチュリーに負担がかかる事じゃないの?」
うっ!ま、まあ確かにそうなるかもだけど……
「勿論、全てを押し付けたりしないわ!……でも、術式くらい作ってくれるわよね?」
未だ頭を沈めたままだったパチュリーはまたもや大きなため息を吐くと返事を返す。
「この異変が終わったあと、私は何を言われてもしばらくは動かない。それでもいいならやってあげる。」
うぅーん。少し困るけど、まあ色々働かせ過ぎてたしねぇ。
「分かったわ。パチェには色々と助けられてるし、約束するわ。」
「……ならいいわ。」
やっぱりパチェはツンデレなのね!
「ねえねえ、紅魔館を飛ばすっていっても何処に飛ばすの?」
今度はフランが質問をするようだ。
「そうね、妖怪の山辺りに転移させたら面白いんじゃない?特に天狗達の反応なんかが。」
何故か引いたような目をするフラン
「お姉様……性格悪いよ。」
や、やめて!フラン。何故だかそれは物凄く心に刺さるわ。
「また面倒臭いわね……ここにも術式を展開しとかないと紅魔館を戻せなくなるしね。」
ん?別に妖怪の山のままで良くない?
「え?戻すの?」
「……まさかそこまで考え無しだとは恐れ入ったわ。
あのね、転移させたとして妖怪の山とスキマ辺りが黙ってる訳ないでしょ?
異変が終わったら強制的に元に戻されるわよ。」
じゃあ別にここに術式を展開しなくてもいいんじゃ、
……あ、そういえば屋敷以外にも色々やる事が多かったわね。
確か、紫のスキマで戻されたら地脈から得ているエネルギーとかが供給不可になるのよね。
「……思い出してくれて良かったわ。
今回はレミィにもやってもらうわよ。」
前回は確か……私は魔力タンク扱いだったわね。
まあ、今は転移の術式くらいなら扱えるし問題ないわ。
……面倒臭いけどね。
「さーて。じゃあ早速異変を起こすわよ!」
「はぁ……準備だけでどれだけ時間を取られると思ってるのよ!
馬鹿言ってないであんたも手伝いなさい!」
ぐすん。
ちゅかれた