さてさて、残念ながらというべきか、あれから特に問題も起きずにその漁村の取引現場を抑えて潰す事が出来たので特に語る事は無い。
強いて言うならフランの個人としてのランクがもうアダマンタイト級に上がった事かしら。
それにスタイルも確立して今はヒポグリフの……セリちゃん?セルちゃんだっけ。あれに乗って走り回りながら
精霊を召喚して本人は精霊を盾に横から魔法を撃ち込むという感じに落ち着いた。
そして私の指輪の存在がバレた事によりパチェにおねだりして自分も同じ物を作ってもらったらしい。
吸血鬼であるフランが精霊を召喚して使役出来ているのは私と同じようにユグドラシル由来の
ちなみにだが、テイマーとして魔獣を使役しているのは本人の技量によるものなのでユグドラシル関連の
そして精霊を召喚する魔法やスキルなんかは全てユグドラシル由来のもので、私も詳細を教えて貰えなかった。
多分だけど、効率なんて言葉を何処かに置いてきたようなビルド構成をしていると思うわ。
まあフランは持ち前の能力さえあれば誰にも負けないから心配はしていないけど。
恐らく本気になられると、私でも勝つ事は出来ない。……まあ負ける事も無いだろうが。
そもそもフランと敵対するだなんて有り得ないから答えは一生分からないんだけど。
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ああ、そういえば一つ許せない事があったのよ。ラキュースよ。あの女……フランを私のパーティから引き抜こうとしやがったわ。
本人にその気が無かったから良かったけど、大体こっちは三人であっちは五人なんだから必要ないでしょうに。
そしてついでとばかりに私も勧誘してきたのが許せないわ。この私をオマケ扱いだなんて……!
全く、最大戦力のイビルアイでも引き抜いてやろうかしら。物で釣れれば楽なんだけど……まあいっか。
「お嬢様、私達が竜王国へと戻った後に王国で新たなアダマンタイト級冒険者が誕生したようです。」
「へぇ……じゃあ、ようやく表に出てきたという訳ね。」
だが、アダマンタイト級に上がっているという事は既にスレイン法国の特殊部隊と変態吸血鬼がぶつかっている筈だ。
法国とナザリック……私はどちら側に立った方がより楽しめるかしら。
まあ相手の出方次第って所ではあるわね。例の骨は部下の教育もまともに出来ないようだから敵対する可能性も無くはないしね。
ただ、馬鹿にされた程度で敵対するのも勿体ないのは確かだし……うーん。
うん、実際に起きるまで分からない事を今考えてもどうしようもないわね。
両方と敵対するのもそれはそれで面白そうね、退屈はしなそうだわ。
恐らく十六夜の月が私と関係しているという事もフランを見られない限りはバレないし。
……そもそもフランは冒険者関連の事以外では全く外に出ないのよね。
というか、最近は色々安定し過ぎていてつまらないわ。そう、平和すぎるの。
「ねぇ、咲夜。私が国を興すのってどう思う?」
「……お嬢様には向いていないと思います。」
あれ?なんで?咲夜ならノリノリで私をその気にさせてくれると思ったのに。
「それはどうして?」
「だって……お嬢様飽きるとすぐ他の事に手を出して、その、放り出しちゃうじゃないですか。」
私の事をそんな風に思ってたなんて……うん、でも事実ね。途中で飽きて放り出す未来が見えたわ。
「……聞かなかった事にして頂戴。」
「かしこまりました。」
ふぅ……まさか咲夜からの不意打ちとは驚いた。この世界はフレンドリーファイアが有効なのね。
と、私が考え事をしながら久しぶりの紅茶を楽しんでいると面倒事が向こうからやってきた。
『おい、ダリア!緊急招集だ!王都にドラゴンが出たらしい!』
とイビルアイから
「はぁ……咲夜も来た?」
「ええ、でもドラゴンなんて面白そうじゃないですか。」
でもこれ、明らかにナザリックの仕業だと思うのだけど……多分マッチポンプで好感度稼ぎね。
要は自分達が冒険者としてドラゴンを討伐するのを王国民に見せたい訳だ。
そう考えると……あれ、なんだか邪魔をしたくなってきた。
最近あまりにも退屈だったし、そもそも向こうからの接触は有り得ないだろうし良く考えるとこれは接点を作るいいチャンスなのでは?
まあでも、マッチポンプに使う位だから多分雑魚ドラゴンでしょうけど。
さて……と。
『フラン?あなたにも連絡は来ているでしょう?私達は先に王都へ向かってるからあなたはヒポグリフでいい感じに登場しなさいな。』
私は一方的にフランに
「フランには連絡したわ。先に行くわよ、咲夜。」
「はい。では向かいます。
私達は容姿をダリアとセレネのものに変更するとそのまま王都の上空へと転移した。
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王国のとある屋敷の一室に、多くの異形の者たちが一つの影に傅く異様な光景があった。
「というのがこの計画の狙いです。なので混乱に乗じてあなた方は適当な人間を攫ってきて下さい。……如何でしょうか、アインズ様。」
「ふむ……では私はその王国のアダマンタイト級冒険者が倒れそうな時に姿を表せば良いのだな?」
「はい。そのタイミングが最も王国民の印象に残るでしょう。」
その影は全身鎧から骸骨のような頭部のみを晒しており、その者が問いを投げると一つ一つ懇切丁寧に返答を返す悪魔が居た。
「その、もし王国の冒険者がドラゴンを倒してしまったらどうするのだ?」
「それは有り得ません。調べた限りでは蒼の薔薇に一人、プレアデスと同等のレベルの者が居るのみです。
他にドラゴンを打倒しうる冒険者は現状、全て他国に出払っています。唯一、十六夜の月という冒険者チームが転移魔法で駆け付ける可能性がありますが
今は竜王国に居るようです。それにチームを構成するメンバー達は現在距離がある別々の宿に泊まっているようで恐らく準備に時間が掛かるでしょう。
そうですね……三十分程は稼げるかと。まあそのような事は既にご存知かと思いますが。」
「う、うむ。素晴らしいぞ。これなら上手く事を運べるだろう。流石はデミウルゴスだな。」
「勿体なきお言葉。」
モモンガは困惑していた。
あっれー?おかしいぞ。なんかいつの間にか王国を襲撃する事になってるんだが……
俺はただ冒険者として功績を残す為の手段を聞いただけなんだけどなぁ。
まあでも、ここまで来て引き返す事は流石に出来ないだろう。
そして油断も出来ない。今の所、この世界のレベルは有り得ないくらい低いがシャルティアを洗脳した者がまた出て来るかもしれない。
……クソっ!思い出したらまた腹が立ってきたぞ。
「それでは、アウラ。例のドラゴンを王都まで運んでください。アインズ様はここで冒険者達の様子をご覧になられますか?」
「ん?ああ、そうだな。念の為にタイミングはお前が教えてくれ。そしたらナーベラルと共に向かうとしよう。」
「はっ!畏まりました。」
この作戦にはシャルティアを洗脳した者を誘き出す目的もあるらしい。
俺もしっかりやらなくては。俺の不注意が原因でシャルティアをあんな目に遭わせたんだ。もう二度とあんな不快な気分をするのは御免だ。
モモンガは念を入れて作戦の注意事項を頭で再確認するのだった。
ぜひ高評価を。押すと幸せになれますよ。……私が。