あれから数ヶ月は経った。
今回はパチュリーに任せ切りにはせず、私もきちんと手伝ったわ。
「ふふふ、ようやく準備が整ったわ。」
「……本当、これが終わったら意地でも動かないわよ。」
全く、パチュリーは心配性ねぇ。
「大丈夫よ、パチェ。私は悪魔なんだから契約は守るわよ。」
すると何故だか更に不安げな表情になるパチュリー
……なんでそんな顔をするのかしら。
「……私が約束を破った事はないでしょ?」
「約束を破らないギリギリを突くことはあるじゃない。」
……そりゃあ、私も悪魔だもの。契約の穴を突く事はあるけど、
流石に友人相手にそんな事はしないわ。
「私を見縊らないで欲しいわね、流石に友人相手にそんなことしないわ!」
「……じゃあいいけど、それで?もう術式を発動していいのね?」
ちなみにだがここは大図書館、既に他の紅魔館の住人達も揃っている。
「私がやってみてもいいかしら?」
こういうのは主犯がドカンといくものよ!
私がそう言うとパチュリーは顎に手を当てて、少し考えると口を開く。
「……まあ、今のレミィならこのくらいの術式で失敗する事はないでしょうし、いいわよ。」
やったー!ちなみに、転移と同時に外には爆音が響き渡る傍迷惑な術式も付与している。
……山の妖怪達へのささやかなプレゼントだ。
「お姉様ズルい!」
う、可愛いけどダメよ!これは私の役目なの!
「いくらフランでも、今回は譲らないわよ!」
「フランもやってみたいの!ねぇ、お姉様……だめ?」
うっ、なんて上目遣い…!
流石は私の妹、無意識に頷きそうになったわ……じゃなくてッ!
「駄目!駄目なものは駄目なの!
まあ見てなさい!それと、今回は術式が複雑なんだから邪魔はしないでよね。」
するとフランがニヤリと笑った……気がした。
…なんか怖いわね。
「フリじゃないからね?パチェも見ておいて!自慢じゃないけど、私は繊細な術式は苦手なの!」
すると再びため息を吐くパチュリー。
全く、そんなにため息を吐くと幸せが逃げてくわよ。
「ではいくわ!」
私は極めて慎重に、そして丁寧に。
とにかく意識を逸らさないように集中しながら術式に魔力を流し込む。……あ、あと少し、
「ドカーン!」
「ぎゃああああ!」
物凄く集中してる時に後ろから肩を叩かれた私は、
はしたない声を上げて魔力の制御を乱してしまった。
「ちょ、やめてって言ったじゃない!」
「だってお姉様だけズルいんだもん……」
こ、これどうなるのかしら?
ちょっとだけ魔力を込めすぎたわ……
「……ハァ、やっぱりこうなるのね。」
私はフランに抗議をしようとするがパチュリーのその声を聞いた後、
術式に込めた魔力が一定のリズムで点滅しだす。
「ね、ねぇ……パチェ、これってどうなるの?」
「……知らないわ。転移の術式よ?それも屋敷ごと飛ばすかなり大掛かりなもの。
下手したらここにいる全員バラバラよ。勿論、身体ごとって意味で。
最悪、誰か屋敷と融合するかも知れないわね。」
……本当にヤバいわね。
私たちはともかく、パチェや咲夜は死んじゃうわ。
「こんな事もあるかと思って結界を用意しておいたわ。」
おおっ!流石パチュリー!用意が良いわね!
落ち着きすぎだし、こうなることを読まれてたのは悪い意味で信頼されてるからなんだけど……
「とりあえず、全員術式が発動するまでに私の元に来なさい。」
パチュリーがそういうと私以外の全員が素早くパチュリーが展開している魔力の結界へと入る。
早く私も入らなきゃ……
「あんたは自分で何とかしなさい。」
パチュリーがピシャリと言い放つと、
私はその一言と共に結界の外へと締め出された。
「えぇ!?パチェ!今はそんな冗談言ってる場合じゃないって!」
「……私が数ヶ月もかけて作った術式を無駄にした恨みは忘れないわ。」
なんか怒ってると思ったらそれかぁー!!!
ちょっと理不尽すぎない!?
「ねぇ、今回は私悪くないでしょ!?」
すると術式を刻んだ魔法陣が紅く光り輝き……
私は大急ぎで自分の身を結界で包んだ。
その瞬間、まるで火山が噴火したかのような地鳴りと轟音が鳴り響き、
霧の湖に存在したはずの紅魔館は住人達と共に跡形もなく姿を消した。
……他作品との同時投稿は思ったよりキツイですねw