Vampire Lord   作:Crimson Wizard

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自分で書いておいてあれだけどなんか違う気がする。


第27話

 

「私は何を見せられているのかしら……」

 

あの後、暫くするとモモンガが顔色を悪くして右往左往し始めた為、咲夜を呼んでバケツを渡したらその瞬間にダムが決壊した訳だ。

 

「あはははははっ!」

 

ちなみにフランは何がツボに入ったのか先程から爆笑している。

私としては特に面白い光景では無い。別に成人男性が吐いてるところを見て興奮する性癖など持ち合わせていないし。

いやフランにもそんな性癖はないだろうが。

 

「うぇっ、すみません……じゃない!あぁ!何をしてるんだ俺は……」

 

モモンガは正気に戻ったようで頭を抱えて蹲ってしまった。

ちなみにアルベドは困惑しているようだがそれよりもモモンガの身体を心配しているようだ。

 

「モモンガ様?お身体は大丈夫なのですか?」

 

「ああ……身体は大丈夫、だと思う。多分……」

 

「大丈夫よ。そもそもまだ肉体が馴染んで無かったのよ。

それに人間は長期間栄養を取っていない状態で急に食べ物を摂取すると身体が拒否反応を起こす生き物なの。ああいう時、普通はお粥なんかを食べるの。」

 

あの肉体は魔法で付与した物だが基本生前の肉体の状態をそのまま再現するので疾患なんかを持っているとその情報も着いて来てしまう。

なので食事を取っていない状態で肉体が付与されたのだろう。まあ病気なんかは魔法で何とかなるんだけど……

 

「そんな事より……あなた、素が出てるけどいいの?」

 

「全然良くないです……そうか、感情抑制が無くなった影響か。」

 

そういうことね。でも肉体が付与されただけでアンデッドじゃ無くなった訳では無い筈なんだけど……。

その辺はよく分からないわね。私の作ったアイテムではないし。

 

「少し、考える時間を下さい。」

 

「そう。じゃあ今日は泊まっていきなさい。咲夜、二人を案内してあげて。」

 

「かしこまりました。」

 

という訳で、モモンガにはクールタイムが必要な様なので私は空気を読んで客室を手配してあげた。

勿論二人とも別の部屋だ。あの状態でアルベドと共に居させるのは彼にとって鬼畜の所業だろうし。

 

だけど、二人が帰って来ないからといってNPC達が紅魔館に攻めてきたりしないわよね?

それは流石に困るんだけど……まあモモンガも伝言(メッセージ)でなら会話出来るでしょうし、大丈夫よね。

 

「あー。なんか思ってたのと違う感じになっちゃったわね。」

 

これは弱みを握れたというべきか。それとももう少し懐に潜り込んだ方がいいか。

 

「まあ、また明日考えましょう。」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

ああ……本当にやってしまった。まさか感情抑制が無くなるだけでこうも情緒が不安定になるなんて。

どうしようか。アルベドには見られてしまったし、今は気を遣って一人にしてくれているみたいだが、どの道説明はしなくちゃならない。

 

「クソっ!」

 

それに食事に招待されてその場でドカ食いしてゲロ吐く奴って普通にやばいだろ!俺なら絶対に関わりたくない。

レミリアさんにどう思われてるんだろうか。かなり失礼な事をしてしまった。

 

まあとりあえず、アルベドには本当の事を話すしかないな。

彼女が黙っていてくれるのかは分からないし、もしかしたら俺の事を軽蔑しているかもしれない。

いやでも、例え嫌われたとしても、ここで嘘を吐いて誤魔化すのは違う筈だ。

 

本当に嫌われてしまったなら、ナザリックを出ていけばいい。

その時はこの世界を好きに見て回ろう。

 

……そう考えると少し気分が楽になった。

 

『あー、アルベド?少し……話がある。出来れば早めに私の部屋まで来て欲しい。』

 

これでよし。

 

俺がアルベドに伝言(メッセージ)を送った数秒後、モモンガの客室のドアがノックされる。

 

「モモンガ様!アルベドです。」

 

「……とりあえず入ってくれ。」

 

いくら何でも早すぎるだろ!まだ考えを整理出来てないぞ。

 

「まあ、今更取り繕っても無駄だろうから普通に話すよ。とりあえず聞いてくれ。」

 

俺は、本当は人間である事、アルベドを上回る神算鬼謀の持ち主などではない事、人間時代は搾取される側であった事など、全てを話した。

 

「そうだったのですね……私の知っているモモンガ様は存在しなかったと。」

 

そういえば、呼び方がアインズではなくモモンガになっているな。だからといってどうということは無いが。

 

「すまないな……こういった話し方もお前達の期待に応えるためだけにやっていたに過ぎない。

お前達の事を騙していたと言ってもいい。お前達の事を思っているのは本当だ……だがお前達にしてみれば、

愚かな人間に支配されるなど酷く耐え難い屈辱だろう?……出て行けと言うのならば出ていこう。ナザリックはお前達の好きにするといい。」

 

俺は酷く感情を揺さぶられながら話した。こうは言ったが、彼らの事を思っているのは本当なのだ。

本当に出て行けと言われてしまったら酷くショックを受けるだろうし、かなりの間立ち直れないかもしれない。

 

アルベドと話していると自然と支配者としての口調が出てきてしまう程なのだから。

 

俺がアルベドの返答を恐る恐る待っていると、一分ほどが経過して、ようやくアルベドが口を開いた。

 

「モモンガ様、そのような事を仰らないで下さい。私がこの程度の理由でモモンガ様の事を嫌いになるなんて有り得ません。」

 

「……だが、私はお前達の期待に応えられるだけの能力も持っていない。」

 

「ならば私が支えます。必ずモモンガ様のお力になります。なので、出て行くなどと仰らないでください。

私がモモンガ様を愛しているのは、私自身の意志によるものです。」

 

「それは先程も言っただろう?私がその様にお前のデータを弄ったからだ。」

 

俺がそういうと、アルベドは悲しそうに笑い、再び口を開いた。

 

「では、私の話も聞いて頂けるでしょうか?」

 

「……聞こう。」

 

「これはアインズ・ウール・ゴウンのNPCとして、決して許されることでは無いかもしれませんが、

まず、私はアインズ・ウール・ゴウンなるものが大嫌いです。」

 

「……は?」

 

アインズ・ウール・ゴウンが嫌いだと?NPC達はわざわざ嫌いなものを担ぎ上げていたのか?

いや、俺の知るあいつらはそこまで忍耐強く無いはずだ、自分の嫌いな存在が上に立つなんて許容出来ないだろう。

 

そもそも、本当に嫌いならああいった態度を取ることは出来ないはず。

 

「だから、アインズ・ウール・ゴウンが大嫌いと言ったのです。憎んですらいます。」

 

「……それはお前だけか?それともNPC全員に言えることか?」

 

「私だけです。NPCの中でも異端な考えである事は理解しています。

ですが、私はモモンガ様を悲しませ、私達を捨てた至高の存在とやらが憎いのです。殺してやりたいくらいです。」

 

……まさかそれほど憎んでいたとは。全く気付かなかった。

だが、今アルベドは捨てられたと言った。恐らくアルベド以外のNPCもそういった認識なのだろう。

 

俺は……何をしてるんだ!

勝手に自爆して勝手に憂鬱になって、そしてアルベドを悲しませて。NPC達の想いすら知らなかった癖に。

 

いや、知ろうとしなかったんだ。自分の境遇を言い訳にして、口ではナザリックの為と言いながら、

俺は結局自分の事しか考えてなかったんだ。

 

俺も知ってたさ。たかが一つのゲームに入れ込んで、とうの昔に辞めてしまったメンバー達を戻って来るはずだと待ち続けて。

……戻って来るはずがないのは分かっていた。でも信じたくなかったんだ。

 

俺には彼等しか居なかったから。

 

……捨てられた、か。あながち間違いじゃないのかもしれない。

 

確かに昔は楽しかった。彼等も本当に楽しかったから当時はあれほどのめり込んでいたのだろう。

俺は彼等の事を友人だと思っていたが、彼等からすれば昔ゲームをやっていたフレンドくらいの認識なのだろう。

会おうとすれば会えたものを、俺は結局自分で行動に移さなかった。

 

それに彼等も連絡を取ってくる事は無かった。だから、どこまでいってもその程度の関係なのだろう。

 

「すまない、アルベド。俺は結局、自分の事しか考えて無かった。」

 

「……何故、謝られるのですか?」

 

アルベドは心底不思議そうな顔をしているが、謝るのは俺の方だ。

 

「お前の言う通りだからだ。彼等はお前達を捨てたんだ。俺も、まだ信じたくなかったんだ。

だから現実を見ないようにして、いつか戻ってくるものだと思いたかった。でも、全て彼等が悪いという訳でも無いんだ。

実際、ゲームをするだけで生活していけるような環境では無かったし、お前達が意思を持っている事すら彼等は知らないのだから。」

 

いつまでも過去に縋りついていた俺の方が異常だったんだ。普通は新しいゲームをするだろうし。

ただのフレンドにそこまで入れ込んだりはしない。

 

そもそもゲームのデータが意思を持っているなんて考える筈もない。

 

「でも、例えそうだとしてもやはり許すことは出来ません。」

 

「……そうか。なら無理に許さなくてもいい。」

 

「……お怒りになられないのですか?」

 

……どうだろう。ナザリックの絶対的支配者として振舞っている時に言われていたら、少し不快に感じたかもしれないな。

 

「少し、考えが整理出来たんだ。そしてようやく現実を見る事が出来た。お前の怒りは正当なものだ。」

 

「ですが、許されません。ナザリックの守護者を統括する立場の者がこのような感情を抱くのは良くない事です。」

 

「それは、お前が本当にナザリックの事を思ってるから出てくる台詞だ。よって罰は与えない。」

 

「……いいのでしょうか。」

 

「いいんだ、それより……俺はいいのか?お前達と一緒に居ても。」

 

「先程申し上げた通りです。私は貴方様をお慕いしております。例え人間でも、人より能力が劣っていても、私の愛する御方です。」

 

……そうか。なんだよ。ずっと卑屈になって、帰ってくるはずも無い昔の仲間を待ち続けて。

そんなものより大事なものがあるじゃないか。

 

ずっと俺の事を思ってくれている奴らがいる。

 

「そうか、ありがとう。」

 

俺は今、生まれて初めて心の底から笑う事が出来たかもしれない。

 

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