まず万人にウケる作品なんて書けません。意見自体は参考にさせて貰いますが、
思い通りの展開にならないからといって気に入らないと言われても私には何も出来ませんので悪しからず。
普通に楽しんで読んでくれている方はいつもありがとうございます。高評価も感想も励みになります。
「ふん……あの二人はいつまで経っても出て来ないし、退屈過ぎるわ。」
ていうか、ここは自室の筈なのになんかさっきから視線を感じるんだけど。
「また覗き魔ね……出て来なさい!今はあんたみたいなのでも話し相手が欲しいの。」
私がそう言うと目の前の空間がパクリと裂けて八雲紫が現れる。
「みたいなのってなによ……ゆかりん悲しい。」
「相変わらず気持ちの悪い喋り方をするわね。いい歳こいてぶりっ子してんじゃないわよ。」
全く、こいつはいつもこんな風に本音で話をしないから薄っぺらい会話になりがちなのだ。
だから嫌われるんだぞ。
「失礼ね!気持ち悪いとまで言われる筋合いは無いわよ。」
「で、私今物凄く退屈してるのよ。幻想郷に連れてってくれない?」
「あら、帰ってくるの?」
「いや、旅行みたいなモノよ。私と咲夜だけ。一週間程度で帰るからいいでしょ?」
本当はこいつに頼み事なんかしたくないが、今はそれくらい退屈なのだ。
あれからアルベドは報告とか言って一度ナザリックに帰ったし、何なら最近は咲夜と会話してるだけで一日が終わってるし。
「んー、どうしようかしら。さっき何か悪口が聞こえたのは気のせいかしらね?」
「そんなもん気のせいよ。私に貸し一つって事でどう?相当大きいと思うけど。」
私が幻想郷に居た時ならこんな事は絶対に言わない。八雲紫に借りを作るなんてリスクが大き過ぎる。
「うーん、まあそれならメリットの方が大きいし、別に構わないわよ。ただ、わざわざ幻想郷まで行って何をするの?」
「そこまで考えてないわよ。ただ退屈な日常に嫌気が差しただけ。私は我慢が苦手なのよ。」
まあ八雲紫としても私から敵対しないという言質を取っている訳だからそこまで警戒はされてない筈。
そもそも、こいつは隙間を使えばいつでもここに来られるんだからこの程度の事で借りを作ったのは間違いだったかもしれない。
いやでも私の魔法じゃ別世界に転移は出来ないし……
「いいわ、じゃあ準備はいい?」
「咲夜、紅茶を入れる道具なんかは忘れてないわね?」
「はい。必要なものは全て纏めています。」
そういえば外出用は別にして買ってたわね。
「はーい。二名様ご案内〜。」
八雲紫がそう言うのと同時に私達は隙間へと呑み込まれた。
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「はい、着いたわよ〜。」
「相も変わらず趣味の悪い空間ね。」
ここは……霧の湖ね。こんな所に連れてこられてもね。
「残念ながら私はここまで……この後は天狗の爺との会談が控えてるの。じゃあ、一週間後にまた来るわね。」
くそ、あいつ本当にこんな所に置いていきやがった。
「ふぁー。咲夜、私何も考えてなかったからあなたの行きたい所に行きましょ。私は暇さえ潰せればそれでいいから。」
「本当ですか?じゃあ久しぶりに魔理沙に会いたいです。」
そういえば咲夜と魔理沙は何気に仲良かったわね。でも魔法の森の空気って美味しくないのよね。
「そう、じゃあ行きましょうか。あ、ここでも魔法は使えるわよね?」
「はい。勿論使えます。」
「じゃあ転移していきましょ。こっちはまだ夏だし、暑くて堪らないわ。」
「分かりました、じゃあ行きますよ?
今気付いたが、喋り方的に今日の咲夜はオフモードらしい。別に普段からこの距離感でもいいのに。
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「あれ……ちょっと場所間違えたかな?」
「そう?確かこの辺じゃなかったかしら。」
この辺に自分で来た事はあまり無かったから何処に何があるのかほとんど分からない。
「あ、あれじゃないかしら?」
そこにはぽつんと佇む小綺麗な家があった。
「違います、お嬢様。あれはアリスの家ですよ。」
「へぇー。初めて見たわ。まあ魔理沙はよく入り浸ってたんでしょ?もしかしたら居るかもだし訪ねてみる?」
「そうですね。アリスに聞いてみましょうか。そもそも魔理沙が家に居ることは殆どない筈なので。」
それもそっか。確かにかなりの頻度でウチの図書館に居たものね。
そんな事を考えていると咲夜が前に出てアリスの家のドアをノックする。
それから数秒後、ドアが開いて人形娘が顔を出した。
「アリス、久しぶり。」
「あら……咲夜?にレミリアさん?どっか別の世界に転移したとか紫さんが言ってましたけど?」
紫の奴、こういう時だけ真実を話すのね。いや流石に故意に話を広めない奴にしか話してはいないでしょうけど。
「そうなんだけど、お嬢様が退屈しちゃって一週間くらいだけ戻って来たのよ。」
んー、二人だけで会話されると何か疎外感を感じてしまうわね。
「ちょっと、主人を差し置いて会話しないで頂戴。アリス?魔理沙を知らないかしら?」
「魔理沙ですか?うーん、ここ数日は会ってませんね。
でも確か、レミリアさん達が何処かへ行ったと聞いて自分も行く方法を探してるとか言ってましたけど。」
魔理沙が?パチェでも無理なんだから流石に無理だろうし、出来たとしてもそもそも紫が許すのかしら?
「そうなの……というか、あなたは気にならないの?異世界よ?」
「そりゃあ気になりますけど……紫さんが許すんでしょうか?多分一人でも許しちゃうとそこから幻想郷の人口が減っちゃいますよ?」
それもそうか。確かに話を知れば行きたがる奴は数多くいるはずだ。
まあでもパチェでさえ自力で行けないんだから、行きたい奴は八雲紫に頼み込むしかない筈だ。
八雲紫がそれを許可する訳がないからね。特に反則級の能力を持つ奴らは意地でも幻想郷に留めておくはずだ。
「まあ紫に聞いてみなさい。気分が良ければ連れて行ってくれるかもよ?」
いくら幻想郷の管理者と言えどあいつも妖怪なのだ、多少の贔屓はするだろう。
「そうですね、会ったら聞いておきます。……多分駄目だと思いますけど。じゃあ、また。」
苦笑しながらアリスはそう言って家に帰って行った。
「ここに居ないなら、博麗神社かしら?」
「紅魔館がこっちにない以上、博麗神社に居ないとなると私達が見つけるのは不可能ですね。」
「あ、でも確か香霖堂とかいう掘っ建て小屋にもよく居座ってたらしいじゃない。」
「そうですね……確かに、博麗神社に居なかったら行ってみましょうか。」
歩きながら話してたからもう博麗神社の方が近くなっちゃったわ。
「今更だけど、日傘無しでも外を歩けるのは素晴らしいわ。太陽が嫌いなのは変わらないけどね。」
だって眩しいし、暑いじゃない。
「あ、お嬢様!居ましたよ!魔理沙。また霊夢と弾幕ごっこをしてるみたいです。」
「ん?あ、ほんとだ。」
うっわ、二人とも馬鹿みたいに弾幕を撃ってるから境内がめちゃくちゃじゃないか。鳥居にも傷が付いてるし……
「まあ、勝負を邪魔するのは無粋だし、終わるまで待ってましょう。」
「そうですね。」
私は咲夜の用意した椅子に座って色とりどりの弾幕を眺めながら紅茶を嗜むのだった。