ちなみにあと二、三話でオバロ世界に戻ります。今回内容は薄め。
「……どうやら終わったみたいね。」
「あー!くっそ!やっぱり無想天生は反則だろ!」
またも霊夢の勝利のようね。いや、私もあれ使われると勝てないんだけど。
「で……どうして傍迷惑な蝙蝠が昼間なのにここに居るわけ?」
「うわ、気付かなかったぜ……。よ!咲夜。それにレミリア、なんで平気なんだ?」
「なんでと言われてもね。強いて言うならパチェのお陰かしら。」
「またアイツかよ……まあいいや、帰って来たのか?」
「いや、ちょっと旅行に来ただけよ。まだ向こうでやる事があるしね。」
そう、いずれは世界征服も……なんてね、別に興味無いけど。特に王国とか、あそこまで統治しがいのない国は他にないでしょ。
「というか霊夢、お嬢様にお茶の一つでも出したらどうなの?」
「ふん、何で私の貴重な飲み物を客でもない奴に出さなきゃならないのよ。」
相変わらずのケチっぷりね。懐かしさすら感じるわ。
でも神社に上げるくらいはして欲しいわね。ここ山だから普通に暑いわ。
「まあいいわ、魔理沙。咲夜があなたに会いたいっていうからわざわざここまで来た訳だけど。」
「ちょっ!お嬢様!」
「へぇ〜」
私がそういうと魔理沙はニヤニヤとしながら咲夜に絡み始めた。
「私と会えなくて寂しかったのか?なあなあ、教えてくれよ咲夜ちゃん。」
「……調子に乗るのも大概にしなさい?」
あ……咲夜が怒った。全く、私を巻き込まないで欲しいわね。
「お嬢様もです。余計な事を言わないで下さい。」
ほら、私まで怒られた。おのれ魔理沙め。
「で、魔理沙?あなた私達に追い付こうとしてたらしいじゃない。着いて来る?」
「まじか!いいのか?異世界なんて好奇心が疼いて仕方無かったんだぜ。勿論行くぜ。霊夢も来るか?」
いや……魔理沙はともかく霊夢が居なくなると幻想郷が崩壊するわよ。冗談抜きに。
「嫌よ。そもそも私は幻想郷を出られないし。」
「あー、てか私は大丈夫なのか?紫の奴が許可しないんじゃないか?」
「そこは問題ないから、気にしなくていいわよ。」
魔理沙を連れて行くくらいなら許可は出るでしょう。私に対する貸しの方が大きいし。
「でも何時帰ってこられるのか分からないのよ?そんな簡単に決めちゃっていいの?」
咲夜は魔理沙が心配で仕方が無いようね。まあでも、魔理沙は割と物事を冷静に見ているタイプだし心配する必要は無いと思うけど。
「そんなに心配すんなって、元々行くつもりだったんだから。」
よし、じゃあ魔理沙には会うという目的は達成された事だし、次は寝る所を探さなくちゃいけないわね。
「咲夜……ていうか、あれ?そういえばトランクは何処にやったの?行く前は持ってたけど。」
「ああ、それは……これです。
へー、アイテムボックスの魔法版みたいなものかしら。
ていうか、物を仕舞うなら自分の能力を使いなさいよ。どれだけ位階魔法を気に入ってるのよ。
「は?お前魔法なんて使えたか?生活魔法か、精々戦闘の補助程度にしか使えなかっただろ?」
そうか、魔理沙には色々と説明しなくちゃいけないわね。
「それは……後で話すわ。とりあえず身体を休める場所はないかしら?」
「私の家は……多分入れないぜ。この前実験に失敗してそのまんまだ。」
うーん、少し行き当たりばったり過ぎたかもしれない。
「あ、咲夜!あなたが創るのよ。確かそんな魔法あったじゃない。」
「……ありました!ちょっとどいて魔理沙。
うわー、小屋程度で良かったのに。なんか小さな御屋敷になっちゃったわね。
「あ、これ地味に魔力が減り続けてます。」
「どうする?小さく創り直す?」
「いや、パチュリー様から頂いた魔力回復の指輪があるので大丈夫そうです。」
パチェったら、また私に言わずに咲夜になんかあげてるし。
「ちょ、ちょっと待てよ!お前なんで今まで黙ってたんだ。私でもこんな魔法使えないぞ!」
まあ、魔理沙からすればプライドを傷付けられるような話かもしれない。
「とりあえず、中に入ってからにしなさい。」
私がそう行って先に進むと魔理沙は渋々屋敷の中へと着いてきた。
「家具もあるのね……まあいいわ。咲夜、説明してあげなさい。」
「いい?私が魔理沙を騙してたんじゃなくて、実は向こうに行ってから……」
咲夜と魔理沙の会話をみてしみじみと思う。
私には友人なんてパチェくらいしか居ないけど、咲夜にもそういう存在が出来て本当に良かったわ。
「なんだよそれ……理不尽な話だな。」
「あなたも向こうに行ったら同じ事が出来るわよ。
まあ、パチュリー様に頭を下げるか自分の技量で位階魔法を再現するっていう二択しかないけど。」
「そんなもん一択だぜ。パチュリーに出来るなら私に出来ない道理は無いぜ!」
相変わらず殊勝なことで。私なら迷わず楽な方を取るけどね。
「あなたのそういう所、嫌いじゃないわ。」
咲夜が苦笑しながら魔理沙にそう言うと、魔理沙は顔を赤くしてそっぽを向いた。
「さて、寝床も確保した事だし、幻想郷巡りでもしましょうか。一週間しかないんだから、楽しまなきゃ損よね……」
私は久しぶりの幻想郷に少しだけ心が躍るのだった。