Vampire Lord   作:Crimson Wizard

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仕事終わりですがモチベあったので書きました。


第33話

 

私はここ数日、とにかく暇を潰す手段を考えていた。

最近は冒険者としての活動は数日に一回程度になっている。理由は咲夜が多忙すぎる為だ。

私の従者としての仕事に、紅魔館の家事に、魔理沙の世話に、冒険者としての活動……

 

疲労を無効化するアイテムは装備させているものの精神的な疲労には意味が無いので少し休ませているのだ。

 

「うーん……」

 

今考えているのは、ダリアとしての容姿や聖騎士というか神官戦士のビルドを変えてしまってもう一つ身分を作る事だ。

私はパチェから貰ったアイテムによって能力を変更する事が出来るのでやれなくはないのだが……

 

流石にトリプルフェイスとなると忙し過ぎるかもしれない。

仮にやるんだったらワーカーか?少なくとも冒険者として有名になってしまうのは避けねばならない。

んー、でもやっぱり踏ん切りがつかないのよね。暇とはいえ義務になってしまうと私は途端に嫌になってしまう。

 

そういう性分なのだ。

 

ちなみに、未だにモモンガ達には冒険者パーティ『十六夜の月』の正体が私達である事はバラしていない。

場合によっては十六夜の月としてアインズ・ウール・ゴウンと敵対する事も視野に入れているからだ。

現状の生温い関係性が続けば私はきっと飽きる時が来る。

 

だが紅魔館という勢力として敵対するとなると咲夜達にも危害が及ぶかもしれない。

でも我慢は出来ない。そういう時の為の保険である。

 

……退屈は妖怪を殺すのだ。

 

だが一つ問題がある。それはフランの容姿である。

第三者が見たとしてもフランドール・スカーレットと十六夜の月所属のユナは同一人物であると分かる。

私と咲夜の二人で行動する事が多いとはいえ、フランも一緒というのは少なくない。

 

生き別れの姉妹という事にするか?魔法の力による分身か。……何かそれらしい出自を考えて置かなくてははならない。

全く、これじゃまだ新しい身分を作るのは早いわね。

 

私は退屈な日常がまだまだ続く事を確信するのだった。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

「ここが王都か?ワクワクするぜ!」

 

「ちょっと、走り回らないで!子供じゃないんだから。」

 

私、霧雨魔理沙は今……異世界の国を見て回るというこれ以上ない程にファンタジーな体験をしている。

そういえば昔、こーりんの所に流れ着いた本にこんな感じの話があったな。最終的には主人公以外女しか居なくなってたっけ。

 

「すまんすまん、ちょっと興奮してたぜ。」

 

「初めてだからでしょ?何度も見てるともっと違う感想が出てくるわよ。……ほら、そこの路地裏とか。」

 

見るからに裏の人間ですと言わんばかりの悪漢が親子に因縁を付けて金を奪い取ろうとしている所だ。

王国ではよく見られる光景でもある。

 

「……胸糞悪いぜ。おい!そこのおっさん。自分より弱い奴を虐めるのはみっともないぜ。」

 

「ちょ、魔理沙!」

 

親子は困惑してこちらの様子を伺い、因縁を付けていたガラの悪い男はニヤリと笑ってこちらに要求を突き付けてきた。

 

「なんだ?お前……余所者だろ。この親子を助けたいのか?いいぞ、じゃあ俺に着いてきな。身体で払って貰うからよ。」

 

「ふん、誰がお前みたいな下衆の言う事を聞くかよ!ご大層にぶら下げてるもん使えなくしてやるぜ!」

 

「は、お前みたいなガキに何が出来るってんだ。お前今誰に喧嘩売ってるか分かってるのか?……八本指だぞ。」

 

八本指……咲夜が言ってた胸糞悪い犯罪組織か。

王国ではこんな奴らが野放しになってるのか?貴族共も癒着してるらしいし、折角のいい気分が台無しだぜ。

 

「ちょっといい?彼女は私の友人なの。それに八本指?そんな事私の前で口にしていいのかしら?」

 

咲夜はそう言いながら金属のプレートを取り出した。

 

「あ……?アダマンタイトだと!?」

 

男はそれを見た途端に路地裏へと走って逃げて行った。

 

「何だそれ?」

 

「冒険者の階級を示すプレートよ。あなたも今から貰えるわ。」

 

なるほど。水戸黄門の印籠みたいな使い方が出来るんだな。

……水戸黄門って何処で知ったんだっけか?

 

まあいいや。

 

「とりあえず、助かったぜ。お前らも運が無かったな。」

 

「ありがとうございます!……生憎、今は持ち合わせがなくて。」

 

「んな事気にすんな、困った時はお互い様だぜ。」

 

話には聞いていたがどうやらこの国は根元まで腐りきっているらしい。

改めて周りを見渡すと何だか活気が無い気もしてくる。

 

「早く行くわよ。……全く、余計な注目を集めちゃったじゃない。」

 

「すまんな。でもよ、誰一人助けに入らないなんて、余程その八本指とやらが怖いのか?たかが犯罪組織だろ?」

 

いや、国の貴族が癒着してるんじゃ一般人にはどうしようも無いか。

 

「……まあ、私達からすればそうかもしれないけどね。」

 

私の考え方は力ある者の傲慢なのだろうか?いや……私は才能に恵まれている訳じゃない。

そもそも弱者寄りの考え方の筈だ。それでもこの国の現状が異常なのは分かる。

 

「私からすると国民側にも原因があるように思えるんだけどね。」

 

「どういう事だ?」

 

「だから、普通ならデモが起きたりするものでしょ?何も無いのが可笑しいのよ。」

 

……確かに。幻想郷の人里ですら昔は一揆が起きたらしいし、全く反乱が無いというのは聞いた事がないな。

 

「それだけ聞くと根性無ししか居ないみたいだが……まあ裏で貴族が手を回してるのは確実だぜ。真っ黒だ。」

 

「実際そうでしょ、日中の昼間からあんな事があったのに巡回の兵士も無視してたし。」

 

だが咲夜の言う通り、国民側にも問題があるのは事実みたいだな。

 

「とりあえず、着いたわよ。ここが組合、さっさと登録して貰いましょう。」

 

「おうよ!」

 

私は一旦気持ちを切り替えるべく大きな建物の前で深呼吸するのだった。

 




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