The Back Rooms Story 〜Fanmade〜   作:犬社長

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お久しぶりです。

長編を1つ書き終わったので、久しぶりに原点回帰と洒落込みます。

ちょうど自分の中でのバックルーム熱の再燃と、尊敬する同業者諸兄の投稿再開と相まって、やる気が出て来てしまいました(笑)

とは言え、1からのストーリー構築はムリそうなので、この小説の『補完編』をこれより始めたいと思います。


今回の補完は、M.E.Gのピーター君が〈名を奪う者(ネームレス)〉に襲われて、別レベルへノークリップした後の話です。
コチラから見返せます➡5話

そんなに長くはありませんが、宜しくどうぞ↓



Secret Episode〈記録補完編〉
ピーターの記録補完〈Level -1: The Glitched Hall〉


 

 

 

…ノイズが、聞こえる。

 

 

ピアノの音。

テレビの砂嵐。

 

 

 

………うるせぇよ、くそったれ。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

「………はっ?!」

 

 

 

()()()()()()()()()()()

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…!」

 

高鳴る心臓の音が、耳元でやけに大きく響く。

心臓が鼓膜を突き破りそうだ。

 

「ーーーーこ…ここは……何処だ……?!俺は…いったい…?」

 

 気持ち悪い鼓動を繰り返す胸を押さえながら、ピーターは周囲を見渡した。

 

 自分が居る所は、真っ白な壁と等間隔で並ぶ黒いドアで構成された、長い廊下のような場所だ。

 

 少なくとも、さっきまで居た、あの黄色い世界とは何もかも違う。

 

「そうだ……俺は、ジョンと二人でバックルームに来て……あの()()に……!」

 

ピーターは狼狽えながら立ち上がった。

そして、自分の体を見下ろす。

 

「俺は…何で生きてるんだ…??」

 

 自分の記憶が正しければ、たしかに自分は《怪物》に捕まり、黄色い壁に叩き付けられた筈だ。

 

あの一瞬で、ミンチになる事を覚悟した。

 

…なのにも関わらず、自分は生きている。

 

「訳わかんねぇよ…!」

 

頭を掻きむしりたかった。

 しかし、クソダッサイ防護服のせいで、掻きむしる頭は蓋されている。

 

「……ジョンの奴…くたばってねぇよな…。」

 

 そう呟いてみても、返事は来ない。来るわけが無い。

 

ーーーーならば、ここでピーターに出来る事はただ1つ。

 

 

「歩くか。」

 

 

歩き続けることのみだ。

 

…もう引き返すことも、引き返す方法も、何もかも失った自分に出来る事は、それだけだ。

 

 現実逃避かもしれない。しかし、ピーターは歩き始めた。

 

 

ノイズ混じる、この純白の道を。

 

 

 

 

 

 

Level-1 〈The Glitched Hall〉

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

ピアノの音が聞こえる。

 

大きくなったり、小さくなったり。

 

 あの黄色い世界とは違って、蛍光灯のハム音は無くなったものの、代わりにこのピアノの音がピーターの耳を悩ませていた。

 

「くそ……怖え…!」

 

たった1人、未知の世界を彷徨う。

その恐怖は筆舌に尽くしがたかった。

 

しかもさっきの場所とは違い、道は一本だ。

 

 つまり、あの時のような怪物が来たら終わりだ…と言う事を意味する。

 

「両側のドアは開かねぇし…視界にノイズが走るし、()()()()()()()()()()()()()…!どうなってんだよ?!」

 

やけになった様な声に、答える者は居ない。

 

 ピーターの精神は孤独と恐怖によって、かなり擦り減って来ていた。

 

ーーーー時折感じる()()()()()に後ろを振り返ってみれば、廊下のずっっと向こうの方に《黒いスーツ》を着た影が見える時もあった。

 

 人が居るのかーーーと喜んだ時もあったが、良く考えればこの世界に人間が居るはずがない。

 

『きっと気の所為だ。』ーーーーそう考えて、ピーターは先に進む事にした。

 

 

 

 

 

(ーーーー数時間後ーーーー)

 

 

 

 

 

「ーーーーノイズが酷くなってきたな……。これ以上進んで大丈夫なのか…?」

 

先へ進めば進む程、視界のノイズは酷くなる。

 

 更にピアノの音に混じって、人の話し声や、テレビCMの音も聞こえて来た。

 

 

…ノイズはますます酷くなる。

 

 

「うっ……目がどうかしちまったのか…俺は…!?」

 

 

両目を防護服越しに押さえながら、ピーターは進む。…進むしか無い。

 

 

ノイズは更に酷くなる。

 

 

ーーーー視界が歪む。もう、平衡感覚の維持すら困難な程に。

 

 

「し、視界、が、揺れーーーー」

 

 

……その時、ピーターは()()

 

 

廊下の()()()()に、ドアがある。

 

見飽きた廊下の黒いドアでは無い。

薄く錆びれた赤色の、ボロボロのドアだ。

 

「ドア……だと…?」

 

 壊れかけのテレビの様に歪み、波打つ視界の中で、ピーターは震えながらドアノブに手を伸ばした。

 

その指がノブを回しーーーーーーーー

 

 

 

……ピーターに、ソコから先の記憶は無い。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『【負の世界】を、よくここまで歩いてきた。…しかし、ココにキミの望む物は無いよ。ココにあるのは、〈入口〉。只それだけだ。』

 

 

 

『でもキミは()()()()()()()()()()()。恐らくキミは、()()()()()()()()()()。』

 

 

 

『まぁ、どちらでも良いな。キミたちにとって見れば、何方も地獄のようなモノなのだから。』

 

 

 

『ーーーーん?私が誰か?……知ってどうする?ーーーーどうせ直ぐ忘れるのだ。』

 

 

 

『まぁ…知りたいと言うなら、教えてやっても構わない。ーーーー私は嘗て、『フィン』と呼ばれていたかもしれない。或いは、『ベック』と呼ばれていたかもね。そして、もうすぐ『ビリー』を名乗る事になるかもしれないな。……ふふふ。』

 

 

 

『ーーーーだけど、どうやら私が『ピーター』を名乗る日は来なさそうだ。…良かったじゃないか。え?』

 

 

 

『…何を言ってるか、分からない?ーーーー当たり前さ。理解出来るよう話してる訳じゃ無いからね。』

 

 

 

『まぁ良い。ーーーー時間だ。さようなら、ピーター君。…願わくば、君が〈出口〉を見つけ出さん事を祈る。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







フィン、ベック、ビリー、何方も本編で〈名を奪う者(ネームレス)〉に殺害され、名前と存在を忘れ去られた人です。


この後、ピーターはレベル0へ帰還し、そこからレベル1へ到達してジェニファーと出会う訳ですが、ソコは本編でも言及のあった通りなので、書きません。

では、また次回。(なお、次回が有るかは未定)
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